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よしだたくろう LIVE '73』(よしだたくろう らいぶ 73)は、1973年12月21日吉田拓郎(当時はよしだたくろう)がリリースしたライブ・アルバムである。1973年11月2627日に東京中野サンプラザホールで行われたライヴ音源。 1986年にCD化された。1990年CD選書のほか、2006年にも再リリースされている。

よしだたくろう LIVE '73
よしだたくろうライブ・アルバム
リリース
録音 1973年11月2627日
日本の旗 日本東京都中野区
中野サンプラザホール
ジャンル フォーク
ロック
レーベル Odyssey/CBS Sony
プロデュース 吉田拓郎
瀬尾一三
チャート最高順位
よしだたくろう アルバム 年表
伽草子
(1973年)
よしだたくろう LIVE '73
(1973年)
今はまだ人生を語らず
(1974年)
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解説 編集

一流ミュージシャンたちに加えてブラスストリングス・セクションをバックにした(演奏者の項を参照)、当時のロックコンサートとしてのクオリティの高さで群を抜く日本のレコード史上最初の本格的なライヴアルバムともいわれる[1]

曲名の後ろに'73がついている曲と小室等の#8「雨が空から降れば」以外はこのライブで初録音、13曲中9曲を新曲として発表、つまりライブ盤なのにオリジナル盤の気概を持つ[2]。当時、著名なアーティストでこのような形式をとったケースは稀である[3]。このライブのおよそ半年前の6月1日にアルバム『伽草子』がリリースされていたが、『伽草子』の収録曲は「LIVE'73」には選曲されていない。『伽草子』リリース直後のライブでは収録曲を演奏していたが、「LIVE'73」を録音したステージで演奏されたのは「ビートルズが教えてくれた」と「新しい朝」の2曲だけであり、「ニューアルバムを携えてツアーを引っ張る」というパターンからも外れている。

前年6月に四角佳子と結婚するものの、ツアー先で婦女暴行事件容疑でこの年5月に逮捕(不起訴となり釈放)された後に行われたライブの模様を収録。翌年には子供が生まれるその前という激動の時期に発売されている。

本人もこのアルバムについては思い入れがあるらしく、後に雑誌のインタビューで「13曲目「望みを捨てろ」は失敗だったけど、それ以外は本当に良かった」といった趣旨の発言をした。なぜ「望みを捨てろ」を失敗と評価したのかは不明。

13曲目「望みを捨てろ」が歌唱中にフェイドアウトする形でアルバムは終わっているが、カセットテープ版では歌唱終了後にフェイドアウトしているため、収録時間が1分以上長くなっている。

ビーイング創業者長戸大幸は、音楽を諦めて京都ブティックを経営して、店も軌道に乗っていた23歳~25歳の時[4]、本アルバム収録の「こうき心 '73」を聴き、体に電撃が走るほどのショックを受け[4]、ブティックも結婚が決まっていた女性も友達も全部捨てて、「拓郎に会いたいと、100万円と車1台だけで1974年に再び上京した」と話している[4]dps2018年発売のメジャーデビューシングルタイムライン」は、長戸プロデューサーから教授された本アルバムからインスピレーションを受けて制作された[5]

収録曲 編集

  1. 春だったね '73
    作詞:田口叔子 / 作曲:吉田拓郎
  2. マークⅡ '73
    作詞:吉田拓郎 / 作曲:吉田拓郎
  3. 君去りし後
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  4. 君が好き
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  5. 都万の秋
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
    • 都万とは島根県隠岐島にあった都万村のことで、岡本おさみの隠岐の滞在体験をもとに歌詞が書かれた[7]。同村の漁港の様子を歌い、村役場は一時、チャイムに採用した[8]。地元のアマチュアバンドがコンサートで歌い継いでおり[8]、当地では若い世代にもよく知られているといわれる[7]。拓郎のレコーディングはこのアルバムのみ。
  6. むなしさだけがあった
    作詞:田口叔子 / 作曲:吉田拓郎
  7. 落陽
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  8. 雨が空から降れば
    作詞:別役実 / 作曲:小室等
    • 拓郎は演奏後のMCで「おそらくは何十年に1曲という名曲だと思います」と語っている。
  9. こうき心 '73
    作詞:吉田拓郎 / 作曲:吉田拓郎
  10. 野の仏
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  11. 晩餐
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  12. ひらひら
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎
  13. 望みを捨てろ
    作詞:岡本おさみ / 作曲:吉田拓郎

演奏者 編集

実際のセットリスト 編集

中野サンプラザホール(1973/11/27)での実際のセットリストは以下の通り。

  1. 春だったね ~
  2. せんこう花火 ~
  3. マークⅡ ~
  4. ともだち
  5. 君去りし後
  6. 都万の秋
  7. こうき心
  8. 雨が空から降れば
  9. むなしさだけがあった
  10. 子供に
  11. 新しい朝
  12. 旅の宿
  13. 心臓の歌 ~
  14. 私が生まれた時 ~
  15. ルームライト
  16. 祭りのあと
  17. パフ with
  18. 広島商科大学応援歌~早稲田大学校歌 by 拓郎~田口
  19. ある雨の日の情景 with 猫
  20. 金曜日の朝
  21. 晩餐
  22. 野の仏
  23. 襟裳岬
  24. ビートルズが教えてくれた
  25. 落陽
  26. 君が好き
  27. ひらひら
  28. 望みを捨てろ

脚注・出典 編集

  1. ^ 田家秀樹 『吉田拓郎』 TOKYO FM出版〈地球音楽ライブラリー〉、2007年, p. 31
    豊かなる日々 〜吉田拓郎、2003年の全軌跡〜、2004年6月、田家秀樹著、ぴあ、p7
  2. ^ “楽庫・ライブ 吉田拓郎「よしだたくろう LIVE '73」(ソニーミュージック)”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2020年7月18日). オリジナルの2020年7月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200718070327/https://mainichi.jp/articles/20200718/dde/012/070/007000c 2022年5月11日閲覧。 
  3. ^ 『70年代ノート ~時代と音楽、あの頃の僕ら~』、p142-143
  4. ^ a b c 長戸大幸さん×平澤創[対談]”. フェイス25周年記念Webサイト・スペシャル対談企画 最終回【前編】. フェイス. 2019年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月6日閲覧。
  5. ^ TVアニメ『名探偵コナン』OP曲でメジャーデビューのdps「70年代のフォークソングを意識して作りました」【インタビュー】
  6. ^ ライナーノーツには、レコーディングアレンジャーと表記されている。
  7. ^ a b “【芸能】隠岐の人々が待つ島が再び「重くなる日」 拓郎ライブ実現を熱望”. デイリースポーツonline (神戸新聞社). (2017年7月2日). オリジナルの2017年7月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170702095454/https://www.daily.co.jp/opinion-d/2017/07/02/0010333069.shtml 2017年7月10日閲覧。 
  8. ^ a b “情報ランド ふるさと新聞2001ふるさとの歌”. 読売新聞 (読売新聞社): pp. 16-17. (2001年2月21日) 

関連項目 編集