つるやホテル (熱海温泉)
概要
編集つるやホテルの前身となるつるや旅館は、1934年に畠山鶴吉により創業。お宮の松の前という立地条件の良さに加え畠山が衆議院議員であったこともあり、吉田茂など政財界の要人らが多く利用し、熱海温泉の中でも著名な宿泊施設となった。
1967年に鉄筋コンクリート10階建てのつるやホテルとして衣替えを果たし、再び熱海でもトップクラスの宿泊施設として広く知られるようになる。しかし1970年2月3日未明に9階から出火、宿泊客らは全員無事避難したが8階から10階までの宴会場や会議室などが焼失した[1]。1984年には兼松通商に買収されて創業家の手を離れる。その後、バブル景気の時代には不動産売買の担保となり数百億円規模の融資が行われる舞台にもなった。バブル崩壊後の2001年6月、競売により所有権が外資系企業の手に渡ると、ホテルの営業自体も同年11月1日を以って終了した[2]。
その後
編集閉館した後は廃墟扱いされたこともあったが、2007年までに解体され、跡地ではジョイント・コーポレーションが複合商業施設「auneATAMI」の建設に乗り出した。しかし完成直前の2009年、同社が会社更生法適用に向けた申請を行い工事は中断。建物は使われないまま(結果として10年近く)廃墟となった。不運続きの場所は、つるやホテルの跡地という知名度の高さもあり、「日本三大訳アリ物件」として紹介されたこともある[3]。2010年代後半、日本にインバウンド需要が増加すると香港の企業がauneATAMIの所有権を取得、2018年、全室スイートルームの五つ星ホテルとして建物をリニューアルする構想が持ち上がり[4]、2022年9月26日に全室温泉付きの「熱海パールスターホテル」として開業した[5]。
脚注
編集- ^ 熱海でマンモスホテル訳 泊り客、非常ベルで脱出 未明に九回から出火 放水届かず『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月3日夕刊 3版 11面
- ^ “熱海のしにせホテル閉館へ/要人も宿泊の「つるや」”. 四国新聞社 (2001年9月18日). 2018年10月30日閲覧。
- ^ “地方のホテル「3大訳あり物件」を完売させた訪日客需要の威力”. 週刊ダイヤモンド (2018年7月23日). 2018年10月30日閲覧。
- ^ “熱海で「ホテル用地争奪戦」、日中入り乱れた不動産投資の内幕”. 週刊ダイヤモンド (2018年10月29日). 2018年10月30日閲覧。
- ^ “海の眺望を堪能できる「熱海パールスターホテル」9月開業。全客室に温泉とバトラー付き”. トラベルWatch (2022年7月6日). 2022年8月30日閲覧。