のび太の結婚前夜
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「のび太の結婚前夜」(のびたのけっこんぜんや)は、漫画『ドラえもん』の短編エピソードのひとつ(1981年発表)。
1999年には同名の劇場用アニメ映画が公開された[1](詳細は「#アニメ映画(1999年)」を参照)。
2014年には劇場用3Dアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』(8月8日公開)内のエピソードのひとつとして再度映画化された[2]。
漫画 編集
1981年7月に『小学六年生』8月号にて発表された。この際のサブタイトルは「結婚式の前の夜…」。全10頁。
1982年8月にてんとう虫コミックス第25巻に収録された際に、サブタイトルが「のび太の結婚前夜」に変更され、加筆・修正が行われた結果、全12頁の作品となった。
テレビアニメ 編集
1981年に本作のテレビアニメ版が「のび太の結婚式?!」のサブタイトルで放送された。
アニメ映画(1999年) 編集
のび太の結婚前夜 | |
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監督 | 渡辺歩 |
脚本 | 藤本信行 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 |
大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | 中西保志・沢田知可子「幸せのドア」 |
撮影 | 熊谷正弘 |
編集 | 岡安肇 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 |
シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1999年3月6日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | 帰ってきたドラえもん |
次作 | おばあちゃんの思い出 |
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1999年3月6日に、劇場用アニメ映画『のび太の結婚前夜』として公開された。同時上映の長編作品は『ドラえもん のび太の宇宙漂流記』。第17回ゴールデングロス賞優秀銀賞(同時上映作品とセットで受賞)。
解説 編集
監督の渡辺歩によると[3]当初は「雪山のロマンス」(てんとう虫コミックス第20巻収録)など、他の作品ともミックスさせる案があったが、30分という時間の中で結婚が決まるまでのプロセスを描くよりも、前日にテーマを絞ることとなった。また、原作に登場する正直電波を使わなかったことに関して「漫画ではページ数の都合で、先生はひみつ道具を使う道を選ばれたのだと思う」と解釈しており、「嫁ぐ前日に胸がいっぱいでパパにあいさつがなかなかできない、そういう娘の気持ちを“正直電波”を使うことで嘘になる気がした」とし、かわりに父親が咳き込み、しずかが思わず不安になるという場面を加えた。さらに「母から娘に大切な物を託すことの意味を描きたかった」とし、「しずかのネックレス」(1983年4月29日放送、原作はてんとう虫コミックス第24巻収録「しんじゅ製造アコヤケース」)を織り交ぜ、しずかが母親から真珠のネックレスを受け取る場面を描いている。ここが渡辺にとっての正念場であり、深夜泣きながら考えたという。
予告編でののび太のセリフである「いつの間にか僕は夜中に1人でトイレに行けるようになった、1人で電車に乗って会社に通うようになった。でも本当に僕は変わったのかな? ねぇドラえもん、僕は明日結婚するよ…」は、のび太が少年の頃に抱いていた「社会への不安」を根本的に変える結果になった。決してドラえもんによりかかったまま成長したのではなく、成長していくにつれ、1人の男として仲間からも信頼され、しずかからも自分を本気で守ってくれる大きな存在として認められるまでになっていた。このセリフや本編中に河川敷の土手に転んだ際に星を見上げながらドラえもんの名前をささやいたことからも分かるように、原作同様ドラえもんはのび太たちと別れ、既に22世紀へ帰ったことが示唆されている。ただ、小学生のうちに別れた過去3回の原作における最終回及び前作とは異なり、いつ帰ったのか明確な設定はなされていない。エンディングの挙式にもドラえもんは招待されていない。
この映画までは大人になったのび太が登場する際には拡森信吾が主にその声を担当していた。しかし、本作では大人になったレギュラーもほぼ当時の声優陣がそのまま担当しており、のび太の青年期は少年時代と同じ小原乃梨子が、全体的にやや太めの声変わり後を意識して演じている(1981年のアニメ「のび太の結婚式?!」ものび太の青年期は小原が担当しており、出木杉の青年期は少年時代と同じく白川澄子が担当している) 尚、この映画の公開前に『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』で後日談(およそ10年以上経過)が描かれている。
原作では未登場の現代のジャイアンとスネ夫もエピローグのみだが登場し、のび太の小学校での担任教師も登場している。
アニメーション研究家・評論家の五味洋子は著書『アニメーションの宝箱』で本作を指し、「藤子・F氏の人となりが偲ばれる佳作」と評しており、渡辺は最大の褒め言葉と語っている[4]。
あらすじ 編集
しずかと出木杉が空き地で仲良く「白雪姫」の劇の練習をしているところを見て、のび太は本当に将来、自分としずかが結婚できるのかどうか不安になる。
そこでドラえもんと共にタイムマシンでのび太の結婚式の日へ向かったが間違えて、その前日に着いてしまった。せっかくだからと未来ののび太の結婚前日の様子を見ていくことにする。
未来ののび太は結婚式と前日を間違えてしまった帰り道、しずかと会い、車に轢かれそうになった猫・みいちゃんを助ける。ドラえもんのおかげで助かったことを知る由もない未来ののび太としずかだが2人はみいちゃんを家まで送り届けに行く。みいちゃんの飼い主である高木親子はアメリカに引っ越すために空港にいることを知ったのび太としずかはジャイアンとスネ夫にも協力してもらい、みいちゃんを無事に送り届けることが出来た。
その夜の剛田商店ではジャイアン、スネ夫、出木杉によるのび太のためのバチェラー・パーティーが行われ、その帰り道、のび太は小学校時代の先生と会う。先生を気遣って、上着をかけたのび太に先生は「明日は遅刻するんじゃないぞ」と激励を送る。
しずかは両親とのお別れパーティーを行うがドラえもんとのび太が源家に足を運んだ直後、しずかは父親に「私が結婚したら、パパやママが寂しくなってしまうから結婚をやめる」と言い出す。そんなしずかに、父はしずかが生まれて来てからの楽しい日々を語り、その思い出があるからさびしくないこと、そして善き人間性の持ち主であるのび太が相手なら大丈夫だと説きしずかを安心させる。現代に帰還したのび太はしずかに「必ず、君を幸せにする」と約束するのだった。
キャスト 編集
- ドラえもん - 大山のぶ代
- のび太 - 小原乃梨子
- しずか - 野村道子
- ジャイアン - たてかべ和也
- スネ夫 - 肝付兼太
- 出木杉 - 白川澄子
- しずかのパパ - 久米明
- しずかのママ - 松原雅子
- 先生 - 田中亮一
- おばあさん、ドレスのスタイリスト - 江森浩子
- タクシードライバー - 中嶋聡彦
- 高木さん - 柴本浩行
- 女の子、ホテルのフロント - 渡辺美佐
- となりのおばさん - 水原リン
スタッフ 編集
- 原作 - 藤子・F・不二雄
- 監督・作画監督 - 渡辺歩
- 脚本 - 藤本信行
- 美術監督 - 柴山恵理子
- 撮影監督 - 熊谷正弘
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 音楽 - 菊池俊輔
- 効果 - 横山正和
- 編集 - 岡安肇
- 動画チェック - 原佳寿美
- 色彩設計 - 照谷美和子
- 原画 - 尾鷲英俊、丸山宏一、大杉宜弘、加来哲郎
- 動画 - 森川純一、江部賢、菊池博道、滝山友紀子、岩崎太郎、立口徳孝、小澤辰則、及川あずさ、平田晃生、梶山奏子、木村郁彦、奥村光博、角田恵子、原島良夫、滝山典子、浦山智恵、渡辺杏里、渡辺菜摘
- 仕上 - 岩切当志子、森沢千代美、渡辺信子、久保田滝子、宇井俊恵、谷島香、土屋裕美、米井ふじの、佐久間芳子、冨川小百合、まるたまりこ、渡辺真紀
- 特殊効果 - 橋爪朋二
- リスマスク - マキ・プロ
- タイトル - 道川昭
- 背景 - 土師勝弘、明石聖子、中村隆、岡部真由美、鈴木朗、西川かおり、本多美紀、天水勝
- 撮影 - 山田廣明、倉田佳美、木次美則、鈴木浩司
- 編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- 録音スタジオ - APUスタジオ
- ミキサー - 内山敬章
- アシスタントミキサー - 田口信孝
- 録音制作 - オーディオ・プランニング・ユー
- 音響制作デスク - 藤井奈津子
- 技術協力 - 森幹生、コンチネンタルファーイースト株式会社
- 現像 - 東京現像所
- 協力 - ベガエンタテイメント、スタジオ ユニ、アニメフィルム、岡安プロモーション、スタジオキリー、スノーライトスタッフ、東京アニメーションセンター、動画工房、きのプロダクション、じゃんぐるじむ、アニメワールド大阪、イージーフィルム、トランス・アーツ
- 制作デスク - 武井健
- 制作担当 - 松土隆二
- プロデューサー - 増子相二郎、木村純一、梶淳
- 制作協力 - 藤子プロ、ASATSU-DK
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
主題歌 編集
関連項目 編集
脚注 編集
- ^ 宮昌太郎 (2022年7月29日). “渡辺歩③ 大事なことはすべて『ドラえもん』から教わった”. Febri. 一迅社. 2023年11月21日閲覧。
- ^ “大みそかはやっぱり「ドラえもん」! ドラ泣き必須の「のび太の結婚前夜」など傑作エピソードを放送”. アニメ!アニメ!. イード (2020年12月30日). 2023年11月21日閲覧。
- ^ 『藤子・F・不二雄★ワンダーランド ぼくドラえもん』15号、小学館、2004年10月5日発売、P.7。
- ^ 小黒祐一郎『アニメスタイル 002 2012.10』、スタイル、P.115。
外部リンク 編集
- 漫 - 原作漫画、大長編漫画等の執筆者の頭の1文字または略記号。藤=藤子不二雄。F=藤子・F・不二雄。1987年の独立前のみ「藤」と記載した(ただし『ドラえもん』は連載開始時から藤本単独作)。FP=藤子プロ。それ以外は作画者を記載。括弧付きは藤本以外が執筆した外伝、短編など。詳細は大長編ドラえもん#作品一覧(併映作品は各作品のページ)を参照。