ばらのまち福山ミステリー文学新人賞

ばらのまち福山ミステリー文学新人賞(ばらのまちふくやまミステリーぶんがくしんじんしょう)は、長編推理小説を対象にした公募新人文学賞。推理作家の島田荘司の出身地である広島県福山市が主催しており、最終選考は島田荘司が1人で行う。「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」とも書かれる。略称は福ミス[1]

概要

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特徴として以下の3点が挙げられる[2]

  • 地方の文学賞としては初めて、新作の長編小説を募集する
  • 広義のミステリーではなく、本格ミステリーを求める
  • 応募資格に、「受賞作以降も書き続ける意志のある方が望ましい」と明記

受賞作一覧

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  • 年は受賞作の発表年。刊行はその翌年。
  • 受賞作の刊行は、講談社光文社原書房が1年ずつ順に担当する。また、優秀作も刊行される。
回(年) 応募総数 受賞者 受賞作 初刊 文庫化等
第1回(2008年) 93編 受賞 松本寛大 「玻璃の家」 2009年3月 講談社
優秀作 水生大海 少女たちの羅針盤[注 1] 2009年7月 原書房 2011年5月 原書房(新装版)
2012年9月 光文社文庫
候補 相河卓 「RETRIBUTION 報復措置」
木下幸一郎 「アンダ・グラウン・インタフェイス」
第2回(2009年) 58編 受賞 叶紙器[注 2] 「伽羅の橋」 2010年3月 光文社 2013年2月 光文社文庫
候補 塩見朝伸 「罪の行方」
南野海 「堕天使の羽根」
斯波耕之介 「連坐」
第3回(2010年) 59編 受賞 深木章子 「鬼畜の家」 2011年5月 原書房 2014年4月 講談社文庫
一田和樹 「檻の中の少女」 2011年5月 原書房
優秀作 吉田恭教 「変若水」[注 3] 2011年10月 光文社
嶋戸悠祐 「キョウダイ」 2011年8月 講談社ノベルス
第4回(2011年) 65編 受賞 知念実希人 「誰がための刃 レゾンデートル」[注 4] 2012年4月 講談社 2019年4月 実業之日本社文庫[注 5]
候補 塩見朝伸 「弥勒の幻影」
上田千尋 「特別な人」
桐島裕 「アナーキストの遺言」
第5回(2012年) 89編 受賞 高林さわ 「バイリンガル」 2013年5月 光文社 2018年4月 光文社文庫
候補 成田朱美 「ゴッホの肖像」
河上雅哉 「仮名手本殺人事件」
第6回(2013年) 60編 受賞 植田文博 「経眼窩式」[注 6] 2014年5月 原書房
優秀作 明利英司 「旧校舎は茜色の迷宮」[注 7] 2014年8月 講談社ノベルス
若月香[注 8] 「屋上と、犬と、ぼくたちと」[注 9] 2014年9月 光文社
川辺純可 「焼け跡のユディトへ」[注 10] 2014年11月 原書房
第7回(2014年) 68編 受賞 神谷一心 「たとえ、世界に背いても」[注 11] 2015年5月 講談社
優秀作 金澤マリコ ベンヤミン院長の古文書 2015年11月 原書房
候補 小早川真彦 「巨大台風」
五月たぬき 「1978からの片思い」
第8回(2015年) 96編 受賞 原進一 「アムステルダムの詭計」 2016年5月 原書房
優秀作 松本英哉 「僕のアバターが斬殺ったのか」[注 12] 2016年5月 光文社
候補 木山穣二 「偽りのベッド」
関谷宗佑 「イチャリバチョーデー」
第9回(2016年) 105編 受賞 須田狗一[3] 「神の手廻しオルガン」[注 13] 2017年5月 光文社
優秀作 北里紗月[注 14] 「さようなら、お母さん」[4] 2017年4月 講談社
準優秀作 稲羽白菟 「合邦の密室」 2018年6月 原書房
候補 坂嶋竜 「プロメテウス・トラバース ―豪州荒野の秘密―」
第10回(2017年) 118編 受賞 松嶋智左[注 15] 「虚の聖域 梓凪子の調査報告書」[5][注 16] 2018年5月 講談社 2024年11月 祥伝社文庫
候補 小林東 「恐怖ダイナマ」
中村泉 「蜜蜂のいるところ」
第11回(2018年) 77編 受賞 酒本歩 「幻の彼女」[注 17] 2019年3月 光文社
候補 栁沼庸介 「バイオスフィア3」
谷門展法 「ゾリアッギ、という伝説」
五月たぬき 「息の根止めねば彼らは飛べない」
第12回(2019年) 86編 受賞 森谷祐二 「約束の小説」 2020年3月 原書房
候補 上田みらい 「アイアンレディ」
大友一滉 「エイリアンシンドローム」
第13回(2020年) 70編 受賞 文縞絵斗[注 18] 「依存」 2021年3月 講談社
平野俊彦 「報復の密室」 2021年2月 講談社
候補 竹中篤通 「密室のエアレース」
第14回(2021年) 76編 受賞 白木健嗣 「ヘパイストスの侍女」 2022年3月 光文社
候補 夏藤涼太 「シシノケたちの電脳集落」
蒼木窓也 「花束の解読」
南野海 「夢魔の迷宮」
第15回(2022年) 65編 受賞 受賞作なし
優秀作 松本忠之 「熊猫」
候補 大悟幻双 「切り裂きジャック幻想」
青木泉 「三角形殺人事件」
太田洋喜 「『普通の不可能犯罪』として」
第16回(2023年) 61編 受賞 麻根重次 「赤の女王の殺人」 2024年3月 講談社
優秀作 野島夕照 「片翼のイカロス」[注 19] 2025年3月 光文社
第17回(2024年) 68編 受賞 竹中篤通 「片腕の刑事」 2025年3月 原書房
候補 永野茜 「しおちゃんこの歌」
清水靖幸 「春がいっぱい」
伊達俊介 「レイン・キャッツ・アンド・ドッグス -Rain cats and dogs-」

脚注

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注釈

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  1. ^ 「罪人いずくにか」を改題
  2. ^ 「糸冬了」から改名
  3. ^ 「変若水 ―月神の遺産―」を改題
  4. ^ 「レゾン・デートル」を改題
  5. ^ 「レゾンデートル」に改題
  6. ^ 「フロンタルローブ」を改題
  7. ^ 「ビリーバーの賛歌」を改題
  8. ^ 「若月かおり」から改名
  9. ^ 「dog pound」を改題
  10. ^ 「麝香草荘のユディト」を改題
  11. ^ 「たとえ世界に背いても」を改題
  12. ^ 「幻想ジウロパ」を改題
  13. ^ 「殺人者は手に弓を持っている」を改題
  14. ^ 「石井真由子」から改名
  15. ^ 「松嶋チエ」から改名
  16. ^ 「魔手」を改題
  17. ^ 「さよならをもう一度」を改題
  18. ^ 「矢吹鐡也」から改名
  19. ^ 「片翼のイカロスは飛べない」を改題

出典

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関連項目

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外部リンク

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