ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇
『ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇』(ぼくのなつやすみ ツー うみのぼうけんへん)は、ミレニアムキッチンが制作しソニー・コンピュータエンタテインメントから2002年7月11日に発売されたPlayStation 2用ゲームソフト。ぼくのなつやすみシリーズの第2弾。前作『ぼくのなつやすみ』とゲームテーマは同一ながら内容に関連性はほぼ無い。主題歌は沢田知可子の「少年時代」(井上陽水のカバー)。第6回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品。
ジャンル | なつやすみアドベンチャー |
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対応機種 |
PlayStation 2(PS2版) PlayStation Portable(PSP版) |
開発元 | ミレニアムキッチン |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
販売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
ディレクター | 綾部和 |
デザイナー | 綾部和 |
シナリオ | 綾部和 |
音楽 | 鵜飼秋子 |
シリーズ | ぼくのなつやすみシリーズ |
人数 | 1人 |
メディア |
DVD-ROM 1枚(PS2版) UMD 1枚、ダウンロード販売(PSP版) |
発売日 |
PS2版 2002年7月11日 2003年7月3日(廉価版) 2004年7月8日(廉価版) PSP版 2010年6月24日 2012年7月26日(廉価版) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢対象) |
売上本数 |
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その他 |
PS2版 メモリーカード 92KB以上 PSP版 メモリーカード 618KB以上 |
2010年6月24日には、リメイク版である『ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!』(ぼくのなつやすみポータブル ツー なぞなぞしまいとちんぼつせんのひみつ!)が発売された。主題歌は夏川りみの「少年時代」を新たに起用[1][2]。
発売当時のキャッチコピーは「今は、もうどこにもない、あの海を。」「毎日が、宝石だった。」
概要編集
昭和50年(1975年)8月、9歳の少年「ボク」は母親が臨月を迎えたため、伊豆半島の田舎町「富海」(ふみ)の田舎のおじの家へ預けられる事になった。8月1日から8月31日までという決められた時間の中での過ごし方を自由に決め、行動し、子供の夏休みを満喫する事を目的としたゲームである。
モデル編集
本作の主要な舞台となる「富海」のモデルは静岡県伊東市富戸(東伊豆)で、オープニングに出てくる風景や防波堤、海に生息している魚類(魚釣りで釣れるもの)なども現地とほぼ同じである[3][4]。国道建設中の模様なども描かれた。なお、茜屋に特定のモデルはなく、玖村麻子が製作したものである[5]。
ディレクターの綾部和は企画が通った直後にバリ島(インドネシア)へ赴き、取材目的ではなかったにもかかわらず、昔の日本の田舎のようなウブドの田園風景や、夕方のビーチに響いていたギターの音色などに影響を受け、本作にもそういった要素が取り入れられている[6]。
追加項目・強化項目編集
前作からの追加項目編集
前作『ぼくのなつやすみ』に比べ、以下のような要素が追加・増強された。
- 虫相撲は出せる虫の種類が13種、技の種類が30種になった。
- 王冠コレクションの「恐竜シリーズ」が登場。全25種。
- 昆虫の数が100種類になった。
- 所持金の概念が追加された。駄菓子などを購入できる。
- 海で泳げるようになった。
- 自転車が追加された。
なお、前作にあった凧揚げは廃止された。
PS2版からPSP版への追加項目編集
- 「どこでも絵日記」でいつでも絵日記が書けるようになった。絵日記のテキスト数は861種に、日記が書けるシチュエーションの数は280枚になった[8][9]。また、ぼくのなつやすみ4で採用された要素をいくつか引き継いでいる。
- 昆虫の数が201種類(PS版の2倍)になった。2周目以降への持ち越しも可能になった。顕微鏡モードで拡大して見られるようになった。
- 虫相撲のシステムが変わり、「対戦予想」が表示されるようになった。
- 王冠の数が50個(PS版の2倍)になった。2周目以降への持ち越しも可能になった。
- 「ちょっとタンマ!」でいつでもセーブできるようになった。
- 貝のパズルができるようになった。
- 巨大沈没船が追加された。
- ラクガキができる範囲や種類が増えた。
登場人物編集
- ボク
- 声 - 村田貴輝
- 本作の主人公。好奇心旺盛な小学3年生の男の子。母親が臨月を迎えた事から、夏休みの1ヶ月間父方の叔母の家・民宿「茜屋」に預けられることになる。顔が大きいのは生まれつき。大人びた性格だが案外天然。クラゲが好き。
- リメイク版の追加イベントにおけるボクの台詞は、PS2版の制作時に録音したものが使われている(リメイク版前作のボクと同様の処置)が、一部サウンドエフェクトを使用している。
おばちゃんの家族編集
- おじちゃん(荒瀬源太)
- 声 - 天田益男
- 40歳。ボクの叔父。富海で民宿「茜屋」を経営している。大雑把でおおらかな性格。高所恐怖症で涙もろい。大工を高所恐怖症で引退したが、夏休みのとある出来事で克服。大工へ戻りたいが収入面で不安があり迷っている。今作では夕飯後に毎日(22日を除く)就寝しているほか、ボクが海で溺れて部屋に運ばれると注意される。夕飯の時間にボクが茜屋の敷地外にいた時の呼び戻し役と、食事の挨拶を担当している。
- おばちゃん(荒瀬美津子)
- 声 - 一城みゆ希
- 41歳。ボクの父親の妹・叔母。陽気な性格で色々な料理を作る。今作では夕飯後に毎日テレビを見ている。 夕飯の時間にボクが家にいた時の呼び戻し役。また、寝る時間が来るとボクが眠くなり自動的に部屋に戻されると「さぁボクくん、絵日記書いてお休みなさいしましょう」と寝かしに来る。誕生日は8月18日[10]。
- タケシ(荒瀬剛)
- 声 - 高山みなみ
- 荒瀬家の長男で小学5年生。正義感・好奇心が強く元気の良い性格。将来の夢は教師だったが、夏休み終盤にとある出来事から「茜屋」を継ぐことを決心する。
- シゲル(荒瀬繁)
- 声 - 大谷育江
- 荒瀬家の次男で小学2年生。タケシの弟。意気地のない性格だが、勉強は得意。光の事が好きで、ボクと光が仲良くなると露骨に嫉妬してくる。
相楽家編集
- 相楽靖子(さがら やすこ)
- 声 - 坂本真綾
- 高校1年生(16歳)。春から東京の高校に通っているため、普段は一人暮らしをしている。夏休みのため、実家に帰る連絡船の中でボクと出会う。優しく穏やかな性格だが、家を出て行った母親との仲は悪い。洋とは小学校までは毎日遊ぶほどの仲だった。仲良くなると洋の押しかけ家庭教師をするまでになる。好きなアイスは氷あずき。
- 相楽光(さがら ひかり)
- 声 - 最上莉奈
- 小学2年生。靖子の妹。素直ではないが元気な性格。話しかけると、どこへ行けばイベントが起こるかを占ってくれる。いじめてくるシゲルが嫌い。夏休み中にボクを気に入り、夏休みの終わりからボクの家に行く計画を勝手に立てている。
- じいちゃん
- 声 - 平野稔
- 相楽家の靖子や光の祖父。73歳だがとても元気。富海で唯一の診療所を営んでいる現役の医者。
- 静江(しずえ)
- 声 - 唐沢潤
- 相楽家を出て行った靖子や光の母親で未亡人。現在は交通遺児の奨学金団体に勤務している。お盆になると、亡くなった元旦那のお墓参りをするために富海に来る。子供たちとの関係は険悪だが、内心では離れて暮らす子供達をとても心配している。靖子とは結局話せずじまいで帰るが、「大事なもの」を置いていく。
- ケン坊
- 相楽家で飼われている犬。
- 入院患者
- 声 - 坂本真綾
- お盆前の数日間だけ診療所に入院している少女。夕方にしか会えない。「キミが驚くから」という理由でボクに名前を明かさなかったが、その正体は靖子の祖母で、かつて心臓病を患い亡くなっていたのだった。お盆が終わると姿を消してしまうが、夏休みの終盤にもう一度現れてその日の予言をし、ピタリと的中させる。肩たたきをしてあげると昔の50円玉(五十円ニッケル貨)[11]をくれる。
仲川家編集
- 仲川洋(なかがわ よう)
- 声 - 進藤一宏
- 中学3年生で高校受験を控える。富海の町に住む男子の中では最年長。自分でロケットを作っては打ち上げ実験をしているが、いつも失敗している。名前の「洋」は普通ならば「ひろし」と読むが、父親が変わり者だったために「よう」としたらしい。靖子とは小学校入学まで毎日遊ぶ仲だったが、学年が1つ違うことが彼女の入学式で分かり、それ以来靖子と話すことはなくなってしまった。数学・理科は天才的にできるが、国語、英語、社会は苦手。富海生まれの富海育ちだが、運動神経はなくカナヅチ。夏休み中に多ければ3回ロケットを打ち上げる。なお、富海で拾える3つのバルブをすべて彼に渡しているかによって、エンディングの演出と最終日の絵日記が変化する。
- オオカミじじい
- 声 - 中庸助
- 洋の父親。50歳過ぎ。非常に変わり者で、若い頃に絶滅したニホンオオカミを探していた事からこのあだ名が付いた。現在は腕利きの炭焼き職人。過去に狼を追い詰め狙撃した事があると言うが、その狼が見つからないため誰からも信用されていない。本人は「負け犬と言われるよりかはマシ」と割り切っていが、あるイベントをこなすと狼の死骸を見つけることができる。夏休み終盤になると忽然と姿を消してしまうが、エンディングには登場している。
茜屋の泊り客編集
- サイモン=ライヒ
- 声 - デビットニール
- 外国人の写真家。流暢な日本語を話す。「茜屋」に長期宿泊して夕焼けを撮影しており、撮影した写真はナショナルジオグラフィックに掲載されている。夕焼け以外にも、記念写真やボクのアサガオなどの写真も撮ってくれる。日曜になると凪咲とデートに出掛けているようで、夏休み終盤にある「サプライズ」が起こる。
- 谷口(たにぐち)
- 声 - 村田則男
- 夏休みの終盤に「茜屋」に現れる、無口な中年男性。昼は海で探し物をしている。元潜水夫で、何か特別な事情がある様子。
- 芳花(よしか)
- 声 - 田中敦子
- 自称女子大学生。夏休みの間「茜屋」に宿泊する。元気の良い性格で、ボクに「(頭の中が)小学生レベルだね」と言われたが、本人は自分が心身ともに若いのだと勘違いしていた。ギターが得意で、夕方になると「茜屋」の桟橋でアルハンブラの思い出を弾いている。口癖は「ぶつよ!」。
その他の人物編集
- 保田(やすだ)
- 声 - 内田夕夜
- 夏休みの終盤ににふらりと富海へとやってくる青年。「茜屋」が珍しく満室だったので、海岸にテントを張って生活している。何度か芳花に殴られたらしい。
- 凪咲(なぎさ)
- 声 - 石塚理恵
- 「富海の里診療所」の看護婦。温厚な性格でいつもにっこりしている。東京出身だが田舎での生活に憧れ、毎日潮館から富海の町まで通勤している。ただ、患者はいないようだ。
- 船頭(前島正男)
- 声 - 牛山茂
- 潮館と富海を結ぶ連絡船「マリンランナー号」の船頭。豪快な性格。凪咲のことが好きで、花火に誘うなどアプローチを仕掛けるも、最終的にはフラれてしまう。年内に開通予定の国道に乗客を取られそうだが、海が好きなので続ける気でいるらしい。
- お坊さん
- 声 - 池田勝
- お盆に富海の町にやってくる僧侶。「ダンケシェーン」が持ちネタ[注 1]だが、肝心のお経はアバウト。「茜屋」の仏壇と、相楽家の墓にお経を上げに来る。檀家の花火工場から現物支給した花火を船頭と茜屋にプレゼントする。
- ナレーション
- 声 - ダンカン
- 主にボクの回想・感情シーンで語りを担当する。
PSP版からの人物編集
上記の登場人物(ボクを除く)とPSP版からの追加の人物の会話シーンは存在しない。
- つみれちゃん(月夜野すみれ)
- 声 - 沢城みゆき
- 茜屋の泊り客。19歳の新進気鋭の女性作家だが、新作が書けずにマスコミから逃げている。ずぼらな上に部屋にこもって原稿用紙と格闘する日々を続けているので季節感覚が無い。ボクが何かをなしとげるとそれを膨らませたお話を作り、夏休みの最後に一冊の本にしてくれる。2周目以降への持ち越し対応。
- 君野さん
- 声 - 仲村トオル
- スキューバダイビングが得意な男性。港沖の巨大沈没船を調査している。日本一大きなアジの干物の会社[注 2][13]の御曹子。
- チョコ(君野千代子)
- 声 - 本多陽子
- ナゾナゾ姉妹の姉で中学1年生。妹とともにボクに7つの宿題を出す。
- カコ(君野里佳子)
- 声 - こおろぎさとみ
- ナゾナゾ姉妹の妹で小学5年生。
音楽編集
曲についてはミレニアムキッチンのぼくのなつやすみ2から見られる[注 3]。
主題歌(テーマソング)編集
挿入歌「12月の雨の日」
- 作詞 - 松本隆、作曲 - 大瀧詠一
- 奇しくも今作の最初の音声収録が行われた麻布のアオイスタジオは、32年前、原曲が収録された場所だった[注 3][14]。
- 夜になると、相楽家のレコードでBGMとして流れるクラシック音楽。全てエリック・サティ作曲。全4曲で15分のループになっている。
フランシスコ・タルレガ作曲。夕方になると、茜屋の海の家の前で芳花がギターで演奏している曲。
主なスタッフ編集
全てのスタッフはミレニアムキッチンのぼくのなつやすみ2から見られる[注 4]。
- 監督・脚本・ゲームデザイン・アートディレクション・レイアウト - 綾部和(ミレニアムキッチン)
- キャラクターデザイン - 上田三根子
- 美術監督 - 小倉一男(草薙)
- 音楽監督 - 鵜飼秋子(ハノン)
- ムービー監督 - 丸哲郎
- 設定 - 玖村麻子(ミレニアムキッチン)
- 3Dキャラモデリング&アニメーション - ミレニアムキッチン
背景デジタルプロセス - ミレニアムキッチン
書籍編集
ぼくのなつやすみ美術館[注 5]
ぼくのなつやすみ絵本館「クロトシロくんの大冒険」[注 6]
関連項目編集
脚注編集
注釈編集
- ^ 意味はドイツ語で「ありがとう」の意味で、檀家(だんけ)とかけている。檀家は通常「だんか」と読むが、「だんけ」と読むのも正解。
- ^ 静岡県の生産量は全国1位[12]。
- ^ a b c “バックステージ/舞台裏”. 「ぼくのなつやすみ2」. ミレニアムキッチン. 2008年8月12日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年9月閲覧。
- ^ “制作スタッフ”. 「ぼくのなつやすみ2」. ミレニアムキッチン. 2008年9月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年9月閲覧。
- ^ “ぼくのなつやすみ美術館”. 草薙. 2016年10月14日閲覧。
- ^ “ぼくのなつやすみ絵本館「クロトシロくんの大冒険」”. エンターブレイン. 2016年3月21日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年8月閲覧。
出典編集
- ^ “主題歌を変えた理由”. Twitter (2010年5月15日). 2016年8月閲覧。
- ^ “『ぼくのなつやすみポータブル2』の主題歌は夏川りみ”. ファミ通.com (KADOKAWA DWANGO). (2010年4月6日) 2016年8月閲覧。
- ^ “ぼくのなつやすみ2の舞台モデル”. Twitter (2010年3月28日). 2016年8月閲覧。“もっと詳しいもの”. Twitter (2010年4月22日). 2016年8月閲覧。
- ^ “そこにした理由”. Twitter (2010年4月23日). 2016年8月閲覧。
- ^ “茜屋のモデル”. Twitter (2010年3月28日). 2016年8月閲覧。
- ^ “バリ島の風景1”. Twitter (2010年4月29日). 2016年8月閲覧。“バリ島の風景2”. Twitter (2010年4月29日). 2016年8月閲覧。
- ^ “潮館の説明”. Twitter. 2017年1月4日閲覧。“潮館の説明の続き”. Twitter. 2017年1月4日閲覧。
- ^ “ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!絵日記テキスト数”. Twitter (2010年4月8日). 2016年8月閲覧。
- ^ “ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!シチュエーションの数”. Twitter (2010年4月8日). 2016年8月閲覧。
- ^ “おばちゃんの誕生日の理由”. Twitter (2010年4月5日). 2016年8月閲覧。
- ^ 「それはたしか私が生まれる前に使われていた古い五十円玉だった…」という言葉から。
- ^ “あじ塩干品の生産量、干しあじの年間支出金額、年間購入数量日本一” (2016年11月17日). 2017年1月4日閲覧。
- ^ “日本一の鯵の干物加工” (2012年8月27日). 2017年1月4日閲覧。
- ^ “12月の雨の日の録音”. Twitter (2010年4月23日). 2016年8月閲覧。