ぼくの生まれた日
『ぼくの生まれた日』(ぼくのうまれたひ)は、2002年3月9日に『ドラえもん のび太とロボット王国』と同時上映公開された、てんとう虫コミックス『ドラえもん』2巻「ぼくの生まれた日」を原作とする、ドラえもんの映画作品(25分45秒)、および、テレビアニメ『ドラえもん』(第2作第1期)で1979年に同タイトル、1989年に「のび太誕生」として放映されたもののリメイク版である。
ぼくの生まれた日 | |
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監督 | 渡辺歩 |
脚本 | 藤本信行 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 |
小原乃梨子 大山のぶ代 千々松幸子 中庸助 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | 小坂明子「キミに会いたくて」 |
撮影 | 熊谷正弘 |
編集 | 岡安肇 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 |
シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 |
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上映時間 | 25分45秒 |
製作国 |
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言語 | 日本語 |
前作 | がんばれ!ジャイアン!! |
物語のあらすじ編集
のび太は自身の誕生日である8月7日を迎えた今日、カレンダーに花丸で目印をしたその日付を見ながら浮かれ気分で両親からの祝いを待っていた。だがその期待とは裏腹に、やってきたママからは誕生日祝いどころか洗濯や宿題のことでいつも以上に注意されることに。それに不満を爆発させたのび太は「僕に指図するな」と強気に反抗し遊びを優先したことでママはおろかパパまでも怒らせ、2人から酷く叱られた挙げ句「あんたみたいな子はうちの子じゃない」とまで言われてしまう。傷心の余り涙を流すのび太は「自分は誰からも愛されていないんだ」と思い込み、お気に入りの漫画など荷物をまとめてカレンダーの誕生日の花丸印をもぐちゃぐちゃに塗り潰し、ドラえもんに別れを告げて家出する。そのまましずかちゃん・スネ夫・ジャイアン達に泊めてもらおうとするが、皆が両親に大切にされているのを見てさらにショックを受ける。そこへのび太を探しに来たドラえもんが「ママとパパが心配しているから帰ろう」と諭すが、今日のことに加えて今までのこともあり、「今日は僕みたいなダメな子が生まれて皆ががっかりした日なんだ。僕なんて生まれてこなければ良かった」と自棄になり聞き入れようとしない。それにドラえもんは「ならそれを確かめに君の生まれた日へ行こう。本当に生まれたのが喜ばれていなかったら一生家へ帰らなくて済むようにデンデンハウスをあげるから」とのび太を説得。それを受け入れたのび太はドラえもんと共にタイムマシンで11年前の自分が生まれた日へと向かった。自分が生まれた病院で、若き日の両親が自分の誕生を心から喜び、大きな期待と愛情を持ってくれていることを実感、自分が生まれた病院に植えられている大木が名前の由来であったことを知り、反省と感謝の気持ちでいっぱいになるのび太。しかしその大木は現代では既に切り落とされていたことを知ったのび太はその大木の前で泣き崩れる。しかし「この大切な大木をどうにかして残しておきたい」と思ったのび太は大木から生えた小枝を取り、河川敷にてお気に入りの漫画を土台にして小枝を植える。現代に戻り河川敷へ向かうと、植えた小枝が11年もの長い年月をかけて立派な大木へと育っていた。そこにのび太を心配して探しにきてくれていたパパとママが現れる。心から謝るのび太とそれを優しく受け止めるパパとママ、その3人の家族の輪の中に入るドラえもん。そしてあの大木の根元には、土台となったのび太の漫画が紛れていた。
概要編集
映画ドラえもん感動作シリーズの最終作である。
本作はこれまでの感動短編作品の中でも特に美術背景に力が入っており、のび太が生まれた時代の風景がリアルに描写されている(例として、建設途中の高速道路やその周辺の区画整理される前の下町、病院内の様子などが挙げられる)。
映画終盤でドラえもんとのび太が傘をさして雨が降る町の中を走るシーンがあるが、二人の通る道にそれぞれ過去の感動中編作品を思い出させるような風景が存在する。また、最初の方でジャイアンの家(剛田商店)が映るシーンがあるが、看板や細部は「がんばれ!ジャイアン!!」とほとんど同じ設定で描かれている。
- シーソーのある公園 - 帰ってきたドラえもん(シーソーは別れの晩に二人で乗った)
- 坂道 - おばあちゃんの思い出(おばあちゃんと最初に会った坂)
町内の坂道や起伏の表現は過去の映画ドラえもん感動作品や後に本作品監督の渡辺歩が手がける映画『パーマン』2作と『ドラえもん のび太の恐竜2006』『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』でも使われている。
また、のび太の名前の由来にまつわるエピソードをさらに膨らませたアレンジ(原作ではのび助と玉子の二人の会話でしか描かれていない)や、エンドロール前のラストシーンなど、家族の絆も深く描かれている。さらに、しずか・スネ夫・ジャイアンが親に何かと気遣われている場面を目撃した家出中ののび太が落ち込むシーンがあるが、エンドロールで彼らがのび太の誕生日プレゼントを用意していたことが明かされる。
大長編ドラえもんの第一作『ドラえもん のび太の恐竜』から長年音楽を担当していた菊池俊輔がこの作品を最後に映画シリーズの担当を勇退した(アニメの方は第一期が終了する年の2005年3月まで担当)。
雨が降っている中家出したのび太が町を歩いて行くシーンは、渡辺監督が小学五年生の時に家出した際の情景がそのまま使われているという[1]。
後の2008年4月25日に、ドラえもん(第2作第2期)でリメイク放送された。
キャスト編集
スタッフ編集
- 原作 - 藤子・F・不二雄
- 監督・作画監督 - 渡辺歩
- 脚本 - 藤本信行
- 美術監督 - 明石聖子
- 撮影監督 - 熊谷正弘
- 録音監督 - 浦上靖夫
- 音楽 - 菊池俊輔
- 効果 - 横山正和
- 編集 - 岡安肇
- 動画チェック - 川崎孝二
- 動画チェック補 - 長島崇
- 色彩設計 - 吉岡美由紀
- 原画 - 尾鷲英俊、丸山宏一、金子志津枝、加来哲郎、大城勝、千葉ゆみ、福本勝、大杉宜弘、鈴木大司
- 動画 - 角田恵子、平間久美子、西本真弓、橋本聡之、大野順子、高野弘基、児玉亮、森下智美、寺田眞佐子、石川麻実
- 仕上 - 岩切当志子、吉田美夜子、土屋裕美、石川香織、高木小百合、西脇好美、相馬恵子、松井めぐみ、生嶋路子、佐々木恵子
- 特殊効果 - 橋爪朋二
- リスマスク - マキ・プロ
- タイトル - 道川昭
- 背景 - 中村隆、阿部真由美、鈴木朗、高崎あゆみ、沢登由香、榊枝利行、新井由華、越膳滝美
- 撮影 - 倉田佳美、木次美則、小川滋見、丸橋勢津子、大神洋一、伊勢久美子
- 編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
- 音響制作 - オーディオプランニングユー
- 音響制作デスク - 山口さやか、加藤知美
- レコーディングスタジオ - APUスタジオ
- ミキサー - 田中章喜、田口信孝
- デジタル光学録音 - 西尾曻
- ドルビーフィルムコンサルタント - 河東努、森幹生
- 現像 - 東京現像所
- 制作担当 - 松土隆二
- 制作デスク - 別紙直樹
- プロデューサー - 市川芳彦、岩本太郎、梶淳
- チーフプロデューサー - 増子相二郎、木村純一
- 制作協力 - 藤子プロ、ASATSU-DK
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
「キミに会いたくて」 | ||||
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小坂明子 の シングル | ||||
初出アルバム『ドラえもん 映画主題歌篇[2]』 | ||||
B面 |
ドラえもんのうた (山野さと子) | |||
リリース | ||||
ジャンル | アニメソング | |||
レーベル |
日本コロムビア CD:CODC-2030 | |||
小坂明子 シングル 年表 | ||||
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EANコード | ||||
EAN 4988001959410 |
主題歌編集
- 「キミに会いたくて」
- 作詞・作曲・編曲・歌 - 小坂明子
関連項目編集
脚注編集
- ^ 『映画ドラえもん のび太とロボット王国』公式サイト スペシャルレポート 渡辺歩監督インタビュー「プチ家出!?」より。
- ^ “ドラえもん 映画主題歌篇”. PRODUCT INFO(商品情報). 日本コロムビア (2004年9月22日). 2020年12月30日閲覧。