めっき、英語:Plating[1])は、表面処理の一種で、材料の表面に金属薄膜を被覆すること、あるいはその方法を指す。狭義には液中でおこなう方法のみを言う。なお、各メディアや書籍において「メッキ」と片仮名で表記されることも少なくないため、外来語のように受け取られることもあるが、和製漢語とされる「滅金(めっきん)」に由来する語である。鍍金(ときん)ともいう。

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概要編集

用途として、酸化腐食)しやすい金属を酸化しにくい金属で覆い保護する、高級感や質感を出すために金属やプラスチック上にクロムなどでめっきする、などがある。

有名なめっき商品にはトタンブリキがある。トタン亜鉛を、ブリキスズをめっきしたものである。 等に、よりイオン化傾向の大きい亜鉛等の金属をめっきすることによって母材との電位差によって母材の腐食を防ぐ効果がある。

古くは滅金などといい、水銀に金を入れるとアマルガムとなって溶けて消滅する現象から生まれた和製漢語。 古代には東大寺盧舎那仏像(奈良の大仏)を鍍金するのに、水銀と金の合金(金アマルガム)を使用したものが有名である。当時は金と水銀を1 : 3でアマルガムとして、粘土状とした物を炭火で加熱し、水銀を除去して金だけを残す鍍金が行われた。水銀蒸気による水銀中毒が相当であったことが想像できる。

導電性の素材はめっき液に浸けて陰極につなぐことによってめっきする。プラスチック等の不導体にめっきを施す場合には、表面に導電化処理を施してからめっき液に浸けて電解したり、真空蒸着(スパッタリング)によってめっきを施す。

主な種類編集

成膜機構による分類編集

電気めっき(電解めっき、電鍍)編集

  • 白金めっき
  • めっき(鍍金, Gold plating
    • 青化金浴
    • 酸性金浴
  • めっき(鍍銀)
  • めっき(鍍銅)
    • 青化銅浴
    • 硫酸銅浴
    • ピロ燐酸銅浴
  • 亜鉛めっき(鍍鋅[としん])
    • 青化浴
    • 酸性浴
    • ジンケート浴

一般的に各浴種ともめっき後 以下の化成処理(6価クロムを使用した場合のみクロメート処理)を施す。

    • 光沢クロメート処理(1種)
    • 有色クロメート処理(2種)
    • 黒色クロメート処理
    • グリーンクロメート処理
    • 耐食型3価クロム化成処理
    • 外観型3価クロム化成処理
    • 黒色3価クロム化成処理
  • カドミウムめっき
    亜鉛めっきと同じく、めっき後に化成処理を施す。
  • めっき(鍍錫(としゃく))
    • 無光沢錫めっき
    • 光沢錫めっき
  • 電解ニッケルめっき
    • ワット浴ニッケルめっき
    • ジュールニッケルめっき
    • サチライトニッケルめっき
    • スルファミン酸浴ニッケルめっき
    • ウッド浴ニッケルストライクめっき
    • 光沢ニッケルめっき
    • 半光沢ニッケルめっき
    • 無光沢ニッケルめっき
    • 黒色ニッケルめっき
  • クロムめっき
    • 装飾クロムめっき
      正しくは、ニッケル-クロムめっき。下層にニッケルめっきを施した後、上層にクロムめっきを0.1~0.5μm施す。ニッケルめっきも半光沢ニッケルめっきと光沢ニッケルめっきの2層にしたり、この間に高硫黄含有率のニッケルめっきを挟むこともある。
      • マイクロポーラスクロムめっき
      • マイクロクラッククロムめっき
    • 工業用(硬質)クロムめっき
    • 黒色クロムめっき
  • 合金めっき
    • 亜鉛系合金めっき
      • 亜鉛-鉄
      • 亜鉛-ニッケル
        上記2種共に亜鉛めっきと同じく、めっき後に化成処理が施される。
    • スズ-亜鉛
    • スズ-銀
    • スズーコバルト合金めっき(ガラクローム)
    • 銅-亜鉛合金(黄銅)めっき
    • ブロンズめっき
    • はんだめっき
      電子部品端子はんだ付け性改善のために行なわれていたが、RoHS対応のためスズめっき、金めっき、パラジウム、スズ-亜鉛、スズ-銀めっき等への切替が進んでいる。ウィスカーの生長はSn-Pbめっきにより回避してきたので、代用材用の使用によって、短絡事故など20世紀の前半に克服した問題が再び顕在化している。

その他、素材の違いなどによって、各めっきともにさまざまな浴種が存在している。

無電解めっき編集

化学薬品の還元作用によって金属を析出させ、還元される金属そのものが触媒として働く。自己触媒めっき法とも呼ばれる。

  • 無電解銀めっき
  • 無電解銅めっき
  • 無電解ニッケルめっき / カニゼンメッキ(Electroless nickel plating)
    プラスチックへのめっき(導体化処理)に用いられる低温アンモニアタイプと、硬質クロムめっきの代替として用いられる高温酸性タイプに大別される。カニゼンめっきと呼ばれるのは後者。
  • 無電解ニッケル-タングステン合金めっき
  • 無電解ニッケル-PTFE複合めっき
  • 無電解スズめっき
  • 無電解金めっき

溶融めっき編集

溶かした金属中に鋼材等を浸けこみめっきする。通称どぶ漬け。 めっき部分が厚くなるため錆びや腐食に強い。 耐食性は素材によって異なる。

気相めっき編集

真空槽で気相から個体の金属膜を得る方法で、真空蒸着の他に化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)もこの範疇になる。不導体にもめっきを施すことが可能である。反射鏡等のアルミめっき等に使用される。

メカニカルプレーティング編集

その他めっき・化成処理編集

略称や俗称
  • ガラクロメッキ / クロム3号めっき(主に回転めっきでの代用クロム3号めっき)
実際にはクロムを使用せず、錫とコバルトの合金めっき。色調がクロムめっき調なのでそう呼ばれる。
化成処理や化成着色

装置・加工方法による分類編集

ラック(吊り)めっき編集

治具に加工対象を取り付け、治具を経由して給電させて行う。

バレルめっき(ガラめっき)編集

小物のめっきで使われる手法。バレル(樽)の中に多数の加工対象と電極線(デングラー)を投入し、バレルを回転もしくは揺動させて、加工対象同士で電気的に接触させる。

フープめっき(リール to リール,連続)編集

長尺物や線材を連続的にめっきする手法。リールに巻かれた加工対象を、前処理工程やめっき工程を連続的に通過させて、再びリールに巻き取る。電子部品のコネクターやリードフレームで行われているが、大規模になると亜鉛めっき鋼板で行われている。

用いられる設備など編集

不溶解性アノード編集

クロムめっきでの鉛陽極の使用が一般的である。電気鍍銅に使用するアノードを、不溶解性の電極に変えてめっきする。電気鍍銅では最近の主流。めっき薬品メーカーが各社開発に力を入れている。

電鋳編集

めっきを厚く重ねることによって強度を持たせることにより、あたかも鋳造品のようになる。レコードコンパクトディスクDVDスタンパソフトビニール製品の金型加速器の部品やロケットエンジンの燃焼室の製造等に使用される。常温で細部の忠実な再現に適していることから精密な加工に適している。一方、加工時間がかかるので量産には適さない。

歴史編集

世界最古のめっきが行なわれた時代は、現在のイラクの首都バクダット郊外から出土したバグダッド電池を根拠として、2000年前のパルティア人によるものとする説、1700年前のスキタイ人によるものとする説などさまざま[2]。日本では、1871年に偶然発見された仁徳天皇陵の埋葬品である甲冑が最古である可能性(埋葬者は仁徳天皇と確定していない)があるが、甲冑は埋め直しが行なわれたため現存していない[3]

近代日本においては、電気を応用した電気めっきを、薩摩藩島津斉彬が、1855年に初めて甲冑金具に行ったのが最初と伝えられる。1871年に宮崎柳条が「西洋百工新書」を出版しているが、その中に電気めっきの工程が紹介されている。[4]

主なめっき関連メーカー編集

めっき薬品メーカー編集

めっき装置メーカー編集

めっき業者編集

語彙としてのめっき編集

貴金属(特に金)でめっきした卑金属が外見ほどの価値を持たない点から、比喩として、今まで実力があるように見えていた人物が実はそうではなかったと判明した場合や重大な失敗をした場合などに、「めっきがはげた」という表現がしばしば用いられる。関連する類似の表現として、美術品の制作などで、元はあまり価値のない下地素材に金箔などで装飾を施して価値のあるものを作ることから生じた比喩として、経歴の見た目をよくするための行為などを「箔をつける」と呼ぶことがある。

脚注編集

  1. ^ マクダーミッド社・英和めっき技術用語辞典”. マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン株式会社. 平成26-11-30閲覧。
  2. ^ KIYOKAWAめっき教室
  3. ^ 写真と模型で見る百舌鳥古墳群(堺市ホームページ)
  4. ^ 大阪鍍金工業協同組合『組合50年史』(昭和42年)

関連項目編集

外部リンク編集