もしも君に恋したら。』(原題:The F Word)は2013年に公開されたアイルランドイギリス合作のロマンティック・コメディ映画である。監督はマイケル・ドース、主演はダニエル・ラドクリフゾーイ・カザンが務めた。本作はTJ・ドーマイケル・リナルディ戯曲Toothpaste and Cigars』を原作としている。

もしも君に恋したら。
The F Word
監督 マイケル・ドース
脚本 エラン・マスタイ
原作 TJ・ドーマイケル・リナルディToothpaste and Cigars
製作 デヴィッド・グロス
マクダラ・ケレハー
アンドレ・ルロ
製作総指揮 マイケル・ドース
エラン・マスタイ
マーク・コスタ
ジェフ・アークス
ブライアン・グリザーマン
ハートリー・ゴーレンスタイン
フォード・オエルマン
ジェシー・シャピーラ
マーク・スティーヴンソン
パトリス・セロー
出演者 ダニエル・ラドクリフ
ゾーイ・カザン
アダム・ドライバー
ミーガン・パーク
音楽 A・C・ニューマン
撮影 ロジェ・ストファーズ
編集 イヴァン・ティボドー
製作会社 ノー・トレース・キャンピング
キャラメル・フィルムズ
ファストネット・フィルムズ
配給 アイルランドの旗エンターテインメント・ワン
イギリスの旗同上
公開 アイルランドの旗2014年8月20日
イギリスの旗2014年8月22日
日本の旗劇場未公開
上映時間 98分[1]
製作国 アイルランドの旗 アイルランド
カナダの旗 カナダ
言語 英語
製作費 1100万ドル[2]
興行収入 世界の旗$8,526,288[3]
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本作は日本国内で劇場公開されなかったが、Amazonプライム・ビデオでの配信が行われている[4]

ストーリー 編集

カナダのトロント。ウォレスは恋人が自分の指導教官と浮気したことを知り、大きなショックを受け、そのまま医学部を中退した。それ以来、ウォレスは1年以上自宅に引きこもる生活を送っていた。ウォレスの親友、アランは荒療治として彼を無理矢理パーティーに連れ出した。そのパーティーで、ウォレスはアランの従姉(シャントリー)と知り合った。一方のアランはニコルという女性を口説き、良いムードになっていた。

ウォレスはシャントリーを自宅まで送っていくことにしたが、道中、シャントリーから恋人がいると聞かされた。ウォレスはシャントリーに電話番号を教えてもらったが、「恋人がいる女性と会うのはまずい」という思いから、自分から電話をかけないようにしていた。しかし、ウォレスは映画館で偶然シャントリーに再会し、その場の雰囲気に流されて一緒に食事をしてしまった。

最初こそシャントリーに会おうとしなかったウォレスだったが、2人は徐々に親しくなっていった。そんなある日、シャントリーはウォレスを自宅に招き、恋人のベンを紹介した。ベンは医者として働いていたが、とある出来事をきっかけに国連の職員に転職したのだという。その後、ベンは半年間ダブリンに赴任することになった。その間、ウォレスとシャントリーの仲はますます深まり、ついにはお互いに恋心を抱いていることを自覚するに至った。

しばらくして、アランとニコルが結婚することになった。その頃、シャントリーの妹、ダリアはウォレスを誘惑していたが、シャントリーとの関係にひびが入ることを恐れたウォレスは無関心を装った。その後、ウォレスとシャントリーはアランとニコルに誘われて浜辺で散歩することにした。アランとニコルは全裸になって海に飛び込み、ウォレスとシャントリーもそれに続いた。アランとニコルに衣服を隠されたため、2人は全裸で眠る羽目になった。一線を越えるチャンスだったが、2人は何とか理性で欲望を抑え込んだ。

ほどなくして、ベンがウォレスとシャントリーの関係を知ることになり、事態は緊迫していくのだった。

キャスト 編集

製作 編集

エラン・マスタイが執筆した本作の脚本は2008年ブラックリスト入りを果たしていた[5]2010年7月24日、ケイシー・アフレックが本作の出演交渉に臨んでいるとの報道があったが[6]、不首尾に終わった。2012年7月17日、ダニエル・ラドクリフとゾーイ・カザンの出演が決まったと報じられた[7]。当時、ラドクリフは現代を舞台にした作品に出演したがっており、本作によってその望みを叶えることができた[8]。8月、アダム・ドライバー、ミーガン・パーク、マッケンジー・デイヴィス、レイフ・スポールがキャスト入りした[9][10]

撮影・音楽 編集

2012年8月16日、本作の主要撮影がトロントで始まった[11][12]。撮影はアイルランドのダブリンでも行われた[13]

2014年8月1日、ミラン・レコーズが本作のサウンドトラックを発売した[14]

公開・マーケティング 編集

2012年9月18日、エンターテインメント・ワンが本作の全世界配給権を獲得したと報じられた[15]。2013年9月7日、本作は第38回トロント国際映画祭でプレミア上映された[16]。11日、CBSフィルムズが本作の全米配給権を購入したとの報道があった[17]。2014年6月14日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[18]

CBSフィルムズは本作のタイトルを『What If』に変更して公開した。MPAA(米国内で公開される映画のレイティングを決定する組織)は『The F Word』という原題が放送禁止用語を連想させることを問題視し、PG13指定にするためにもタイトルの変更を推奨したのだという[19]。これに対し、MPAAの管轄外にあるカナダでは原題のまま公開された[20]

評価 編集

本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには132件のレビューがあり、批評家支持率は73%、平均点は10点満点で6.29点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「ストーリーの型はお馴染みのものかもしれない。しかし、登場人物が交わす会話の面白さ、ダニエル・ラドクリフとゾーイ・カザンが織りなす魅惑的なケミストリーのお陰で、『もしも君に恋したら。』はオリジナリティに欠けるという欠点を乗り越えている。」[21]。また、Metacriticには36件のレビューがあり、加重平均値は59/100となっている[22]。しかし、概ね好意的な評価を得る一方で、「『もしも君に恋したら。』の舞台となっているトロントは人口の約半分が非白人である。それにも拘わらず、製作陣は主要キャストに白人俳優しか起用せず、同地の人種的多様性を無視した」という趣旨の批判が少ないながらも出た[23]

本作は第2回カナダ・スクリーン・アワードで作品賞、監督賞、主演男優賞(ダニエル・ラドクリフ)、助演女優賞(マッケンジー・デイヴィス)、脚色賞の5部門にノミネートされ[24]、脚色賞を受賞した[25]

出典 編集

  1. ^ もしも君に恋したら。”. 映画.com. 2020年3月30日閲覧。
  2. ^ Why Hollywood Shouldn’t Give Up on the Romantic Comedy”. Variety (2014年8月5日). 2020年3月30日閲覧。
  3. ^ What If”. Box Office Mojo. 2020年3月30日閲覧。
  4. ^ もしも君に恋したら。(字幕版)”. Amazon. 2020年3月30日閲覧。
  5. ^ The 2008 Black List – The Hottest Unproduced Screenplays of 2008”. /Film (2008年12月10日). 2020年3月30日閲覧。
  6. ^ Sexual Harassment Suit Not Stopping Casey Affleck From Getting Rom-Com Roles”. Vulture (2010年7月24日). 2020年3月30日閲覧。
  7. ^ Daniel Radcliffe and Zoe Kazan Join The F Word”. MovieWeb (2012年7月17日). 2020年3月30日閲覧。
  8. ^ Daniel Radcliffe Talks 'The F Word'”. Entertainment Tonight (2012年9月20日). 2020年3月30日閲覧。
  9. ^ ‘Girls’ Star Adam Driver Says ‘The F Word’ With Zoe Kazan & Daniel Radcliffe”. Indiewire (2012年8月1日). 2020年3月30日閲覧。
  10. ^ Spall, Park join ‘The F Word’”. Variety (2012年8月16日). 2020年3月30日閲覧。
  11. ^ Production begins on The F Word”. Playback (2012年8月16日). 2020年3月30日閲覧。
  12. ^ ‘Harry Potter’ Star Daniel Radcliffe To Film ‘The F Word’ In Ireland”. The Irish Film & Television Network (2012年9月13日). 2020年3月30日閲覧。
  13. ^ Harry Potter star on his way to film new Irish rom-com”. Herald.ie (2012年9月14日). 2020年3月30日閲覧。
  14. ^ ‘What If’ Soundtrack Released”. Film Music Reporter (2014年8月1日). 2020年3月30日閲覧。
  15. ^ Toronto 2012: Entertainment One Secures Foreign Sales for 'The F Word' and 'Song for Marion'”. Hollywood Reporter (2012年9月18日). 2020年3月30日閲覧。
  16. ^ TIFF 2013 Adds ‘Enemy’ Starring Jake Gyllenhaal, ‘The F Word’ With Daniel Radcliffe, Xavier Dolan’s Latest & More”. Indiewire (2013年8月7日). 2020年3月30日閲覧。
  17. ^ TIFF 2013: THE F WORD Goes to CBS Films, Weinstein Acquires ELEANOR RIGBY and RAILWAY MAN, and Lionsgate Nabs LIFE OF CRIME”. Collider (2013年9月11日). 2020年3月30日閲覧。
  18. ^ The F Word Official Movie Trailer HD”. YouTube (2014年6月16日). 2020年3月30日閲覧。
  19. ^ The F Word gets a scrubbed-down title in the U.S.”. The Globe and the Mail (2014年4月24日). 2020年3月30日閲覧。
  20. ^ 'The F Word' Retains Original Title for Canadian Release”. Hollywood Reporter (2014年3月14日). 2020年3月30日閲覧。
  21. ^ What If”. Rotten Tomatoes. 2020年3月30日閲覧。
  22. ^ What If (2014)”. Metacritic. 2020年3月30日閲覧。
  23. ^ Radcliffe and Kazan charm in The F Word or What If friends fall in love in Toronto”. Seventh Row (2014年8月7日). 2020年3月30日閲覧。
  24. ^ Canadian Screen Awards: Orphan Black, Less Than Kind, Enemy nominated”. CBC (2014年1月14日). 2020年3月30日閲覧。
  25. ^ Canadian Screen Awards 2014: Orphan Black, Gabrielle win”. CBC (2014年3月10日). 2020年3月30日閲覧。

外部リンク 編集