やねうら王
やねうら王(やねうらおう)は、コンピュータ将棋のプログラム。プロ棋士に平手で勝利した事がある強豪ソフトの一つ。
作者 | 磯崎元洋 |
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最新版 |
6.00
/ 2020年11月10日[1] |
リポジトリ |
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プログラミング 言語 | C++ |
対応OS | |
種別 | 将棋エンジン |
ライセンス | GNU GPL v3 |
公式サイト |
yaneuraou![]() |
概要編集
開発者は磯崎元洋[2][3][4]。名称は開発者の磯崎がパソコン通信時代から使用している[5]ハンドルネーム「やねうらお」に由来する[6][7]。なお、開発者の磯崎自身も、将棋倶楽部24でレーティング1800ほど(二段)の棋力だが、「将棋にそこまで愛着があるわけではない」と述べている[8]。
2014年に出場した第3回将棋電王戦において佐藤紳哉六段と対局を行い、95手で勝利。この対局においては、本来「前年の電王トーナメント出場時のソフトで対局を行う」というルールがあったのに対し、開発者側からの「致命的なバグがあるので修正したい」という要望を主催者のドワンゴが認めたところ、実際には思考部にも影響が及ぶことが判明したため相手の佐藤側が抗議するという一幕があり、結果的に当初のままのソフトで対局に臨んでいた[9]。
2015年に出場した将棋電王戦FINALにおいて稲葉陽七段と対局を行い、116手で勝利。
同年11月に開催された第3回将棋電王トーナメントでは、「超やねうら王」と名称を変更して出場。「Deep Learning」から意味のあるところを抽出した「Cheap Learning」を新たに搭載した。
2016年10月の第4回将棋電王トーナメントでは、「真やねうら王」と名称を変更して出場。
2017年の第5回では「やねうら王 with お多福ラボ」の名称で出場したが準々決勝で敗れた。トーナメントを制した平成将棋合戦ぽんぽこは、やねうら王ライブラリを使用していた。
2018年8月、商用版である「将棋神 やねうら王」がマイナビ出版より発売された。商用版ではやねうら王以外にQhapaq・tanuki-(SDT5版及び2018年版)・読み太の思考エンジンも搭載され、ユーザ側で任意に切り替えることができる[10]。
派生ソフトウェア編集
本ソフトは2016年にコンピュータ将棋協会(世界コンピュータ将棋選手権の主催者)に対するライブラリ登録を行っており[11]、そのため2020年現在も本ソフトをベースとした将棋ソフトが多数開発されている。
- 世界コンピュータ将棋選手権におけるやねうら王ライブラリ勢の主な成績
- 2017年 elmo優勝
- 2018年 Hefeweizen優勝
- 2019年 やねうら王優勝
2017年の世界コンピュータ将棋選手権時に、Ponanza開発者の山本一成が「今年の世界コンピュータ将棋選手権のPonanzaはたぶんめちゃめちゃ強いことになる。過去現在、そして下手したら今後数年の未来までも含めて史上最強の将棋プログラムになるかもしれない。」と発言していたが、elmoが2次予選と決勝で2連勝し、優勝している。以降、Ponanzaは世界コンピュータ将棋選手に出場していない。
2018年の世界コンピュータ将棋選手権決勝に残った8チーム中Apery以外はやねうら王エンジン使用。
2019年5月に世界コンピュータ将棋選手権に初出場し、優勝と同時に新人賞を獲得した。決勝に残った8チーム全てがやねうら王エンジン使用。
2020年3月に開かれたコンピュータ5五将棋の国際大会「第12回UEC杯 in GAT」にて、やねうら王を改造した5五将棋ソフト「ShioRamen」が全戦勝利を収め、優勝した[12][13]。
競技会成績編集
大会/年 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
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世界コンピュータ将棋選手権 | 1 | ||||||
将棋電王トーナメント | 4 | 3 | 4 | 3 | F |
出典・参考編集
脚注編集
- ^ “Releases”. GitHub. 2021年1月1日閲覧。
- ^ いそざき もとひろ。1971年生まれ。音楽ゲームBM98の作者。梯子メーカー勤務後、2015年現在はセキュリティ会社CTO。
- ^ 将棋電王戦FINAL 第3局――人類初の“勝ち越し”をかけて 稲葉陽七段 VS. やねうら王の見どころはねとらぼ2015年03月26日
- ^ 電王戦,なんで勝てたんですか?――「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第15回は,「BM98」を開発した伝説的なプログラマー・やねうらお氏がゲスト4Gamer.net
- ^ http://bm98.yaneu.com/bickle/
- ^ ハンドルネーム「やねうらお」の由来は、中学2年の時に、屋根裏部屋でゲーム制作会議を開いた事だとされている
- ^ http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20081222
- ^ 磯崎元洋 (2013年8月23日). “第3回将棋電王戦にでますん”. やねうらお-ノーゲーム・ノーライフ. 2015年6月1日閲覧。
- ^ 「将棋電王戦」第2局は「やねうら王」改変前のソフトで対局-ドワンゴが会見 - マイナビニュース・2014年3月19日
- ^ 「将棋神 やねうら王」が8月10日に発売決定。5つの思考エンジンを収録 - 4gamer.net・2018年6月13日
- ^ コンピュータ将棋選手権使用可能ライブラリ
- ^ 第12回UEC杯 in GAT5五将棋大会 - 5五将棋 portal
- ^ 塩田雅弘, 伊藤毅志「5五将棋における自動対戦を用いた評価関数の学習」『研究報告ゲーム情報学(GI)』2020-GI-44第3号、2020年6月20日、 1-6頁、 ISSN 2188-8736、2020年12月28日閲覧。
関連項目編集
- コンピュータ将棋
- 将棋電王戦
- BMS (音楽ゲーム):磯崎がかつて開発に携わったファイルフォーマット
- Lishogi:将棋対局サイト。棋譜のコンピュータ解析及びAI対局にやねうら王が使用されている。
外部リンク編集
- やねうら王 公式サイト
- やねうら王 (@yaneuraou) - Twitter
- 将棋神 やねうら王 特設ページ - マイナビ出版