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や行え(やぎょうえ、𛀁、𛀁)は、五十音図で、や行え段に位置すべき仮名文字である。現在その位置は空白にするかあ行えの繰り返しで埋められる。

平仮名
文字 𛀁
字源 江の草書体
Unicode U+1B001
片仮名
文字
字源 江の右の部分
JIS X 0213 1-5-8
Unicode U+30A8
言語
言語 ja

目次

文字の表記編集

 
平仮名
 
片仮名
 
拡張仮名

古い日本語には「e」と「ye」の発音上の区別があった。しかし上代特殊仮名遣の消失から間もなく(より早く)、10世紀後半には区別が消滅した。

万葉仮名の時代や、仮名文字の誕生初期には文字上でも「e」と「ye」の区別があった。たとえば、「衣」はe、「江」はyeであった。発音上の区別がなくなると、これらは同じ音を表す複数の仮名文字という扱いになった(複数の仮名文字を持つ音は珍しくなかった)。

江戸時代には「あ行え」と「や行え」を書きわけようと提唱する者が現れた。平仮名では「や行え」に「江」の草体に由来する を使えばよかったが、片仮名については書物によって異なっており、奥村栄実『古言衣延弁』では「衣」の下半分を取った文字を、大矢透『古言衣延弁証補』は逆に上半分を取った文字をア行の「え」に使っている(ヤ行には「エ」をそのまま使用)[1]。白井寛蔭『音韻仮字用例』では同じ片仮名に「衣」の最後の2画を使用している[2]

明治初期、五十音図の隙間を埋めるべく、や行い、や行え、わ行うの片仮名が作られ、「や行え」の片仮名には、イとエの合字 )が使われることがあった。

現在、外来語中の ye /je/ の音は「イ」の後に「エ」の文字を小さく書いた「イェ」によって表記される。

や行えの用法編集

天地の詞」は、「いろは歌」同様、すべての仮名を1文字ずつ使った誦文であるが、「え」が2回でてくるのは「あ行・や行」の「え」を区別していたときに作られたためと考えられ、『広辞苑』には (や行え)の平仮名を使って引用されている。いろは歌では「え」は1回しか出てこないが、本来「あ行え」が含まれていた可能性が指摘されている。

「や行え」を含む語編集

兄(え)、枝(え)、枝(えだ)、楚(すはえ)、机(つくえ)

文字コード編集

Unicodeでは2010年10月11日に公開されたバージョン6.0で、追加多言語面のU+1B000 - U+1B0FFに新設された仮名補助(Kana Supplement)ブロックに、U+1B001 「 」(Hiragana Letter Archaic Ye) として、昔の片仮名あ行え、衣に由来する文字「 」(U+1B000, Katakana Letter Archic E)とともに追加された。前者は変体仮名の「え」としても用いられる[3]。使用するには、追加多言語面に対応している必要がある。 Microsoft Wordでフォントをメイリオ、Meiryo UIに設定し1B001と打ってAlt+Xを押すと「𛀁( )」と表示される。

2017年6月のUnicode10.0では、変体仮名が追加されたが、提案されていた変体仮名のうち「え」と読む「江」に由来する変体仮名はこれと統合され、同じコードポイントに「Hentaigana Letter E-1」というName alias(別名)が与えられた。

なお、片仮名のや行えは、現代のエと同一の字形のため統合されている。イとエの合字は今のところ追加予定はない。

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
𛀀 U+1B000 - 𛀀
𛀀
Katakana Letter Archic E
𛀁 U+1B001 - 𛀁
𛀁
Hiragana Letter Archaic Ye

脚注 編集

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  1. ^ 築島裕 『歴史的仮名遣い』 中公新書1986年、108-111頁。
  2. ^ 馬渕和夫 『五十音図の話』 大修館書店1994年(原著1993年)、93頁。ISBN 4469220930
  3. ^ Kana Supplement, Unicode, Inc., https://www.unicode.org/charts/PDF/U1B000.pdf