わらの犬』(Straw Dogs)は、1971年製作のアメリカ映画である。監督はサム・ペキンパー。日本では1972年4月公開。『ワイルドバンチ』などの西部劇で知られるペキンパーの、長編映画としては初の現代劇で、原作はイギリスの作家ゴードン・M・ウィリアムズの『トレンチャー農場の包囲』である。主演はダスティン・ホフマン

わらの犬
Straw Dogs
監督 サム・ペキンパー
脚本 サム・ペキンパー
デヴィッド・Z・グッドマン
原作 ゴードン・M・ウィリアムズ
『トレンチャー農場の包囲』
製作 ダニエル・メルニック
出演者 ダスティン・ホフマン
音楽 ジェリー・フィールディング
撮影 ジョン・コキロン
編集 トニー・ローソン
ロジャー・スポティスウッド
ポール・デイヴィス
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1971年12月29日
日本の旗 1972年4月29日
上映時間 118分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $3,251,000
興行収入 $11,148,800
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概要編集

タイトルは「天地不仁、以万物為芻狗」という『老子』の言葉に由来する。天地にとって万物は芻狗(祭儀に用いるわらの犬)のようなものでしかないという意味である。ペキンパーはイギリス劇作家ハロルド・ピンター2005年ノーベル文学賞受賞者)に脚本執筆を打診したが、過激な内容に嫌悪感を覚えたピンターは断ったという。

1970年代には、被害者が加害者に対して過激な暴力で復讐する映画が多数製作された。映画評論家のS・S・ブラウラーはその状況を「わらの犬症候群」と呼んでいる。

ストーリー編集

数学者のデイヴィッド・サムナーと妻エイミーは物騒な都会生活から逃れるため、妻の故郷でもあるイギリスの片田舎に引っ越してきた。だが、いざ蓋を開ければ村の若者たちから嘲笑を浴び、嫌がらせを受ける毎日。彼らにひとこと言うようにエイミーからけし掛けられても、気弱なデイヴィッドは取り合おうとしない。ある日、精神薄弱者のヘンリーを家に匿ったことから、彼をリンチにかけようとする若者たちの総攻撃を受ける。知人であるスコット少佐が仲裁に入るも、揉み合った挙句に撃ち殺されてしまう。それを見たデイヴィッドの中で、何かがはじけた。恐怖に脅えるエイミーが止めようとするのにも構わず、デイヴィッドは次第に暴力の渦に飲み込まれていくのだった。

キャスト編集

※括弧内は日本語吹替(初回放送1975年10月22日『水曜ロードショー』)

本作のファンや日本での反響など編集

脚注編集

  1. ^ 『サルに教える映画の話』23p-32p「サム・ペキンパーの謎を解く」の中の23p-26p
  2. ^ 『キネマ旬報 1999年10月上旬特別号 NO.1293映画人が選ぶオールタイムベスト100(外国映画篇)』『キネマ旬報1999年10月下旬号NO.1294映画人が選んだオールタイムベスト100(日本映画篇)』の野沢のアンケート。
  3. ^ http://www.tfm.co.jp/movie/index.php?itemid=123013&catid=1737&catid=1737

参考文献編集

  • ガーナー・シモンズ著、遠藤壽美子・鈴木玲子訳『サム・ペキンパー』 河出書房新社、1998年6月、ISBN 4-309-26340-2
    • 原著: Garner Simmons, "Peckinpah: A Portrait in Montage", University of Texas Press, 1982, ISBN 087910273X
  • 遠山純生編『e/m ブックス vol.10 サム・ペキンパー』 エスクァイア・マガジン・ジャパン、2001年9月、ISBN 4-87295-078-X

外部リンク編集