アイアン・ジャイアント

アイアン・ジャイアント』(The Iron Giant)は、1999年に公開されたワーナー・ブラザースによる長編アニメーション映画

アイアン・ジャイアント
The Iron Giant
監督 ブラッド・バード
脚本 ティム・マッカンリーズ
製作 アリソン・アーバーテ
デス・マカナフ
製作総指揮 ピート・タウンゼンド
出演者 ジェニファー・アニストン
ハリー・コニック・Jr.
ヴィン・ディーゼル
イーライ・マリエンタール
クリストファー・マクドナルド
ジョン・マホーニー
音楽 マイケル・ケイメン
撮影 スティーブン・ウィルズバック
配給 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1999年8月6日
日本の旗 2000年4月15日
上映時間 86分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $70,000,000[1]
興行収入 $31,333,917[2]
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作品概要 編集

原作は、イングランドの詩人で児童文学者でもあるテッド・ヒューズが1968年に発表した『アイアン・マン-鉄の巨人-英語版』である[3][4][注釈 1]。原作では鉄の巨人アイアン・マンが正義の味方として描かれているが、本作のアイアン・ジャイアント[注釈 2]は少年との友情を育む一方で、大人達の疑念に追い込まれていく。

アイアン・ジャイアントはコンピュータグラフィックスで描写されているが、手描き作画の質感を取り入れており2D作画との親和に成功している[3]

公開時のパンフレットには、絵本のように丁寧な装丁が施されていた。

批評家からは絶賛され、1999年のアニー賞では全10部門中9部門を受賞。さらに同年の第25回ロサンゼルス映画批評家協会賞ではアニメーション賞も受賞している。しかしアメリカでの興行収入は制作費の僅か4分の1程度だった。そのためか、日本国内での公開は小規模に留まり、当時ワーナー傘下だったシネマコンプレックスワーナー・マイカル・シネマズ」(現:イオンエンターテイメント)のみの独占上映となった。

本作の商業的な惨敗によりワーナーはアニメ映画の制作を中止し、監督のブラッド・バードを次作『Mr.インクレディブル』の制作中に解雇した。バードは2004年ピクサーへ移籍して、同作を3DCGアニメとして完成させた。

日本では2000年7月20日にDVDが発売され、その後も廉価版や映像特典が追加されたスペシャル・エディションが発売されている。

2016年10月29日にはカットされたシーンも収録された『アイアン・ジャイアント シグネチャー・エディション』が公開される予定だったが、諸般の事情により直前で上映中止となった[5]。後日、本作を収録したBlu-rayの数量限定生産と初回限定生産の発売が告知されている[6]

あらすじ 編集

ソビエト連邦からスプートニク1号が打ち上げられた1957年、アメリカはメイン州の沖合い。嵐に遭遇した漁師は、巨大な流星と不自然な二条の光線、そして巨大な影を目撃する。

数日後、田舎町の少年ホーガースは、山中の変電所で電線に絡まった巨大なロボット、アイアン・ジャイアントを助け、すぐに仲良くなった。

誰からも見つからぬよう過ごしていた彼らだが、ほどなく通報を受けて政府捜査官のマンズリーが現れる。マンズリーの目からジャイアントを匿い続けるホーガースだが、その中で次第にこの心優しい巨大ロボットの正体が明らかになっていく。

キャラクターと声の出演 編集

ホーガース・ヒューズ
- イーライ・マリエンタール/日 - 進藤一宏
本作の主人公である、メイン州の郊外のロックウェルで生まれ育った元気な少年。漫画のスーパーマンに憧れる。
アイアン・ジャイアント
声 - ヴィン・ディーゼル/日 - 郷里大輔
心優しい謎のロボット。どこから何をしに来たのか、自身もわかっていない。自己再生機能を有しており、バラバラになっても修復が可能。鉄が好物。
アニー・ヒューズ
声 - ジェニファー・アニストン/日 - 日髙のり子
ホーガースの母親。夫を朝鮮戦争で亡くしている(パンフレットより)。
ディーン・マッコーピン
声 - ハリー・コニック・Jr/日 - 井上和彦
マッコーピンスクラップ場のオーナー。くず鉄からアートを作る、一見変人の「自称」芸術家。変人に見えるが、周りの大人に比べると洞察力に優れ、ホーガーズのよき理解者で父親のような存在となる。彼の台詞「なりたい自分になればいい」は、作中で重要なキーワードとなっている。
ケント・マンズリー
声 - クリストファー・マクドナルド/日 - 大塚芳忠
アイアンに固執する政府の捜査官。役職は連邦政府未解明現象管理局。「空から来るものはすべて敵のソ連からの兵器だ」という先入観に凝り固まり、目的のためには後先考えずに行動する男。
シャノン・ロガード
声 - ジョン・マホーニー/日 - 池田勝
マンスリーを公然と嫌っている、ワシントンDCの経験豊富で冷静な軍事指導者。

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ The Iron Giant (1999)”. Box Office Mojo. 2008年1月14日閲覧。
  2. ^ The Iron Giant”. 2018年11月25日閲覧。
  3. ^ a b 『宇宙船YEAR BOOK 2000』朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、2000年4月20日、36-38頁。雑誌コード:01844-04。 
  4. ^ Townshend (2013), pp. 438, 440, 462, 467.
  5. ^ “『アイアン・ジャイアント シグネチャー・エディション』上映中止”. ORICON STYLE. (2016年10月22日). https://www.oricon.co.jp/news/2080364/full/ 2016年10月24日閲覧。 
  6. ^ アイアン・ジャイアント シグネチャー・エディション”. 2016年11月16日閲覧。

注釈 編集

  1. ^ 本作が制作されるきっかけになったのは、イングランドロック・ミュージシャンのピート・タウンゼントが1989年に発表したアルバムThe Iron Man: The Musical by Pete Townshend(『アイアン・マン』)だった。タウンゼントのミュージカルは、1993年から翌1994年2月までロンドンヤング・ヴィクで上演されて好評を得て、ワーナー・ブラザーズとディズニーの関心を惹き、交渉の結果、ワーナーがアニメーション映画を制作する権利を獲得した。タウンゼントは原作の翻案に携わり、エグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされた。但し、彼のミュージカルの楽曲は使用されていない。なおプロデューサーの一人としてクレジットされているデス・マカナフ(Des McAnuff)は、1992年に、タウンゼントが在籍していたロック・バンドのザ・フーが1969年に発表したアルバム『トミー』をミュージカル化した人物である。
  2. ^ 映画化に際して、人気アメリカン・コミックスアイアンマン』(マーベル・コミック)との混同を避けるために、アイアン・ジャイアントに改名された。

参考文献 編集

関連項目 編集