アイゼンメンゲル症候群

チアノーゼを生じる重大な右左シャントを伴う心不全

アイゼンメンゲル症候群(アイゼンメンゲルしょうこうぐん、アイゼンメンジャー症候群、英 Eisenmenger's syndrome)はシャントの右側が左側より血圧が高いことにより、チアノーゼを生じる重大な右左シャントを伴う心不全ウィーンの医師Victor Eisenmengerにより1897年報告された。[1]

概要 編集

肺血流が増加する疾患が原因で肺高血圧が進行し、肺動脈の不可逆的閉塞が進行して肺血流が増加しなくなる病態。左右シャントがある疾患では逆に右左シャントとなり、チアノーゼが生じる。

原因 編集

肺高血圧によって肺動脈の内皮細胞が障害され、血清成分が侵入してエラスターゼが活性化されて平滑筋が肥厚すると考えられている。

症状 編集

心不全に伴う症状のほか、喀血胸痛チアノーゼなどを生じる。

検査 編集

胸部X線
肺動脈の突出が見られる。
心電図
右室肥大のみを認める。
心エコー
肺動脈の幅が正常より増大している。
心臓カテーテル
左右シャントを認める。

治療 編集

アイゼンメンゲル化した時点で原疾患への手術適応がなくなり、完治には心肺同時移植が必要となる。肺高血圧に対し酸素投与や亜硝酸剤、カルシウム拮抗薬などが用いられる。

脚注 編集

  1. ^ V. Eisenmenger: Die angeborenen Defekte der Kammerscheidewände des Herzens. Zeitschrift für klinische Medizin, 1897, 32 (Supplement): 1-28.