A1は、ドイツの自動車会社アウディが製造・販売する乗用車である。

初代 (2010-2018年) 編集

 A1
 
 
スポーツバック
 
インテリア(日本仕様車)
概要
製造国   ベルギー
販売期間 2010年 -
ボディ
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
駆動方式 FF
パワートレイン
変速機 5/6MT
7DSG
フロント:ストラット
リア:トーションビーム
フロント:ストラット
リア:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,470mm
全長 3,950mm-3,970mm
全幅 1,740mm-1,745mm
全高 1,420mm-1,440mm
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2007年東京モーターショーに出品された「メトロプロジェクトクワトロ」2008年パリサロンに出品された「A1スポーツバック・コンセプト」をルーツとしている。市販型は2010年3月のジュネーヴモーターショーで披露され(同時にA1ベースの電気自動車「A1 e-tronプロトタイプ」も披露されている)、同年5月12日に発売。

プラットフォームには、アウディの親会社であるフォルクスワーゲンの小型乗用車・ポロと共通のフォルクスワーゲンA05を使用。アウディのラインナップ中で最もコンパクトなモデルかつエントリーモデルである。
ボディは3ドアと5ドア版「スポーツバック」の2種とし、従来のアウディでは取り込めなかった若い顧客にアピールする。

エクステリアはアウディのアイデンティティである「シングルフレームグリル」などファミリーのデザインアイコンを色濃く受け継いでいる。Aピラ~ルーフ~Cピラーと一続きに描かれるラインが特徴である。インテリアは航空機をモチーフとしてデザインされた。インパネは翼を、そしてエアコン吹出口はタービンを模したデザインを採用。さらに、内外装のデザインについてもルーフアーチのカラーリング、インテリアの発光ダイオード照明色、エアコン吹き出し口のカラーリング、シートカバーなどオーナーの趣味に合わせて多彩なカスタマイズが可能となっている。

メカニズム 編集

エンジンは1.6Lディーゼルエンジン直列4気筒TDI(2種)と、1.2Lもしくは1.4Lの直4・TFSI直噴ターボ)エンジンの計4種をラインナップ。1.4Lターボは最高出力122PSを発生。なお、すべてのユニットにアイドリングストップ機構が備わる。 トランスミッション5MTに加え、1.4Lターボにのみ2ペダルMTとなる7速「Sトロニック」も用意される。ボディはコスト面の制約上、オールアルミ構造「ASF」の導入こそ見送られたものの、高張力鋼を多用することでボディ本体の重量を221kgとした。これにより、車両重量も1,045kg以下にまで抑えられ、クラストップレベルの軽さを実現している。

日本での販売 編集

日本においては2011年1月11日に発表・発売。エンジンは1.4Lの直列4気筒・TFSIのみで、7速Sトロニックとの組み合わせのみとなる。羽田空港第2ターミナルにおいては同施設2Fにある「Audi A1 Shop」において実車が1月1日より3月下旬まで展示された。

また、2011年11月の東京モーターショーにおいてはサッカー日本代表のトレードカラーであるサムライブルーに仕立てられた「A1 SAMURAI BLUE」を展示。後に展示車両を511万円にて発売することを発表したうえで、全国キャラバンを実施した。購入者は抽選にて選ばれ、2012年5月13日、当選した男性にサッカー日本代表監督のアルベルト・ザッケローニより直接キーが手渡された。なお、売り上げの一部は日本サッカー協会と合同でサッカーファミリー復興支援金として寄付される[1][2]。また、同日には「SAMURAI BLUE」のエッセンスを散りばめた特別仕様車「A1 SAMURAI BLUE Limited Edition」を発売。エクステリアとインテリアにはサムライブルーのアクセントが入る。111台の限定モデルとし、ザッケローニの認定書が付く。価格は345万円。

2012年6月4日 「スポーツバック」を追加発売。「1.4TFSI」と「1.4TFSIスポーツパッケージ」の2グレードを展開。メカニズムは3ドアと同様である。

2014年11月5日 「S1」「S1スポーツバック」を発売。同車には6速マニュアルトランスミッションと2L TFSIがクワトロシステムとともに組み合わされる。

エンジン 編集

ガソリンエンジン
車種 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 0–100km/h 最高速度 変速機 二酸化炭素排出量 製造期間
1.2 TFSI 直列4気筒
(CBZA)
1,197cc 86PS(63kW)
/4,800rpm
160Nm(118lbft)
/1,500-3,500rpm
11.7秒 180km/h 5速MT 118(g/km) 2010年-
1.4 TFSI 直列4気筒
(CAXA)
1,390cc 122PS(90kW)
/5,000rpm
200Nm(148lbft)
/1,500-4,000rpm
8.9秒 203km/h 6速MT
7速Sトロニック (オプション)
124(g/km)
122(g/km)
2010年-
1.4 TFSI
cylinder on demand
直列4気筒
(CAVE)
1,390cc 185PS(136kW)
/6,200rpm
250Nm(184lbft)
/2,000-4,500rpm
6.9秒 227km/h 7速Sトロニック 139(g/km) 2011年-[3]
ディーゼルエンジン
車種 エンジン 排気量 最大出力 最大トルク 0–100km/h 最高速度 変速機 二酸化炭素排出量 製造期間
1.6
TDI
直列4気筒
(CAYC)
1,598cc 105PS(77kW)
/4,400rpm
250Nm(184lbft)
/1,500-2,500rpm
10.5秒 190km/h 5速MT 99(g/km) 2010年-

全てのエンジンはアイドリングストップとエネルギー回復システムを装備する[4][5]

コンセプトカー 編集

アウディは複数のA1のコンセプトカーを発表した。それらの大半はハイブリッドカープラグインハイブリッドカー(PHEV)である。

メトロプロジェクト・クワトロ 編集

 
メトロプロジェクト・クワトロ

2007年の東京モーターショーで発表されたハイブリッド仕様のコンセプトモデル[6]。パワートレインは最高出力150ps(110kW)の1.4L 直列4気筒ターボエンジンと、最高出力41ps(30kW)・最大トルク20.5kgm(201Nm)の電気モーターを組み合わせており、エンジンは6速Sトロニックを介して前輪を、モーターは後輪を駆動する。

1回の充電あたりの航続距離は100km/h走行時で100kmであり、ガソリン車と比べて燃料消費を最大15%低減できるという。サスペンションは、前輪はストラット式、後輪は4リンク式を採用[7]

2008年のライプツィヒ国際自動車ショーでは、車名をA1 プロジェクト・クワトロと改めて展示[8]。外装デザインはアウディプロジェクト設計者のDany Garandが担当した[9]

A1 スポーツバックコンセプト 編集

 
スポーツバックコンセプト

2008年10月のパリモーターショーで発表。メトロプロジェクト・クワトロの5ドア仕様で、全長が3.99mと少し長くなることを除けばメトロプロジェクト・クワトロの寸法と同一である。パワートレインもほぼ変更ないが、電気モーターは後輪ではなく前輪を駆動する[10][11]

A1 e-tron 編集

 
e-tron

A1の電気自動車として、2010年にジュネーヴモーターショーで発表された。[12]A1 e-tronは定格出力45kW(61PS)、瞬間出力75kW(102PS)のPHEVである。バッテリーは12kWhのリチウムイオン二次電池を搭載し、最大走行距離は50km。電池切れに備え、254ccのロータリーエンジンと15kW(20PS)の発電機を備える[13]。これにより走行距離が200km増えると推定される[12]

2010年末、ミュンヘンで20台のA1 e-tronを使用した実証実験が行われた[14]

A1 クラブスポーツクワトロ 編集

 
クラブスポーツクワトロ

2011年5月、ヴェルター湖のイベントで発表。RS 3の改良型で、2.5L 直列5気筒エンジンを搭載する。最高出力は503PS(370kW)、最大トルクは660Nm(487lbft)。外装はアウディ・クワトロのブリスターフェンダーを彷彿とさせるホイールアーチが特徴で、内装も極限まで軽量化が図られている[15]

A1 スポーツバック 編集

2011年の東京モーターショーにて参考出品として世界初公開され、翌2012年1月より欧州市場で発売。その名の通り、A3スポーツバックA5スポーツバック同様の5ドアハッチバックである。3ドアとのエクステリア上の違いは3ドア比でBピラーをより230mm前方に移動させてリアドアを設けたことと、後席の頭上空間を確保するためルーフを80mm以上も後方へと延長したことにある。そのため、3ドアと比べるとリアウィンドウの傾斜が緩く、ハッチゲートの切り欠き方も異なる。全幅と全高が6mm増加しているが、全長は3ドアと全く同じである。

2代目 (2018年-) 編集

A1
 
 
 
スポーツバック
概要
製造国   スペイン
販売期間 2018年-
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 FF
パワートレイン
変速機 5/6MT
7DCT
車両寸法
全長 4,030mm
全幅 1,740mm
全高 1,410mm
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欧州では、2018年秋頃から販売を開始[16]。先代とは違い、3ドアモデルは廃止され5ドアモデルのみである。

日本での販売 編集

2019年11月1日に初披露の後に、11月25日より販売を開始した。当初は1.5L直列4気筒ガソリン直噴ターボの35TFSI[注釈 1]のみであった[18]。その後2020年6月16日に、1.0L直列3気筒直噴ターボの25TFSI[注釈 1]が追加された[19]

脚注 編集

注釈
  1. ^ a b モデル名称の数字はエンジン出力別の数字であり、25 - 70の間の9つの数字で表される[17]
出典
  1. ^ AUDI JAPAN>トップページ>A1 Archived 2012年5月21日, at the Wayback Machine.アウディジャパン公式サイト内
  2. ^ 世界に1台のアウディ…“A1サムライブルー”を納車Response.2012年5月14日
  3. ^ Up-tempo Audi A1 ready for Paris show debut”. www.audi.co.uk. Audi (2010年9月23日). 2010年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月30日閲覧。
  4. ^ A1 Engines”. Audi UK. 2010年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月24日閲覧。
  5. ^ German catalog of A1”. 2010年9月9日閲覧。
  6. ^ 2007 Tokyo Auto Show Preview: Audi metroproject Quattro”. Edmunds Inside Line (2007年10月19日). 2007年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年10月21日閲覧。
  7. ^ Tokyo Motor Show: Audi metroproject quattro concept” (2007年10月23日). 2008年10月10日閲覧。
  8. ^ Audi at the AMI in Leipzig: A Spectacular Array of Premiers”. Fourtitude (2008年4月2日). 2008年4月22日閲覧。
  9. ^ Audi Design Media Workshop Reveals Brand's Design Creativity”. Audi.com.hk (2010年12月23日). 2009年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月1日閲覧。
  10. ^ Paris show: Audi A1”. Autocar (2008年10月2日). 2008年10月2日閲覧。
  11. ^ Audi A1 Sportback concept”. Audi UK. 2008年10月6日閲覧。
  12. ^ a b Audi A1 e-tron detail – it’s a Wankel-Electric”. Cars UK (2010年3月10日). 2011年1月5日閲覧。
  13. ^ Audi A1 e-tron”. www.audi.com. アウディ AG. 2011年1月5日閲覧。
  14. ^ Audi A1 e-tron: Electric testing has begun in Munich”. Germancarblog.com (2010年9月10日). 2011年1月22日閲覧。
  15. ^ 503PS Audi A1 clubsport quattro wows Worthersee 2011”. www.audi.co.uk. Audi (2011年5月31日). 2012年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月1日閲覧。
  16. ^ ボンネットの3分割スリットに注目! アウディ・A1がフルモデルチェンジで2代目に”. clicccar (2018年6月22日). 2018年6月22日閲覧。
  17. ^ 椿山和雄 (2018年12月21日). “アウディ、モデル名称の数字を順次変更。エンジン出力ごとに独自の数字採用”. インプレスCar Watch). 2023年6月3日閲覧。
  18. ^ フルモデルチェンジで2代目に進化した「アウディA1スポーツバック」日本デビュー”. WebCG. 2020年6月19日閲覧。
  19. ^ 「アウディA1スポーツバック」に1リッターターボモデルの「25 TFSI」が登場”. WebCG. 2020年6月19日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集