アップルパイ
アップルパイ(英: apple pie)とは、砂糖煮にしたリンゴを詰めてオーブンで焼いたパイのこと。
アップルパイは国により形状が様々であり、イギリスでは底に生地を敷かず、深皿に入れたりんごの上に上生地のみを被せて作られ、オーストリアではパイ生地でロールケーキのように巻かれ、アプフェルシュトゥルーデルと呼ばれる[1]。日本におけるアップルパイのステレオタイプ的な円形に成形され、パイ生地に包まれたアップルパイはアメリカのものである[1]。
アップルパイにアイスクリームを添えて供されるものは、アップルパイ・ア・ラ・モード(apple pie à la mode)と呼ばれる。
目次
アメリカのアップルパイ編集
アップルパイはアメリカを代表するデザートで、「アップルパイのようにアメリカ的だ ('As American as apple pie') 」という慣用句があり[2]、日本人にとっての味噌汁同様に「おふくろの味」を連想させる。ヒットしたアメリカのコメディ映画(青春映画)にも『アメリカン・パイ』という作品があり、英語学習用の教材にもケイ・ヘザリ『American Pie』シリーズ(日本放送出版協会)がある。いずれもアップルパイを想定して名称がつけられている。
アメリカでのアップルパイの歴史は、イギリスからやってきたピルグリムがリンゴの種を蒔いて育て、収穫したリンゴでアップルパイを作ったことにさかのぼる。アメリカ東海岸から西へリンゴの種を蒔きながら移動したジョニー・アップルシードの伝承も有名である。リンゴは環境への適応が比較的強く、生水が危険で飲めず、小麦が貴重品だった当時はリンゴは重要な飲料水と炭水化物の摂取源であり、貴重な小麦を嵩増しできるアップルパイは貴重な主食だったと言う[3]。感謝祭には、七面鳥の丸焼きやコーンブレッドの他にアップルパイを出すことが多い。
19世紀にアメリカ西部に乗り出した開拓者たちの間で、リンゴを使わずにアップルパイのようなものを作る方法が考え出された。これは mock apple pie と呼ばれて、これをナビスコのリッツクラッカーを使って作るレシピが1930年代に広められた。この菓子は本物のアップルパイには及ばないものの、レモンやシナモンを使っており、リンゴを使って作ったものと近い味を出すように作られている。アップルパイという名称こそ付いているが、クッキーなどをパイ生地の代わりにするレシピとは別物である[要出典]。
日本におけるアップルパイ編集
アップルパイ用リンゴ品種の一覧編集
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品種名 | 誕生年 誕生地 |
元となる品種 | 収穫時期 | 特徴 | 利用 |
---|---|---|---|---|---|
紅玉 (こうぎょく) 英名:Jonathan (ジョナサン) |
1800年頃 アメリカ ニューヨーク州 リック農園 |
偶発実生 | 9月下旬 - 10月中旬 |
1871年に開拓使によって導入され、1900年に邦名を紅玉と命名された その名の通り艶やかな深紅のリンゴで、やや小玉で酸味が強く、果肉のきめは細かく芳香もある。 戦前は美味しいリンゴの代名詞として、国光とともに一世を風靡。戦後は酸味の強さから後継品種に追われるが、アップルパイなど焼き菓子には最適な品種のため、製菓用として根強い需要がある。 |
料理用 生食用 |
ジョナゴールド (Jonagold) |
1943年 アメリカ ニューヨーク州立 農業試験場 |
ゴールデンデリシャス × 紅玉 |
9月中旬 - 10月上旬 |
1970年に秋田県果樹試験場によって日本に導入された。 シャリシャリ感がある果肉で酸味と甘みのバランスが良く(比較的酸味が勝る)、生食の他、酸味があるため、菓子や料理に向く。 |
生食用 料理用 |
旭 (あさひ) 英名:McIntosh (マッキントッシュ) |
1870年 カナダ アラン・マッキントッシュ 農園 |
偶発実生 | 10月中旬 | 北米ではポピュラーな品種。早生で強い芳香があるが、日持ちがしない。 日本では、ほとんど生産がされないが、積雪に強いことから北海道でわずかの農家で栽培されている。 アップルのパソコン「Macintosh」の名前の由来。 |
料理用 生食用 |
茜 (あかね) |
1970年 日本 |
Jonathan × Worcester Pearmain. |
皮は、赤色。大きさは、比較的小振りで酸味が強い。 | 料理用 生食用 | |
グラニースミス (Granny Smith) |
1868年 オーストラリア |
Malus domestica × M. sylvestris 偶発実生 |
青林檎系の品種。 | 料理用 生食用 | |
ピンクレディ (Pink Lady) |
1970年代 オーストラリア |
レディウィリアムズ('Lady Williams') × ゴールデンデリシャス('Golden Delicious') 交配品種 |
料理用 生食用 | ||
ブラムリー (Bramley) |
1809年 イギリス ノッティンガムシャー |
料理用 | |||
エンパイア (Empire) |
1966年 アメリカ ニューヨーク州 |
料理用 生食用 | |||
ノーザンスパイ (Northern Spy) |
c. 1800年 アメリカ ニューヨーク州 |
シードル用 料理用 生食用 | |||
グライムスゴールデン (Grimes Golden) |
1804年 アメリカ ウェストバージニア州 ブルック郡 |
シードル用 料理用 生食用 |
脚注編集
出典編集
- ^ a b お菓子の由来物語 P.59
- ^ 世界の食文化〈12〉アメリカ
- ^ グレーテルのかまど 2014年11月14日放送分
- ^ 巨大アップルパイ 世界に挑戦する会
- ^ ルネスアベニュー ティータイムのご紹介 2017年6月5日最終閲覧
参考文献編集
- 猫井登 『お菓子の由来物語』 幻冬舎、2008年9月。ISBN 978-4779003165。
- 石毛直道 『世界の食文化〈12〉アメリカ』 農山漁村文化協会、2004年4月。ISBN 978-4540040856。
関連項目編集
- アプフェルシュトゥルーデル - 巻き寿司のようにパイ生地でリンゴを巻いて作る。
- ブールドロ - パイ生地でリンゴを丸のまま包む。
- タルトタタン - アップルパイの失敗作が元になったといわれる。