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アトゥム

アトゥム(Atum)はエジプト神話男神アトム(Atmu[1])、アテム(Atem)、トゥム(Tum)、テム(TemuもしくはTem)とも。

ヘリオポリス神学における天地創造エジプト九柱の神々の筆頭格。

目次

概要編集

アトゥムは、原初の水「ヌン」より自らを誕生させ、他の神々を生み出した偉大な造物主である。ケプリやラーといった他の太陽神の姿に次々と変じながら昼と夜を旅して冥界の悪しき蛇アポピスと戦うとされた。

アトゥムは、古代エジプト人たちが最も原初に近い生物として認識していた「蛇」の姿をして誕生した。蛇は、死を運ぶ忌まわしく強力な力を持つ畏怖すべき存在であると同時に脱皮によって無限に死と再生を繰り返す、生命を象徴する存在でもあった。アトゥムは、世界が破滅を迎えヌンの中に帰っていく時、再び蛇の姿をとるとされる。この時、アトゥムを目覚めさせるのがトートの役目である。

基本的には人間の姿をしており、二重王冠を被り、アンクとウァス杖を手にした姿で描かれる。

最初の独り神であったため自慰によって大気の神シュー湿気女神テフヌトを生み、さらにこの2神から大地の神ゲブと天空の女神ヌトが生まれ天地が創造されたとされる。

独力で他の神々を生み出したため両性具有とされる。後年、アトゥムの妻となる存在が与えられたが、この妻「イウサーアス」もしくは「ヘテベト」は、アトゥムと完全に切り離された存在ではなく、アトゥムの女性的な部分、即ち「アトゥムの手」を象徴し、彼の一部に神格を与えた存在とされる。

またアトゥムは、ファラオの魂が神になるのを助ける存在としても崇められていた。そのためアトゥムは、冥界を旅する魂を守る神とされた。

信仰編集

アトゥム信仰は、下エジプト第13ノモスの州都ヘリオポリスで起こったとされる。その成立年代ははっきりしないが、おそらくヘリオポリスが都市としての役割を果たすようになった頃には、既に創造神として崇められていた。他にも上エジプト第2ノモスのエドフなど、ナイル川西岸の都市やナイル川下流のデルタ地帯のいくつかの都市で信仰されていた。

ヘリオポリスには、太陽神であるアトゥムを象徴するベンベン石があり信仰の対象となっていた。アトゥムは、この石の上に立ち世界を照らしたとされる。しかし後にこの石は、ラーやアメンを象徴することになった。

アトゥム信仰は、あらゆる太陽神信仰の根底にあったもののアトゥム独自の祭礼が行われることはなかった。

ラーとの習合編集

アトゥムは、「朝の太陽」として世界を照らす神であるとも信じられていた。そのため後に太陽神ラー習合して「ラー・アトゥム」となった。

これによりラーは、ヘリオポリス神話の最も重要な神と見做されるようになった。中王朝時代になるとアメンがラーと習合することでアトゥムとも同一視されるようになった。

出典編集

  1. ^ Sykes, Egerton, & Kendall, Alan (2002). Who's who in Non-classical Mythology (2nd ed., revised). New York, NY: Routledge.

関連項目編集