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アバコーン公爵英語: Duke of Abercorn)は、アイルランド貴族公爵位。

アバコーン公爵
Coronet of a British Duke.svg
Arms of Hamilton, Duke of Abercorn.svg
創設時期 1868年8月10日
創設者 ヴィクトリア
貴族 アイルランド貴族
初代 第2代アバコーン侯爵ジェイムズ・ハミルトン
現所有者 第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトン
推定相続人 ハミルトン侯爵ジェイムズ・ハロルド・チャールズ・ハミルトン
相続資格 初代公爵の直系男子
(The 1st Duke's heirs male of the body lawfully begotten)
付随称号 アバコーン侯爵
ハミルトン侯爵
アバコーン伯爵
ストラバン子爵
ハミルトン子爵
ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ティロン州のハミルトン卿、ストラバン男爵
マウントキャッスル男爵
(ドナロングの)准男爵
邸宅 バロンズコート
紋章標語 Sola Nobilitas Virtus
("The only nobility is virtue")[1]

1868年に第2代アバコーン侯爵ジェイムズ・ハミルトンが叙されたのにはじまり、スコットランドの貴族の家系であるハミルトン家によって世襲されている。ハミルトン公爵ダグラス=ハミルトン家の分家に当たる。2019年現在の爵位保持者は第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトンである。

歴史編集

 
1984年の第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトン

スコットランド女王メアリーの摂政を務めた第2代アラン伯爵ジェイムズ・ハミルトンの三男クロード・ハミルトン英語版(1543–1621)は、スコットランド王国の政治家として活躍し、1587年7月にスコットランド貴族カウンティ・オブ・レンフルーにおけるペイズリー卿Lord Paisley, in the County of Renfrew)」に叙された[2]。彼の家系が後にアバコーン公爵に叙されることになる。ちなみに彼の兄にあたる初代ハミルトン侯爵ジョン・ハミルトン英語版の家系が後にハミルトン公爵家となる。

初代ペイズリー卿の嫡男であるジェイムズ英語版(1575–1618)は、父より先に死去したが、1603年4月にスコットランド貴族カウンティ・オブ・リンリスゴーにおけるアバコーン卿Lord Abercorn, in the County of Linlithgow)」、1606年7月にスコットランド貴族「マウントカシェルおよびカークパトリック、ハミルトン、ペイズリー卿Lord Paisley, Hamilton, Mountcashell and Kirkpatrick)」と「アバコーン伯爵(Earl of Abercorn)」に叙された[3][4]

その長男ジェイムズ英語版(1604頃–1670頃)は、1617年5月にアイルランド貴族カウンティ・オブ・ティロンにおけるハミルトン卿・ストラバーン男爵Lord Hamilton, Baron of Strabane, in the County of Tyrone)」に叙され、1618年3月に父から第2代アバコーン伯爵以下3つの爵位を継承し、1621年には祖父から第2代ペイズリー卿を継承した。このうちハミルトン卿・ストラバーン男爵については1633年に退き、翌1634年に弟クロード英語版(1606頃–1638)が第2代ハミルトン卿・ストラバーン男爵を継承することが認められている[5][6]。このためハミルトン卿・ストラバーン男爵だけしばらくアバコーン伯爵位と分離したが、第2代ハミルトン卿・ストラバーン男爵クロードの孫にあたる第4代アバコーン伯爵クロード英語版(1659頃–1691頃)の代に継承者が重なった[7]

第6代アバコーン伯爵ジェイムズ英語版(1661年頃–1734年)は、1701年12月にアイルランド貴族爵位「カウンティ・オブ・ティロンにおけるマウントキャッスル男爵Baron Mountcastle, in the County of Tyrone)」と「ストラバーン子爵Viscount Strabane)」に叙された[8][9]

その孫である第8代アバコーン伯爵ジェイムズ英語版(1712年–1789年)は、1761年から1784年にかけてスコットランド貴族代表議員としてトーリー党所属のイギリス貴族院議員を務め、さらに1786年にはグレートブリテン貴族ハミルトン子爵Viscount Hamilton)」に叙せられた[10](これにより以降の当主は自動的に貴族院議員となる)。

その甥である第9代アバコーン伯爵ジョン英語版(1756年–1818年)は、1789年の襲爵前にトーリー党の庶民院議員を務め、1790年10月にはグレートブリテン貴族「アバコーン侯爵(Marquess of Abercorn)」に叙せられた[11][12]

さらにその孫である第2代アバコーン侯爵ジェイムズ(1811年–1885年)は、1866年から1868年にかけてアイルランド総督を務め、1868年8月21日にアイルランド貴族「カウンティ・オブ・ティロンにおけるストラバーンのハミルトン侯爵Marquess of Hamilton, of Strabane in the county of Tyrone)」及び「アバコーン公爵(Duke of Abercorn)」に叙せられた[13][14]

その孫である第3代アバコーン公爵ジェイムズ(1869年–1953年)1922年から1945年にかけて北アイルランド総督を務めた[15]

2014年現在の当主はその孫である第5代アバコーン公爵ジェイムズ・ハミルトン(1934年-)である。

1612年以来、北アイルランドティロン州ニュータウンスチュワート英語版に地所バロンズコート英語版を保有している。地所内は自然豊かでニホンジカが多く生息しており、野生のまま管理されている。評価の高い鹿肉を提供している[16]

現当主の保有爵位/準男爵位編集

上記の経緯から現在の当主であるジェイムズ・ハミルトンは以下の爵位を保持している[17][18]

  • 第5代アバコーン公爵 (5th Duke of Abercorn)
    (1868年8月10日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第6代アバコーン侯爵 (6th Marquess of Abercorn)
    (1790年10月15日創設グレートブリテン貴族爵位)
  • ティロン州におけるストラバンの第5代ハミルトン侯爵 (5th Marquess of Hamilton, of Strabane in the county of Tyrone)
    (1868年8月10日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第14代アバコーン伯爵 (14th Earl of Abercorn)
    (1606年7月10日創設スコットランド貴族爵位)
  • 第9代ストラバン子爵 (9th Viscount Strabane)
    (1701年9月2日創設アイルランド貴族爵位)
  • 第7代ハミルトン子爵 (7th Viscount Hamilton)
    (1786年8月8日創設グレートブリテン貴族爵位)
  • レンフルー州における第14代ペイズリー卿 (14th Lord Paisley, in the County of Renfrew)
    (1587年7月29日創設スコットランド貴族爵位)
  • リンリスゴー州における第14代アバコーン卿 (14th Lord Abercorn, in the County of Linlithgow)
    (1603年4月5日創設スコットランド貴族爵位)
  • 第14代ペイズリー、ハミルトン、マウントカシェルおよびカークパトリック卿 (14th Lord of Paisley, Hamilton, Mountcashell and Kilpatrick)
    (1606年7月10日創設スコットランド貴族爵位)
  • ティロン州における第15代ハミルトン卿、ストラバン男爵英語版 (15th Lord Hamilton, Baron of Strabane in the County of Tyrone)
    (1617年5月8日創設アイルランド貴族爵位)
  • ティロン州における第9代マウントキャッスル男爵 (9th Baron Mountcastle, in the County of Tyrone)
    (1701年9月2日創設アイルランド貴族爵位)
  • (ドナロングの)第10代準男爵英語版 (10th Baronet, "of Donalong")
    (1660年頃創設アイルランド準男爵位)

歴代当主一覧編集

ペイズリー卿 (1587年)編集

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 続柄 他の称号
  初代ペイズリー卿
クロード・ハミルトン英語版
(Claud Hamilton)
(1546–1621)
1587年7月29日
- 1621年5月頃
2代アラン伯の五男 無し
第2代ペイズリー卿
ジェイムズ・ハミルトン英語版
(James Hamilton)
(1604–1670頃)
1621年5月頃
- 1670年
先代の孫 アバコーン伯
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵英語版
以後のペイズリー卿位はアバコーン伯爵と継承者が同じ。下記のアバコーン伯爵の欄参照。

アバコーン伯爵 (1606年)編集

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 続柄 他の称号
  初代アバコーン伯爵
ジェイムズ・ハミルトン英語版
(James Hamilton)
(1575–1618)
1606年7月10日
- 1618年3月23日
初代ペイズリー卿の息子 アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
第2代アバコーン伯爵
ジェイムズ・ハミルトン英語版
(James Hamilton)
(1604–1670頃)
1618年3月23日
- 1670年
先代の息子 ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
第3代アバコーン伯爵
ジョージ・ハミルトン英語版
(George Hamilton)
(1636頃–1680頃)
1670年
- 1680年
先代の息子 ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
  第4代アバコーン伯爵
クロード・ハミルトン英語版
(Claud Hamilton)
(1659–1691)
1680年
- 1691年
先代の従兄弟甥 ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
第5代アバコーン伯爵
チャールズ・ハミルトン英語版
(Charles Hamilton)
(生年不詳–1701)
1691年
- 1701年6月
先代の弟
第6代アバコーン伯爵
ジェイムズ・ハミルトン英語版
(James Hamilton)
(1661頃–1734)
1701年6月
- 1734年11月28日
先代の又従兄弟 ストラバン子爵
ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
マウントキャッスル男爵
(ドナロングの)準男爵
第7代アバコーン伯爵
ジェイムズ・ハミルトン
(James Hamilton)
(1686–1744)
1734年11月28日
- 1744年1月11日
先代の息子
第8代アバコーン伯爵
ジェイムズ・ハミルトン英語版
(James Hamilton)
(1712–1789)
1744年1月11日
- 1789年10月9日
先代の息子 ストラバン子爵
ハミルトン子爵
ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
マウントキャッスル男爵
(ドナロングの)準男爵
  第9代アバコーン伯爵
ジョン・ジェイムズ・ハミルトン英語版
(John James Hamilton)
(1756–1818)
1789年10月9日
- 1818年1月27日
先代の甥
1790年10月15日にアバコーン侯爵に叙される。以降アバコーン侯爵位と継承者が同じ。下記のアバコーン侯爵の欄参照。

アバコーン侯爵 (1790年)編集

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 続柄 他の称号
  初代アバコーン侯爵
ジョン・ジェイムズ・ハミルトン英語版
(John James Hamilton)
(1756–1818)
1790年10月15日
- 1818年1月27日
アバコーン伯
ストラバン子爵
ハミルトン子爵
ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
マウントキャッスル男爵
(ドナロングの)準男爵
  第2代アバコーン侯爵
ジェイムズ・ハミルトン
(James Hamilton)
(1811–1885)
1818年1月27日
- 1885年10月31日
先代の孫
1868年8月10日にアバコーン公爵に叙される。以降アバコーン公爵位と継承者が同じ。下記のアバコーン公爵の欄参照。

アバコーン公爵 (1868年)編集

肖像 爵位の代数
名前
(生没年)
受爵期間 続柄 他の称号
  初代アバコーン公爵
ジェイムズ・ハミルトン
(James Hamilton)
(1811–1885)
1868年8月10日
- 1885年10月31日
アバコーン侯
ハミルトン侯
アバコーン伯
ストラバン子爵
ハミルトン子爵
ペイズリー卿
アバコーン卿
ペイズリー=ハミルトン=マウントカシェル=カークパトリック卿
ストラバンのハミルトン男爵
マウントキャッスル男爵
(ドナロングの)準男爵
  第2代アバコーン公爵
ジェイムズ・ハミルトン
(James Hamilton)
(1838–1913)
1885年10月31日
- 1913年1月3日
先代の息子
  第3代アバコーン公爵
ジェイムズ・アルバート・エドワード・ハミルトン
(James Albert Edward Hamilton)
(1869–1953)
1913年1月3日
- 1953年9月12日
先代の息子
第4代アバコーン公爵
ジェイムズ・エドワード・ハミルトン
(James Edward Hamilton)
(1904–1979)
1953年9月12日
- 1979年6月4日
先代の息子
  第5代アバコーン公爵
ジェイムズ・ハミルトン
(James Hamilton)
(1934–)
1979年6月4日
- 受爵中
先代の息子

爵位継承順位編集

  1. ハミルトン侯爵(儀礼称号)ジェイムズ・ハロルド・チャールズ・ハミルトン(James Hamilton, Marquess of Hamilton, 1969-) 現当主の息子
  2. ストラバン子爵(儀礼称号)ジェイムズ・ハミルトン (James Hamilton, Viscount Strabane, 2005-) ハミルトン侯爵の長男
  3. クロード・ハミルトン卿 (Lord Claud Hamilton, 2007-) ハミルトン侯爵の次男
  4. ニコラス・ハミルトン卿 (Lord Nicholas Hamilton, 1979-) 現当主の次男
  5. クロード・ハミルトン卿(Lord Claud Hamilton, 1939-) 現当主の弟(4代公の次男)
  6. アレグザンダー・ハミルトン (Alexander Hamilton, 1987-) 上記の息子

系図編集

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ Mosley, Charles, ed. (2003). Burke's Peerage, Baronetage & Knighthood (107 ed.). Burke's Peerage & Gentry. pp. 4–7.
  2. ^ Lundy, Darryl. “Claud Hamilton, 1st Lord Paisley” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  3. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 1st Earl of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  4. ^ Millar, Alexander Hastie (1890). "Hamilton, James (d.1617)" . In Stephen, Leslie; Lee, Sidney. Dictionary of National Biography (in English). 24. London: Smith, Elder & Co.
  5. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 2nd Earl of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  6. ^ Lundy, Darryl. “Claud Hamilton, 2nd Lord Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  7. ^ Lundy, Darryl. “Claud Hamilton, 4th Earl of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  8. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 6th Earl of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  9. ^ Henderson, Thomas Finlayson (1890). "Hamilton, James (1656-1734)" . In Stephen, Leslie; Lee, Sidney. Dictionary of National Biography (in English). 24. London: Smith, Elder & Co.
  10. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 8th Earl of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  11. ^ Lundy, Darryl. “http://thepeerage.com/p11029.htm#i110283” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  12. ^ "Hamilton, John James (HMLN773JJ)". A Cambridge Alumni Database (in English). University of Cambridge.
  13. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 1st Duke of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  14. ^ Hansard 1803–2005: contributions in Parliament by the Duke of Abercorn
  15. ^ Lundy, Darryl. “James Albert Edward Hamilton, 3rd Duke of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  16. ^ Baronscourt Estate” (英語). 2014年11月30日閲覧。
  17. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 5th Duke of Abercorn” (英語). thepeerage.com. 2014年11月30日閲覧。
  18. ^ Heraldic Media Limited. “Abercorn, Duke of (I, 1868)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2015年11月2日閲覧。

関連項目編集