アミノフィリン(Aminophylline)とは、キサンチン誘導体のアルカロイドの1つであるテオフィリンに、12当量のエチレンジアミンを加えて、水溶性を高めた薬剤である。

アミノフィリン
Aminophylline Formula V.1.svg
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com 患者向け情報(英語)
Consumer Drug Information
MedlinePlus a601015
胎児危険度分類
  • AU: A
  • US: C
法的規制
投与方法 経口, i.v.
薬物動態データ
血漿タンパク結合60%
半減期7-9 時間
識別
CAS番号
317-34-0 チェック
ATCコード R03DA05 (WHO)
PubChem CID: 9433
DrugBank DB01223 チェック
ChemSpider 9062 チェック
UNII 27Y3KJK423 チェック
KEGG D00227  チェック
ChEMBL CHEMBL1210 ×
化学的データ
化学式C16H24N10O4
分子量420.427 g/mol
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薬理編集

アミノフィリンは、強心作用、利尿作用、気管支平滑筋弛緩作用などを有する[1][2]。ただし、この生理作用の本体は、テオフィリンによる。テオフィリンは血液脳関門も突破するため、末梢だけでなく中枢神経系にも作用する。

ホスホジエステラーゼの阻害薬であり[3]、細胞内でのcAMPを増加させる。また、アデノシン受容体をブロックする。これらの作用によって、気管支平滑筋を弛緩させる。さらに、中枢神経系を興奮る作用も有し、呼吸興奮作用も有する。

効能・効果編集

経口薬では、気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、閉塞性肺疾患肺気腫慢性気管支炎など)における呼吸困難、肺性心鬱血性心不全心臓喘息(発作予防)が承認されている。

注射薬では他に、肺水腫心臓喘息(発作治療)、チェーン・ストークス呼吸狭心症(発作予防)、脳卒中発作急性期、早産や未熟児の原発性無呼吸 が加わる。

注射薬はアナフィラキシーの治療にも用い得る[4]。外用薬として使用すると、局所の体脂肪を減少させるとの研究がある[5]心停止への応用が検討された事もあるが、有効性を示せなかった[6][7]

副作用編集

重大な副作用には、

が挙げられている[8][9]

なお、アミノフィリンの薬効本体であるテオフィリンは、血中濃度8〜20 (µg/mL)が治療域であり、それを超えると中毒症状が発生する。典型的には悪心・嘔吐等の消化器症状や心拍数増加(100〜120/分)に始まり、呼吸促進、不整脈、痙攣・中枢症状へと進む。

薬物動態編集

錠剤を服用してから最高血中濃度に達するまでの時間(Tmax)は平均1.43時間、血中半減期(T1/2)は9.61時間前後である。

製剤学編集

アミノフィリンの注射剤は、テオフィリンに結合性溶解補助剤として、エチレンジアミンを添加して可溶化英語版した製剤である。エチレンジアミンは、テオフィリンと複合体を形成して、溶解度の高い状態になる。なお、テオフィリンの場合は、エチレンジアミン以外に、酢酸ナトリウムも結合性溶解補助剤として使用できる[10]

出典編集

  1. ^ 獣医学大辞典編集委員会 『明解獣医学辞典』チクサン出版社、1991年。ISBN 4885006104 
  2. ^ 伊藤勝昭他 『新獣医薬理学 第二版』近代出版、2004年。ISBN 4874021018 
  3. ^ Mader, TJ; Smithline HA; Durkin L; Scriver G (March 2003). “A randomized control trial of intravenous aminophylline for atropine-resistant out-of-hospital asystolic cardiac arrest”. Academic Emergency Medicine 10 (3): 192–197. doi:10.1197/aemj.10.3.192. PMID 12615581. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1197/aemj.10.3.192/abstract 2012年2月10日閲覧。. 
  4. ^ Blackbourne LH (2008). Surgical Recall. Lippincott Williams & Wilkins. p. 169. ISBN 978-0781770767 
  5. ^ “Topical fat reduction from the waist”. Diabetes, obesity & metabolism 9 (3): 300–3. (May 2007). doi:10.1111/j.1463-1326.2006.00600.x. PMID 17391155. http://www.blackwell-synergy.com/openurl?genre=article&sid=nlm:pubmed&issn=1462-8902&date=2007&volume=9&issue=3&spage=300. 
  6. ^ “Aminophylline in bradyasystolic cardiac arrest”, Emerg Med J. 24 (8): 582–3, (2007), doi:10.1136/emj.2007.051342, PMC 2660094, PMID 17652689, http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2660094/ 
  7. ^ Hurley, KF; Magee, K; Green, R (23 November 2015). “Aminophylline for bradyasystolic cardiac arrest in adults.”. The Cochrane database of systematic reviews 11: CD006781. PMID 26593309. 
  8. ^ ネオフィリン錠100mg 添付文書” (2012年12月). 2016年6月2日閲覧。
  9. ^ ネオフィリン注250mg 添付文書” (2012年12月). 2016年6月2日閲覧。
  10. ^ 上釜 兼人・川島 嘉明・竹内 洋文・松田 芳久(編集)『最新製剤学(第3版)』 p.372 廣川書店 2011年3月20日発行 ISBN 978-4-567-48372-8