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アリタリア-イタリア航空

イタリアのフラッグキャリア航空会社
アリタリア航空から転送)

アリタリア-イタリア航空(アリタリア-イタリアこうくう、イタリア語: Alitalia - Compagnia Aerea Italiana S.p.A.)は、イタリア航空会社。社名の「アリタリア」は「翼」を意味する「アリ」と「イタリア」を掛け合わせた造語である.

アリタリア-イタリア航空
Alitalia - Compagnia Aerea Italiana S.p.A.
Alitalia logo 2017.png
IATA
AZ
ICAO
AZA
コールサイン
ALITALIA
法人番号 2700150006105
設立 1946年 (Aerolinee Italiane Internazionali として)
ハブ空港 ローマ・フィウミチーノ空港
焦点空港 ミラノ・マルペンサ国際空港
ミラノ・リナーテ国際空港
マイレージサービス MilleMiglia (ミッレミリア)
会員ラウンジ フレッチャアラータラウンジ
航空連合 スカイチーム
スカイチーム・カーゴ(アリタリア・カーゴ)
保有機材数 116機
就航地 86都市
親会社 Alitalia Group
本拠地 イタリア共和国フィウミチーノ
代表者 ルカ・ディ・モンテゼーモロ(会長)
外部リンク http://www.alitalia.com/
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概要編集

 
ローマ教皇搭乗機に敬礼するアメリカ軍兵士
 
かつてスポンサーとなっていたランチアストラトスラリーカー

第二次世界大戦後の1947年9月16日に設立された。当初はサヴォイア・マルケッティSM.95などの大戦時に製造された旅客機でイタリア国内線とヨーロッパ域内路線に就航し、その後ダグラス DC-6Bを長距離路線に、域内路線をビッカース バイカウントなどのプロペラ機で運航していた。1960年代以降はシュド・カラベルダグラス DC-8などのジェット機を導入し、ダグラスDC-8で日本路線へ就航した。

1969年、翌年からのボーイング747型機の導入に合わせて、国旗の色である緑・白・赤をベースに用い、会社の頭文字である「A」を尾翼に重ねるようにデザインした機体塗装を採用した。2008年にマイナーチェンジを施し従来のデザインや社名ロゴを少々変更した新塗装となり、その後2015年にも再度マイナーチェンジを施し順次塗り替えが行われている。

1975年から世界ラリー選手権ランチア・およびその親会社であるフィアットのスポンサーとなり、アリタリアカラーをまとったランチア・ストラトスおよびフィアット・131アバルトラリーは無類の強さを見せ、日本でも人気を博した。このカラーリングは1970年代のモータースポーツを象徴するカラーリングとして現在でも高い人気を誇っている。

イタリア国内路線とヨーロッパアジアアフリカ北アメリカ南アメリカ各大陸の都市に就航しており、現在は国内線やヨーロッパ域内路線、北アフリカ路線をマクドネル・ダグラスMD-82エアバスA320シリーズで、中長距離路線をボーイング767ボーイング777エアバスA330で運航している。

スカイチームへの加盟編集

世界有数の航空連合スカイチーム」のメンバーであり、2001年に加盟を果たした。なお、スカイチームへの加盟の前にはウイングス・アライアンスへの加盟を予定していた。ローマ教皇のイタリア国外への旅行の際はたいてい同航空の特別チャーター便が使われている。

経営悪化編集

同時多発テロ以降経営が著しく悪化したため、イタリア政府が株式の49%を保有し事実上国有化された。しかし、2007年7月19日にはイタリア政府のディピエトロ建設相が「売却先が見つかるのならばたとえ1ユーロ(約170円)で売却しても構わない」と発言するなど、労働組合の抵抗によりリストラ策はなかなか進まず、毎年赤字を出し続けているのが現状である。

2007年12月14日には、同じスカイチーム内で提携しているエールフランス‐KLMが同社の買収のために一株あたり0.35ユーロで入札したと発表した。競争相手で、ルフトハンザドイツ航空の事実上の傘下にあるエアワンも、同社の買収意向を見せた(エアワンの入札額は一株あたり0.01ユーロ)。

同年12月21日、アリタリア航空役員会は、エールフランス-KLMに売却先の優先交渉権を与えることを決め、続いて[1]同年12月28日、イタリア経済・財務省は、政府の所有する49.9%の株式売却について、エールフランス‐KLMと独占交渉することを決めた[2]

2008年3月に、アリタリア航空はいったんエールフランス-KLMの買収案を受け入れた[3]ものの、労働組合側が反対しており、交渉が難航した[4]。また、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相も、「エールフランス-KLMによる買収を拒否する」と発言したが、[5]その一方で、アリタリア本社の経営審議会は3月26日に満場一致でエールフランス-KLMへの売却案を可決するなど、迷走が続いていた。

結局2008年4月2日、アリタリア航空労働組合の強い反対によりエールフランス‐KLMは買収を断念、アリタリアのマウリツィオ・プラート会長も辞任した[6]

分割による経営再建編集

イタリア政府は、航空事業会社と清算対象会社に分割し、収益の見込める部分を航空事業会社に引き継ぐ方針を固めた[7]。2008年8月29日、アリタリア航空は分割案に同意し、約1,800億円の負債を抱えて会社更生手続きに入った [8][9][10][11]

分割後の航空事業部門会社はベネトンや大手銀行などの投資を受け入れ、約7,000人の人員削減をする[12][13]。ヨーロッパ域内はエアワン、長距離国際線はエールフランス‐KLMルフトハンザドイツ航空などと提携する計画である[14]。9月18日、労働組合の反発があることから、イタリア国内の投資グループは再建計画から撤退した[15][16]

9月22日、支援企業を公募することになったが、支援先が決まらなければ運航停止、清算手続きに入る[17]。また、再建策を提示しなければ、イタリアの航空当局から運航免許の停止もありうる状況であった[18]。9月26日、主要な労働組合が合意したため、分割救済案が実施されることとなった[19]。 分割後の新会社は「イタリア航空」として10月15日に発足した。

2009年1月13日に同社は公式サイトで無事完全民営化を果たし、名称も「アリタリア-イタリア航空会社」に変更、新会社として運航を開始したと発表した。同時に、会社の住所や電話番号、主なスケジュールの変更は無く、従来通り利用できる事も明言している。

エティハド傘下へ編集

しかしその後も経営難は続き、2013年にはイタリア郵政公社などが第三者割当増資を引き受ける形で追加出資を行うが、当時の筆頭株主だったエールフランス-KLMは追加出資を見送ったため持株比率が低下し、実質的に同社傘下から外れた。そこで2014年2月にはアブダビエティハド航空による出資話が浮上[20]。最終的に同年8月にエティハドがアリタリアの株式の49%を取得し、実質的にエティハド傘下に入る方針が明らかにされた[21]

2014年12月には、同年経営を巡る対立で退任したイタリアの自動車メーカーフェラーリの前会長のルカ・ディ・モンテゼーモロ会長に就任した[22]。2015年6月4日に新塗装を発表[23]。胴体のグリーンラインを消去したほか、「Alitalia」ロゴが下側へ移動した。

再度の経営破綻編集

ところがエティハド傘下となった後も経営悪化は止まらず、2017年にはまたも経営危機に瀕する。同年3月にはモンテゼーモロが経営不振の責任を取る形で会長を辞任。4月には社員数削減・給料カットなどを柱とした経営再建策がまとめられたが従業員投票で否決されたため、5月2日に特別管財人による経営管理を申請し事実上倒産した[24][25]。なお営業は継続している。

再びイタリア政府管理下となった同社について、政府は同年10月に再建に向けたスポンサー募集を行い、ルフトハンザドイツ航空イージージェットなど7陣営が入札を行った[26]。ただスポンサー選定は難航しており、イタリアの政局も絡み数度の延期を繰り返した挙げ句、全く目処が立たない状況が続いた[27]。経営再建中ではあるものの、2018年3月には全日本空輸(ANA)との包括提携を発表、同年10月末よりコードシェア便の運航を開始[28]。また同年6月にはアルベルタ・フェレッティがデザインした新制服を発表した[29]

FS・デルタ・アトランティアによる経営再建へ編集

2019年に入り、イタリア国鉄(フェッロヴィーエ・デッロ・スタート、FS)主導で経営を再建する案が浮上し[30]、最終的に同年7月、イタリアで空港・高速道路等の管理を行っているアトランティア、そして同じスカイチーム陣営に属するデルタ航空がスポンサーとなり、FSと共同で経営を行う方針が内定した[31]

就航都市編集

保有機材編集

運航機材編集

2019年9月現在、アリタリア‐イタリア航空の機材は以下の通りである。

アリタリア‐イタリア航空 運航機材一覧[33]
機材 運用機数 発注機数 座席数 備考
B PY Y Total
エアバスA319-100 22 48 96 144
144 144
エアバスA320-200 38 51 120 171 うち1機は機体全体に従業員のサインが書かれている
171 171
54 120 174
174 174
180 180
エアバスA321-100 10 42 158 200
200 200
エアバスA330-200 14 22 17 217 256 うち1機はスカイチーム特別塗装機
22 240 262
ボーイング777-200ER 11 30 24 239 293 うち1機はスカイチーム特別塗装機
ボーイング777-300ER 1 30 24 328 382
アリタリア・シティライナー
エンブラエル175 15 12 76 88
88 88
エンブラエル190 5 16 84 100 うち1機はスカイチーム特別塗装機
100 100
116 0

同社が発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は43で、航空機の形式名は 767-343ER, 777-243ER などとなる。

退役機材編集

2001年、ボーイング747-400を在来型747の後継機として5機発注したが、経営悪化によりキャンセルし、機材はヴァージン・アトランティック航空へ転売された。

退役機材画像編集

サービス編集

 
MD-82の機内
座席にも緑色 (Verde;ヴェルデ) が使われている

機内サービス編集

日本路線には、ビジネスクラスとして「マニフィカ (magnifica) 」と「オッティマ (ottima)」、エコノミークラスとして「クラシカ (classica)」と「クラシカプラス (classica plus)」が設定されている。なお、全ての日本便に日本人客室乗務員が複数名乗務している。

「クラシカプラス(classica plus)」は別名「プレミアム・エコノミー」として案内されており、一般のエコノミーより広いシートピッチ (+20%)と幅で提供されている。専用チェックインカウンター・受託手荷物が2個(1個最大23kg)まで無料・機内優先搭乗のサービスを受けることが出来るが、機内での飲食についてはエコノミーと同一である。シートにはUSB端子があり、ポータブル機器の充電が可能である。

ハネムーンで利用する場合、搭乗の7日前までに手配すると食事内容が特別メニューとなるサービスがある。また、「マニフィカ」をフルムーンで利用すると、食事後に特製ケーキが付く。こちらも搭乗の7日前までに手配が必要。いずれも日本発のアリタリア-イタリア航空による運航においてのみのサービスである。

マイレージ編集

マイレージサービスである「ミッレミリア」は、大韓航空やデルタ航空、エールフランス航空などのスカイチーム加盟航空会社のほか、カンタス航空と提携している。

日本路線編集

1960年代に、ダグラスDC-8によりローマから南回りで東京(羽田)空港に乗入れを開始した。その後機材をボーイング747やマクドネル・ダグラスDC-10に変更するとともに、1978年に成田国際空港開港後は乗入れ先を成田に変更。またその後、大阪にも乗入れを開始した。

1990年代には全ての便を直行便化するとともに、機材をマクドネル・ダグラスMD-11やボーイング767-300に変更し、現在はすべてボーイング777で運航されている(エアバスA330に機材変更する場合もある)。2012年6月現在、成田国際空港からのローマ便はデイリー運航の週10便、ミラノ便は週4便が運航。

2014年4月2日に成田 - ヴェネツィア線に就航した[34][35]ことに伴い、成田 - ローマ線を週10便から週7便に減便。捻出された週3便のうち週2便を成田 - ヴェネツィア線に振り分けたほか、成田 - ミラノ・マルペンサ線を週4便から週5便に変更した。しかし同社の経営再建を目的に、2015年3月28日をもって関西 - ローマ線と成田 - ヴェネツィア線を運休させた[36][37]。一方、成田 - ミラノ線は翌3月29日より週5便から週7便へ増やし、成田 - ローマ線と併せてダブルデイリー体制を維持する[38]

  • 東京(成田国際空港) - ローマ(フィウミチーノ国際空港) : 週7便
  • 東京(成田国際空港) - ミラノ(マルペンサ国際空港) : 週7便

2020年3月下旬より、成田 - ローマ線は東京/羽田 - ローマ線に移行[39]することになり(※成田 - ミラノ線はそのまま)、同社の東京国際空港発着の定期便が42年ぶりに復活することとなる。

事故編集

不祥事編集

ローマ(フィウミチーノ空港)からカラブリア州への便で荷物の紛失が多発。2013年5月3日にローマ(フィウミチーノ国際空港)で機内預けの荷物を盗んだとして、社員49人が逮捕される[42]。さらに、ミラノ・リナーテ国際空港ナポリ・カポディキーノ国際空港でも同様の事件があり、37人が逮捕、ローマの件と合わせて計86人が逮捕された。イタリアの警察は、1年半をかけて捜査を行なっていた[43]

脚注編集

  1. ^ エールフランスKLMに優先交渉権、アリタリア株の売却でエールフランスKLMに優先交渉権、アリタリア株の売却で (CNN)
  2. ^ エールフランスKLMとの売却交渉を承認、アリタリア株式 (CNN)
  3. ^ アリタリア航空:エールフランスの買収案受け入れ - 毎日jp(毎日新聞)
  4. ^ エールフランスKLMと労組交渉が決裂と、アリタリア買収
  5. ^ エールフランス側の買収拒否、アリタリア航空で前首相(CNN)
  6. ^ AF・KLグループ、アリタリア航空の買収断念-リストラに労組の同意得られず
  7. ^ アリタリア航空を分割救済か、伊政府が方針と報道 日本経済新聞
  8. ^ イタリア:アリタリア航空が経営破たん - 毎日新聞
  9. ^ 伊・アリタリア航空、更生申請 政治介入で再建迷走 - 朝日新聞
  10. ^ 経営再建の伊アリタリア航空、会社更生手続きの開始 - CNN
  11. ^ 伊アリタリア航空破たん回避へ 分割案承認 - 産経新聞
  12. ^ アリタリア航空:破綻、負債総額1760億円 - 毎日新聞
  13. ^ アリタリア航空、分割救済策受け入れ 欧州航空大手と提携へ - 日本経済新聞
  14. ^ 「新生アリタリア」出資に前向き エールフランス-KLM - 日本経済新聞
  15. ^ アリタリア、再生困難な情勢に 投資家グループが救済策撤回 日本経済新聞
  16. ^ アリタリア航空再建、ベネトンなど撤退 運航停止の危機 朝日新聞
  17. ^ アリタリア航空、買収で公開入札実施へ=地元メディア 時事通信
  18. ^ 伊アリタリア航空、再建策を提示しなければ数日以内に免許停止=当局
  19. ^ アリタリア航空分割へ 主要労組が救済案合意 共同通信
  20. ^ アリタリア航空再建、UAEエティハド航空が出資へ - 日本経済新聞・2014年2月3日
  21. ^ エティハド航空、アリタリア株49%取得で合意 - ウォール・ストリート・ジャーナル 2014年8月9日
  22. ^ 前フェラーリ会長モンテゼーモロ氏、アリタリア航空の会長に - レスポンス(2015年4月27日閲覧)
  23. ^ [1]
  24. ^ 苦境のアリタリア航空 救済か破たんかに揺れるイタリア - NewsWeek・2017年5月7日
  25. ^ アリタリア-イタリア航空、事業再建手続きへ--運航やサービス等は継続 - マイナビニュース・2017年5月8日
  26. ^ 伊アリタリア再建 ルフトハンザなど7陣営が名乗り - 日本経済新聞・2017年10月17日
  27. ^ 伊政局混迷、アリタリア航空再建に影 売却交渉再び延期 - 日本経済新聞・2018年5月2日
  28. ^ 経営破綻中のアリタリア ANAとの提携の先にあるものは - 乗りものニュース・2018年4月9日
  29. ^ アルベルタ フェレッティがアリタリア航空の制服をデザイン - Fashionsnap.com・2018年6月20日
  30. ^ アリタリア航空の再建、デルタ主導 伊政府が交渉継続、英LCCは撤退 - SankeiBiz・2019年3月29日
  31. ^ アリタリア再建へ、伊国鉄やデルタ航空が参画 - 日本経済新聞・2019年7月20日
  32. ^ http://airlineroute.net/2016/02/02/az-mex-jun16/
  33. ^ 機材”. 2019年10月4日閲覧。
  34. ^ アリタリア航空、成田/ヴェネツィア線就航で恋するベニスキャンペーン FlyTeam 2013年9月20日付
  35. ^ 20/09/2013 2014年4月より東京-ヴェネツィア間直行便就航 アリタリア-イタリア航空ホームページ
  36. ^ アリタリア航空、大阪/関西から撤退 東京/成田〜ヴェネツィア線と大阪/関西〜ローマ線を運休
  37. ^ [2]
  38. ^ アリタリア航空、東京/成田〜ミラノ線を増便 来年3月29日より
  39. ^ [3]
  40. ^ 乱気流で乗務員3人けが 成田着のアリタリア航空機
  41. ^ 韓国LCCも降下中に揺れ=乗務員1人重傷-成田空港 2019年05月04日09時26分 時事通信
  42. ^ “ローマ空港、消える預け荷 アリタリア社員49人逮捕”. 朝日新聞. (2013年5月4日). http://www.asahi.com/international/update/0504/TKY201305040005.html 2013年5月5日閲覧。 
  43. ^ “アリタリア航空の係員ら86人逮捕、乗客の荷物盗む 伊”. CNN. (2013年5月5日). http://www.cnn.co.jp/world/35031663.html 2013年5月5日閲覧。 

関連項目編集

外部リンク編集

  • Alitalia(イタリア語)(英語)(日本語)