アルコール先生公園の巻
『アルコール先生公園の巻』(In the Park) は、1915年公開の短編サイレント映画。エッサネイ社による製作で、主演・監督はチャールズ・チャップリン。チャップリンの映画出演40作目にあたる[注釈 1]。 作品の内容は、キーストン調のストーリーパターンに基づいた「公園もの」の一つであり、「チャーリー」もこの作品に関しては、ほとんどの場面において嫌われ者に徹する[1]。英国映画協会のアーカイブでは、キーストン時代の『恋の二十分』のリメイク作品に位置づけられている[2]。
アルコール先生公園の巻 | |
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In the Park | |
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監督 | チャールズ・チャップリン |
脚本 | チャールズ・チャップリン |
製作 | ジェス・ロビンス |
出演者 |
チャールズ・チャップリン エドナ・パーヴァイアンス レオ・ホワイト ロイド・ベーコン バド・ジェイミソン アーネスト・ヴァン・ペルト |
撮影 | ハリー・エンサイン |
配給 | エッサネイ・スタジオ |
公開 | 1915年3月18日 |
上映時間 | 15分 |
製作国 |
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言語 |
サイレント映画 英語字幕 |
あらすじ編集
公園をうろついていたチャーリーは、子守をするエドナに色目を使うが、恋人(バド・ジェイミソン)が登場してあえ無く断念。そこへ熟年カップルを狙ってスリをはたらく浮浪者が、女性のハンドバッグを失敬した。チャーリーの方はホットドッグを内緒に失敬するが、それも浮浪者に取られる。仕返しにステッキでハンドバッグを頂戴してエドナを喜ばせようとプレゼントするが、巡回中の警官に止められる。ハンドバッグの所有者である女性は、盗まれたことに気づき彼と絶交宣言する。打ちひしがれた紳士は池に身投げしようとチャーリーを呼び止めるが、そこへエドナの恋人と警官も追い付き、バッグの持ち主確認を急ぐ。進退窮まったチャーリーは、二人とも池に蹴落としてしまった[1][2][3]。
背景編集
エッサネイ社はネガを使って編集を行うことを常としていたが、自分のフィルムに他人の手がつくことをよしとしないチャップリンは、これが不満であった[4]。そこで、エッサネイ社はチャップリンの求めに応じて編集用のプリンターを発注するが到着が遅れたため、当時製作中の『チャップリンの拳闘』の編集に取りかかることができなかった[5]。中断期間は三週間におよび、『アルコール先生公園の巻』はその間の埋め合わせの意味で製作されたとチャップリンの伝記を著した映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは推測している[5]。ロビンソンはまた、チャーリーがエドナにキスをされてはしゃぐシーンは、『サニーサイド』(1919年)や『モダン・タイムス』(1936年)の先駆を成していると論じている[1]。
キャスト編集
脚注編集
注釈編集
- ^ 1914年製作、2010年発見の『泥棒を捕まえる人』を含む。1971年に映画研究家ウノ・アスプランドが制定したチャップリンのフィルモグラフィーの整理システムでは39作目(#大野 (2007) p.252)
出典編集
- ^ a b c #ロビンソン (上) p.183
- ^ a b #BFI
- ^ #Imdb
- ^ #ロビンソン (上) pp.182-183
- ^ a b #ロビンソン (上) p.182
参考文献編集
- チャールズ・チャップリン 『チャップリン自伝』中野好夫(訳)、新潮社、1966年。ISBN 4-10-505001-X。
- デイヴィッド・ロビンソン 『チャップリン』 上、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347430-7。
- デイヴィッド・ロビンソン 『チャップリン』 下、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347440-4。
- 大野裕之 『チャップリン再入門』日本放送出版協会、2005年。ISBN 4-14-088141-0。
- 大野裕之 『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年。ISBN 978-4-14-081183-2。
外部リンク編集
- In the Park - IMDb(英語)
- アルコール先生公園の巻 - インターネット・アーカイブ
- “39. In the Park (1915)” (英語). BFI Homepage - Chaplin Home. 英国映画協会. 2013年5月8日閲覧。