アルピーヌF1Alpine F1)は、フランスの自動車ブランド「アルピーヌ」の名を冠したF1コンストラクター。前身ルノーF1チームから改称し、リニューアルして誕生した。運営はアルピーヌ・レーシング Ltd.。

アルピーヌ・ルノー
フランスの旗 Alpine
エントリー名 BWT・アルピーヌF1チーム
チーム国籍 フランスの旗 フランス
チーム本拠地 イングランドの旗 イングランド
オックスフォードシャー州エンストン(運営・車体部門)
フランスの旗 フランスヴィリー=シャティヨン(エンジン部門)
チーム代表者 フィリップ・クリーフ(アルピーヌ本社CEO)
ブルーノ・ファミン(暫定チーム代表)
テクニカルディレクター ジョー・バーネル(車体部門)
エリック・メイニャン(PU部門)
2024年のF1世界選手権
ドライバー 31. フランスの旗 エステバン・オコン
10. フランスの旗 ピエール・ガスリー
テストドライバー オーストラリアの旗 ジャック・ドゥーハン
シャーシ A524
エンジン ルノー E-Tech RE24
タイヤ ピレリ
F1世界選手権におけるチーム履歴
参戦年度 2021 -
出走回数 66
コンストラクターズ
タイトル
0
ドライバーズ
タイトル
0
優勝回数 1
通算獲得ポイント 448
表彰台(3位以内)回数 4
ポールポジション 0
ファステストラップ 0
F1デビュー戦 2021年バーレーンGP
初勝利 2021年ハンガリーGP
2023年順位 6位 (120ポイント)
(記録は2023年最終戦アブダビGP終了時)
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2024年現在のエントリー名は『BWT・アルピーヌF1チーム』(BWT Alpine F1 Team)[1]

概要 編集

2020年まで「ルノーF1チーム」として参戦していたフランスの自動車メーカー・ルノーは、翌2021年シーズンより傘下の自動車メーカー・アルピーヌの名を冠した『アルピーヌF1チーム』にコンストラクターの改変を発表[2]。運営をルノー・スポールからアルピーヌ・レーシング・リミテッド(アルピーヌ・カーズ)に改称し[3][4]、ルノー・スポール会長ジェローム・ストールは退任[5]、チーム代表だったシリル・アビテブールも解任して組織を一新した。

設立初期の人事ではアルピーヌ本社のCEO(当時)ローラン・ロッシが指揮を執り、ダビデ・ブリビオ(元スズキMotoGPチーム代表)や[6]オトマー・サフナウアー(元レーシング・ポイントおよびアストンマーティンF1チーム代表)[7]らを招聘するなど有力な幹部を配置。車体やエンジン製造それぞれにテクニカルディレクターを配して、より効率的な分業化を強めている。

なおパワーユニットを供給しているアルピーヌ・レーシング社(Alpine Racing SAS)は、フランス・ヴィリー=シャティヨンに所在。かつてのルノー・スポールのエンジン開発部門であり、1970年代からエンジン・パワーユニットの開発を担当している。イギリスエンストン英語版でチーム運営、F1車両の車体を開発しているアルピーヌ・レーシング社(Alpine Racing Ltd.[8]。かつてのベネトン・ルノーF1チーム・ロータスF1チーム)とは法人として別会社となっている[9]

他の有力チーム同様、自社傘下のドライバー育成組織としてアルピーヌ・アカデミーを持つが、近年は育成ドライバーが他チームに流出するケースが多く(オスカー・ピアストリ/周冠宇など)、運営体制が問題となっている。

シーズン 編集

2021年 編集

今シーズンよりアルピーヌF1チームとして参戦。ドライバーは残留するエステバン・オコンと、今季からF1に復帰するフェルナンド・アロンソ[1]

オコンが、第11戦ハンガリーGPルイス・ハミルトンを抑えて自身とチームの初優勝を飾った。

2022年 編集

メインスポンサーとして、前年までアストンマーティンF1のスポンサーだった、オーストリアのBWTを迎える。それに伴いエントリー名も「BWT・アルピーヌF1チーム」となった。アストンマーティンF1からは他にもオトマー・サフナウアーが移籍しチーム代表となる一方で、エグゼクティブディレクターのマルチン・ブコウスキー、アドバイザーのアラン・プロストらが離脱するなど、チーム首脳陣の入れ替えが進んだ[10]

シーズン半ばにはアロンソが同年末でチームを離脱しアストンマーティンに移籍する意向を発表。それに伴いチームは育成ドライバーのオスカー・ピアストリの昇格を一度は発表するものの、ピアストリは「アルピーヌF1とは有効なドライバー契約を結んでいない」としてマクラーレンと契約済みであることを発表した。最終的に同年9月、国際自動車連盟(FIA)のドライバー契約承認委員会(CRB)が「ピアストリとマクラーレンとの契約が有効である」と認めたため、チームは代わりのドライバー探しを余儀なくされる[11]。結局チームは、既にアルファタウリとの契約延長を発表済みであったピエール・ガスリーを引き抜くことを決め、同年10月にガスリーとの複数年契約を公表した[12]

2023年 編集

ドライバーはオコンが残留し、アルファタウリから移籍のガスリーとコンビを組む。しかし成績は中位から抜け出せない状況が続く。

6月、アメリカの投資家グループに、アルピーヌF1チームを運営するアルピーヌ・レーシング・リミテッドの株式の24%を売却し、2億ユーロ(約312億円)の出資を受けることを発表した。なお、今回の投資家グループによる出資はイギリス・エンストンのアルピーヌ・レーシング・リミテッドに対してのみであり、フランスでF1パワーユニットの製造を手がけるアルピーヌ・レーシングSASは引き続き、ルノーグループが株式の100%を保有する[9]

7月に入ると、チームは矢継ぎ早に体制変更を発表する。7月10日にはアルピーヌのモータースポーツ担当副社長にブルーノ・ファミンが就任[13]。続く7月21日にはアルピーヌ本社のCEOがローラン・ロッシからフィリップ・クリーフに交代することが発表され[14]、さらにその翌週の7月28日にはチーム代表のサフナウアー、スポーティングディレクターのアラン・バーメイン、最高技術責任者(CTO)のパット・フライの3人がベルギーGP後に退任することも明らかにされた[13]。後任の暫定チーム代表にはファミンが就く[13]

2024年 編集

ドライバーはオコンとガスリーが残留。

車両ギャラリー 編集

パワーユニット型(2021年)

グラウンドエフェクト型(2022年 - )

戦績 編集

シャシー エンジン タイヤ No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 ポイント ランキング
2021年 A521[15] ルノー E-Tech 20B P BHR EMI POR ESP MON AZE FRA STM AUT GBR HUN BEL NED ITA RUS TUR USA MEX SÃO QAT SAU ABU 155 5位
14   アロンソ Ret 10 8 17 13 6 8 9 10 7 4 11 6 8 6 16 Ret 9 9 3 18 8
31   オコン 13 9 7 9 9 Ret 14 14 Ret 9 1 7‡ 9 10 14 10 Ret 14 8 5 4 9
2022年 A522 ルノー E-Tech RE22 P BHR SAU AUS EMI MIA ESP MON AZE CAN GBR AUT FRA HUN BEL NED ITA SIN JPN USA MEX SÃO ABU 173 4位
14   アロンソ 9 Ret 17 Ret 11 9 7 7 9 5 10 6 8 5 6 Ret Ret 7 7 19† 5 Ret
31   オコン 7 6 7 14 8 7 12 10 6 Ret 5 8 9 7 9 11 Ret 4 11 8 8 7
  • 太字ポールポジション斜字ファステストラップ。(key)
  • † 印はリタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
  • ‡ ハーフポイント。レース周回数が75%未満で終了したため、得点が半分となる。

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b 2024 FIA FORMULA ONE WORLD CHAMPIONSHIP ENTRY LIST” (英語). FIA (2024年1月24日). 2024年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月13日閲覧。
  2. ^ ルノーが2021年から『アルピーヌF1チーム』に名称変更。マシンカラーも一新へ | F1 | autosport web”. AUTO SPORT web (2020年9月6日). 2021年1月14日閲覧。
  3. ^ 2021年F1エントリーリスト:レッドブルの正式チーム名に「ホンダ」が加わる”. autosport web (2021年3月24日). 2021年3月24日閲覧。
  4. ^ ルノースポール・カーズをアルピーヌ・カーズに再編”. レスポンス (2021年5月11日). 2021年6月1日閲覧。
  5. ^ ルノー・スポールの社長が2020年限りで退任。F1フルワークス復活に貢献”. motorsport.com (2020年12月16日). 2021年8月11日閲覧。
  6. ^ スズキ戴冠後にアルピーヌF1へ移籍……「断っていれば後悔しただろう」とダビデ・ブリビオ”. motorsport.com (2021年3月3日). 2022年2月22日閲覧。
  7. ^ アルピーヌF1、新代表サフナウアーの加入を正式発表。新体制構築で、PU開発責任者に元FIA上級職員が就任”. autosport web (2022年2月18日). 2022年2月22日閲覧。
  8. ^ ALPINE RACING LIMITED”. GOV.UK. 2023年11月22日閲覧。
  9. ^ a b アルピーヌF1、ハリウッド俳優も参画するアメリカの投資家グループに株式の24%を売却。約312億円を調達”. autosport web. 2023年6月26日閲覧。
  10. ^ アルピーヌF1チーム離脱についてプロストがコメント。正式発表前の情報漏洩に不快感 - オートスポーツ・2022年1月18日
  11. ^ ピアストリを失ったアルピーヌF1「新ドライバーは追って発表」レッドブル首脳はガスリーをめぐり交渉中と認める - オートスポーツ・2022年9月3日
  12. ^ ガスリーのアルピーヌF1加入が正式発表、2023年からの複数年契約を締結。アルファタウリはデ・フリースと契約 - オートスポーツ・2022年10月8日
  13. ^ a b c アルピーヌF1がサフナウアー代表をはじめとする上級職員3人の離脱を発表。パット・フライはウイリアムズに移籍 - オートスポーツ・2023年7月28日
  14. ^ アルピーヌ、組織改編に続いてCEO交代を発表。ローラン・ロッシが退任し新CEOにフィリップ・クリーフ就任 - motorsport.com 2023年7月21日
  15. ^ ルノー改めアルピーヌF1、ニューマシン『A521』の暫定カラーリングを公開。新車発表は2月”. jp.motorsport.com. 2021年1月15日閲覧。

外部リンク 編集