アルベール・デュボワ=ピエ

アルベール・デュボワ=ピエ(Albert Dubois-Pillet、1846年10月28日 - 1890年8月18日)はフランスの軍人、新印象派の画家である。アンデパンダン美術協会の創立に貢献した。「点描主義」の最初の導入者の一人である。

アルベール・デュボワ=ピエ
Albert Dubois-Pillet
誕生日 1846年10月28日
出生地 フランスの旗 フランス,パリ
死没年 1890年8月18日
死没地 フランスの旗 フランス,ル・ピュイ=アン=ヴレ
運動・動向 新印象派
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略歴 編集

パリで資産家の商人の息子に生まれた。生まれて間もなく家族とトゥールーズに移り、トゥールーズで育った。士官学校を卒業し、軍人としての経歴を重ねた[1][2]。姓のデュボワ=ピエは、画家としての活動を軍に隠すために1884年頃から、母親の姓のピエを付加して作品に「Dubois-Pillet」とサインするようになったことに始まっている[3]

1867年にサン・シール陸軍士官学校を卒業した。1870年からの普仏戦争に従軍しセダンの戦いで敗北し、プロイセン軍の捕虜となった。釈放後、陸軍士官に復帰し、1870年代に各地の勤務した後、1880年頃からパリの共和国守備隊(a Garde Républicaine)に勤務した[1][2]

画業は、公的な教育は受けず独学であったが、才能は認められた。1877年に静物画が、サロン・ド・パリに出展が受け入れられ、1879年にも出展された。パリ勤務になった後、作風が実験的になり、1880年から1883年の間はサロン・ド・パリで落選した[1][2]

1881年に作品、「死んだ子供」(Enfant Mort)をテュイルリー宮殿の展覧会に出展した。この絵は小説家のエミール・ゾラに着想を与え1886年の小説『制作』(L'Œuvre)の主人公の画家の行動に反映されたとされる[4]

テュイルリー宮殿の展覧会は、1863年に開かれた「落選展」同様、一回限りの企画であったが、デュボワ=ピエはサロン・ド・パリに代わる展覧会をつくる構想を持ち[5]、他の出展者と協議し、ジョルジュ・スーラポール・シニャックオディロン・ルドンとアンデパンダン美術協会の創立企画者となった。組織をつくり、手早く設立趣意書を書き上げ、1884年7月29日にアンデパンダン美術協会は公式に結成され、1884年12月1日に第1回のアンデパンダン展が開かれた[5][6] 。デュボワ=ピエは自らの人脈を利用して、会場の確保などを行い1888年まで主催者を務め[7]、1889年まで、毎年出展した。

1885年ころから、スーラらの影響を受けて「点描」技法による絵画制作を始めるようになった。翌年にはデュボワ=ピエのスタジオは新印象派の主だったメンバーが集める場所となった.[7]

1886年に軍上層部から、作品の出展を止め、アンデパンダン美術協会を退会するように命令されたが、命令を軽視した。アンデパンダン展の運営と出展を続け、1886年にはナントの展覧会、1888年と1889年にはベルギーの「20人展」にも出展した[1][7]。1888年には個展も開き、多くの出版物に取り上げられた[7]

1889年末、軍はデュボワ=ピエをフランス南部、オート=ロワール県ル・ピュイ=アン=ヴレの部隊に転属させた。命令に従わないデュボワ=ピエに対する処置であったとされる[1][3][7]。駐在地のまわりの協会や風景がデュボワ=ピエの最後の絵の題材となった。翌年、天然痘の流行によって43歳で没した[5]

作品 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c d e Clement, p. 357.
  2. ^ a b c Clement, p. 359.
  3. ^ a b Albert Dubois-Pillet”. J. Paul Getty Museum. 2014年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月6日閲覧。
  4. ^ Nochlin, Linda (1991). Style and Civilization: Realism. Penguin Books Limited. ISBN 9780141937021. https://books.google.com/books?id=AcGQCpTzjBoC&pg=PR8 2014年1月11日閲覧。 
  5. ^ a b c Gray, John (6 September 1890). “Obituary: Dubois-Pillet”. The Academy: A Weekly Review of Literature, Science, and Art. 38. London: Academy Publishing Company. p. 205. https://books.google.com/books?id=8RwcAQAAMAAJ&pg=PA205 
  6. ^ History”. Société des Artistes Indépendants. 2014年1月7日閲覧。
  7. ^ a b c d e Clement, p. 360.

参考文献 編集

  • Clement, Russell T.; Houzé, Annick (1999). Neo-Impressionist Painters: a Sourcebook on Georges Seurat, Camille Pissarro, Paul Signac, Théo Van Rysselberghe, Henri Edmond Cross, Charles Angrand, Maximilien Luce, and Albert Dubois-Pillet. Westport, CT: Greenwood Press. ISBN 0-313-30382-7. Retrieved 6 January 2014.