アレクサンダー・デ・クロー

アレクサンダー・デ・クロー(フランス語:Alexander De Croo1975年11月3日 - )は、ベルギーの実業家、政治家。同国第71代首相(在任:2020年10月1日 - 現職)。姓の"De Croo"は、デクロー[1]の他にフランス語式にド・クロー[2]ドゥ=クロー[3]とも表記される。

アレクサンダー・デ・クロー
Alexander De Croo
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2017年9月11日
生年月日 (1975-11-03) 1975年11月3日(47歳)
出生地 ベルギーの旗 ベルギー ヴィルヴォールデ英語版
出身校 ブリュッセル自由大学M.Sc.
ノースウェスタン大学MBA
所属政党 フラームス自由民主
配偶者 アニク・ペンダース
子女 2人
公式サイト Alexander De Croo

在任期間 2020年10月1日 - 現職
国王 フィリップ

ベルギーの旗 ベルギー
財務大臣
在任期間 2018年12月9日 - 2020年10月1日
首相 シャルル・ミシェル
ソフィー・ウィルメス

ベルギーの旗 ベルギー
副首相
在任期間 2012年10月22日 - 2020年10月1日
首相 エリオ・ディルポ
シャルル・ミシェル
ソフィー・ウィルメス

ベルギーの旗 ベルギー
年金大臣
在任期間 2012年10月22日 - 2014年10月11日
首相 エリオ・ディルポ
シャルル・ミシェル
ソフィー・ウィルメス

ベルギーの旗 ベルギー
開発協力大臣
在任期間 2014年10月11日 - 2020年10月1日
首相 シャルル・ミシェル
ソフィー・ウィルメス

その他の職歴
Open VLD.svg フラームス自由民主党首
2009年12月12日 - 2012年10月22日
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概説編集

1975年11月3日にフラームス=ブラバント州ヴィルヴォールデ英語版で誕生し、ブリュッセル自由大学ビジネスエンジニアリングを学んだ後、ノースウェスタン大学MBAを取得した。ボストン・コンサルティング・グループに勤務した後、2006年にダーツ・イップ社を設立した。デ・クローは、ベルギーの政党であるフラームス自由民主に参加し、2009年から2012年まで同党の党首を務めた。2012年から2020年までベルギーの副首相として、エリオ・ディルポシャルル・ミシェルソフィー・ウィルメスの各政権で活躍した。

副首相在任中、2012年から2014年まで年金大臣、2014年から2020年までは開発協力大臣、2018年から2020年までは財務大臣を務めた。2019年の連邦選挙から1年以上経過した2020年10月1日にウィルメスの少数派政権に代わってデ・クロー政権が成立し、デ・クローが首相に就任した。

初期の人生とキャリア編集

1975年11月3日にベルギーのフラームス=ブラバント州ヴィルヴォールデで[4]、政治家で国務大臣のヘルマン・デ・クロー英語版とその妻のフランソワーズ・デスガンの間に誕生した[5]。1993年にブリュッセル自由大学に入学し、1998年にビジネスエンジニアリングを専攻して卒業した。2002年にアメリカ合衆国イリノイ州エバンストンのノースウェスタン大学に入学し、2004年にケロッグ経営大学院でMBAを取得した。政治家になる前の1999年には、ボストン・コンサルティング・グループでプロジェクトリーダーを務めた。2006年には知的財産権の専門家へのサービス提供を専門とするDarts-ipという新会社を設立した[6]

政治キャリア編集

2009年に政治に初めて参加し、デ・クローは2009年欧州議会議員選挙で47,000票以上を獲得した[7]。10月26日にデ・クローはフラームス自由民主の党首候補となり、暫定党首であるヒー・フェルホフスタットの後継者となった。ヴァンサン・ヴァン・クイッケンボルネ英語版パトリシア・セイセンス英語版を候補者に選び、マリノ・クーレン英語版グウェンドリン・ルッテン英語版に対抗した。12月12日に行われた第2回投票では11,676票を獲得し、クーレンの9,614票を上回り党首に選出された[8]。政治家としての経験がほとんど無い彼の当選は注目された。彼の父親が政治家であったため、政治家で無い人々はこれを縁故主義と呼んだ[9][10]

政治的危機編集

党首に選出されてから5ヶ月後、デ・クローはブリュッセル=ハレ=ヴィルヴォールデ英語版の投票問題における憲法上の論争に解決が見られない場合、フラームス自由民主を連立政権から離脱させると脅した。期限が過ぎた後同党は政権から離脱し、当時のイヴ・ルテルム首相は政府の辞任を発表し、2010年4月26日、国王アルベール2世がこれを受け入れた[11]。2010年の上院議員選挙で、デ・クローはオランダ語圏の選挙区で3番目に多い30万1000票以上を獲得し[7]、2012年10月22日まで上院議員を務めた[12]

内閣でのキャリア編集

ディルポ内閣編集

2012年10月22日にディルポ政権において、ヴァンサン・ヴァン・クイッケンボルネがコルトレイク市長に就任するため辞任した後、デ・クローはクィッケンボルネの後任として副首相兼年金大臣に就任した[13][14]。12月には、グウェンドリン・ルッテンがフラームス自由民主の新議長に選出された[15]

ミシェル内閣編集

2014年のベルギー連邦選挙とその連邦政府成立後、新たに成立したミシェル政権で副首相に留まることが決定した。デ・クローは開発協力・デジタルアジェンダ・電気通信・郵政大臣となり[16][17]ダニエル・バクレーヌ英語版が後任として年金担当大臣となった[17]。この政権は2014年10月11日に発足した[18]

デ・クローの任期中、ベルギーは2015年からブルンジ暴力的なデモが始まった後、ブルンジへの政府開発援助を停止した最初の国となった[19]。2017年、デ・クローはアフリカ睡眠病の撲滅のために2025年まで2500万ユーロの支援を確約した[20]。アメリカのトランプ大統領による「メキシコシティ政策」の再導入に反発した「She Decides」運動の創設者の一人でもある[21]

国際連合の「移民のためのグローバル・コンパクト」を巡って政権内で意見が対立し、新フラームス同盟が連立政権から離脱したため、2018年12月9日に政権は「ミシェルII」と呼ばれる少数派政権となった[22]。デ・クローはヨハン・ファン・オーフェルトフェルト英語版の後任として財務大臣に就任した[23]

2018年12月に南アフリカ共和国ヨハネスブルグで開催された「Global Citizen Festival Mandela 100」のコンサートで、デ・クローはステージに立った。これは、7億8,000万ユーロのコミットメントを集めた女性の権利のための国際キャンペーン「#SheIsEqual」の最終イベントだった[24]

ウィルメス内閣編集

ソフィー・ウィルメス首相の臨時政権下では、新型コロナウイルスに対処するための金融刺激策や、2020年にブリュッセル航空を救うための契約を監督した[25]エフベルト・ラハールトオランダ語版と共にフラームス自由民主共同副党首に選出された[26]

首相編集

2020年9月23日にデ・クローとポール・マニェット英語版社会党)は国王から任命され、連立政権を樹立した[27]。2020年9月30日にデ・クローがウィルメスの後を継いでベルギー首相に就任することが発表された[28]。デ・クロー政権はこれまでのベルギー政権に比べて女性閣僚の割合が高く、閣僚の半数が女性である[29]

ギャラリー編集

政策編集

ベルギーの大多数の党首と同様に、デ・クローは国王の政治的権力をより制限することに賛成している。国王の権力は他の西ヨーロッパ君主と同様に儀式的なものであるべきだと考えている[30]

私生活編集

アニク・ペンダースと結婚し、2人の子供がいる[31]馬術に熱心で、毎年父親と一緒にイベントに参加しているが、2010年に落馬して足と肘を骨折した[32]。母親の母国語であるフランス語に堪能である[33]

その他編集

欧州連合(EU)の組織編集

国際機関編集

非営利団体編集

脚注編集

  1. ^ ベルギー首相にデクロー氏 7政党が連立で合意”. 日本経済新聞 (2020年9月30日). 2021年3月27日閲覧。
  2. ^ ド・クロー首相、気候変動問題などでの米国との協力に期待”. ジェトロ (2020年11月13日). 2021年3月27日閲覧。
  3. ^ アレクサンダー・ドゥ=クロー・ベルギー連邦政府首相演説”. 在ベルギー日本国大使館 (2020年10月1日). 2021年3月27日閲覧。
  4. ^ De Heer Alexander De Croo” [Mr. Alexander De Croo] (オランダ語). wwwpr.belgium.be (2020年6月11日). 2020年10月2日閲覧。
  5. ^ Biography”. www.hermandecroo.be. 2020年10月2日閲覧。
  6. ^ Wie is Alexander?” [Who is Alexander?] (オランダ語). www.alexanderdecroo.be. 2011年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月2日閲覧。
  7. ^ a b “Alexander De Croo is nieuwe premier: naast "zoon van" ook stemmentrekker en voorstander van gendergelijkheid” (オランダ語). VRT Nws. (2020年9月30日). https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2020/09/28/alexander-de-croo-zoon-van-blauwe-nestor-stemmentrekker-en-bes/ 2020年10月2日閲覧。 
  8. ^ “Alexander De Croo verrassend nieuwe voorzitter Open Vld” (オランダ語). De Morgen. (2009年12月12日). https://www.demorgen.be/nieuws/alexander-de-croo-verrassend-nieuwe-voorzitter-open-vld~b00a968e/?referrer=https%3A%2F%2Fwww.ecosia.org%2F 2020年10月2日閲覧。 
  9. ^ “Open VLD kiest met Alexander De Croo voor avontuur” (オランダ語). De Standaard. (2009年12月12日). http://www.standaard.be/artikel/detail.aspx?artikelid=DMF12122009_044 2020年10月2日閲覧。 
  10. ^ Alexander De Croo”. The Bulletin (2009年10月12日). 2020年10月1日閲覧。
  11. ^ “Belgium's Five-Party Coalition Government Collapses”. The Guardian. (2010年4月26日). https://www.theguardian.com/world/2010/apr/26/belgian-government-collapses-leterme-resigns 2020年10月2日閲覧。 
  12. ^ “Opvolger Alexander De Croo legt de eed af in Senaat” (オランダ語). Het Laatste Nieuws. (2012年10月25日). https://www.hln.be/nieuws/binnenland/opvolger-alexander-de-croo-legt-de-eed-af-in-senaat~afe7bb38/ 2020年10月2日閲覧。 
  13. ^ “Alexander De Croo is nieuwe premier: naast "zoon van" ook stemmentrekker en voorstander van gendergelijkheid” (オランダ語). Radio 1. (2020年9月30日). https://radio1.be/alexander-de-croo-nieuwe-premier-naast-zoon-van-ook-stemmentrekker-en-voorstander-van 2020年10月2日閲覧。 
  14. ^ “Vincent Van Quickenborne ruilt Kortrijk opnieuw in voor Brussel” (オランダ語). MSN. (2020年10月1日). https://www.msn.com/nl-be/nieuws/politiek/vincent-van-quickenborne-ruilt-kortrijk-opnieuw-in-voor-brussel/ar-BB19ADnz 2020年10月2日閲覧。 
  15. ^ “Gwendolyn Rutten is nieuwe voorzitter Open VLD” (オランダ語). Het Nieuwsblad. (2012年12月8日). https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20121208_041 2020年10月2日閲覧。 
  16. ^ Biografie” [Biography] (オランダ語). www.decroo.belgium.be. 2020年10月2日閲覧。
  17. ^ a b “Dit zijn de ministers van de regering-Michel I” (オランダ語). Het Laatste Nieuws. (2014年10月10日). https://www.hln.be/nieuws/binnenland/dit-zijn-de-ministers-van-de-regering-michel-i~a4a4ac59/ 2020年10月2日閲覧。 
  18. ^ “Van de regering-Michel naar de regering-Wilmès: een komen en gaan van ministers” (オランダ語). VRT NWS. (2019年10月28日). https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2019/10/28/regering-michel-verloop/ 2020年10月2日閲覧。 
  19. ^ “Belgium Suspends Financial Aid for Burundi Elections”. Al-Jazeera. (2015年5月11日). https://www.aljazeera.com/news/2015/05/11/belgium-suspends-financial-aid-for-burundi-elections/ 2020年10月2日閲覧。 
  20. ^ Stephanie Nebehay (April 19, 2017), “Gates Backs Big Pharma Push to Wipe out Tropical Diseases”. Reuters. (2017年4月19日). https://www.reuters.com/article/us-health-tropical-who/gates-backs-big-pharma-push-to-wipe-out-tropical-diseases-idUSKBN17K2ME 2020年10月2日閲覧。 
  21. ^ Deputy Prime Minister and Minister of Development Cooperation Belgium”. www.shedecides.com. 2020年10月2日閲覧。
  22. ^ “Belgium's Government Loses Majority over UN Migration Pact”. The Guardian. (2018年12月9日). https://www.theguardian.com/world/2018/dec/09/belgium-government-loses-majority-over-un-migration-pact 2020年10月2日閲覧。 
  23. ^ “De Block terug op Asiel & Migratie, De Crem en De Backer worden minister: zo ziet regering-Michel II eruit” (オランダ語). VRT NWS. (2018年12月9日). https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2018/12/08/staatssecretarissen-de-crem-en-de-backer-krijgen-promotie-tot-mi/ 2020年10月2日閲覧。 
  24. ^ #SheIsEqual Campaign for Women's Rights Exceeds Wildest Expectations”. www.diplomatie.belgium.be (2018年12月13日). 2020年10月2日閲覧。
  25. ^ “Belgium Forms New Government after 16-Month Deadlock”]. Reuters. (2020年9月30日). https://www.reuters.com/article/idUSKBN26L1AD 2020年10月2日閲覧。 
  26. ^ “Alexander De Croo eerste ondervoorzitter” (オランダ語). Knack. (2020年5月22日). https://www.knack.be/nieuws/belgie/alexander-de-croo-eerste-ondervoorzitter/article-belga-1601999.html 2020年10月2日閲覧。 
  27. ^ “Koning stelt Paul Magnette (PS) en Alexander De Croo (Open VLD) aan als coformateurs: "Uitweg uit de crisis"” (オランダ語). https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2020/09/23/koning-stelt-paul-magnette-ps-en-alexander-de-croo-open-vld/ 2020年10月3日閲覧。 
  28. ^ Flemish Liberal Alexander De Croo to be Appointed Belgium's Prime Minister” (2020年9月30日). 2020年9月30日閲覧。
  29. ^ “Regering-De Croo is meest vrouwelijke ooit: tien vrouwen en tien mannen” (オランダ語). Het Nieuwsblad. (2020年10月1日). https://www.nieuwsblad.be/cnt/dmf20201001_94453915 2020年10月2日閲覧。 
  30. ^ “Meerderheid wil macht koning inperken” (オランダ語). VRT NWS. (2010年3月20日). https://www.vrt.be/vrtnws/nl/2010/03/20/meerderheid_wil_machtkoninginperken-1-740673/ 2020年10月2日閲覧。 
  31. ^ “Wie is Alexander De Croo, Belgiës kersverse premier? "Hij kent niks van politiek", zei zijn moeder ooit. Ze kreeg ongelijk” (オランダ語). Het Laatste Nieuws. (2020年9月30日). https://www.hln.be/nieuws/binnenland/portret-wie-is-alexander-de-croo-belgies-kersverse-premier-hij-kent-niks-van-politiek-zei-zijn-moeder-ooit-ze-kreeg-ongelijk~aca8256f/ 2020年10月2日閲覧。 
  32. ^ “Alexander De Croo verlaat het ziekenhuis”. Gazet van Antwerpen. (2010年6月22日). https://www.gva.be/cnt/aid947793/alexander-de-croo-verlaat-het-ziekenhuis 2020年10月2日閲覧。 
  33. ^ https://www.youtube.com/watch?v=qZfoPBpdlik
  34. ^ Board of Governors”. www.eib.org. 2020年10月2日閲覧。
  35. ^ Board of Governors: Alexander De Croo”. www.esm.europa.eu. 2020年10月2日閲覧。
  36. ^ AfDB Annual Report 2017”. www.afdb.org. 2020年10月2日閲覧。
  37. ^ Board of Governors”. Asian Development Bank. 2020年10月2日閲覧。
  38. ^ Board of Governors”. www.ebrd.com/. 2020年10月2日閲覧。
  39. ^ Europe Policy Group”. www3.weforum.org. 2020年10月2日閲覧。

外部リンク編集

先代
ソフィー・ウィルメス
  ベルギー王国首相
第71代:2020年10月1日 - 現職
次代
現職