アレクサンドロフ・アンサンブル

アレクサンドロフ・アンサンブルロシア語: Анса́мбль Алекса́ндрова、アンサーンブリ・アレクサーンドロヴァ)は、ロシア連邦軍の公式音楽団。1928年に労農赤軍の楽団としてアレクサンドル・アレクサンドロフによって結成された。

1969年当時の首席バス・ソリストのレオニード・ハリトノフ(左)と、指揮のボリス・アレクサンドロフ(右)。後方が合唱団と演奏団
2009年ワルシャワ公演

赤軍時代の1928年、モスクワでアレクサンドロフは赤軍所属の合唱団・演奏団(アンサンブル)を創設する。これはアレクサンドロフの死後にその業績を称えて「Дважды краснознаменный академический ансамбль песни и пляски Российской армии имени А. В. Александрова英語: The A.V. Alexandrov Russian army twice red-bannered academic song and dance ensemble 日本語: 赤旗勲章二重受章 А.В.アレクサンドロフ記念アカデミー ロシア軍歌と踊りのアンサンブル)」、通称「Ансамбль АлександроваAlexandrov Ensemble 日本語: アレクサンドロフ・アンサンブル)」と名前を変え今日に至る。

なお、「赤軍合唱団 (Red Army Choir)」の呼称はあくまで旧赤軍・旧ソビエト連邦軍・現ロシア連邦軍ロシア内務省国内軍といった、ロシアの軍隊準軍事組織等に属する合唱団の総称・通称である。また、ロシア(旧:ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国)以外の独立国家共同体加盟国(旧:ソ連邦構成共和国)の軍事組織等においてもロシア(ソ連)に範をとった合唱団が編成されており、それらを「赤軍合唱団」の範囲に含む場合もある。

アレクサンドロフ・アンサンブルは激動の戦前、大祖国戦争独ソ戦)を通し、戦後のソ連軍、現在のロシア連邦軍時代と伝統を受け継ぎ存続し、同国において数多く存在するアンサンブルの中でも最古参として、また随一のステータスや力量を持つ「赤軍合唱団」の代名詞的存在である。

アンサンブルは少数のソリスト、大勢の合唱団バラライカバヤンといったロシア伝統民族楽器を取り入れたオーケストラダンサー集団、指揮者団長等といった幹部から構成される。ロシアでは定番な(俗に言う)ロシア民謡革命歌軍歌だけでなくオペラの楽曲なども得意としており、ソリスト・団員の多くは音楽学校などで教育を受けた声楽家出身者である。独唱合唱だけでなく、サーベルを持つコサック騎兵兵士水兵に扮したダンサー達によるコサック・ダンスタップ・ダンスといった演舞も取り入れている。

古くからロシア各地や旧東側諸国は勿論、冷戦時代にもアメリカ西ヨーロッパ諸国、日本1976年来日。東京大阪他全国各地にて公演)といった旧西側諸国も積極的に巡業し、冷戦終結後の現在も変わらず精力的に活動しており、その世界的名声や評価は高い。

毎年モスクワで行われる対独戦勝記念日の式典での演奏・歌唱や、先述の世界各地での公演の他、ミレイユ・マチューフランス出身。シャンソン歌手)のソ連公演でのバックコーラスや、1990年代前半のレニングラード・カウボーイズフィンランド出身。ロックバンド)との本格的なジョイントライブ、2004年にはバチカンにて時の教皇ヨハネ・パウロ2世臨席のもと御前公演を、2009年にはユーロヴィジョン2009(ロシアでは初開催)の幕間にメドレー[1]の披露及び、t.A.T.uのバックコーラスを行った経歴をもつ。

2016年12月25日、新年のコンサートのためにソチからシリアへと向かっていた合唱団のうち、代表指揮者ハリロフ中将以下メンバーのほぼ全員[2]や報道関係者など、乗客86人、乗員6人が搭乗するロシア軍機Tu-154が墜落する事故が発生し(2016年ロシア国防省Tu-154墜落事故)、「ミスター・カリンカ」で知られるアナニエフ、バスの代表歌手であるガッヴァらソリスト3人を除くメンバーを一挙に喪失した。

脚注

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