アンリ4世校
アンリ4世校(アンリ4せいこう、仏:Lycée Henri-IV)とは、フランスパリの"カルチェ・ラタン"界隈パリ5区にある公立の後期中等教育機関であり、PSL研究大学の準備学校でもある[1]。リセ・ルイ=ル=グランと共に、フランスで最も名門かつ水準の高いリセ(日本の高等学校に相当)だと広く見なされている。「アンリ4世高校」や「リセ・アンリ=キャトル」とも表記される。
アンリ4世校 Lycée Henri-IV | |
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標語:Domus Omnibus Una
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所在地 | |
23 Rue Clovis(クロヴィス通り23番地) 75005(パリ5区), フランス | |
情報 | |
種別 | 公立学校 |
創立 | 1796年 |
校長 | Martine Breyton |
生徒数 | 1948人 |
情報 | 北緯48度50分45秒 東経2度20分52秒 / 北緯48.84583度 東経2.34778度座標: 北緯48度50分45秒 東経2度20分52秒 / 北緯48.84583度 東経2.34778度 |
外部リンク | https://lyc-henri4.scola.ac-paris.fr/ |
この学校には、コレージュ(4年制のフランス前期中等教育機関)からグランゼコール準備級(高等師範学校、エコール・ポリテクニーク、エコール・サントラル・パリ、パリ国立高等鉱業学校、エセック・ビジネススクール、HEC経営大学院などへの入試準備をする生徒向けのクラス)までで、2500人以上の生徒がいる[1]。
学校の標語は「Domus Omnibus Una(みんなのための家)」である。
沿革および建造物編集
アンリ4世校は、セーヌ川左岸のカルチエ・ラタンの中心部で、パンテオンとサン=テティエンヌ=デュ=モン教会とムフタール通りの近く、かつてのサント=ジュヌヴィエーヴ修道院の位置にある[1]。歴史、建築、文化に富んだカルチエラタンには、フランスで最も歴史があり最も権威ある学校、すなわち高等師範学校やソルボンヌ、コレージュ・ド・フランス、およびリセ・ルイ=ル=グランがある。
修道院は506年に初めて創設された。それは王室の後ろ盾を受けて繁栄し、ソルボンヌに不可欠な一部となり、巨大な図書館を収容していた[1]。修道院はフランス革命中に(抵抗する宗教家たちが)鎮圧されて、1796年10月にこの場所がフランスで最初の公立学校となった。発足以来、このリセは次のように幾度か改名している。École Centrale du Panthéon(1794-1804)→Lycée Napoléon(1804-1815)→ Collége Henri IV(1815-1848)→Lycée Napoléon(1848-1870)→Lycée Corneille (1870-1872)、そして1873年に現在の名前で定着した[1]。
現在のアンリ4世校は旧修道院の特徴を多く残している。ヨーロッパで3番目に多い本の所蔵(19世紀中に近くのサント=ジュヌヴィエーヴ図書館に移管された)があった旧修道院の図書館は4つの通路で構成され、それらが交わる交差点にはキューポラがある。1730年代に画家ジャン・レストゥー2世によってフレスコ画と彫刻が施されたキューポラのほかに、18世紀の鏡板と舗道があるのもこのリセの大きな特徴の1つである。同図書館の2つの通路は現在リセおよびグランゼコール準備級の図書館として使用され、他の2つの通路は会議や試験のための部屋として使用されている。
もう一つの見所は、かつて驚異の部屋(自然の珍品や芸術作品を展示するために使用された部屋)として使われていた細長いギャラリーの Salle des médailles(メダルの部屋)である。そこには18世紀に遡る贅沢な装飾および彫刻が施されたバロック様式の鏡板と鏡がある。このリセの礼拝堂は中世にさかのぼり、恐らく当リセで最も有名な外観である修道院および Clovis tower(クロヴィス塔)も同じく中世のものである。Salle des Actesという部屋では、1990年代の修復中に発見された、この修道院の修道士を象った中世の肖像を展示している。escalier de la Vierge(聖母の階段)と呼ばれる主要階段は、中央部装飾に聖母マリアの17世紀の彫像があり、これもまた目を引く特徴である[1]。
著名な卒業生編集
- ヴィクトール・バルタール、建築家[2]
- レオン・ブルム、フランスの首相 (フランス人民戦線内閣にて)
- ジャック・デ・ブルボン・ブッセ、CERNの共同設立者で、アカデミー・フランセーズ会員
- パトリック・ブリュエル、フランスのシンガーソングライター(彼の楽曲「"Place des grands hommes"」でこのリセに言及している)
- イザムバード・キングダム・ブルネル、英国のエンジニア
- ルネ・カピタン、法学者であり政治家
- カミーユ・ダルメ、歌手
- ジル・ドゥルーズ、哲学者
- クレール・ドルラン=クローゼ、ミシュランの広報責任者[3]
- エスター・デュフロ、 経済学者でマサチューセッツ工科大学(MIT)の教授、2010年のジョン・ベイツ・クラーク賞受賞者
- レオン=ポール・ファルグ、詩人
- バレンティン・フェルドマン、哲学者でフレンチ・レジスタンスのメンバー
- ミシェル・フーコー、哲学者
- アンドレ・ジッド、作家
- ジュリアン・グラック、作家
- ジョルジュ=ウジェーヌ・オスマン男爵、セーヌ県知事、都市整備[2]
- アルフレッド・ジャリ、作家。戯曲『ユビュ王』が最も有名
- エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリ、歴史家。著書『モンタイユー』が最も有名
- クロード・ルフォール、哲学者で政治活動家
- ピエール・ロティ、海兵で作家
- エマニュエル・マクロン、第25代フランス大統領
- ジャック・マリタン、哲学者
- ギ・ド・モーパッサン、作家
- プロスペル・メリメ、作家(例えば『カルメン』が有名)
- クリストファー・マイヤー、駐米イギリス大使[4]
- アルフレッド・ド・ミュッセ、 劇作家で詩人
- ポール・ニザン、哲学者で作家
- アンリ・ドルレアン、フランス王位請求者
- マザリーヌ・パンジュ、小説家でジャーナリスト。第21代大統領フランソワ・ミッテランの娘(婚外子)
- プランチュ、『ル・モンド』紙の風刺漫画家
- ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ、画家
- エリック・ロメール、ヌーヴェルヴァーグの映画監督、作家、俳優
- ミシェル・サパン、法務次官91年5月-92年4月、経済・財務大臣92年4月-93年3月、公務員・国家改革大臣2000年3月-02年5月、財務・公会計大臣2014年8月-17年5月を歴任[5]
- ジャン=ポール・サルトル、哲学者
- モーリス・シューマン、アカデミーフランセーズのフェロー、外務大臣(1969-73)で上院議員
- ベルトラン・タヴェルニエ、俳優、映画監督、プロデューサー
- アルベール・ティボーデ、随筆家で評論家
- ピエール・ヴィダル=ナケ、歴史家
- アルフレッド・ド・ヴィニー、詩人
- アンドレ・ヴァン=トロワ、枢機卿で現在のパリ大司教
- シモーヌ・ヴェイユ、哲学者
- ローラン・ヴォキエ、かつてフランスの高等教育・研究大臣。フランス共和党の総裁[6]
- ジャン・ヨヨッテ、エジプト学者[7]
著名な教師編集
- アンリ・ベルクソン、哲学者
- エティエンヌ・ボルヌ、哲学者
- ジャン=ルイ・ボリ、小説家、映画評論家[8]
- エミール=オーギュスト・シャルティエ、哲学者
- ジョルジュ・キュヴィエ、博物学者で動物学者。サラ・バートマンの解剖を担当した。
- ジョルジュ・ポンピドゥー、第19代フランス大統領
関連項目編集
- フランスの教育
- フランスの中等教育
- リセ・ルイ=ル=グラン
- クロヴィス1世、クロヴィス塔の由来となった王
脚注編集
- 出典
- ^ a b c d e f Robin(2014).
- ^ a b Mead, Christopher Curtis (2012). Making Modern Paris: Victor Baltard's Central Markets and the Urban Practice of Architecture. University of Pennsylvania Press. p. 26 .
- ^ Verdo, Yann (14 Jun 2012), “Claire Dorland-Clauzel La bonne fée du Bibendum” (French), Les échos (Paris) 2016年1月26日閲覧。
- ^ Christopher Meyer Archived 2011-09-28 at the Wayback Machine.
- ^ National Assembly biography
- ^ 「共和党総裁、ヴォキエ氏」Ovni、2017年12月15日。2019年3月8日閲覧。
- ^ Nécrologie de M. Jean Yoyotte (1927-2009) par Christiane Zivie-Coche
- ^ Jean-Louis Bory,IMDb.in Trivia
- 参考資料
- Robin, Françoise (2011年). “Le Lycée sur la Montagne/Histoire” [The Lycée on the Mountain/History] (French). Paris: Lycée Henri-IV. 2014年3月10日閲覧。出典1の書籍。
- Sophie Peltier-Le Dinh, Danielle Michel-Chich & André Arnold-Peltier, Le Lycée Henri-IV, entre potaches et moines copistes, PIPPA; 978-2-916506-16-6