アリー/ スター誕生

アメリカの映画作品

アリー/ スター誕生』(アリー スターたんじょう、A Star Is Born)は、ブラッドリー・クーパー監督・主演による2018年公開のミュージカル恋愛ドラマ映画である。PG12指定

アリー/ スター誕生
A Star Is Born
監督 ブラッドリー・クーパー
脚本
原作 ウィリアム・A・ウェルマン
スタア誕生
製作
製作総指揮
  • ラヴィ・メータ
  • ベイジル・イヴァニク
  • ニーヤ・クイケンドール
  • スー・クロール
  • マイケル・ラピーノ
  • ヘザー・パリー
出演者
撮影 マシュー・リバティーク[1]
編集 ジェイ・キャシディ[1]
製作会社 ワーナー・ブラザース
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
ライブ・ネイション・プロダクションズ
ガーバー・ピクチャーズ
ピーターズ・エンターテインメント
ジョイント・エフォート[2]
配給 ワーナー・ブラザース
公開 イタリアの旗 2018年8月31日VIFF
アメリカ合衆国の旗 2018年10月5日
日本の旗 2018年12月21日
上映時間 135分[3]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $36,000,000[4]
興行収入 世界の旗 $436,188,866[4]
アメリカ合衆国の旗 $215,288,866[4]
日本の旗 15.1億円[5]
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1937年公開の『スタア誕生』(A Star Is Born)の1954年版1976年版につぐ3度目のリメイクで、クーパーの他にレディー・ガガサム・エリオットアンドリュー・ダイス・クレイデイヴ・シャペルらが出演する。ワーナー・ブラザースの製作・配給で2018年10月5日に公開された。

映画のサウンドトラックインタースコープ・レコードより発売されており、全米・全英ともに1位を獲得、全世界で累計300万枚以上のセールスを記録した。また、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーが歌う「シャロウ 〜『アリー/ スター誕生』 愛のうた」は、第91回アカデミー賞においてアカデミー歌曲賞を受賞している。

ストーリー 編集

ジャクソン・メインはカントリーロック歌手として名を馳せていたが、ドラッグと酒に溺れる生活を送っていた。そんなジャクソンを公私共に支えていたのが、兄のボビーであった。

カリフォルニア州でのコンサートの後、ジャクソンはドラァグ・バーに立ち寄った。しばらくしてパフォーマンスが始まったが、ジャクソンはその歌に大きく心を揺さぶられることになった。歌っていたのはバーのウェイトレス、アリーであった。彼女の才能に感服したジャクソンは、アリーを次のコンサートで起用することにした。その話を持ちかけられたアリーは断ろうとしたが、ジャクソンの熱意に根負けして出演することになった。

コンサート当日、ジャクソンとアリーのデュエットは観客から喝采を浴びた。その反応を見たジャクソンはアリーを自身のツアーに同伴させることにした。そうしているうちに、2人の間には恋愛感情が芽生えることとなった。2人はその夜ベッドを共にし、結ばれた。その後、2人はジャクソンが生まれ育った牧場を訪れたが、その土地はすでにボビーの手によって売却されていた。背信行為に怒り狂ったジャクソンは直ちにボビーを解雇した。

やがて、アリーはメジャーデビューの機会を掴み、カントリー歌手からポップ歌手へと転身して瞬く間にスターへの階段を駆け上がっていった。ジャクソンはアリーの転身を快く思っておらず、ストレスからますます酒浸りになっていった。アリーのマネジャー、レズはジャクソンの存在がアリーのキャリアの邪魔になっていると考え、その事実をジャクソンに突き付けたが、それが悲劇的な結末をもたらすことになった。

キャスト 編集

※括弧内は日本語吹替[6][7]

製作 編集

企画 編集

2011年1月、ビヨンセを主演とする『スタア誕生』の3度目のリメイク版の監督としてクリント・イーストウッドと交渉中であると報じられたが[10]、プロジェクトはビヨンセの妊娠により延期となった。2012年4月、脚本家のウィル・フェッターズはこの脚本がカート・コバーンに非常に影響されていることを明かした[11]レオナルド・ディカプリオウィル・スミスクリスチャン・ベールとの出演交渉が失敗に終わり、さらにトム・クルーズへも持ち掛けられた。2012年10月9日、ビヨンセがプロジェクトを降板し、さらにジョニー・デップにも拒否されるとブラッドリー・クーパーとの交渉に入った。イーストウッドは女性主人公役にエスペランサ・スポルディングを構想した[12]。2015年3月4日、ワーナー・ブラザースはクーパーが本作で映画監督デビューする交渉を行っており、またビヨンセがプロジェクトに復帰する可能性があることを発表した[13]。その後、レディー・ガガの出演が報じられた[14][15][16]。2016年8月16日、ガガの参加が正式に決定し、スタジオが2017年初頭に製作を開始させることが報じられた[17]。2016年11月9日、レイ・リオッタがガガのキャラクターのマネージャー役で出演交渉中であることが報じられた[18]。2017年3月17日、リオッタが交渉されていたキャラクター役がサム・エリオットに決定したことが報じられた[19]。またアンドリュー・ダイス・クレイがガガのキャラクターの父親役での出演交渉に入った[20]。2017年4月、ラフィ・ガヴロン英語版マイケル・J・ハーネイ英語版レベッカ・フィールドの出演が報じられた[21]

撮影は2017年4月17日に始まった[1]。5月、デイヴ・シャペルが加わった[22]。2018年4月、ホールジーも出演していたことが報じられた[23]

音楽 編集

デザート・トリップ英語版でのパフォーマンスを見たクーパーはウィリー・ネルソンの息子のルーカス・ネルソン英語版に接近し、映画の作業への協力を頼んだ。同意したネルソンはいくつかの曲を書いてプロデューサーに送った[24]。その後ネルソンはガガに会って共同で楽曲を書き、また彼女は彼の2017年のアルバムのうち2トラックでバッキングボーカルを務めた[25]

公開 編集

配給はワーナー・ブラザースが行う。当初公開は2018年9月28日と予定されていたが、後に2018年5月18日に繰り上げられ[26][27]、そして再度2018年10月5日に変更された[28]。2018年6月8日、日本語題が『アリー/ スター誕生』に決定したことが報じられた。日本公開は12月21日。アメリカではR指定となっているが、日本ではPG12指定として公開される。

騒動 編集

2018年10月1日、本作と同じ週に全米で封切られる映画『ヴェノム』のワールドプレミアが行われた。その直後から、ネット上では同作を酷評するレビューが多数投稿された。そのレビューの文章の多くが同一の文章であり、ごく少数のアカウントがそれらを大量に流していたこともあって、ネット上における印象操作の可能性が指摘された。『ヴェノム』を酷評する文章の中には、その代わりに本作の鑑賞を薦めるものが少なからずあった。そのため、一連の工作はレディー・ガガの過激なファンによって行われたものであるとの見方が有力である[29][30]

評価 編集

興行成績 編集

本作は『ヴェノム』と同じ週に封切られ、公開初週末に4200万ドル前後を稼ぎ出すと予想されており[31]、その予想は的中した。2018年10月5日、本作は全米3686館で公開され、公開初週末に4290万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場2位となった[32]

批評 編集

本作は批評家から絶賛されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには334件のレビューがあり、批評家支持率は90%、平均点は10点満点で8.1点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「主演2人の演技は見事であり、演出も巧みである。また、ラブストーリーとしても魅力的である。『アリー/ スター誕生』は傑作から傑作を生み出したという意味で真のリメイク作品であり、物語の中には語り直しによって輝きを取り戻すものがあるということを思い起こさせてくれる。」となっている[33]。また、Metacriticには60件のレビューがあり、加重平均値は88/100となっている[34]。なお、本作のCinemaScoreはAとなっている[35]

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g Perry, Spencer (2017年4月17日). “First Look at Lady Gaga in A Star is Born Remake”. http://www.comingsoon.net/movies/news/838711-first-look-at-lady-gaga-and-bradley-cooper-in-a-star-is-born-remake#/slide/1 2017年4月18日閲覧。 
  2. ^ D'Alessandro, Anthony (2017年9月22日). “Lady Gaga & Bradley Cooper’s ‘A Star Is Born’ Moves Up To Next Summer”. 2017年12月31日閲覧。
  3. ^ A Star is Born”. トロント国際映画祭. 2018年7月24日閲覧。
  4. ^ a b c A Star Is Born (2018)”. Box Office Mojo. 2019年2月17日閲覧。
  5. ^ 2019年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟 2020年2月14日閲覧。
  6. ^ アリー/ スター誕生”. 2019年2月17日閲覧。
  7. ^ “アリー/ スター誕生”. ふきカエル大作戦!!. (2019年4月2日). https://www.fukikaeru.com/?p=11516 2019年4月4日閲覧。 
  8. ^ McNary, Dave (2017年5月5日). “Dave Chappelle Joins Lady Gaga, Bradley Cooper in ‘A Star Is Born’ Remake”. 2017年12月31日閲覧。
  9. ^ Musto, Michael (2018年1月22日). “Shangela On Growing Up, Doing "All Stars 3," And Acting With Lady Gaga”. NewNowNext. 2018年4月5日閲覧。
  10. ^ Magrath, Andrea (2011年1月21日). “A Star Is Born ... again: Clint Eastwood in talks to direct Beyonce in yet another remake of Hollywood classic”. Daily Mail (London). オリジナルの2011年1月22日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/5vvubxGeM?url=http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-1349280/Beyonce-Clint-Eastwood-team-A-Star-Is-Born-remake.html 
  11. ^ Chitwood, Adam (2012年4月1日). “Screenwriter Will Fetters Talks Clint Eastwood’s A STAR IS BORN; Says Script Was Inspired by Kurt Cobain”. http://collider.com/a-star-is-born-remake-kurt-cobain-will-fetters/156491/ 2015年4月5日閲覧。 
  12. ^ Kroll, Justin (2012年10月9日). “Beyonce exits Eastwood’s ‘A Star Is Born’ (Exclusive)”. Variety. https://variety.com/2012/film/news/beyonce-exits-eastwood-s-a-star-is-born-exclusive-1118060516/ 2015年4月5日閲覧。 
  13. ^ Fleming Jr, Mike (2015年3月24日). “Bradley Cooper To Make Directing Debut, Hopes To Star With Beyonce In 'A Star Is Born' For Warner Bros”. http://deadline.com/2015/03/bradley-cooper-beyonce-a-star-is-born-directing-debut-warner-bros-1201381195/ 2015年4月5日閲覧。 
  14. ^ Bart, Peter; Fleming Jr, Mike (2016年5月2日). “Bart & Fleming: Bradley Cooper & Lady Gaga Road Test ‘A Star Is Born’ Team-Up”. Deadline. http://deadline.com/2016/05/bart-fleming-bradley-cooper-lady-gaga-road-test-a-star-is-born-team-up-1201747779/ 2016年6月18日閲覧。 
  15. ^ Fleming Jr, Mike (2016年6月16日). “Lady Gaga Looking Like A Strong Match With Bradley Cooper In 'A Star Is Born'”. Deadline. http://deadline.com/2016/06/lady-gaga-bradley-cooper-a-star-is-born-remake-1201774136/ 2016年6月18日閲覧。 
  16. ^ Kroll, Justin (2016年6月16日). “Lady Gaga Joins Bradley Cooper's 'A Star Is Born' Remake”. Variety. https://variety.com/2016/film/news/lady-gaga-a-star-is-born-remake-bradley-cooper-1201796597/ 2016年8月17日閲覧。 
  17. ^ Fleming Jr, Mike (2016年8月16日). “'A Star Is Born' Gets Warner Bros Green Light; Bradley Cooper Directs, Stars With Lady Gaga”. Deadline. オリジナルの2016年8月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160817131751/http://deadline.com/2016/08/bradley-cooper-lady-gaga-a-star-is-born-warner-bros-remake-1201804358/ 2016年8月17日閲覧。 
  18. ^ Galuppo, Mia (2016年11月9日). “Ray Liotta in Talks to Join Lady Gaga in 'A Star Is Born' Remake”. The Hollywood Reporter. http://www.hollywoodreporter.com/news/ray-liotta-talks-join-lady-gaga-a-star-is-born-remake-946002 2016年11月11日閲覧。 
  19. ^ Busch, Anita (2017年3月17日). “Sam Elliott Joins Bradley Cooper & Lady Gaga In ‘A Star Is Born’” (英語). Deadline. http://deadline.com/2017/03/sam-elliott-a-star-is-born-bradley-cooper-lady-gaga-1202045790/ 2017年4月19日閲覧。 
  20. ^ Busch, Anita (2017年3月23日). “Andrew Dice Clay In Negotiations To Join ‘A Star Is Born’ In Key Role” (英語). Deadline. http://deadline.com/2017/03/andrew-dice-clay-a-star-is-born-lady-gaga-bradley-cooper-1202048511/ 2017年4月19日閲覧。 
  21. ^ N'Duka, Amanda (2017年4月28日). “'A Star Is Born' Adds Rafi Gavron & Michael Harney”. Deadline.com. 2017年4月28日閲覧。
  22. ^ Hipes, Patrick (2017年5月5日). “Dave Chappelle Joins ‘A Star Is Born’ Redo”. 2017年12月31日閲覧。
  23. ^ Fleming Jr, Mike (2018年4月26日). “Sony Pictures Makes Deal With Halsey For Movie Inspired By Singer’s Life”. Deadline.com. 2018年4月26日閲覧。
  24. ^ Finn, Timothy (2018年2月2日). “He’s worked with Neil Young, Gaga and his dad, Willie Nelson. Now he’s coming to KC” (英語). The Kansas City Star. http://www.kansascity.com/entertainment/ent-columns-blogs/back-to-rockville/article198149869.html 2018年4月5日閲覧。 
  25. ^ Stephens, Samantha (2017年9月18日). “How Lady Gaga Brought Lukas Nelson and Promise of the Real’s "Find Yourself" to Life” (英語). CMT. http://www.cmt.com/news/1786617/how-lady-gaga-brought-lukas-nelson-and-promise-of-the-reals-find-yourself-to-life/ 2018年4月5日閲覧。 
  26. ^ D'Alessandro, Anthony (2016年11月10日). “Bradley Cooper-Lady Gaga Movie ‘A Star Is Born’ Gets 2018 Release Date”. Deadline. http://deadline.com/2016/11/warner-bros-dates-a-star-is-born-new-lines-rampage-more-1201852069/ 2016年11月11日閲覧。 
  27. ^ Bradley Cooper-Lady Gaga’s ‘Star is Born’ Moves to May 2018”. Variety. 2017年9月22日閲覧。
  28. ^ Lawrence, Derek (2017年12月20日). “Lady Gaga's A Star Is Born shifts release date back to fall 2018”. Entertainment Weekly. http://ew.com/movies/2017/12/20/a-star-is-born-release-date-moves-back/ 2017年12月31日閲覧。 
  29. ^ 『ヴェノム』米国でフェイクの感想が続出、大混乱が発生 ― 『アリー/ スター誕生』レディー・ガガの過激派ファンが関与”. 2018年10月14日閲覧。
  30. ^ Lady Gaga Fans Accused of Writing Fake ‘Venom’ Reviews to Support ‘A Star Is Born’”. 2018年10月14日閲覧。
  31. ^ 'Venom' & 'A Star is Born' are Ready to Get October Off to a Strong Start”. 2018年10月14日閲覧。
  32. ^ October 5-7, 2018”. 2018年10月14日閲覧。
  33. ^ A Star Is Born”. 2018年10月14日閲覧。
  34. ^ A Star Is Born (2018)”. 2018年10月14日閲覧。
  35. ^ 'Venom' Delivers October Opening Weekend Record While 'Star is Born' Shines”. 2018年10月14日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集