アーカディン/秘密調査報告書

アーカディン/秘密調査報告書』(アーカディン ひみつちょうさほうこくしょ、原題:Mr. Arkadin)は、1955年スペインフランススイス合作映画。監督、脚本、主演、製作はオーソン・ウェルズ。ウェルズがプロデューサーのルイ・ドリヴェと対立して最終編集権を剥奪されたため、改変された『秘密調査報告書 Confidential Report』の名称で上映された(上記の日本語タイトルはこれに由来する)。

アーカディン/秘密調査報告書
Mr. Arkadin
監督 オーソン・ウェルズ
脚本 オーソン・ウェルズ
製作 オーソン・ウェルズ
ルイ・ドリヴェ英語版
音楽 ポール・ミスラキフランス語版
撮影 ジャン・ブールゴワン
編集 レンツォ・ルチーディ
配給 Filmorsa/Cervantes
Films/Sevilla
公開 スペインの旗 1955年3月
フランスの旗 1956年6月2日
日本の旗 劇場未公開
上映時間 93分
製作国 フランスの旗 フランス
スペインの旗 スペイン
スイスの旗 スイス
言語 英語
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日本では劇場未公開。1996年に発売されたビデオでは『秘められた過去』に改題された。日本向けのDVD化はされていない。

イタリアナポリに始まり、スペインスイスまでロケーションを敢行。アーカディン自身の視線を中心としたカメラワーク、極端な俯瞰や目まぐるしく場面が切り替わるモンタージュなど、終始観客を翻弄する演出などから当時は評価されず、ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちにより評価された。川﨑佳哉は、本作の主題は冷戦下での監視社会であるとし、「1950年代という時代を批判的に描いた映画史上極めて重要なフィルム」と評している(外部リンク参照)。

上記の理由から多数バージョンが存在し、公開された『秘密調査報告書』の他に、2つのスペイン語版などが確認されている。2006年クライテリオン社から発売されたDVDボックス(リージョン1のため日本の通常のプレーヤーでは再生不可能)には、三つのバージョン(ピーター・ボグダノヴィッチ1961年に発見し、翌1962年にアメリカで公開された「コリンス・バージョン」、ヨーロッパで上映された『秘密調査報告書』、ボグダノヴィッチらが新たに発見したカットによりウェルズの意図を可能な限り復元した"Comprehensive Version")が収録された。

キャスト 編集

ストーリー 編集

水兵崩れのガイは、殺された男の口からアーカディンという男の名を知って彼に近づく。アーカディンはガイにある依頼をするが、本当の目的は別にあった。

備考 編集

本編中で語られる「カエルとサソリ」の挿話はイソップ物語「カエルとネズミ英語版」の変形版とされている[1]

脚注 編集

  1. ^ See Giancarlo Livraghi's 2007 footnote to his book The Power of Stupidity (2004)

外部リンク 編集

  • アーカディン/秘密調査報告書 - allcinema
  • Mr. Arkadin - オールムービー(英語)
  • Mr. Arkadin - IMDb(英語)
  • 川﨑佳哉「冷戦期のオーソン・ウェルズ -『アーカディン氏』論-」『演劇映像学』第2012巻、早稲田大学演劇博物館、2013年、201-219頁、NAID 120005290520