アーロン・ブラウン (陸上選手)

カナダの陸上競技選手 (1992-)

アーロン・ブラウン(Aaron Brown、1992年5月27日 ‐ )は、カナダトロント出身の陸上競技選手。専門は短距離走100mで9秒96(カナダ歴代4位)、200mで19秒95(カナダ歴代2位)の自己ベストを持つ、200mの元カナダ記録保持者。2016年リオデジャネイロオリンピック男子4×100mリレーの銅メダリストである。ジャマイカ人とバルバドス人を祖先に持つ[1]

アーロン・ブラウン Portal:陸上競技
選手情報
ラテン文字 Aaron Brown
国籍 カナダの旗 カナダ
競技 陸上競技短距離走
種目 100m, 200m
大学 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国南カリフォルニア大学
生年月日 (1992-05-27) 1992年5月27日(31歳)
出身地 カナダの旗 カナダオンタリオ州トロント
身長 185cm
体重 79kg
成績
オリンピック 100m:予選8組3着(2016年
200m:準決勝2組4着(2012年
4x100mR:3位(2016年
世界選手権 100m:8位(2019年
200m:6位(2019年
4x100mR:3位(2013年, 2015年
地域大会決勝 パンアメリカン競技大会
4x100mR:失格(2015年)
自己ベスト
60m 6秒55(2014年)
100m 9秒96(2016年,2019年)
9秒95w(2016年)
200m 19秒95(2019年)
獲得メダル
陸上競技
カナダの旗 カナダ
オリンピック
2020 東京 4x100mR
2016 リオデジャネイロ 4x100mR
世界選手権
2022 オレゴン 4×100mR
2013 モスクワ 4x100mR
2015 北京 4x100mR
世界リレー
2017 ナッソー 4x200mR
英連邦競技大会
2018 ゴールドコースト 200m
世界ジュニア選手権
2010 モンクトン 200m
パンアメリカンジュニア選手権
2011 ミラマー 4x100mR
2011 ミラマー 100m
世界ユース選手権
2009 ブレッサノーネ 100m
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経歴 編集

2009年 編集

7月のブレッサノーネ世界ユース選手権に出場すると、男子100m2次予選を10秒46(+0.7)のユースカナダ新記録で突破。準決勝も2次予選のタイムに迫る10秒49(+1.3)で突破してファイナリストになり、決勝では10秒74(-1.2)とタイムを落としたが、Prezel Hardy(10秒57)に次いで銀メダルを獲得した[2]。100mではカナダ史上初のメダル獲得であり、100m以外の短距離種目(ハードル種目は除く)を通じてもカナダ史上初のメダル獲得だった。男子メドレーリレーでは3走を務め、予選で1分54秒90、決勝で1分53秒51と、ともにユースカナダ最高記録を樹立するも5位に終わった[3]

2010年 編集

7月のモンクトン世界ジュニア選手権に出場すると、男子100mでファイナリストになるも10秒48(-0.7)の5位に終わった[4]。男子200mは予選を21秒21(+0.3)の自己ベスト(当時)で突破すると、準決勝は追い風参考記録ながら予選のタイムを上回る21秒12(+2.1)で突破し、100mに続いてファイナリストとなった。決勝は21秒00(+0.5)の自己ベストをマークし、飯塚翔太(20秒67)、アリクサンドル・リニク英語版(20秒89)に次いで3位に入り、ウェイド・バン・ニーキルク(21秒02)とのメダル争いを0秒02差で制して銅メダルを獲得した[5]。この種目におけるカナダ勢のメダル獲得は、2006年北京大会で銀メダルを獲得したブライアン・バーネット英語版以来、史上二人目だった。

2012年 編集

シニアの世界大会デビューとなった8月のロンドンオリンピックには男子200mに出場すると、予選を20秒55(-0.1)の自己ベストタイで突破。準決勝でも20秒42(-0.6)の自己ベスト(当時)をマークしたが、タイムで拾われた8位の選手とは0秒05差の9位に終わり、決勝進出を逃した[6]

2013年 編集

6月5日のNCAA選手権(全米学生選手権)男子100mでカナダ歴代4位(当時)の記録となる10秒05(+1.9)をマーク。シニアの世界選手権デビューとなった8月のモスクワ世界選手権では、男子100mでセミファイナリストになるも10秒15(+0.1)の組5着で決勝には進めなかった。男子4×100mリレーでは2走(ギャビン・スメリー英語版、ブラウン、Dontae Richards-Kwokジャスティン・ワーナー)を務めると、メンバーに100m9秒台が1人もいない中、カナダ歴代4位(当時)の記録となる37秒92をマークしての銅メダル獲得に貢献した[7]。この種目におけるカナダのメダル獲得は、1997年アテネ大会で金メダルを獲得して以来、16年ぶりだった。

2014年 編集

2月14日の200mで室内カナダ新記録(当時)となる20秒53をマークし、1998年2月14日にブルニー・スリンがマークした20秒66を16年ぶりに更新すると[8]、5月31日のNCAA西地区選手権男子200mではカナダ新記録(当時)となる20秒16(+0.5)をマークし、1991年8月26日にAtlee Mahornがマークした20秒17を23年ぶりに更新した[9]

2015年 編集

8月の北京世界選手権に出場すると、男子100mは予選を10秒03(+2.1)で突破し、追い風参考記録ながら自己ベスト(10秒05)を上回るタイムをマークして2大会連続のセミファイナリストとなったが、準決勝は10秒15(+0.9)の組7着に終わった[10]。この種目では世界選手権初出場となった男子200mは予選で20秒43(-0.4)の組4着に終わり、着順で準決勝に進出できた組3着とは0秒05差で敗退した[11]。男子4×100mリレーでは予選でアンカー(ジャスティン・ワーナー、アンドレ・ドグラスブレンドン・ロドニー英語版、ブラウン)を務めると、38秒03の好タイムをマークして組5着(全体6位)で決勝に進出した。決勝では1走(ブラウン、アンドレ・ドグラス、ブレンドン・ロドニー、ジャスティン・ワーナー)を務め、38秒13をマークしての4位に貢献したが、その後2位でゴールしたアメリカがオーバーゾーンで失格となり、カナダは3位に繰り上がり2大会連続で銅メダルを獲得した[12]

2016年 編集

4月30日にバトンルージュで開催された大会の男子100mで追い風参考記録ながら9秒95(+3.1)をマークすると、男子200mでは自己ベストとなる20秒00(+1.1)をマークし、19秒台に肉薄した[13]。6月11日にモンテベルデで開催された大会の100mでカナダ歴代4位の記録となる9秒96(+2.0)をマーク。従来の自己ベスト(10秒05)を0秒09更新し、10秒の壁を公認で突破した[14]。8月のリオデジャネイロオリンピックには3種目に出場したが、個人種目の男子100mと男子200mはそれぞれ予選と準決勝で敗退した。男子4×100mリレーでは予選と決勝で2走を務めると、アキーム・ヘインズ英語版、ブラウン、ブレンドン・ロドニー、アンドレ・ドグラスのオーダーで臨んだ19日の決勝は37秒64のカナダ新記録を樹立。1996年アトランタオリンピックブルニー・スリンドノバン・ベイリーを擁するチームが樹立した従来の記録を0秒05更新したが、ジャマイカ(37秒27)、日本(37秒60)、アメリカ(37秒62)に次ぐ4位に終わり、0秒02差でメダルを逃した。ところが、3位に入ったアメリカが1-2走のバトンパスの際に違反があったとして失格となり、カナダは3位に繰り上がり銅メダルを獲得した。この種目におけるカナダのメダル獲得は、1996年アトランタ大会以来20年ぶりとなった[15][16]

2017年 編集

4月の世界リレーに出場すると、男子4×100mで2走、男子4×200mでアンカーを務めた。リオデジャネイロオリンピックの銅メダルメンバーそのままで臨んだ男子4×100mは予選を全体1位の38秒21で突破したが、決勝では3走のブレンドン・ロドニーへのパトンパスに失敗し途中棄権に終わった[17]。しかし、翌日の男子4×200mでは1分19秒42の今季世界最高記録をマークしての優勝に貢献した[18]。8月のロンドン世界選手権では、男子200m予選をシーズンベストの20秒08(+0.7)で突破したかに思われたが、内側のラインを踏んだため失格に終わった[19]。エースのアンドレ・ドグラスが不在(怪我のため大会欠場)の男子4×100mリレーは予選と決勝で2走を務めたが、38秒59の6位に終わり3大会連続のメダルを逃した[20]

人物 編集

  • 趣味はバスケットボールをプレーすること。ヒーローはレブロン・ジェームズ[21]
  • 父のイアン(Ian)はトロント・ウェスタン病院 (enのドナルド・K・ジョンソン眼科センター (enで働く技術者、母のソニア(Sonia)はマイケル・ガロン病院 (enで働く看護師である(共に2016年8月時点)[22]

自己ベスト 編集

記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
100m 9秒96 (+2.0) 2016年6月11日   モンテベルデ カナダ歴代4位
9秒96 (+1.7) 2019年7月26日   モントリオール
9秒95w (+3.1) 2016年4月30日   バトンルージュ 追い風参考記録
200m 19秒95 (-0.1) 2019年7月5日   ローザンヌ カナダ歴代2位
室内
60m 6秒55 2014年2月15日   アルバカーキ
200m 20秒53 2014年2月14日   アルバカーキ 元室内カナダ記録

主要大会成績 編集

備考欄の記録は当時のもの

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2009 世界ユース選手権   ブレッサノーネ 100m 2位 10秒74 (-1.2) 2次予選10秒46:ユースカナダ記録
メドレーR 5位 1分53秒51 (3走) 同着
2010 世界ジュニア選手権   モンクトン 100m 5位 10秒48 (-0.7)
200m 3位 21秒00 (+0.5) 自己ベスト
2011 パンアメリカンジュニア選手権
 (en
  ミラマー 100m 3位 10秒25 (+2.4)
4x100mR 2位 39秒97 (2走)
2012 オリンピック   ロンドン 200m 準決勝 20秒42 (-0.6) 自己ベスト
2013 世界選手権   モスクワ 100m 準決勝 10秒15 (+0.1)
4x100mR 3位 37秒92 (2走)
2014 英連邦競技大会 (en   グラスゴー 100m 準決勝 10秒17 (+0.7)
4x100mR 決勝 DNF (2走)
2015 世界リレー (en   ナッソー 4x100mR 予選 DQ (2走)
パンアメリカン競技大会 (en   トロント 4x100mR 決勝 DQ (4走) レーン侵害
世界選手権   北京 100m 準決勝 10秒15 (+0.9)
200m 予選 20秒43 (-0.4)
4x100mR 3位 38秒13 (1走)
2016 オリンピック   リオデジャネイロ 100m 予選 10秒24 (-1.3)
200m 準決勝 20秒37 (-0.4)
4x100mR 3位 37秒64 (2走) カナダ記録
2017 世界リレー (en   ナッソー 4x100mR 決勝 DNF (2走)
4x200mR 優勝 1分19秒42 (4走)
世界選手権   ロンドン 200m 予選 DQ レーン侵害
4x100mR 6位 38秒59 (2走)
2018 英連邦競技大会 (en   ゴールドコースト 200m 2位 20秒34 (+0.9)

脚注 編集

  1. ^ Shanghai 2015 - Media Information Sheets by All-Athletics (PDF, 822 KB) IAAFダイヤモンドリーグ 2015年6月8日閲覧
  2. ^ 第6回世界ユース選手権男子100m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  3. ^ 第6回世界ユース選手権男子メドレーリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  4. ^ 第13回世界選手権男子100m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  5. ^ 第13回世界選手権男子200m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  6. ^ 第30回オリンピック男子200m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  7. ^ 第14回世界選手権男子4×100mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  8. ^ Toronto Olympian Aaron Brown shatters Bruny Surin’s indoor 200-metre Canadian record”. Inside Toronto (2014年2月18日). 2015年1月25日閲覧。
  9. ^ Aaron Brown shatters Atlee Mahorn's Canadian 200m record”. CBC (2014年6月1日). 2015年1月25日閲覧。
  10. ^ 第15回世界選手権男子100m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  11. ^ 第15回世界選手権男子200m予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月23日閲覧。
  12. ^ ジャマイカが男子4×100mリレー制す、ボルトが3冠達成―第15回世界陸上”. フランス通信社 (2015年8月30日). 2015年8月31日閲覧。
  13. ^ Canada's Brandon McBride races to world-leading 800m”. カナダ放送協会 (2016年4月30日). 2016年5月4日閲覧。
  14. ^ Aaron Brown, Canadian sprinter, runs sub-10 in 100m in Florida”. カナダ放送協会 (2016年6月11日). 2016年6月12日閲覧。
  15. ^ Relay redemption: De Grasse anchors Canada to bronze after U.S. disqualified”. カナダ放送協会 (2016年8月20日). 2016年8月23日閲覧。
  16. ^ 4x100 Metres Relay men”. IAAF. 2016年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月22日閲覧。
  17. ^ Men's 4x100m final - IAAF/BTC World Relays Bahamas 2017”. 国際陸上競技連盟 (2017年4月22日). 2017年4月24日閲覧。
  18. ^ Men's 4x200m final - IAAF/BTC World Relays Bahamas 2017”. 国際陸上競技連盟 (2017年4月23日). 2017年4月24日閲覧。
  19. ^ Canada's Aaron Brown DQ'd in 200m heats at track and field worlds”. カナダ放送協会 (2017年8月7日). 2017年8月8日閲覧。
  20. ^ 2017年世界選手権男子4×100mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月13日). 2017年8月13日閲覧。
  21. ^ アスリート・プロフィール”. 2018年英連邦競技大会 (2018年4月14日). 2018年4月14日閲覧。
  22. ^ UHN employee bound for Olympics to cheer on track star son”. University Health Network (2016年8月15日). 2017年8月17日閲覧。

外部リンク 編集

記録
先代
Atlee Mahorn
(20秒17)
1991年8月26日
男子200m
カナダ記録保持者
(20秒16)

2014年5月31日 - 2015年5月16日
次代
アンドレ・ドグラス
(20秒03)
2015年5月16日
先代
ブルニー・スリン
(20秒66)
1998年2月14日
男子200m
室内カナダ記録保持者
(20秒53)

2014年2月14日 - 2015年3月14日
次代
アンドレ・ドグラス
(20秒26)
2015年3月14日