イギリス王室(イギリスおうしつ、: British Royal Family)は、イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)の君主および王族の総称。

イギリス王室
British royal family

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Buckingham Palace, London - April 2009.jpg
イギリスの旗 イギリス
当主称号 女王イギリスの君主
当主敬称 陛下
現当主 エリザベス2世
(在位:1952年2月6日 - )
民族 ドイツ系及びブリティッシュ
公式サイト イギリス王室公式サイト
イギリス王室
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エリザベス2世女王


王族編集

王族の範囲に関する明確な定義は存在しないが、少なくとも Her Majesty(HM, 陛下〈王妃〉)や His/Her Royal Highness(HRH, 殿下)の敬称を持つ人物は、一般的に王族であると考えられている。そこで有力な指針のひとつとされているのが、1917年11月にジョージ5世により発表された、王子・王女の身分と陛下・殿下の敬称の運用方針を定めた勅許状である。これによると、王子・王女の身分と陛下・殿下の敬称は、国王、国王の子供、国王の息子の子、プリンス・オブ・ウェールズ(王太子)の長男の長男に与えられるものとされている。

ただし、出生時に王族と認められなくても、王位の継承など時が経てば国王またはその近親になることが確実である人物が存在しうる場合などには、必要に応じて王族の範囲が広げられる場合がある。

たとえば、1948年エリザベス王女(当時)の第一子で長男チャールズが誕生した時、チャールズは国王ジョージ6世の女系の孫であったため本来ならば王族とはならないが、状況からしてチャールズが将来次期国王に即位することは確実であったため、勅令によってチャールズは王子となった。

1952年以降、女王エリザベス2世在位中の近年でいえば、プリンス・オブ・ウェールズの長男の全ての子が王子・王女の身分と殿下の敬称を与えるように勅許が与えられた。これは、女王エリザベス2世の孫の一人で王位継承権第2位のウィリアム王子が結婚し、女王在位中の曾孫たる第3王位継承者の誕生(ジョージ・オブ・ケンブリッジ王子:2013年生)が現実味を帯び、またそれと同時期に王位継承法が改正され、「兄弟姉妹間男子優先制」から「長子優先制」に変わったことから、プリンス・オブ・ウェールズの長男の第一子が女子であっても、自動的に王位を継承することになったためである。

なお、プリンス・オブ・ウェールズの次男サセックス公爵ヘンリー王子の子女は、「女王在位中は王子・王女の身分を有さない立場」にあり、「現プリンス・オブ・ウェールズであるチャールズ王太子が新国王に即位した際には王子・王女の身分を与えられる」という特異な立場にあるが、この時点でプリンス・オブ・ウェールズの長男の子女以外の、女王の曾孫に身分・敬称を与える旨の勅許や法改正案は出ていない。新たな勅許等が出ない限り、慣例によりサセックス公爵の長男アーチー2019年生)は「ダンバートン伯爵」の儀礼称号で呼ばれ、女子や次男以下の男子はロード(Lord)、レディー(Lady)の儀礼敬称をつけて呼ばれる。

また、これらの敬称を持つ男性王族と結婚した女性は、夫の爵位称号に対応する夫人としての称号を与えられ、陛下や殿下の敬称を冠して呼ばれる。一方、女性王族と結婚した男性は、特別に爵位・称号を賜らない限り、称号や王族特有の敬称を名乗ることができない。エリザベス2世の夫であるフィリップ王配は、結婚時にエディンバラ公爵位と殿下の敬称をエリザベス2世の父ジョージ6世から賜り、エリザベス2世から「プリンス (prince)」の称号を授けられたため、His Royal Highness The Prince Philip, The Duke of Edinburgh(エディンバラ公爵フィリップ王子殿下)と呼ばれる。しかし、アン王女の夫であるティモシー・ローレンスは、結婚時に特別の爵位や敬称を賜っていないため、結婚後も軍人としての肩書きであるVice-Admiral(海軍中将)で呼ばれている。

これらの敬称の使い分けは次のようになる。

  • His Majesty - 男王
  • Her Majesty - 女王、男王の妻
  • His Royal Highness - 王子(国王の息子、国王の息子の息子、ウェールズ公の長男の長男)
  • Her Royal Highness - 王女(国王の娘、国王の息子の娘)、王子の妃

公務編集

イギリス王室が抱えている公務は、毎年3000件以上にのぼる[1]

2016年現在、イギリス王室で公務を分担する王族は20人を数える。王室で生まれた王子や王女はもとより、男性王族に嫁いできた女性たちもすぐに公務に携わるようになる。この20人の王族のうち、実にその半数の10人が女性王族で、彼女たちだけで900に近い団体の長を務めている[1]

イギリス王族の人物一覧編集

 
バッキンガム宮殿のバルコニーに姿を現したウィンザー家の人々(2013年6月15日)

狭義の王族のリスト編集

英国で現在、陛下または殿下の敬称を名乗っている、もしくは名乗る権利がある人々は、次の通りである。女王のみが Her Majesty を冠して呼ばれ、その他はウェセックス伯爵の子供を除き His/Her Royal Highness の敬称を冠して呼ばれている。エディンバラ公爵は、1917年の勅許状が定めるプリンスではないが、前述のとおり、特別に出された勅許状により1947年に殿下 (His Royal Highness) の敬称を、1957年にプリンスの身分を賜った。

ウェセックス伯爵夫妻の長女ルイーズ及び長男ジェームズは、1917年の勅許状によると、王子・王女の身分と殿下の敬称を名乗る権利を持っているが、ウェセックス伯爵夫妻の結婚時に、夫妻の希望を汲む形で、エリザベス2世が「ウェセックス伯爵夫妻の子供は、王子・王女の身分と殿下の敬称を名乗らない」と宣言したため、この身分と敬称を用いない。ルイーズは、The Lady Louise Windsor(ルイーズ・ウィンザー令嬢)という一般的な伯爵の娘としての呼称で呼ばれている。ジェームズは、ウェセックス伯爵の継嗣として、「セヴァーン子爵」の儀礼称号を称しており、敬称はLord()を用いる。

女王編集

歴代 誕生 即位 在位期間 続柄
ウィンザー朝
第4代
  エリザベス2世 Elizabeth II 1926年4月21日(95歳) 1952年2月6日 69年262日 国王ジョージ6世長女
  • 番号付き箇条書きの項目

女王の子女とその家族編集

現年齢 現女王から
見た続柄
王位継承
順位
チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ) 72歳 第1王子 1位
カミラ (コーンウォール公爵夫人) 74歳
ウィリアム (ケンブリッジ公) 39歳 孫/ チャールズ王子の長男
/ 生母はダイアナ妃
2位
キャサリン (ケンブリッジ公爵夫人) 39歳
ジョージ・オブ・ケンブリッジ 8歳 曾孫/ ウィリアム王子の長男 3位
シャーロット・オブ・ケンブリッジ 6歳 曾孫/ ウィリアム王子の長女 4位
ルイ・オブ・ケンブリッジ 3歳 曾孫/ ウィリアム王子の次男 5位
ヘンリー (サセックス公) 37歳 孫/ チャールズ王子の次男
/ 生母はダイアナ妃
6位
メーガン (サセックス公爵夫人) 40歳
アンドルー (ヨーク公) 61歳 第2王子 9位
ベアトリス 33歳 孫/ アンドルー王子の長女
/ 生母はセーラ元妃
10位
ユージェニー 31歳 孫/ アンドルー王子の次女
/ 生母はセーラ元妃
12位
エドワード (ウェセックス伯爵) 57歳 第3王子 14位
ソフィー (ウェセックス伯爵夫人) 56歳
ジェームズ (セヴァーン子爵) 13歳 孫/ エドワード王子の長男 15位
ルイーズ・ウィンザー 17歳 孫/ エドワード王子の長女 16位
アンプリンセス・ロイヤル 71歳 第1王女 17位

女王の従兄弟とその妻編集

元王族編集

王子と結婚し、プリンセス (princess) の身分とHer Royal Highnessの敬称を得たが、その後離婚した人物は、以下の通り(存命のみ)。

なお、チャールズ(ウェールズ大公)の最初の妻で1996年に離婚したダイアナ・スペンサーは、離婚後もイギリス王室の一員であると見なされ、王族としての責務を果たした。王室は、彼女が「ウェールズ大公妃」(プリンセス・オヴ・ウェールズ)を名乗り続けること、そしてケンジントン宮殿に住み続けること (Grace and Favour)に同意した。[要出典]これは一般に女性が離婚後も前夫の名字を名乗り続ける慣行による。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジョージ5世
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エドワード8世ジョージ6世メアリーヘンリージョージ ジョン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エリザベス2世マーガレット
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
チャールズアンアンドルーエドワード
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ウィリアムヘンリーピーターザラベアトリスユージェニールイーズジェームズ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジョージシャーロットルイサバンナアイラミアレイナ

広義の王族のリスト編集

次の人物は、1917年の勅許状によると王子・王女の身分が与えられず、殿下の敬称を名乗る権利がなく、実際に名乗っていないが、王族として扱われることがある。

王女と結婚したが、その後離婚した人々は、以下の通り(存命のみ)。

王位継承順位編集

    イギリス王位継承順位上位(2021年6月4日現在)
順位 継承資格者 爵位称号 性別 生年月日/現年齢 現在のエリザベス2世女王から見た続柄
1位   チャールズ Charles ウェールズ公 男性 1948年11月14日 72歳 親等1/第1王子
2位   ウィリアム William ケンブリッジ公爵 男性 1982年06月21日 39歳 親等2.1/王孫/チャールズの第1子
3位   ジョージ George 男性 2013年07月22日 8歳 親等3/王曾孫/ウィリアムの第1子
4位   シャーロット Charlotte 女性 2015年05月02日 6歳 親等3/王曾孫/ウィリアムの第2子
5位   ルイ Louis 男性 2018年04月23日 3歳 親等3/王曾孫/ウィリアムの第3子
6位   ヘンリー Henry サセックス公爵 男性 1984年09月15日 37歳 親等2.2/王孫/チャールズの第2子
7位   アーチー Archie 男性 2019年05月06日 02歳 親等3/王曾孫/ヘンリーの第1子
8位   リリベット Lilibet 女性 2021年06月04日 00歳 親等3/王曾孫/ヘンリーの第2子
9位   アンドルー Andrew ヨーク公爵 男性 1960年02月19日 61歳 親等1/第2王子
10位   ベアトリス Beatrice 女性 1988年08月08日 33歳 親等2.3/王孫/アンドルーの第1子


イギリス王室の財産編集

米国フォーブス誌によると、バッキンガム宮殿や王冠などの国有財産を除く、エリザベス女王の個人資産は、5億ドルと推計されている。また、イギリスの国有財産であるバッキンガム宮殿の資産価値は50億ドル、王室が所有する不動産の価値は100億ドルと推計されている[2]

イギリス王室はランカスター公領Duchy of Lancaster)とコーンウォール公領Duchy of Cornwall)の二つの王族公領を所有している。

Duchy of Lancasterは462km²の広さがあり、2011年においてその価値は3億8319万ポンドと推計されている。また、2011年においてDuchy of Lancasterの利益は1338万ポンドであった[3]

Duchy of Cornwallは540.9 km²の広さがあり、2010年においてその価値は6億7700万ポンドと推計されている。また、2010年においてDuchy of Cornwall利益は1720万ポンドであった[4]

1997年トニー・ブレア労働党政権のコスト削減により王室専用ヨットのブリタニア号 HMY Britannia)を退役させ、エリザベス女王が公衆の面前で涙を見せる場面があった。


結婚編集

イギリス王室の場合には、(日本の皇室とは異なり)女性王族が結婚により「臣籍降嫁」し、それ以降は基本的に公務に携わらないということはない。

現女王の長女であるアン王女は、英国オリンピック委員会総裁など340もの団体の長を務め、年間の公務も600件を超える。これは兄チャールズ王太子に次ぐ多忙さを意味する[1]

王朝の系譜編集

ウェセックス王国、ノルマン朝プランタジネット朝ランカスター朝ヨーク朝テューダー朝ステュアート朝ハノーヴァー朝サクス=コバーグ=ゴータ朝ウィンザー朝イングランドとの合併前のスコットランド王国ウェールズ、その他フランスドイツ等の血筋が脈打っている。

ジョージ1世からエドワード7世まで[5]

[1] キャロライン・オブ・アーンズバック

[2] オーガスタ・オブ・サクス=ゴータ

[3] マグダレーナ・アウグスタ・フォン・アンハルト=ツェルプスト

[4] ヴィクトリア・オブ・サクス=コバーグ=ザールフィールド、ザクセン=コーブルク=ゴータ公子アルバート

[5] ルイーゼ・フォン・ザクセン=ゴータ=アルテンブルク

その他編集

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ a b c 君塚直隆「ヨーロッパ王室における「譲位」の現状」『中央公論』2016年9月号 p.46
  2. ^ “Just How Rich Are Queen Elizabeth And Her Family?”, Forbes , (2011年4月22日), http://www.forbes.com/sites/luisakroll/2011/04/22/just-how-rich-is-queen-elizabeth-and-her-family/ 2011年9月3日閲覧。 
  3. ^ Annual Reports of Duchy of Lancaster, Duchy of Lancaster, http://www.duchyoflancaster.com/management-and-finance-2/accounts-annual-reports-and-investments/ 2011年8月14日閲覧。 
  4. ^ Annual Reports of Duchy of Cornwall, Duchy of Cornwall, http://www.duchyofcornwall.org/managementandfinances_finances_analysis.htm 2011年8月14日閲覧。 
  5. ^ 字下げ(インデント)は子の世代を表す。
  6. ^ Cassell Bryan-Low, Alistair MacDonald, Jeanne Whalen (2011年4月29日). “結婚式で節目迎える英国「王室株式会社」”. WSJ日本版. オリジナルの2011年5月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110501234225/http://jp.wsj.com/Life-Style/node_230012 2020年3月11日閲覧。 

外部リンク編集