イヌガラシ(犬芥子[4]学名: Rorippa indica)は、アブラナ科イヌガラシ属多年草水田河川敷、水路脇、ため池の縁などのやや湿った場所に生える雑草である[5]。別名、ナガミノイヌガラシ[1]、ヘビクサ[5]、ツミナ[5]、アゼダイコン[5]、アゼガラシ[5]、ノガラシ[5]。中国名は「蔊菜」[1]

イヌガラシ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: アブラナ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: イヌガラシ属 Rorippa
: イヌガラシ R. indica
学名
Rorippa indica (L.) Hiern (1896)[1]
シノニム
和名
犬芥子
英名
variableleaf yellowcress
亜種
  • R. i. var. apetala Hochr.
  • R. i. var. indica (L.) Hiern.

分布・生育地 編集

日本の北海道・本州・四国・九州[4]朝鮮台湾中華人民共和国インドフィリピンに分布する。畑や田のあぜ、やや湿った道端などに生える[4]

特徴 編集

生育期間は10 - 7月。草丈は20 - 50センチメートル (cm) [5]は基部から粗く分枝し[4]、暗緑色に赤みを帯びる。 は長さ6 - 15 cmの長楕円形、または倒披針形で、葉の先が鈍く尖り、葉縁は切れ込みが入るか不規則な鋸歯がつく[4]。茎や葉には毛はない[4]

花期は4 - 6月ごろ。は根本から株立ちとなり、花茎の上部に黄色い4弁の十字状花を総状に多数つける[4]。まれに、秋に咲くことがある。果実は長さ約16 - 20ミリメートル (mm) の長角果で、線形で弓状に曲がる[4]

近縁種 編集

スカシタゴボウ R. islandica
イヌガラシより葉の切れ込みが粗い。

利用 編集

3 - 4月ごろの、若芽や若い茎葉を摘んで食用にする[4]。茹でて水にさらし、おひたし和え物に、生のまま油炒め、汁の実にする[4][5]。食味は、全体にカラシのような辛味がある[4]

煎じたものは咳止めや利尿薬としても用いられた[5]

脚注 編集

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rorippa indica (L.) Hiern イヌガラシ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月4日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rorippa atrovirens (Hornem.) Ohwi et H.Hara イヌガラシ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月4日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rorippa indica (L.) Hiern f. longicarpa (Koidz.) Kitam. イヌガラシ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 高橋秀男監修 2003, p. 25.
  5. ^ a b c d e f g h i イヌガラシ(アブラナ科)”. 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構. 2022年11月1日閲覧。

参考文献 編集

  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、17頁。ISBN 4-05-401881-5 

関連項目 編集

外部リンク 編集