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イレウス(ileus)とは、腸管内容物の肛門側への移動が障害される病態で、腸蠕動が一時的に停止した状態である[1]腸閉塞(ちょうへいそく、intestinal obstruction)を含むより広い概念。

イレウス
Ileus2.png
イレウス・腸管壊死
分類および外部参照情報
発音 [ˈɪliəs]
診療科・
学術分野
外科学
ICD-10 K31.5, K56.0, K56.3, K56.7, P75, P76.1
ICD-9-CM 537.2, 560.1, 560.31, 777.1, 777.4
DiseasesDB 6706
MedlinePlus 000260
eMedicine article/178948
Patient UK イレウス
MeSH D045823

目次

病態編集

腸管が閉塞すると、閉塞部位の口側はガスや腸液により拡張し、静脈還流が障害される。その結果腸管壁浮腫を起こし、腸管腔へ水やナトリウムが漏出する。そしてさらに腸管内圧が上昇し、動脈血流の障害も起こり、腸管の壊死・穿孔を引き起こす。また、水やナトリウムの漏出によるショックも起こる。

原因編集

最多原因の術後癒着性イレウスが50-80%とされ[2]、そのうち 開腹手術を受けた 68%に癒着が生じていた。また、薬剤の作用で腸蠕動が阻害されるほか内分泌異常(甲状腺機能低下症)でも生じる。

分類編集

病院によって以下のように分類される。

  • 機械性イレウス(狭義の腸閉塞
    • 単純性イレウス(閉塞性イレウス)
    • 複雑性イレウス(絞扼性イレウス)
腸の捻れ、腸重積、ヘルニア嵌頓
  • 機能的イレウス
    • 麻痺性イレウス
    • 痙攣性イレウス

機械性イレウス編集

腸管内に腫瘍胆石便塊、異物や食べ物での閉塞、寄生虫による閉塞[4]、炎症や瘢痕による狭窄、卵巣癌などによる腹腔内病変による腸管圧迫閉塞等によるものや、腸管および腸間膜が術後癒着、ヘルニア嵌頓、腸重積症等により、腸管捻転や絞扼を生じ、腸管の血行障害も起こしたものを絞扼性イレウスと称する。

機能的イレウス編集

腹部手術後、腹膜炎低カリウム血症中毒、薬剤の作用により、腸管の運動麻痺が生じ腸管の痙攣が原因となるもの。

臨症像編集

機械的閉塞でみられる古典的な仙痛パターンはめったに起こらない[1]、腹部膨満感、腹痛悪心嘔吐、排便・排ガスの途絶が生じ、単純性イレウスでは間欠的な、複雑性では持続的な痛みを伴う。腸管内容が吸収されないため、脱水症を生じる。聴診では腸雑音消失または蠕動微弱。

検査編集

基本的にX線やCTといった画像検査を第一に行う。

X線
腸管のガスの貯留、鏡面像(air-fluid level, niveau;二ボー)の形成(基本的には立位で撮影する。無理な場合はfree airをみるため、左側臥位)。小腸のケルクリング皺襞
CT
副作用に問題無ければ造影CT検査が原則行われる。イレウスの診断から原因検索評価としても非常に多くの情報が得られる。特に腸管壊死等の血流評価が得られるため治療選択判断においても極めて重要な検査評価である。

診断編集

腹痛の種類、嘔吐の有無、排便・排ガスの消失、X線検査により単純性か、複雑性か、麻痺性かを診断する。腹部手術歴がある場合は癒着による絞扼性イレウスの可能性が高く、腹部手術歴のある患者が急性腹症を起こした場合はそれを第一に考える。

治療編集

基本的にイレウスと診断された場合は、絶食・腸管安静・輸液治療での保存的治療がまず第一選択となる。軽度であれば保存的加療のみで軽快する。腸管拡張が高度であれば経鼻胃管やイレウス管(Miller–Abbott tube)を留置して、拡張した腸管内容を吸引・減圧処置を行い改善を促す。

その後、保存的治療が無効である場合や、術後癒着等で改善してもイレウスを繰り返す場合や、大腸癌等の閉塞の原因となる病変があれば、それに対しての手術加療を行う。絞扼性イレウスの場合は腸管壊死による敗血症性ショックを生じる前に緊急手術が適応される。

出典・脚注編集

  1. ^ a b c d e f g イレウス MSDマニュアル プロフェッショナル版
  2. ^ 幸田圭史、イレウスの治療と予防 日本消化器外科学会
  3. ^ 竹中一央、星野敦、高橋史成 ほか、タクロリムスにて麻痺性イレウスをきたした潰瘍性大腸炎の1例 日本大腸肛門病学会雑誌 2017年 70巻 4号 p.243-247, doi:10.3862/jcoloproctology.70.243
  4. ^ 小腸閉塞 徳洲会グループ

関連編集

外部リンク編集

  • イレウス MSDマニュアル プロフェッショナル版