イワウチワ(岩団扇、学名:Shortia uniflora)は、イワウメ科イワウチワ属多年草

イワウチワ
鈴鹿山脈冷川岳 2006年4月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: イワウメ目 Diapensiales
: イワウメ科 Diapensiaceae
: イワウチワ属 Shortia
: イワウチワ S. uniflora
学名
Shortia uniflora (Maxim.) Maxim.
和名
イワウチワ(岩団扇)
英名
Nippon Bells

特徴 編集

葉の長さと幅は2.5-7 cmで、円形で端は小さな鋸形状。葉の基部が深く心形となる。
開花時期は4-5月。花は薄紅色で、葉腋から伸た花茎に1輪付ける。花弁は直径3 cm程で、5つに裂け、5個の雄しべがある。花弁はやがて、花茎から分離して落下する。
和名は葉の形状が団扇に似た形状であることに由来する[1]
花言葉は「春の使者・適応力」。

分布と生育環境 編集

本州中国地方以北の山地帯の林内や林縁に分布し、雪解け後に広葉樹林帯などで見られる。日本の固有種基準標本は、岩手県のもの[2]
富山県宇奈月町の町の花のひとつ。田中澄江の著者『花の百名山』で、大岳山を代表する花として紹介された[3]。また『新・花の百名山』で雲取山を代表する花としても紹介された[4]山野草として苗が販売されている。

種の保全状況評価 編集

日本の各都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[5]環境省としての、レッドリストの指定はない[6]

環境省により、上信越高原国立公園中部山岳国立公園八ヶ岳中信高原国定公園などで自然公園指定植物となっている[7]

近縁種 編集

以下の変種などの近縁種がある。葉は同じ科のイワカガミ属イワカガミと非常に似ている。葉の形状に個体差はあるが、イワカガミの方が周囲の鋸形状が鋭く葉の光沢が強い。開花時期は、イワウチワの方が早い。

奄美の固有の変種で、ごく限れた箇所に分布する。環境省のレッドリストでは絶滅寸前(絶滅危惧IA類・CR)と評価されている[6]

絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト

沖縄台湾に分布し、白い花を咲かせる。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)と評価されている[6]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

関連画像 編集

       
蕾と団扇に似た形状の葉
花房山にて
群落の蕾
貝月山(岐阜県揖斐川町)にて
5つの花弁と5つの雄しべの花
両白山地の日照岳にて
落下した花弁
鎌ヶ岳にて

脚注 編集

  1. ^ ピッキオ『花のおもしろフィールド図鑑 春』実業之日本社、2001年3月、50頁。ISBN 4408394718 
  2. ^ 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月、288頁。ISBN 4-635-09019-1 
  3. ^ 田中澄江『花の百名山』文春文庫、1997年6月、69-72頁。ISBN 4-635-09019-1 
  4. ^ 田中澄江『新・花の百名山』文春文庫、1995年6月、144-147頁。ISBN 4167313049 
  5. ^ 日本のレッドデータ検索システム(イワウチワ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年9月17日閲覧。
  6. ^ a b c 植物絶滅危惧種情報検索(イワウチワ)”. 生物多様性情報システム. 2011年9月17日閲覧。
  7. ^ 国立・国定公園特別地域内指定植物(イワウチワ)” (PDF). 環境省自然環境局. pp. 5. 2011年9月17日閲覧。

外部リンク 編集