イーグル (空母・2代)

1951年就役のイギリス海軍の航空母艦

イーグル (HMS Eagle, R05) はイギリス海軍航空母艦。艦番号はR05。イーグルという艦名のイギリス海軍艦としては15代目であり、航空母艦としては2代目である。

イーグル
HMS Eagle
基本情報
運用者  イギリス海軍
艦種 航空母艦
級名 オーディシャス級
前級 インプラカブル級
次級 コロッサス級
艦歴
起工 1942年10月24日
進水 1946年3月19日
就役 1951年10月5日
退役 1972年1月25日
その後 1978年にスクラップ処分
要目
基準排水量 33,500トン
満載排水量 46,900トン
全長 247.4m
最大幅 34.4m
吃水 11.0m
機関 蒸気タービン
主機 4基
推進 4軸
出力 152.000hp
最大速力 31.5ノット (58.3 km/h)
航続距離 7,000海里 (13,000 km)/14ノット時
乗員 士官、兵員2,750名
兵装 連装114mm両用砲4基8門
GWS.22シーキャットSAM発射機4連装6基
レーダー タイプ984 3次元レーダー1基
タイプ965 対空捜索レーダー1基
タイプ963 着艦誘導レーダー1基
タイプ974 航海レーダー1基
テンプレートを表示

概要 編集

「イーグル」は1942年改インプラカブル級空母「オーディシャス」として起工された。設計開始時にはアメリカ海軍エセックス級や、日本海軍雲龍型(「葛城」が完成していれば同時期に就役予定だった)などと同時であったが、本艦の設計は第二次世界大戦終結当時でも非常に先進的なものであったため、ほぼ設計通りに建造された。(同型艦の「アーク・ロイヤル」は改良による大幅な設計変更のため建造が一時中断された。)

その後、1946年1月に艦名が「イーグル」に改められ、1951年に完成した。

設計 編集

近代化改修 編集

現役時代、「イーグル」には2度にわたって大規模な近代化改修が施されている。1954年から1955年にかけて行われた改修では、5.5°の角度がついたアングルド・デッキ、ミラー着艦装置が装備され、かわりに単装ボフォース砲3基と6連装ボフォース砲1基が撤去された。

また、艦載機もそれまでのファイアフライファイアブランドアタッカーシーホーネットスカイレイダー60機からシーホークアヴェンジャー、スカイレイダー、ドラゴンフライ捜索・救難ヘリ60機に変更された。

1959年から1964年にかけてデヴォンポート造船所で行われた改修では、後部の4基を除く114mm砲と40mm砲のすべてが撤去され、新たに角度が8.5°のアングルド・デッキと新型レーダー、4連装シーキャット近距離SAM発射機が装備された。また、艦載機もシービクセンシミターガネットウェセックス45機に変更された。

艦歴 編集

「イーグル」は1956年スエズ動乱において英仏空母部隊の一翼を担い、シーホーク、スカイレイダー、ワイバーンシーベノムからなる航空群を運用した。

1964年には、インドネシアにおける紛争解決のために極東に派遣された。さらに、1966年には前年に一方的に独立を宣言したローデシア共和国への石油供給を防ぐために、ベイラの近海でベイラ・パトロール英語版と呼ばれる海洋封鎖・哨戒任務に従事した。しかし、ローデシアと同様に白人優位の人種差別体制を敷く南アフリカ共和国やモザンビークを統治するポルトガルがローデシアへの石油の輸出を続けたため、その効果は芳しくなかった。

1967年には紛争地域からのイギリス軍の撤退を支援するためにアデンに派遣された。

「イーグル」は1969年に再び極東に展開した後、イギリス海軍によるF-4の艦上運用試験に使用された。しかし、常時F-4を運用するために「イーグル」を改修するには多大な費用がかかるとの判断が下され、「イーグル」は1972年1月に退役した。

退役後は同型艦である「アーク・ロイヤル」の部品取り艦となり、最終的に1978年にスクラップにされた。

艦上機の変遷 編集

初代(1952~1953年)[要検証]
  • 第800海軍航空隊 - スーパーマリン アタッカー FB.2艦上戦闘爆撃機
  • 第803海軍航空隊 - スーパーマリン アタッカー FB.2艦上戦闘爆撃機
  • 第812海軍航空隊 - フェアリー ファイアフライFR.4艦上戦闘偵察機
  • 第814海軍航空隊 - フェアリー ファイアフライFR.4艦上戦闘偵察機
  • 第827海軍航空隊 - ファイアブランドTF.4戦闘雷撃機
二代目[要検証]
  • 第803海軍航空隊 - ホーカー シーホークFGA.6艦上戦闘攻撃機
  • 第804海軍航空隊 - ホーカー シーホークFGA.4艦上戦闘攻撃機
  • 第893海軍航空隊 - シーベノムFAW.20艦上戦闘機
  • 第830海軍航空隊 - ウェストランド ワイバーンS.4艦上戦闘雷撃機
  • 第849海軍航空隊 - スカイレイダーAEW.1早期警戒機
三代目[要検証]
  • 第804海軍航空隊 - ホーカー シーホークFGA.6艦上戦闘攻撃機
  • 第897海軍航空隊 - ホーカー シーホークFB.3艦上戦闘爆撃機
  • 第813海軍航空隊 - ウェストランド ワイバーンS.4艦上戦闘雷撃機
  • 第849海軍航空隊 - スカイレイダーAEW.1早期警戒機
四代目[要検証]
  • 第897海軍航空隊 - ホーカー シーホークFGA.6艦上戦闘攻撃機
  • 第899海軍航空隊 - ホーカー シーホークFGA.6艦上戦闘攻撃機
  • 第813海軍航空隊 - ウェストランド ワイバーンS.4艦上戦闘雷撃機
  • 第849海軍航空隊 - スカイレイダーAEW.1早期警戒機
五代目[要検証]
  • 第806海軍航空隊 - ホーカー シーホークF.1艦上戦闘機
  • 第800海軍航空隊 - ブラックバーン バッカニア S.1艦上攻撃機10機
  • 第800海軍航空隊Bフライト - スーパーマリン シミターF.1艦上戦闘攻撃機4機
  • 第813海軍航空隊 - ウェストランド ワイバーンS.4艦上戦闘雷撃機
  • 第849海軍航空隊 - スカイレイダーAEW.1早期警戒機
最終期[要検証]
  • 第800海軍航空隊 - ブラックバーン バッカニア S.2艦上攻撃機14機 
  • 第899海軍航空隊 - デ・ハビランド シービクセン FAW.2全天候艦上戦闘機12機 
  • 第849海軍航空隊D部隊 - ガネットAEW.3早期警戒機4機、ガネットCOD.4艦上輸送機1機 
  • 補助部隊 - ウェセックスHAS.1捜索救難ヘリコプター2機

脚注 編集


参考文献 編集

  • BRITISH AND EMPIRE WARSHIPS OF THE SECOND WORLD WAR(Naval Institute Press)