ウバウオ亜目(姥魚亜目、学名:Gobiesocoidei)は硬骨魚類に属するスズキ目の下位分類群の一つで、浅い海に住む小型の魚類を中心に、1科36属140種で構成される。独立したウバウオ目(Gobiesociformes)として分類されることもある。

ウバウオ
イースタークリーナークリングフィッシュ(Cochleoceps orientalis
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ウバウオ亜目 Gobiesocoidei
: ウバウオ科 Gobiesocidae
英名
clingfish

36属(本文参照)

概要 編集

ウバウオ亜目はウバウオ科1科のみからなり、所属する魚はほとんどが潮間帯潮だまりなど浅い海に生息する海水魚である。インド洋太平洋大西洋など世界各地に分布し、日本近海には11種(ウバウオアンコウウバウオミサキウバウオハシナガウバウオタスジウミシダウバウオウミシダウバウオなど)が生息する[1]Gobiesox 属のうち4種は、中央アメリカに分布する淡水魚である。

体長7cm未満の小型魚類がほとんどであるが、Chorisochismus dentex南アフリカ)および Scyases sanguineusチリ)の2種は30cmに達する。多くは浅い海のサンゴ礁や岩礁域で暮らし、岩の上にじっと張り付いていたりサンゴの間を泳ぎ回ったりしている姿が観察される。[要出典]

形態 編集

 
吸盤状の腹鰭を使い、水槽の壁に張り付くレパドガステル属の一種(Lepadogaster sp.

ウバウオの仲間はやや縦方向につぶれ平たくなった頭部と、円筒形あるいは左右に平たく側扁した体をもつ。(口先)が前に突き出し、くちばしのようになった種類が多い。ハゼ科魚類と類似して、左右の腹鰭が変形して吸盤のようになっており、岩などにぴったりと張り付くことができる。はなく、体表は粘液に覆われぬるぬるしている。背鰭は一つで、棘条をもたない。背鰭と臀鰭は体の後方、尾鰭の近くにあり、互いに向かい合った位置にある。腹鰭は1本の棘条と4本(まれに5本)の軟条からなる。浮き袋をもたず、基蝶形骨・眼窩蝶形骨を欠く。下尾骨は癒合し、一枚の骨板となっている。

オーストラリア周辺に分布する Alabes 属は他のウバウオ科魚類とかなり異なる形態をもち、単独の Alabetidae 科として分類されたこともある。本属の魚(4種)は背鰭・臀鰭の鰭条をもたず、胸鰭もない。また、3種は腹鰭も骨格レベルで欠いている。

分類 編集

ウバウオ亜目は1科36属140種で構成される[2]。ウバウオ類は古くからネズッポ亜目ノトテニア亜目との類縁関係が指摘されてきたが、その分類上の位置付けは極めて不安定で、かつてはウバウオ目として側棘鰭上目タラ目アンコウ目などが所属する上位分類)に含められたこともある。舌咽神経の構造など一部の特徴は側棘鰭上目との関係を示唆するものであるが、現在では棘鰭上目の一員としてスズキ目の内部に置かれることが多い。ネズッポ亜目との統合が提唱されているものの、Nelson(2006)の体系ではネズッポ亜目に最も近縁な一群として、独立の亜目としての存在を維持している。

 
ショアクリングフィッシュ (Lepadogaster lepadogaster)。地中海など大西洋東部に分布する種類
 
チョウチョウウオ科イースタンタルマChelmonops truncatus)をクリーニングするコクレオレピス属のイースタークリーナークリングフィッシュ

出典・脚注 編集

  1. ^ 『日本の海水魚』 pp.572-573
  2. ^ Nelson JS (2006). Fishes of the world (4th edn). New York: John Wiley and Sons 

参考文献 編集

外部リンク 編集