ウミグモ綱
ウミグモ綱(ウミグモこう、学名:Pycnogonida)は、鋏角亜門に属する節足動物の分類群の1つ。構成種はウミグモ(海蜘蛛、ウミグモ類)と総称される[3]。胴体は小さく、体のほとんどが脚からなるという独特な姿をもつ動物である。名前と大まかな姿が似通うものの、クモではない。
ウミグモ | ||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||
カンブリア紀 - 現世 | ||||||||||||
分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Pycnogonida Latreille, 1810 | ||||||||||||
和名 | ||||||||||||
ウミグモ(海蜘蛛、ウミグモ類) 皆脚類 厚節類 | ||||||||||||
英名 | ||||||||||||
sea spider pycnogonid | ||||||||||||
目 | ||||||||||||
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1300種以上を含め[4][5]、最古の化石記録はおよそ5億年前のカンブリア紀まで遡る[1][6]。現生群は皆脚目(かいきゃくもく、Pantopoda)のみからなる[7]。世界中の海域に広く分布する動物群であるが、その生態と系統に関しては未だに解明されない所が多い[8][9]。
呼称編集
英名は学名に因んだ「pycnogonid」のほか、クモと大まかに似通った姿から一般に「sea spider」と呼ばれる。和名も同じ意味で「ウミグモ」(海蜘蛛、ウミグモ類)といい、他にも皆脚類(かいきゃくるい、Pantopoda)・厚節類(こうせつるい、Pycnogonida)・脚体類(きゃくたいるい、Podosomata)などと総称される[3][10]。古くは夢虫(ユメムシ)とも呼ばれ、現在ではユメムシ科にその名が残っている[11]。
形態編集
小さな胴体に対して8本(稀に10本と12本[注釈 1])の脚は極端に発達し、脚を束にしただけのような印象を受ける種類がほとんどであるが、ヨロイウミグモ科のように丈夫な体型をもつものもある[5]。展足は微小な1 mmから大型の70 cmまで及ぶ[5][12]。大型種は主に深海や極地に生息するオオウミグモ科の仲間であり、体長8.5 cm・脚が35 cmに達する最大級のベニオオウミグモ(Colossendeis colossea)がその一例である[13]。体色は色薄いものから Anoplodactylus evansi のように鮮やかなものまで様々である[5]。
体節の構成編集
体の前部は先節とそれぞれ鋏肢・触肢・担卵肢・第1脚を備えた4つの体節から癒合した合体節であり、直後はそれぞれ1対の脚をもつ3つ(稀に4つと5つ)の体節と脚を欠く体節が続く[14]。いずれも円筒状となり、外骨格は腹背(背板と腹板)に区別されていない[14]。
なお、これらの部位に対する区分は昔今の文献によって異り、以下の例が挙げられる[15][16][17](5-6対の脚をもつ希少例における追加された脚および体節の対応関係は2017年現在では未検証である[14]ため、以下の表は通常の脚4対の例のみについて扱う)。
体節の番目 | 先節(0) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8-n |
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付属肢(関節肢) | - | 鋏肢 | 触肢 | 担卵肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 | 第4脚 | - |
外見上の節の番目(合体節) | 1 | " | " | " | " | 2 | 3 | 4 | 5-n |
1:古典的体系[15] | △ | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | * |
2:新たな体系[15][16] | △ | △ | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | * |
3:前体と後体からなる体系(1)[16] | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | * | * |
4:前体と後体からなる体系(2)[16][17] | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | * |
- 鋏肢・触肢・担卵肢をもつ部位を「頭部」、脚をもつ部位を「胴部/胸部」、後端の部位を「腹部」と扱う[15][18]。
- 鋏肢・触肢・担卵肢・第1脚をもつ部位を「頭部」、残りの脚をもつ部位を「胴部/胸部」、後端の部位を「腹部」(もしくは「trunk end[19]」)と扱う[14][16][17]。
- 鋏肢・触肢・担卵肢・第1-3脚をもつ部位を「前体」、第4脚(第7体節)以降の部位を「後体」と扱う(真鋏角類の体制に従う)[16]。
- 鋏肢・触肢・担卵肢・脚をもつ全ての部位を「前体」、後端の部位を「後体」と扱う(鋏角類の第7体節=後体第1節の体制に従う)[16][17]。
特に注目される部分として、古典の体系(例1)に「頭部」(head)と見なされた部分(先節+第1‐3体節)は、直後の第1脚をもつ第4体節と完全に癒合して合体節をなしている(Palaeomarachne granulata では該当する体節らしい痕跡が見られる[20])。真節足動物の頭部は先節を除いて4節以上からなるという説に従い、特に形態学上での比較のため、21世紀以降の記載論文ではこれらの4節を含んだ合体節を「頭部」(cephalon または cephalosoma[15])と扱うのが主流である(例2)[15][16][14]。
本項目では、21世紀以降において主流となった新体系(例2)について扱う。
頭部編集
頭部(cephalon、cephalosoma[15])は先節と前の4つの体節からなり、全てが癒合して1つの合体節をなしている[21][15][14]。なお、この頭部は頭らしい形とは言いがたく、第1脚をもつ節(第4体節、古典の体系における「胸部第1節」)をも含め、特にその節の構造は胴部のとほぼ共通していた。
頭部の背側は2対の単眼を支えた眼丘(ocular tubercle)があり[18]、単眼が1対や欠如まで退化した種類も稀にある[22]。なお化石属であるパレオイソプスは、他のウミグモ類に見られない正中線に配置される眼がある[15]。ウミグモの単眼は全て中眼由来で、側眼(複眼)由来のものはない[23]。
頭部の前端は、よく発達した吻(proboscis)があって、形は円筒状から徳利のように丸みを帯びるものがある。この吻は通常では三放射相称の構造をもち、先端は3つの開閉できる構造体(lip、jaw)に囲まれた逆三角形の口が開いている[24][8]。ただしスイクチウミグモ科の場合、口は吻の先端腹側に開いた縦長いスリット状の構造である[4]。一部の種類では吻の基部に関節があり、おかげで吻を体の腹側に折り畳むことができる[4]。この吻はウミグモに特有で、その由来や他の節足動物の部位との対応関係(相同性)は不明確である[14]。他の節足動物に見当たる上唇およびハイポストーマらしい構造は存在しない[14]。
頭部は基本として計4対の付属肢(関節肢)をもち、それぞれ先節直後の4つの体節(第1-4体節)に由来する。鋏肢・触肢・担卵肢という古典の体系における3対の「頭部付属肢」および第1脚からなる。ただし前の3対の「頭部付属肢」は、分類群や雌雄によって成長する度に退化消失した場合がある[18][8][9]。これらの付属肢の有無と構造は伝統的に科の同定形質として重要視された[18][5]。ただし、この同定形質は一部の科においては系統関係を反映せず、後に疑問視される向きがある[25]。
鋏肢と触肢を欠く Pycnogonum littorale(ヨロイウミグモ科)、この類では雌が担卵肢をも欠く[9]
鋏肢編集
吻の付け根の直後に鋏肢(きょうし、chelifores、cheliphores[15])があり、これは第1体節に由来の、他の鋏角類に存在する鋏角(きょうかく、chelicerae)に当たるものと考えられる[14]。鋏肢は背側(ホソウミグモ科など)ないし両側に寄せる角度(カニノテウミグモ科、ユメムシ科)で備わっている。後者の場合、鋏肢の可動域は幅広く、往々にして頑強で、獲物を握りつぶす機能に適している[8]。通常は3節で先端の2節ははさみをなしているが、柄状の第1肢節(scape)が2-3節に細分されて計4-5節まで及ぶ種類もある[注釈 2][15][19][14]。鋏肢が鋏のない2節ないし短い突起物まで退化し(イソウミグモ科)、或いは鋏肢を完全に欠いている種をもつ分類群もある(ヨロイウミグモ科、オオウミグモ科など)[8]。
触肢編集
鋏肢に次ぐ、頭部の両側に1対の触肢(しょくし、palps)がある。これはクモガタ類の触肢(pedipalps)に当たるものと考えられる(第2体節由来)[14]。感覚や食物の把握などの機能を担い[8]、肢節数・発達具合・および触肢そのものの有無は分類群(一部の群では雌雄)によって異なる[18]。従来は4-10つの肢節からなるとされる[3][18]が、最多の10節をもつと思われるオオウミグモ属(Colossendeis)の触肢における「第1肢節」と見なされた付け根の膨らんだ部分は、真の肢節ではなく、単なる頭部外骨格の延長部(lateral processes)であると明らかにした研究がある。これによれば、触肢の肢節数は最多9節となる[25]。
担卵肢編集
触肢と第1脚の間には、担卵肢(たんらんし、ovigers、ovigerous legs[9])というウミグモに特有[18]の細長い付属肢がある。発生学と解剖学的構造は触肢によく似通う[注釈 3][17]が、これはクモガタ類の第1脚に相同(第3体節由来)の「特殊化した脚」であると考えられる[17][14]。普段は体の下に折り曲げ、先端は身繕い用の棘状突起が並ぶ[18]。雄では卵塊をこの付属肢につけて保護する[9]。肢節数は分類群によって4-10節からなる[3]。なお、第1肢節の直前に接続する膨らんだ部位も節とし、肢節数は最多11節とみなす見解もあるが、該当する部位は後に単なる頭部外骨格の延長部であると判明しており、この見解は否定的とされる[25]。通常は雌雄とも担卵肢をもつが、ヨロイウミグモ科とホソウミグモ科などでは雌が担卵肢を欠く[9]。ヨロイウミグモ属(Pycnogonum)のNulloviger亜属では、雌雄とも担卵肢を欠く[9]。
胴部編集
胴部(trunk、胴節 trunk somites、胸部 thoraxともいう[15])に当たる部分は幅が狭く、脚の太さとほぼ変わらない。基本として3つの胴節(第5-7体節)からなり、5-6対の脚をもつ種では脚の数に応じて4-5節まで増やす[26]。各胴節は通常では明瞭な関節に分かれているが、直前の頭部をも含んで全てが癒合した例もある[22]。各胴節から1対ずつ横からやや延長し、接脚突起(lateral processes)[18]として脚に接続する。化石属のパレオイソプスとパレオパントプスでは、接脚突起と脚の接続部が数個の幅狭い環形節らしい構造をもつ[15]。
脚編集
脚(歩脚、歩行肢、legs、walking legs、ambulatory legs)はとても発達しており、体の大部分がこの付属肢からなる。通常は4対で、頭部第4節から胴部第3節(第4-7体節)まで備わっているが、後ろから1-2対の脚を増やし、計5対や6対をもつ種類も稀にある[注釈 1][14][26][27]。
各脚は主に8つの肢節によって構成される[18]。基部は第1基節・第2基節・第3基節の3節があり、そのうち第2基節は生殖口をもち、通常は腹面に開く[注釈 4][9]。それ以降では、腿節・第1脛節・第2脛節という発達した3節が続く。終端は跗節と趾節の2節をもち、跗節は多くの種類では趾節に比べて幅狭い。趾節の先に1本の爪(主爪、main claw)があり、その付け根の上側が更に左右2本の短い副爪(auxiliary claws)を加えた分類群もある[28][18]。
8本脚をもつという点からクモガタ類の鋏角類を思わせるが、担卵肢の存在によってこれらの脚の対応関係(相同性)はクモガタ類のものとは1節ずれていて、順番は相同でなく、特に第4対の脚は、他の現生鋏角類に脚を持たない後体第1節に対応するとされる(次の表および後述の議論も参照)[14]。
分類/体節 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
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真鋏角類 | 鋏角 | 触肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 | 第4脚 | 唇様肢(カブトガニ)/下層板(ウミサソリなど)/退化(クモガタ類) |
ウミグモ類 | 鋏肢 | 触肢 | 担卵肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 | 第4脚 |
腹部編集
腹部(abdomen、trunk end[19])に当たる部分は、皆脚目ではごく小さく、体節が見られない粒のような部分であり、尾端は肛門がある。ただし一部の化石種では、腹部は比較的に発達し、複数の体節と1本の尾節をもっていた[14][15][29]。
内部構造と生理学編集
吻は筋肉質で、内側(咽頭)はフィルターらしい繊毛構造が並んでいる[24][30][8]が、確実の機能は不明である[8]。消化管(中腸)は枝分かれして脚と鋏肢に入り込んで、多くの種類ではこれらの付属肢の先端近くまで伸びている[8][31]。触肢と担卵肢ではこのような消化管の枝を欠く[17]。生殖腺は体腔の背側に張り付き、これも枝分かれして脚に入り込んでいる[9]。雌の場合、卵巣は脚の腿節に収納される[9]。他の節足動物と同様にはしご形神経系をもち、食道を囲んだ脳とそれぞれの脚に対応する神経節が体腔の腹面に走る。最終胴節の神経節の直後にあり、腹部由来と思われる退化的な神経節は幼生の段階で一時的に見られ、発育が進んでいる度に胴節の神経節に吸収される[32]。
ウミグモの多くの臓器は脚に収納されており、多くの生理的活動も脚が荷う。鰓など独立した呼吸器官はなく、脚の多孔質な外骨格を通じて直接にガス交換を行う(皮膚呼吸)[33]。胴部にある細い心臓の脈動で流動できる血リンパの範囲は、脚の基部にしか及ばない[31]。そのため、脚にある大部分の血リンパと酸素を胴部に行き渡して全身の血液循環を果たすには、脚に入り込んだ消化管の枝が波打つるように、順調よく伸縮して血リンパを流動させるという独特な方法を通じて行う[31][34]。ウミグモのこのような脚と消化管の枝は、それぞれが鰓と心臓のような機能をしているとも形容される[31]。また、生殖口と生殖腺は脚にあるため、産卵と放精も脚を通じて行う[9]。
雌雄編集
性的二形として、雄は雌に比べてやや小型となる[9]。ヨロイウミグモ属とホソウミグモ科などの場合、雌は担卵肢を欠く[9]。
明確に雌雄を区別できる特徴は生殖口にある。雄の生殖口は微小な穴であり、蓋状構造を欠く場合もあるのに対して、雌の生殖口は大きく、往々にして蓋状構造をもつ[9]。生殖口の数も往々にして雌雄が異なる。雄は属によって前の数対の脚が生殖口を欠く場合があるが、雌は一部の例外[注釈 5]を除いて全ての脚に生殖口をもつ[9]。また、腿節に備わるセメント腺(cement gland)は雄に特有の器官である[9]。
生態編集
運動は緩慢で、多くの場合、海底の岩や海藻、サンゴ礁などにしがみついて、ゆっくりと動く底生動物であるが、脚を連動させて泳ぐこともできる。軟体動物や刺胞動物に寄生するもの、自由生活のものなどがある[35][8][7]。トックリウミグモ属(Ascorhynchus)[36]では普段が脚を平たく畳んで堆積物に潜む[37]。いくつかの種類は、刺胞動物・カイメン・コケムシなどの付着生物に口吻を刺し込んで体液を吸収することが知られているが、他のものについては食性が明らかになっていない[8]。一部の種からは、口が金魚のように開閉する様子が観察されており、これは濾過摂食に関わる動きではないかと考えられる[8]。また、ヤマトトックリウミグモについては、2020年に鳥羽水族館で飼育されている個体がイソギンチャクを捕食する様子が確認された[38]。
古い文献では吻で二枚貝を殻を突き抜いて捕食し、クジラに寄生するという文章記述もあったが、どれも懐疑的で、特に後者は単にクジラジラミ(クジラに寄生し、ウミグモに似通う姿をした甲殻類)の誤同定である[8]。
天敵と自衛手段に関してはほとんどが不明である。魚類やカニなどの肉食動物に狩れることはまれにあるものの、すぐ放されている[39]。少なくともヨロイウミグモ科の1種 Pycnogonum litorale は、高い濃度の脱皮ホルモンで捕食者に嫌がれるとこが分かっている[40]。体表はときおりにエボシガイなどの付着生物がくっついて、場合によってはウミグモの呼吸と運動に悪影響を与える[41][39]。抱卵中の雄は通常の個体に比べて捕食者に狙われやすく、付着生物にくっつけられやすいことを示唆する研究がある[42]。また、一部の種類は Dickdellia 属の寄生性腹足類に宿主とされることが知られる[43][44]。
寒帯から熱帯の海域、潮間帯から数千メートルの深海まで広く分布する海棲動物である[3]。その中でも、南極と亜南極の海域に生息するものは260種以上が知られている[45][25]。
繁殖と発育編集
繁殖は体外受精を通じて行う[9]。受精のたびに、雄は雌に抱きつき、お互いの生殖口が近づけるようになる姿勢をとる。この姿勢は、通常では雄が雌の背中に乗るが、Anoplodactylus 属のように、雄が裏返して雌の腹側に張り付くなどやや異なった例もある[9]。雌が脚の生殖口を通じて卵を産み出し、雄がそれを受け取って、セメント腺から分泌した粘液で卵嚢を担卵肢に粘りついて世話にする[9][42]。
他の繁殖行動はほとんどが不明であるが、いくつかの種類からは、雄が雌を追いかけ、雌同士の雄を奪い合うための闘争行為が確認される[9]。
発生は甲殻類のノープリウス幼生に似通っている[46]。初齢の幼生はプロトニンフォン幼生(プロトニンフォン、protonymphon)といい[7][47]、体は丸く、多くの場合は鋏肢・触肢・担卵肢という前3対の付属肢のみを持ち、触肢と担卵肢は成体らしからぬ爪のような形をとる[46]。成長に伴い変態をし、脚を持つ体節を増やしていく[48]。
化石編集
現存種の普遍性に反して、化石ウミグモ類の発見は非常に稀である[27]。特に中生代以降の化石記録は、長い間に欠いていた[6]。ただし現生種に比べると、古生代のウミグモ類は体制的に多様であり、これは主に腹部の構成から明瞭に見られる[14]。
古生代編集
ほとんどの化石記録は古生代によるものである。既知最古の化石は、およそ5億年前のカンブリア紀後期まで遡るCambropycnogon klausmuelleri の幼生化石である。このプロトニンフォン幼生は、付属肢の基部内側に突起(顎基)をもち、体の尾端に1対の長い付属体があるなど、現生群に見当たらない形質をもつ[1]。この化石のウミグモ類としての形質を疑う研究もある[49]が、否定的と評価される[50][27]。
Cambropycnogon に次いては、およそ4億5000万年前のオルドビス紀後期に生息したPalaeomarachne granulata がある。この化石種は断片的な本体部しか発見されていないが、頭部は他のウミグモ類に全く見当たらない体節らしい痕跡を特徴とする[20]。
シルル紀前期(およそ4億2500万年前)のハリエステス(Haliestes dasos)は、3.5 mmの小型種であるにも関わらず、保存状態がかなり良好な化石によって知られ、完全な成体化石をもつウミグモの中では既知最古の種となる。本種は4節からなる大きな鋏肢とたくさんの剛毛が並ぶ脚をもつが、全面の体制は現生群と共通している。なお、腹部は現存種のように退化的であるものの、3つの体節にあることを示唆する構造が見られる[19]。
デボン紀編集
デボン紀前期(およそ4億年前)の地層フンスリュック粘板岩(Hunsrück Slate)からは、比較的に多くの化石ウミグモ類が発見されており、パレオイソプス、パレオパントプス、Palaeothea、Flagellopantopus 、Pentapantopus の5属が知られる[15]。現存種とはかけ離れている形質をもつ化石種は多くがここで知られており、ウミグモ類の系統における体制の多様性を大きく拡張した[14][29]。
パレオイソプス(Palaeoisopus problematicus)は特に代表的で、多くの化石標本が発見される[2]。この種は、4節の長い腹部と剣状の尾節・遊泳生活に適したへら状の脚・特化した第1脚・5節からなる鋏肢など多くの特異な形質をもつ[15]。パレオパントプス(Palaeopantopus maucheri)と Flagellopantopus blocki は短いながらも数節に分かれた腹部を持ち[15]、特に後者は胴長の2.5倍に達する鞭状の長い尾節をもっていた[51]。Palaeothea devoriica は、明らかに皆脚目のウミグモ類として判断できる初の化石種である[15]。10本の脚をもつPentapantopus vogteli は、発見史上初の化石多脚ウミグモ類として知られる[27]。
中生代編集
中生代ジュラ紀による化石記録として、かつては Pentapalaeopycnon inconspicua と Pycnogonites uncinatus という2種はあったが、いずれも単にウミグモと見間違いされた、十脚目甲殻類のフィロソーマ幼生の化石であると後に判明した[1]。こうして実際が長い間に欠いている中生代の化石記録は、2007年に公表した、3種のジュラ紀(1億6000万年前)による新たな化石ウミグモ類の発見が本格的に初の記述となる。上述の多くの古生代のものとは異なり、これらの化石種の体制は現存種とほぼ共通し、疑いなく皆脚目として分類できた。それぞれの種(Palaeopycnogonides gracilis、Colossopantopodus boissinensis、Palaeoendeis elmii)は、イソウミグモ科・オオウミグモ科・ミドリウミグモ科に類縁もしくは該当の科に属する種であると考えられる[6]。2019年、前述の種より少し晩期(1億5000万年前)の地層から、新たにColossopantopodus nanus と、現生の属 Eurycyde の種であるかもしれない ?Eurycyde golem が記載された[2]。
2019年現在、中生代のウミグモはこれらのジュラ紀の化石のみによって知られ、直前の化石記録(デボン紀)に比べても2億5000万年ほどのギャップを開いている[2]。
下位分類編集
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Poschmann & Dunlop (2006) に提唱される化石ウミグモ類(†)の系統関係[27]。 |
2015年まででは、79属1385種のウミグモが記載される[5]。唯一の現生目である皆脚目(Pantopoda)と、それぞれ1種のみからなる3つの化石目に分かれ、ほかにもいくつか分類が明らかになっていない化石種がある[52]。これらの群のお互いの系統関係については、文献によって様々な見解が与えられており、定説はないが、パレオイソプスと Flagellopantopus は基盤的なウミグモ類である説は比較的に広く認められる[27]。
- ウミグモ綱 Pycnogonida
- †(属)Cambropycnogon
- †(属)Palaeomarachne
- †(属)Flagellopantopus
- †(属)Palaeothea
- †(属)Pentapantopus
- †古皆脚目[53](ムカシウミグモ目[54][55])Palaeopantopoda
- ムカシウミグモ科[55] Palaeopantopodidae
- †パレオイソプス目 Palaeoisopoda
- パレオイソプス科(ウミユリヤドリグモ科[55]) Palaeoisopodidae
- †(目)Nectopantopoda[58]
- 皆脚目[7](真皆脚目[53]、ウミグモ目[54][55]) Pantopoda
- (後述参照)
皆脚目編集
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Ballesteros et al. 2020[60]に基づいた皆脚目の内部系統関係。 |
全ての現生種が属する皆脚目(Pantopoda)は、昔今の見解によって9-11科に区別される。その内部系統関係は議論的であり、分子系統学的解析に再編成がなされている向きがある[7]。特に外部形態に基づいた従来の9科の一部の単系統性と同定形質の有効性は、後に疑問視される向きがある[5]。例えば、かつては類縁関係を推測できると考えられた頭部付属肢の退化具合は、分子系統学的解析によると、これは多くが複数の群から独自に獲得した特徴(収斂進化)であると示唆される[25]。
スイクチウミグモ科・ヨロイウミグモ科・オオウミグモ科の3群の他の群からかけ離れる系統関係は広く認められ[4][61]、2020年ではそのうちスイクチウミグモ科は最も基盤的なウミグモで、残りの2群はイボウミグモ科と単系統群になる系統関係が有力視される[60]。カニノテウミグモ科は、ユメムシ科を除いた側系統群であるとされる[4][61][60]。
2018年現在、2亜目6上科11科からなる分類体系は以下の通り[62][7]。なおこの分類体系は、上述の分子系統解析に示唆される系統関係を適切に反映していない問題がある。
- 皆脚目 Pantopoda
- (亜目)Eupantopodida
- (上科)Ascorhynchoidea
- (上科)Colossendeidoidea
- (上科)Nymphonoidea
- (上科)Phoxichilidoidea
- (上科)Pycnogonoidea
- (上科)Rhynchothoracoidea
- (亜目)Stiripasterida
- (亜目)Eupantopodida
Tanystylum orbiculare(イソウミグモ科)
ヤマトトックリウミグモ Ascorhynchus japonicus(トックリウミグモ科)
Meridionale harrisi(カニノテウミグモ科)
Nymphon signatum(ユメムシ科)
Pycnogonum litorale(ヨロイウミグモ科)
Austrodecus bamberi(スイクチウミグモ科)
2010年代の現在でトックリウミグモ科とウスイロウミグモ科の種類は、形態に基づいた伝統的な分類体制ではそれぞれがイソウミグモ科とカニノテウミグモ科に含まれた[7]。しかし分子系統学的解析では、いずれも該当する科の種類とは遠縁の別系統であると判明し[4][61]、後に区別された。カイヤドリウミグモなどを含んだカイヤドリウミグモ属(Nymphonella)に関しては、伝統的にユメムシ科やイソウミグモ科とする意見があったが[7]、分子系統学的解析ではトックリウミグモ科に含まれ[61][36]、カニノテウミグモ科とユメムシ科の姉妹群[60]、ミドリウミグモ科の姉妹群[60]など、様々な結果が出ている。
系統関係編集
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ウミグモの最も広く認められる系統的位置(鋏角類説) |
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Cormogonida説 |
古くは海産のクモガタ類や著しく特殊化した甲殻類とも見なされたが、いずれの見解も後に否定的とされる[63]。
通常、ウミグモ類は鋏角類の1綱として分類されている。しかし2000年代初期での分子系統学的解析では、ウミグモ類の単系統性は強く支持されるものの、他の鋏角類との類縁関係は大きく動揺された[63]。
2000年代以降の分子系統学的解析ではさまざまな結果が出ているが、従来通り鋏角類に属とし、他の鋏角類(真鋏角類)と姉妹群になる系統関係の方が多数派であり[64][17][65][66][67][68][5]、特に2010年代以降の系統解析から再び支持が得られる傾向がある[66][67][68][69][70]。もう1つの広く知られる異説は、ウミグモ類は鋏角類に所属せず、残り全ての現生節足動物(Cormogonida)の姉妹群になるという系統関係である(Cormogonida仮説)[71][72]。他にもクモガタ類に含まれ、そのうちダニ類やコヨリムシ類に近い系統関係が与えられた[73][74][75]が、これは系統解析に用いられる最大節約法のアーティファクト(ロングブランチアトラクション)の結果として疑問視される[76]。また、ウミグモ類は真鋏角類に対して基盤的である系統位置は広く認められるが、基盤的な鋏角類とされる化石節足動物(ハベリア・サンクタカリス・モリソニアなど)との関係性ははっきりしない[77]。
鋏角類説とCormogonida説は、いずれも分子系統学以外に形態学と発生学的根拠が挙げられる。前者は、第1対の付属肢は基本としてはさみ型・付属肢の構成と相同性に支持される[17][14]。後者は、上唇を欠き・生殖口は各脚に付くなどウミグモ類以外の節足動物に見当たらない形質が挙げられる。しかし後者の形質については、Cormogonida説を支持できる節足動物の共有原始形質か、もしくは単なるウミグモの派生形質なのかどうかは不明である[17]。また、後述の鋏肢が前大脳に対応する見解もCormogonida説を支持する証拠と見なされた[78]が、その見解は後に多くの研究に否定されるようになった[79][17][80](後述参照)。
頭部付属肢の対応関係編集
分類/体節 | 先節 (前大脳) |
1[注釈 6] (中大脳) |
2[注釈 6] (後大脳) |
3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|---|
ウミグモ類(最も有力視される見解) | ? | 鋏肢 | 触肢 | 担卵肢 | 第1脚 | 第2脚 |
ウミグモ類(触肢と担卵肢は同一体節由来) | ? | 鋏肢 | 触肢+担卵肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 |
ウミグモ類(鋏肢は前大脳に対応) | 鋏肢 | 触肢 | 担卵肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 |
真鋏角類 | 上唇 | 鋏角 | 触肢 | 第1脚 | 第2脚 | 第3脚 |
大顎類 | 上唇 | 第1触角 | 第2触角/(退化) | 大顎 | 第1小顎 | 第2小顎/下唇 |
アノマロカリス類 | 前部付属肢 | 鰭 | 鰭 | 鰭 | 鰭 | 鰭 |
ウミグモの鋏肢は、通常では真鋏角類の鋏角に相同の付属肢と見なされる。しかし鋏肢に対応する神経は、前大脳の前に備わるように見える。この特徴に基づいて、ウミグモの鋏肢は真鋏角類の鋏角(中大脳と第1体節に対応)に相同でなく、むしろアノマロカリス類などの前部付属肢に相同(前大脳と先節に対応)ではないかという見解があった[78]。しかしこの見解は、公表されるあとで多くの研究に否定的と評価される。ホメオティック遺伝子発現[79][17]や神経発生と神経解剖学的再検証[80]は、鋏肢に対応する神経節は前方に曲がった中大脳であることを強く支持する。従って通説に戻り、ウミグモの鋏肢と真鋏角類の鋏角は相同器官であるとされる[80][79][17]。
また、担卵肢の対応関係も議論されていた。これは真鋏角類の第1脚(第3体節に対応)に相同と見なすのが通常の判断であるが、別の2つの異説がある。1つは、担卵肢と触肢の解剖学と発生学的共通点[注釈 3]や、一部の群(オオウミグモ科など)での基部がお互いに密着するなどの形質に基づいて、両者は同一体節に起源で、担卵肢は「重複した触肢」であると見なされる[17]。もう1つは、前者の自らの触肢との同一起源を否定しながら、上述の鋏肢と前大脳の対応関係に基づいて、真鋏角類の触肢に相同であるとされる[78][17]。しかしホメオティック遺伝子発現は、通常の判断(第3体節に対応)を支持し、これらの異説を否定している[17]。
人間との係わり編集
通常は人間の日常生活とは関わりのない動物であり、人間活動がウミグモ類に及ぼす影響も明らかになっていない[39]。
なお、幼生が二枚貝に寄生する日本のカイヤドリウミグモ(Nymphonella tapetis)に関しては、2007年で東京湾の干潟において大量発生し、宿主とされるアサリの大量死に至って漁業被害を与えた[7][81][82]。ウミグモ類自体はなじみの薄い動物であるため、当時において本種は各メディアに「アサリに入っている変な虫」と報告された[7]。また、その性質により、漁業者たちから「海の吸血鬼」と呼ばれて忌み嫌われているとされている[38]。
脚注編集
注釈編集
- ^ a b Decolopoda属・Pentanymphon属・Pentapantopus属は5対、Dodecolopoda属は6対、Pentapycnon属は5-6対
- ^ ヤマトトックリウミグモ(Ascorhynchus japonicus)・ハリエステス(Haliestes)などは4節、パレオイソプス(Palaeoisopus)は5節
- ^ a b いずれも消化管の枝を欠く・節の数と構成が似通う・プロトニンフォン幼生から同時に備えるなどの形質が指摘される。
- ^ Endeis laevisとPycnogonum litoraleの第2基節の生殖口は背側に開く
- ^ Pycnogonum litoraleの雌の生殖口は第4脚のみにある
- ^ a b アノマロカリス類は前大脳のみをもつ。
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