ウリジン
ウリジン (Uridine) は、ピリミジンヌクレオシドの1つでウラシルがリボース環にβ-N1-グリコシド結合で接続した構造をもつ物質(詳細はヌクレオチドを参照)である。
ウリジン | |
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1-[3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル]ピリミジン-2,4-ジオン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 58-96-8 |
J-GLOBAL ID | 200907048417889186 |
KEGG | C00299 |
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特性 | |
化学式 | C9H12N2O6 |
モル質量 | 244.203 |
危険性 | |
半数致死量 LD50 | 4-10g/kg 以上[1] (マウス、ラット) |
薬理学 | |
投与経路 | 経口、経皮 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
RNAの構成成分の1つである。一方、ウラシルがデオキシリボース環に接合しているものは、デオキシウリジンである。
吸収極大波長はpH2で262nmであり、希酸で加水分解されにくい性質を持ち、濃酸で加水分解するとウラシルとフルフラールになる。
存在と摂取
編集ウリジンは主にRNAの形で食品中に存在していると考えられ、RNA乾燥重量データ[2]から、酵母や肝臓、ブロッコリなどに比較的多く含まれると推定される。
ビールを摂取すると血中のウリジン濃度が上昇することが報告されている。[3]
- 調味料
うま味調味料の5'-リボヌクレオチド二ナトリウムの一部に 5'-ウリジル酸ニナトリウムが含まれ、これはウリジンにリン酸が結合したウリジル酸のナトリウム塩である。
- サプリメント
米国では、Uridine 5 monophosphate(UMP)あるいはUridine triacetateがUridineの名称でサプリメントとして販売されている。
医療用途
編集ウリジンはオロト酸尿症で処方されるほか、抗癌剤のフルオロウラシル使用後の処方の報告がある。[1]
- 副作用[1]
ウリジンは比較的安全な物質で副作用の報告はヒト動物ともにあまりない。以下の副作用も10g/日以上の高用量で見られる副作用と報告されている。
- 下痢
- 発熱、震え
生理作用
編集- 抗うつ作用 - ラットにおいてウリジンとω3脂肪酸の同時投与による抗うつ作用の報告がある。[4]
脚注
編集- ^ a b c “A Critical EvaIuation of the Available Infurmation on the Toxicity/Safety of Orally Administered Uridine”. p. 4-5 of 7 (June 2002). 2016年6月20日閲覧。
- ^ “Safety considerations of DNA in food”. Annals of Nutrition and Metabolism 45: 239 Table 1. (2001). PMID 11786646 .
- ^ Effect of beer on the plasma concentrations of uridine and purine bases. (Oct 2002). PMID 12370853.
- ^ Antidepressant-like effects of uridine and omega-3 fatty acids are potentiated by combined treatment in rats.. (Feb 2005). PMID 15705349.
- ^ Synaptic proteins and phospholipids are increased in gerbil brain by administering uridine plus docosahexaenoic acid orally.. (May 2006). PMID 16631143.
- ^ Dietary uridine enhances the improvement in learning and memory produced by administering DHA to gerbils. (Nov 2008). doi:10.1096/fj.08-112425. PMC 2574024 .
出典
編集- 長倉三郎 ほか(編)「ウリジン」『岩波理化学辞典』第5版 CD-ROM版、岩波書店、1999年。ISBN 4-00-130102-4
- 八杉龍一 ほか(編)「ウリジン」『岩波生物学辞典』第4版 CD-ROM版、岩波書店、1998年。ISBN 4-00-130070-2