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ヴァルカン像。茨城県日立市かみね公園にて。同市の姉妹都市であるアメリカ合衆国アラバマ州バーミングハム市から贈られたもの。

ウゥルカーヌスVulcānus)はローマ神話に登場する[1]ムルキベルMulciber)とも呼ばれた[1]。後にギリシア神話の鍛冶神ヘーパイストスと同一視される[1]ウゥルカヌスとも表記され[2]英語読みのヴァルカンVulcan)でもよく知られる。

ロームルスあるいはサビーニー人の王タティウスが信仰を始めたという[1]。祭日は8月23日のウゥルカーナーリア(Vulcānālia)であった[1]

ウゥルカーヌスの神話はほとんどがヘーパイストスのものであり独自の神話は残っていない[3]

目次

語源編集

ウゥルカーヌスの語源には複数の説があるが、どれも確実なものではない。

一般的に受け入れられているのはヴェーダ語の várcas 「輝き」、アヴェスター語の varəčah 「力、エネルギー」と同じインド・ヨーロッパ祖語に由来するというものである。várcas はウゥルカーヌスと同じ火の神アグニや太陽神スーリヤの持ち物であるとされた。

ほかにはエトルリアの神ウォルカヌスに由来するという説、前ギリシア文明期のクレタ島の神ウェルカノス(Ϝελχανος)に由来するという説もあるが、どちらも意味的・神話学的にウゥルカーヌスと共通点がなく、偶然の一致である可能性が高い。

またオセット人ナルト叙事詩に登場する鍛冶神クルダレゴン(Kurdalægon)の方言形 Kurdalæwærgon を分解して得られる wærgon には「狼」という意味があり、そしてウゥルカーヌスと音声上一致するという説もある。しかしこれにしても、ウゥルカーヌスが鍛冶の神であるのはヘーパイストスに関連付けられて以降であり、ウゥルカーヌスと狼とは何の関係もない。

ガリアのウゥルカーヌス編集

東ローマ帝国の歴史家ヨルダネスは著書『ローマ人英語版』において、ガリアの鍛冶神を指して「ウゥルカーヌス」と呼んでいる。アイルランドゴヴニュウェールズゴヴァノン英語版と同源の、現在では名前の失われたガリアの鍛冶神に対して与えられたローマ名がウゥルカーヌスである[4]とも、単にローマのウゥルカーヌスがガリアを席巻した結果、元来のガリアの鍛冶神は消え去った[5]とも考えられる。

脚注編集

参考文献編集

  • 稲葉義明ほか『西洋神名事典』山北篤監修、新紀元社Truth In Fantasy事典シリーズ 4〉、1999年11月。ISBN 978-4-88317-342-6
  • グラント, マイケル、ヘイゼル, ジョン『ギリシア・ローマ神話事典西田実ほか訳、大修館書店、1988年7月。ISBN 978-4-469-01221-7
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年2月。ISBN 978-4-00-080013-6
  • デュヴァル, ポール=マリー (2001). ボンヌフォワ, イヴ編. ed. 世界神話大事典. 大修館書店. ISBN 4469012653. 
  • マイヤー, ベルンハルト『ケルト辞典』鶴岡真弓 平島直一郎訳、創元社、2001年。ISBN 4-422-23004-2

関連項目編集

  • 火山 - 火山を表す英語 volcano の語源である。