ウルズラ・フォン・デア・ライエン

ウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン: Ursula Gertrud von der Leyen, 旧姓:Albrecht, 1958年10月8日 - )は、欧州連合政治家ドイツキリスト教民主同盟(CDU)所属。第13代欧州委員会委員長(2019年 -)。

ウルズラ・フォン・デア・ライエン
Ursula Gertrud von der Leyen
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ウルズラ・フォン・デア・ライエン(2020年1月31日)
生年月日 (1958-10-08) 1958年10月8日(61歳)
出生地 欧州連合の旗 欧州連合ベルギーの旗 ベルギー
ブリュッセルイクセル
所属政党 ドイツキリスト教民主同盟
配偶者 ハイコ・フォン・デア・ライエン
(1986年 - )
公式サイト Ursula von der Leyen: Aktuelles

内閣 フォン・デア・ライエン委員会
在任期間 2019年12月1日 -
欧州理事会議長 シャルル・ミシェル

ドイツの旗 第17代 国防相
内閣 第3次メルケル内閣
第4次メルケル内閣
在任期間 2013年12月17日 - 2019年7月17日

ドイツの旗 労働・社会相
内閣 第2次メルケル内閣
在任期間 2009年11月30日 - 2013年12月17日

ドイツの旗 家族・高齢者・婦人・青少年相
内閣 第1次メルケル内閣
在任期間 2005年11月22日 - 2009年11月30日

Flag of Lower Saxony.svgニーダーザクセン州
社会・婦人・家族・保健相
在任期間 2003年3月4日 - 2005年11月22日
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ニーダーザクセン州社会・婦人・家族・保健相、ドイツ連邦共和国家族・高齢者・婦人・青少年相(第1次メルケル内閣)、CDU副党首、ドイツ連邦共和国労働・社会相(第2次メルケル内閣)、ドイツ連邦共和国国防相第3次メルケル内閣第4次メルケル内閣 2013年 - 2019年)などを歴任した。

来歴編集

生い立ち編集

ベルギーブリュッセル首都圏地域イクセルで生まれる。父エルンスト・アルプレヒトドイツ語版は、彼女が生まれたころに欧州石炭鉄鋼共同体で働いており、のちにニーダーザクセン州首相(CDU所属)を務めている[1]。兄弟が5人いる。

1977年アビトゥーアに合格し、ゲッティンゲン大学ミュンスター大学経済学を学ぶが、1980年に中断した。1978年にはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学している[2]

医師編集

1980年、ハノーファー医科大学に転じて医学を学び始め、1987年に医師国家試験に合格し、医師としてのインターンを終えた。続いて母校で婦人科の助手を務める。1991年に医学博士号を取得[3]

1986年に医学教授で経営者でもあるハイコ・フォン・デア・ライエンと結婚。夫妻は7人の子供をもうけた[4]1992年に第3子を出産したのち、一家はアメリカ合衆国に移った。1996年にドイツに帰国し、同年より2002年まで母校ハノーファー医科大学の疫学・社会医学・保健システム研究部で助手を務めた。2001年には公衆衛生学修士号を取得している。

フォン・デア・ライエンはニーダーザクセン州ハノーファー広域連合に含まれるバインホルンに居住している。フォン・デア・ライエンと家族はハノーファー福音ルター派州教会に属している。

地方の政界入り編集

1990年キリスト教民主同盟(CDU)に入党。1996年から1997年まで、CDUニーダーザクセン支部の社会政策委員会委員を務める。続いて、CDUニーダーザクセン支部医師会に属した。2001年から2004年までゼーンデ市議会議員に選出され、CDU 議員団長を務める。同時期、ハノーファー郡議会議員を務め、議会の保健・病院委員会会長を務めた[2]

2003年3月、ニーダーザクセン州首相クリスティアン・ヴルフ内閣に社会・婦人・家族・健康相として入閣した。在任中、強い抗議にも関わらず失明者に対する補助金を廃止して注目された。2003年より2005年までニーダーザクセン州議会議員を務める。2004年12月のCDU党大会では、予想に反してCDU執行部員に選出された。2005年2月よりCDUの「両親・子供・仕事」委員会の委員長を務める。

家族・高齢者・女性・青少年大臣編集

 
インタビューに答えるフォン・デア・ライエン(2006年)
 
フォン・デア・ライエン(2009年)

2005年8月、CDU党首アンゲラ・メルケル2005年ドイツ連邦議会選挙の選挙対策チームに家族・保健政策担当として招聘された。選挙後の2005年11月、第1次メルケル内閣に家族・高齢者・女性・青少年相として入閣する。

子供手当制度導入編集

2007年1月、従来の養育補助金制度を廃止して子供手当制度を導入した。

保育所増設をめぐる論争編集

同年、保育所の大増設を提案したため、あるべき家族の姿をめぐって論争を巻き起こすことになった。保育所増設の主張に対して、キリスト教社会同盟(CSU)を中心とする与党から「伝統的家族観を捨て去ったもので、従来の支持層が離反する」と批判が巻き起こったのに対し、首相メルケルをはじめとする党執行部や連立相手のドイツ社会民主党(SPD)[5]、野党同盟90/緑の党左翼党[6]からは支持の声が出るなど、議論は錯綜した。カトリック教会のヴァルター・ミクサ・アウクスブルク司教は猛反対したのに対し、ベルリン枢機卿ゲオルク・シュテルツィンスキーやドイツ福音主義教会(プロテスタント)の常議員会議長マルゴート・ケースマンは賛意を示した。しかし、フォン・デア・ライエンの提案は連立内の委員会で審議停止とされた[7]

雑誌デア・シュピーゲルでのクリスタ・ミュラー(元財務相オスカー・ラフォンテーヌの妻で、左翼党ザールラント州家族政策広報官)との論争で、ミュラーは「保育所は子供の情操上好ましくない」とフォン・デア・ライエンの政策を批判し、ミクサ司教による批判に同調した。このため左翼党内でもミュラーを批判する声が上がった。

インターネット規制編集

 
インターネット規制に反対するデモ(2009年3月)

2009年には児童ポルノ規制のためインターネット規制を強化することを提案して大きな議論を巻き起こした。インターネットサービスプロバイダーに対して児童ポルノ提供サイトの基本的な秘密情報を連邦刑事局に提供することを義務づけるもので、法学者やIT専門家、人権活動家、被害者、被害者保護団体による議論を巻き起こした。この法律案は大統領ホルスト・ケーラーが署名を拒否したこともあり、2010年2月に取り下げられた[8]

労働・社会大臣編集

2009年ドイツ連邦議会選挙ではニーダーザクセン州の比例代表リストから当選してドイツ連邦議会議員に初当選した。

同年10月に成立した第2次メルケル内閣では、保健分野を外した家族相として留任する。保健相には自由民主党フィリップ・レスラーが就任した。同年11月、労働・社会相フランツ・ヨーゼフ・ユングが国防相当時の不祥事の責任を取って辞任したため、その後任に転じた[9]

国防大臣編集

2013年に発足した第3次メルケル内閣では、ドイツでは初となる女性の国防大臣に就任した[10]2018年に発足した第4次メルケル内閣でも国防大臣に留任。

欧州委員長編集

2019年7月2日にブリュッセルで開催された欧州連合首脳会議にて、次期欧州委員会委員長に指名された[11]

7月16日欧州議会で賛成383票、反対327票の僅差で委員長就任が承認され、初の女性欧州委員長になることが正式に決定した[12]。これにより国防相を辞任し、後任にはCDU党首のアンネグレート・クランプ=カレンバウアーが就任した[13]。11月28日には欧州議会でフォン・デア・ライエンを委員長とする欧州委員会の新体制が賛成461、反対151、棄権89票で承認され、フォン・デア・ライエン体制が12月1日に発足することが決定した[14]

著書編集

  • Ursula von der Leyen, Maria von Welser 共著『Wir müssen unser Land für die Frauen verändern.
C. Bertelsmann Verlag|C. Bertelsmann, München März 2007, ISBN 978-3-570-00959-8
  • Ursula von der Leyen, Liz Mohn 共著『Familie gewinnt.
Bertelsmann-Stiftung, April 2007, ISBN 978-3-89204-927-2

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ “フォンデアライエン次期EU委員長に関する3つの不安”. 日経ビジネス. (2019年7月31日). https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/072900084/?P=4 2020年1月25日閲覧。 
  2. ^ a b Biographie beim Deutschen Bundestag(ドイツ連邦議会の紹介ページ)
  3. ^ Titeldatensatz der Dissertation,ドイツ国立図書館の学位論文カタログ(2020年1月25日閲覧)
  4. ^ Ursula von der Leyen” (German). Wirtschaftswoche. 2016年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年1月3日閲覧。
  5. ^ Den Worten Taten folgen lassen. (Memento vom 8. 1月 2009 im Internet Archive)
  6. ^ Mixa ist familienfeindlich und realitätsfern. (Memento vom 11. 1月 2009 im Internet Archive) Linksfraktion, 23. Februar 2007.
  7. ^ Koalitionsausschuss: Union stellt Ausbau der Krippenplätze in Frage, Die Welt,2007年3月6日
  8. ^ Jost Müller-Neuhof: Netzsperren. Köhler verweigert seine Unterschrift. zeit.de. (2009年11月30日)2020年1月25日閲覧.
  9. ^ “Nachfolge von Franz Josef Jung: Von der Leyen wird Arbeitsministerin”. Spiegel Online. (2009年11月27日). https://www.spiegel.de/politik/deutschland/nachfolge-von-franz-josef-jung-von-der-leyen-wird-arbeitsministerin-a-663910.html 
  10. ^ ドイツ:国防相に初の女性「スーパーママ」”. 毎日新聞社 (2013年12月18日). 2013年12月20日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年6月14日閲覧。
  11. ^ “次期欧州委員長に独国防相、ECB総裁にラガルド氏-eu首脳が指名”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2019年7月3日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-02/PU0YUBSYF01S01 2019年7月3日閲覧。 
  12. ^ 欧州委員長に初の女性、ドイツのフォン・デア・ライエン氏を僅差で承認(英国放送協会 2019年7月17日 2019年7月19日閲覧)
  13. ^ 独与党CDU党首が国防相に=次期欧州委員長の後任(時事通信 2019年7月17日 2019年7月19日閲覧)
  14. ^ “EU、フォンデアライエン欧州委員長を承認 1日に新体制”. AFPBB News. フランス通信社. (2019年11月28日). https://www.afpbb.com/articles/-/3256991 2019年11月28日閲覧。 

外部リンク編集

先代:
ジャン=クロード・ユンケル
欧州委員会委員長
2019年-
次代:
(現職)
先代:
トーマス・デメジエール
ドイツ連邦共和国国防相
2013年 - 2019年
次代:
アンネグレート・クランプ=カレンバウアー
先代:
フランツ・ヨーゼフ・ユング
ドイツ連邦共和国労働・社会相
2009年 - 2013年
次代:
アンドレア・ナーレス
先代:
レナーテ・シュミット
ドイツ連邦共和国家族・高齢者・婦人・青少年相
2005年 - 2009年
次代:
クリスティナ・シュレーダー