エイノユハニ・ラウタヴァーラ

エイノユハニ・ラウタヴァーラEinojuhani Rautavaara 1928年10月9日 - 2016年7月27日[1])は、フィンランド現代音楽の作曲家。同国における同世代の作曲家のなかでは代表的存在である。

エイノユハニ・ラウタヴァーラ
Einojuhani Rautavaara
基本情報
生誕 (1928-10-09) 1928年10月9日
出身地  フィンランド
ウーシマー州 ヘルシンキ
死没 (2016-07-27) 2016年7月27日(87歳没)
学歴 シベリウス音楽院
ジュリアード音楽院
ジャンル クラシック音楽
現代音楽
職業 作曲家

生涯 編集

ヘルシンキに生まれる。1948年から1952年まで、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーにてアーッレ・メリカントに師事。後に、シベリウスの勧めでニューヨークジュリアード音楽院に移る。ジュリアード音楽院では、ヴィンセント・パーシケッティに師事するほか、タングルウッド音楽センターにてセッションズコープランドのレッスンも受けている。ラウタヴァーラは、1954年にThor Johnson Contestへ出品した「我らの時代のレクイエム A Requiem in Our Time」で国際的な注目を集めた。

1957年から1959年まで、シベリウス・アカデミーにて短期の講師として働いた後、1959年から1961年までヘルシンキ・フィルハーモニックのアーキヴィストとして働いた。1965年から1966年までは、Käpylä Music Institute in Helsinkiの学長を務め、1966年から1976年まで、再びシベリウス・アカデミーにて講師になった。そのうち、1971年からは国家任命の芸術教授となった。1976年から1990年までは、シベリウス・アカデミーにて作曲学の教授に就いた。2004年に急病に倒れたものの、すぐに回復している。

ラウタヴァーラは多作の作曲家であり、さまざまな形式やスタイルで作品を発表している。彼の作品は、楽譜も容易に手に入れることが出来る。ラウタヴァーラは初期にセリー主義へ傾倒し、たとえば交響曲第3番ではセリアルな語法が目立つが、ブーレーズのような難解なセリー音楽ではなく、ブルックナーのようなきわめて明快な音楽を作る傾向にあった。しかし1960年以降はセリー主義を離れ、それ以後の作品では題名に「天使」などの語が織り込まれ、清澄で神秘的な要素を帯びてくる。こうしたラウタヴァーラの音楽では、弦楽器による簡素で民俗的な主題や、旋回するフルートの旋律、ベルによる静かな不協和音、牧歌的なホルンが特徴的なものとして挙げられる。

ラウタヴァーラの作品は、8つの交響曲のほか、いくつかの協奏曲声楽曲、さまざまな楽器のためのソナタ弦楽四重奏曲、その他室内楽曲、そしてたくさんのオペラなど、広いジャンルに亘る。 また、テープのためのパートが与えられた作品も多く、「カントゥス・アルクティークス Cantus Arcticus」(テープに録音された鳥の声と管弦楽のための協奏曲)や、合唱と管弦楽とテープのための「真実と偽りのユニコーン True and False Unicorn」が名高い。

ラウタヴァーラの作品の多くは既に録音されているが、なかでもレイフ・セーゲルスタム指揮によるヘルシンキ・フィルハーモニック・オーケストラの交響曲第7番「光の天使」は大成功を収めており、1997年度のグラミー賞にノミネートされた。

作品 編集

管弦楽曲 編集

音楽・音声外部リンク
鳥と管弦楽のための協奏曲「カントゥス・アルクティークス」を試聴する
  Rautavaara's 'Cantus Arcticus'《冒頭約2分間は指揮者プレトーク》 - Calgary Civic Symphony(カルガリー市民交響楽団)による演奏《指揮者名記載無し》。当該映像制作者「Voice of Alberta」(カナダアルバータ州のテレビ放送事業者)公式YouTube。

室内楽曲 編集

  • 我らの時代のレクイエム
  • チェロとピアノのための「2つの前奏曲とフーガ」
  • クラリネットとピアノのための「ソネット」
  • フルートとギターのためのソナタ

独奏曲 編集

  • 村の音楽師(ピアノ)
  • イコン(ピアノ)
  • エチュード集(ピアノ)
  • ピアノソナタ第1番「キリストと漁夫」
  • ピアノソナタ第2番「火の説法」
  • ナルキッソス
  • パッショナーレ

舞台作品 編集

  • 鉱山
  • アポロ対マルシアス
  • サンポの神話
  • トマス
  • ヴィンセント
  • 太陽の家
  • マギの贈り物
  • アレクシス・キヴィ
  • ラスプーチン

声楽曲 編集

  • シェイクスピアの3つのソネット
  • オルフェウスへの5つのソネット
  • 言葉の遊戯
  • ガルシア・ロルカの詩による組曲

合唱曲 編集

  • アヴェ・マリア
  • ハマーショルド断章
  • 子供のミサ
  • クレド
  • T.S.エリオットによる2つのプレリュード
  • 人生の書(Elämän kirja)

脚注 編集

  1. ^ エイノユハニ・ラウタヴァーラ逝去”. ショット・ミュージック (2016年8月9日). 2020年7月27日閲覧。

参考文献 編集

  • Kennedy, Michael (2006): The Oxford Dictionary of Music. ISBN 0-19-861459-4
  • Stępień, Wojciech (2010): Signifying Angels: Analyses and Interpretations of Rautavaara’s Instrumental Compositions. Ph.D. thesis. Studia musicologica Universitatis Helsingiensis, 20. Helsinki. ISBN 978-952-10-6399-2 ISSN 0787-4294 (Abstract.)
  • Stępień, Wojciech (2011): The Sound of Finnish Angels: Musical Signification in Five Instrumental Compositions by Einojuhani Rautavaara. Pendragon Press. ISBN 978-1-57647-171-5
  • Tiikkaja, Samuli (2014). Tulisaarna: Einojuhani Rautavaaran elämä ja teokset (in Finnish). Helsinki: Teos. ISBN 978-951-851-573-2.

外部リンク 編集