エイント・ザット・ア・シェイム
「エイント・ザット・ア・シェイム」(Ain't That a Shame) は、ファッツ・ドミノとデイヴ・バーソロミューが書いた楽曲。日本語では、「悪いのはあなた」という曲名で言及されることもある[1]。
「Ain't It a Shame」 | ||||
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ファッツ・ドミノ の シングル | ||||
初出アルバム『Rock and Rollin' with Fats Domino』 | ||||
B面 | La-La | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチ・シングル | |||
録音 |
1955年3月15日 Master Recorders, 535 North Fairfax Avenue, Hollywood, California, U.S. | |||
ジャンル | ロックンロール | |||
時間 | ||||
レーベル | インペリアル・レコード | |||
作詞・作曲 |
ファッツ・ドミノ デイヴ・バーソロミュー | |||
ファッツ・ドミノ シングル 年表 | ||||
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ドミノが最初に吹き込んだバージョンは、「エイント・イット・ア・シェイム」(Ain't It a Shame) という曲名で、1955年にインペリアル・レコードからリリースされ[2][3]、ヒットとなり、最終的には百万枚以上を売り上げた。『ビルボード』誌のR&Bチャートで首位に立ち、ポップ・チャートでも10位まで上昇した[4]。『ローリング・ストーン』誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では第438位に入った[5]。
この録音は、ファッツ・ドミノのデビュー・アルバム『Rock and Rollin' with Fats Domino』(1956年)に収められ、次いでコンピレーション・アルバム『Fats Domino Swings (12,000,000 Records)』(1958年)にも収録された[6]。その後、1963年には、ボーカル・コーラスがオーバー・ダビングされて、アルバム『Let's Dance with Domino』(1963年)にも取り上げられた[7]。1983年、ファッツ・ドミノはこの曲を再録音し、このバージョンは彼の最後のアルバムとなった『Alive and Kickin'』(2006年)にも「Ain't That a Shame 2000」のタイトルで収録された[8]。
この曲は、パット・ブーンによってカバーされたことで、全国的に知られるようになった[9]。ドミノのバージョンは、程なくしてブーン以上の人気となり、デビュー曲「The Fat Man」を録音してから6年後にしてマス市場に彼の音楽が浸透するようになった[10]。「エイント・ザット・ア・シェイム」以降、メインストリームのアーティストたちがドミノの楽曲をカバーするようになり、例えばテレサ・ブリュワーは、ドミノが取り上げたフォーク・ソング「Bo Weevil」を歌った。
この他にも、この曲は、フォー・シーズンズ(1963年)、ジョン・レノン(1975年)、ポール・マッカートニー(1988年)などにもカバーされ、チープ・トリック(1978年)のバージョンが特に知られている。
パット・ブーンによるカバー
編集「Ain't That a Shame」 | ||||
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パット・ブーン の シングル | ||||
初出アルバム『Pat Boone』 | ||||
B面 | Tennessee Saturday Night | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチ・シングル | |||
録音 |
1955年5月 Universal Recording Corporation, Chicago, Illinois, U.S | |||
ジャンル | ロックンロール | |||
時間 | ||||
レーベル | ドット・レコード | |||
作詞・作曲 |
ファッツ・ドミノ デイヴ・バーソロミュー | |||
プロデュース | ランディ・ウッド | |||
パット・ブーン シングル 年表 | ||||
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パット・ブーンは、ファッツ・ドミノのシングルが出た直後の1955年5月に、この曲を吹き込んだ。この録音は同月のうちにシングルとしてリリースされ[11]、曲名は「Ain't That a Shame」とされ、ブーンのデビューアルバム『Pat Boone』(1956年)にも収められた[12]。一説によると、ブーンは、より広い聴衆に訴求するために曲名と歌詞を「Isn't That a Shame」と変えることを提案したが、プロデューサーらに説得されて断念したという[13]。結局、ブーンが吹き込んだこの曲は、彼にとって初めて『ビルボード』誌のチャートの首位に立った曲となり「Most Played in Jukeboxes」のチャートの首位に2週間とどまった。ドミノはブーンによるカバーに感謝の意を表した[9]。ブーンは、あるコンサートの際にドミノからステージに上がるよう促され、その際ドミノが大きな金の指輪を見せながら「パット・ブーンが俺にこいつを買ってくれたんだ」と言った、というエピソードを好んで語っているが、ドミノとバーソロミューは他のアーティストたちによるレコード売り上げやラジオ放送から、作者としてのロイヤリティを得ていた[14]。
チープ・トリックによるカバー
編集「Ain't That a Shame」 | ||||||||
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チープ・トリック の シングル | ||||||||
初出アルバム『チープ・トリックat武道館』 | ||||||||
B面 | エロ・キディーズ | |||||||
リリース | ||||||||
規格 | 7インチ・シングル | |||||||
録音 |
1979年7月 東京・日本武道館 | |||||||
ジャンル | パワーポップ、ハードロック | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル | エピック・レコード | |||||||
作詞・作曲 |
ファッツ・ドミノ デイヴ・バーソロミュー | |||||||
プロデュース | チープ・トリック | |||||||
チープ・トリック シングル 年表 | ||||||||
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チープ・トリックが、1978年のライブ・アルバム『チープ・トリックat武道館』からリリースしたバージョンはチャートの35位まで上昇した。『キャッシュボックス』誌も「ファッツ・ドミノのクラシックを素晴らしい狂乱に仕立てた (superb rave-up of the Fats Domino classic)」と評した[15]。このカバーは、ファッツ・ドミノも気に入っていたと伝えられる[16]。ドミノは、チープ・トリックに1955年のシングルのゴールド・レコードを贈り、ギタリストのリック・ニールセンがこれを受け取った[17]。もう一つ別のライブ・バージョンは、1999年に録音され、2001年のアルバム『Silver』に収録された。
『Classic Rock』誌の批評家マルコム・ドーム (Malcolm Dome) は、この曲をチープ・トリックとしては4番目に偉大な楽曲だとしており、カバー曲でありながら「バンドは効果的に自分たちのものにしている (the band effectively made it their own)」と述べている[18]。
2016年にロックの殿堂入りのセレモニーが行われた際、チープ・トリックはライブのフィナーレでこの曲を演奏した。この演奏には、シカゴのロバート・ラム、ジェームズ・パンコウ、リー・ロックネイン、ウォルター・パラゼイダーをはじめ、ディープ・パープルのデイヴィッド・カヴァデール、グレン・ヒューズ、さらに、スティーヴ・ミラー、シェリル・クロウ、グレイス・ポッター、スティーヴ・ヴァン・ザント、ロブ・トーマス、ポール・シェイファーが参加した。
チャート
編集チャート(1979年) | 最高位 |
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アメリカ合衆国 Billboard Hot 100 | 35 |
カナダ RPM Top Singles | 13 |
オランダ シングル・チャート | 25 |
ニュージーランド シングル・チャート | 24 |
その他のカバー・バージョン
編集フォー・シーズンズのバージョンは、1963年に『ビルボード』誌のチャートで最高22位まで上昇した[19]。この曲は、彼らの1963年のスタジオ・アルバム『Ain't That A Shame and 11 Others.』にも収録された。『キャッシュボックス』誌はこのバージョンを「淫らな、ミディアム・ペースの、相手を変えながらダンスを続けるロマンティックな存在 (a raunchy, medium-paced, multi-dance romancer)」と評した[20]。
「エイント・ザット・ア・シェイム」は、ジョン・レノンが演奏を学んだ最初の楽曲であった。後年、彼はアルバム『ロックン・ロール』(1975年)でこの曲をカバーした[21]。レノンのバージョンは、2007年のトリビュート・アルバム『Goin' Home: A Tribute to Fats Domino』(ヴァンガード・レコード)の冒頭に収められた。
ビートルズの同僚であったポール・マッカートニーもこの曲を複数回録音しており、最初は1988年の『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』に、次いで1990年の『ポール・マッカートニー・ライブ!!』にもこの曲を収録した。後者は、ザ・ポール・マッカートニー・ワールド・ツアーの際に収録されたものである。
この他、ドミノのオリジナル・バージョンをカバーしたアーティストには、マイク・カーブ・コングリゲイションと共演したハンク・ウィリアムズ・ジュニア[22]、アルバム『Lovin' and Learnin'』(1976年)で取り上げたタニヤ・タッカー、1977年のセルフタイトル・アルバムに収録したブラウンズヴィル・ステーション, 1982年のアルバム『Mud featuring Les Gray』でこの曲を取り上げたマッドなどがいる。他方では、パット・トーピーが、チープ・トリックのバージョンをアルバム『Odd Man Out: Y2K』(1999年)でカバーしている。
脚注
編集- ^ 「エイント・ザット・ア・シェイム」『デジタル大辞泉プラス』 。コトバンクより2022年10月3日閲覧。
- ^ “Fats Domino - Ain't It a Shame / La-La (Imperial 5348 and X5348, April 1955)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。
- ^ Domino, Fats. “The Story of Fats Domino's 'Ain't That a Shame'”. NPR. 1 November 2015閲覧。
- ^ “Fats Domino | Awards”. AllMusic (26 February 1928). 1 November 2015閲覧。
- ^ Rodman, Sarah. “Fats Domino, 'Ain't It a Shame' - 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone. 1 November 2015閲覧。
- ^ “Fats Domino - Fats Domino Swings (12,000,000 Records) (Imperial LP 9062, December 1958)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。.
- ^ “Fats Domino - Let's Dance with Domino (Imperial LP-9239, May 1963)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。.
- ^ “Fats Domino - Alive and Kickin' (Fats Domino Publishing Company CD, 2006)”. musicbrainz.org. 22 January 2020閲覧。
- ^ a b “Show 6 – Hail, Hail, Rock 'n' Roll: The Rock Revolution Gets Underway. [Part 2]”. Digital.library.unt.edu (20 October 2015). 1 November 2015閲覧。
- ^ Whitburn, Joel (1988). Top R&B Singles 1942–1988. Wisconsin: Record Research. p. 122. ISBN 0-89820-068-7.
- ^ “Pat Boone - Ain't That a Shame / Tennessee Saturday Night (Dot 45-15377, 26 May 1955)”. 45cat.com. 22 January 2020閲覧。
- ^ “Pat Boone - Pat Boone (Dot DLP-3012, 1956)”. discogs.com. 22 January 2020閲覧。
- ^ Cavallo, Dominick (1999). A Fiction of the Past: The Sixties in American History. New York: St. Martin's Press. p. 151. ISBN 0-312-21930-X.
- ^ "Biography". Pat Boone website. Archived 23 August 2009 at the Wayback Machine..
- ^ “CashBox Singles Reviews”. Cash Box: p. 13. (August 4, 1979) 2022年1月1日閲覧。
- ^ Sullivan, Denise (May 7, 2012). “Ain't It a Shame”. 9 August 2017閲覧。
- ^ “Rick Nielsen on Instagram: "#FatsDomino #RIP "To Fats Domino" "Ain't It A Shame" For Selling One Million Records" This Gold Record from 1955 was given to #CheapTrick…"”. Instagram. 2021年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。23 June 2019閲覧。
- ^ Dome, Malcolm (June 28, 2016). “The top 10 best Cheap Trick songs”. Classic Rock. Louder Sound. 2022年6月19日閲覧。
- ^ Whitburn, Joel (2004). The Billboard Book of Top 40 Hits (8th ed.). Record Research. p. 237
- ^ “CashBox Record Reviews”. Cash Box: 8. (April 13, 1963) 2022年1月12日閲覧。.
- ^ “Ain't That A Shame by Fats Domino Songfacts”. Songfacts.com. 1 November 2015閲覧。
- ^ “Hank Williams Jr. - Ain't That A Shame”. YouTube. 2021年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。25 October 2017閲覧。