エディ号 (東京 - 徳島線)
エディ号(エディごう)は、徳島バスと各社が共同運行する徳島発着の高速バスである。
なかでも「エディ号」と言えば京浜急行バスと徳島バスが共同運行する東京 - 徳島間の路線を指すことが多く、京急側でも「エディ号」の名称を使用しているため、当項目では東京 - 徳島線のみを扱う。
エディ号全般については、徳島バス#高速バス路線のページを参照のこと。
概説編集
本路線は、鉄道での直行手段がない東京と徳島県を結ぶ路線として開設された。
定期路線としての運行に先立ち、1988年8月には2週間にわたって帰省バスでの運行が行なわれた。これはツアーバス形式をとってはいるものの、運行期間は14日間と帰省バスとしては長めに設定された上、両社で隔日交互で夜行バスを運行するという、通常の夜行高速バスと同様の運行形態が採られていた[1]。「エディ号」の愛称はこの時に採用されたものである。この時には1250人もの利用があり、同年の年末にも同様の運行形態で運行したところ、常時2台運行という状態になった[1]ことから、定期的に運行する路線バスとしての運行に踏み切ったものである[2]。
当路線の運行開始当初は明石海峡大橋が開通していなかったため、神戸市須磨区 - 東浦町(現:淡路市)間は淡路フェリーボートを利用し、フェリーにバスごと載せて明石海峡を渡るという珍しい方策を採っていた[1]。明石海峡大橋開通とともにルート変更され、フェリー航送はなくなった。
なお、定期バスのフェリー航送は、2017年現在、鹿屋市コミュニティバスで行われており、 過去には本路線同様明石大橋開通前に淡路フェリーを利用して運行された徳島 - 神戸三宮 - 梅田・難波便(徳島バス・阪神電気鉄道=現在の阪神バス・南海電気鉄道=現在の南海バス。現在は明石海峡大橋経由)、伊勢湾フェリーを利用する三重交通の近鉄鳥羽駅 - 中部国際空港間リムジンバス(路線廃止)、九州横断バス(現在は区間短縮して航送区間なし)、「ありあけ号」(路線廃止)、「しまなみライナー」三原線(路線廃止)、スオーナダフェリーを利用する「別府ゆけむり号」(路線廃止)の例が存在するが、夜行高速バスのフェリー航送は、エディ号以外の事例は存在しない。
航行中、乗客・乗務員は車両甲板に入れないため客室に滞在した[3]。このためフェリー区間が深夜帯にかからないように配慮されたダイヤであった[4][5]。京浜急行・徳島バスと淡路フェリーボートの契約により、バスが多少遅れても優先的に乗船できた[3]。また各便1号車は専用乗船枠が用意されていた[3]。
運行会社編集
運行回数編集
夜行便1日1往復(毎日運行)
- 片道1便が京急、徳バスの隔日で担当(続行便は担当が替わることがある)。
運行系統および停車停留所編集
- ○…品川発は乗車のみ、徳島発は降車のみ扱い
- ●…徳島発は乗車のみ、品川発は降車のみ扱い
所在地(都県名) | 所在地(区市町名) | 停留所名 | 乗降車 | 備考 |
---|---|---|---|---|
東京都 | 港区 | 品川バスターミナル |
○ | |
浜松町バスターミナル | ○ | 8番乗り場に停車 | ||
渋谷区 | 渋谷マークシティ | ○ | 91番乗り場に停車 | |
兵庫県 | 淡路市 | 東浦 | ● | |
南あわじ市 | 志知 | ● | ||
徳島県 | 鳴門市 | 高速鳴門 | ● | |
板野郡松茂町 | 松茂 | ● | 徳島とくとくターミナル | |
徳島市 | 徳島駅前 | ● | ||
加茂名 | ● | 加茂名小学校前停留所 | ||
名西郡石井町 | 石井 | ● | 石井駅前 | |
吉野川市 | 徳島バス鴨島営業所 | ● | ||
川島 | ● | 吉野川市役所川島庁舎前 |
沿革編集
- 1988年(昭和63年)8月5日 - 京浜急行電鉄(当時)・徳島バスの共同運行により、帰省バス「エディ号」として運行(同年8月18日まで)。
- 1989年(平成元年)7月14日 - 定期路線として運行開始。
- 1998年(平成10年) - 明石海峡大橋供用開始にともないルート変更。
- 2005年(平成17年)
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)11月1日 - 渋谷経由便(エディ1号)は阿南、渋谷通過便(エディ2号)は吉野川市川島まで路線延長[6][7]。
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)7月1日 - 本四海峡バス東浦乗車券発売所及び洲本乗車券販売センターで発券開始される(東京 - 東浦・志知間のみ)。
- 2018年(平成30年)4月1日 - 羽田京急バスの本体吸収合併により、東京側の運行会社を京浜急行バスへ再移管。
- 2019年(令和元年)10月1日 - 阿南発着便(1号)を廃止、川島発着便(2号)を渋谷マークシティ経由に変更し、1日1往復とするダイヤ変更を行う[10][11]。また、消費税引き上げに伴い、運賃を改定[12][13]。
車両設備編集
- トイレ・膝掛毛布・スリッパ・お茶・冷水・おしぼりの設備がある
- 京急便と徳バス便で設備が微妙に異なる。
- 独立3列シートのスーパーハイデッカー車が運用される。
- 京浜急行バスは三菱ふそう・エアロクイーンならびに日野・セレガを使用。徳島バスはエアロクイーンならびにセレガ(セレガR・ニューセレガ)を使用。いずれも高速専用車(3列シート)はスーパーハイデッカー。
- 続行便で観光バス車両(4列シート車、トイレ設備なし)が運用されることがある。その際は運賃が若干割引される。
- 京浜急行バス便には通路側フェイスカーテンを増設した車両もあり。
その他編集
- 夜行便であることから、徳バスが運行する他の高速バス(総称して「エディ号」と呼ぶこともある)と区別するため「ムーンライトエディ号」と呼ばれている[14]。
- 誤乗防止のため、先行する渋谷経由便を「エディ1」、後発の渋谷通過便を「エディ2」と案内することがあったが、2009年11月の路線延長時から(2往復運行の最終日である)2019年9月30日まで、それぞれ「エディ1号」「エディ2号」という名称に変更されていた[6]。
- 渋谷マークシティ高速バス乗り場が狭隘であるため、2019年9月30日運行分まで渋谷経由便のエディ1号には続行便が付かなかった。渋谷マークシティ乗り入れ台数制限については「夕陽号」でも見られる。
参考文献編集
- バス・ジャパン10号「快走!!東京直行徳島帰省バス」(1988年10月1日発行)
脚注編集
- ^ a b c 鈴木文彦「新版・高速バス大百科」p63
- ^ 鈴木文彦「新版・高速バス大百科」p64
- ^ a b c 鈴木文彦「新版・高速バス大百科」p66
- ^ 鈴木文彦「新版・高速バス大百科」p66の記述では、下り便については明石5時50分発の便が指定されていた。
- ^ フェリー利用時代の運行時刻は次の通りとなっていた(1990年頃の時刻表より)。
- 下り便:品川21:30・浜松町21:50→鳴門撫養07:40・徳島駅08:10
- 上り便:品川06:40・浜松町06:20←鳴門撫養20:25・徳島駅20:00
- ^ a b 京浜急行バストピックス 【高速バス】 徳島ゆき「エディ」号は阿南へ、吉野川へ
- ^ “高速バス:東京行き、発着地点を延伸--来月から /徳島”. 毎日新聞 地方版 (2009年10月29日). 2009年11月5日閲覧。
- ^ 徳島バス 東京線にお得な回数券登場!
- ^ 国土交通省中部運輸局自動車交通部 4月14日に開通する『新東名』に高速バス17社が運行
- ^ “「エディ号」徳島方面ゆきの運行について”. 京浜急行バス (2019年8月23日). 2019年8月24日閲覧。
- ^ “【東京線】改正について”. 徳島バス (2019年8月30日). 2019年10月22日閲覧。
- ^ “消費税引き上げに伴う運賃改定について”. 京浜急行バス (2019年9月6日). 2019年10月22日閲覧。
- ^ “【高速バス】消費税率変更に伴う運賃改定について”. 徳島バス (2019年8月30日). 2019年10月22日閲覧。
- ^ “東京線「ムーンライトエディ号」 | 高速バス | 徳島バス株式会社” (日本語). 徳島バス. 2019年10月2日閲覧。