エンブラエル EMB 110 バンデイランテ(Embraer EMB 110 Bandeirante)は、ブラジルエンブラエルが製造した双発ターボプロップの汎用機である。

エンブラエル EMB-110
「バンデイランテ」

ライアンエアーのEMB-110

ライアンエアーのEMB-110

概要

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TAM航空のエンブラエルEMB110

ブラジル空軍が、ビーチC-45の後継となる汎用機として計画した機体で、1966年中盤から開発が始まり、原型機は1968年に完成して10月26日に初飛行した[1]1970年6月には軍用型のYC-95原型機が初飛行し[1]、その後旅客機のプロトタイプが1972年8月9日に初飛行している。

1972年末からは輸送・捜索救難型であるC-95の量産が開始された[1]。量産機は試作機より全長が延長されて客席が増え、より強力なエンジンを搭載したほか、機体形状もより洗練されたものになっている[1]

商業路線には、トランス・ブラジル航空1973年4月16日に就航した[1]

その後様々な軍民様々な派生型が製造されたが、大型化した後継機EMB 120が登場したために、1990年に製造が終了した。1968年から1990年まで軍民あわせて500機生産され、同社を世界的航空機メーカーに躍進させた旅客機である。

愛称は「バンデイランテ(別名:バンデランテ)」といい、ポルトガル植民地時代のサンパウロ奴隷狩り「エントラーダ(探検隊)」に由来し、ポルトガル語ボーイスカウトの意である。

性能

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主なユーザー

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日本のバンデイランテ

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日本では、西瀬戸エアリンクによって1987年4月に西中国・四国と東九州の地方都市である広島空港(現在の広島西飛行場)松山空港大分空港の各空港を結ぶ三角形状の航空路線に就航した。この時の機体は海外で運用されていた中古機であった。

その後同社は営業不振のため撤退し、路線はジャルフライトアカデミー(現・ジェイエア)に移管されたが、1991年9月に後継のJS31が導入されたため退役。日本の空から姿を消した。

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 航空情報 1976, p. 16.
  2. ^ 「航空最新ニュース」『航空ファン』 通巻第483号、1993年3月号、株式会社 文林堂、1992年3月1日、98頁。 
  3. ^ IISS 2024, p. 493.

参考文献

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  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 
  • 航空情報 編『世界航空機年鑑 1976年版』酣燈社、1976年。 
  • 帆足孝治・阿施光南『日本の旅客機クロニカル』イカロス出版2004年

外部リンク

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