オセロ (遊戯)

ボードゲームのひとつ
オセロ(リバーシ)
Othello-Standard-Board.jpg
オセロの盤と石
開発元 長谷川五郎(ジョン・モレット、ルイス・ウォーターマン)
販売元 メガハウスマテルジャック・オブ・ロンドン[1]
発売日 1973年4月25日1888年
ジャンル ボードゲーム
プレイ人数 2人
対象年齢 6歳以上[2]
準備時間 1分未満
プレイ時間 標準10分[3]、最大80分[4]
運要素 なし
必要技能 頭脳、読み合い、駆け引き[5]
ウェブサイト オセロ公式サイト

オセロ (Othello) は、相手の石を自分の石で挟めばそれも自分の石になるという条件のもと、それぞれ黒と白を担当する2人のプレイヤーが交互に盤面へ石を打っていき、最終的な石の個数を競うボードゲームである。

「オセロ」「Othello」という名称はメガハウス(旧・ツクダオリジナル)の登録商標であるため、他社製品ではほぼ同一のゲームであっても原則として別の商品名が使われる。例として、「リバーシ (Reversi)」や「白黒ゲーム」などの別名がある。日本の公共放送NHKでも、かつては同様の理由から「白と黒の石を取り合うゲーム」などと言い換えて報道していた(2018年頃からは「オセロ」と報道するようになっている[6])。なお、「リバーシ」は、オセロの原型となったゲーム、あるいはよく似た別のゲームの名前であり、本来オセロの別名ではない(オセロとリバーシの違いなどは後述)。

概要編集

ゲームとしての特徴編集

オセロを楽しむ人々

オセロは、抽象戦略ゲームの一つである。数学的には囲碁将棋チェスなどと同様に二人零和有限確定完全情報ゲームに分類され、運の要素がなく2人のプレイヤーが互いの知恵を絞って実力だけを頼りに勝敗を決するゲームである。ゲームのルールは「相手の石を自分の石で挟む」という基本原理に基づく単純明快なものだが、コンピュータが発達した2019年現在もなお完全解析がなされていないほどの奥深さを持ち、人間がその全貌を把握するのはまず不可能である。このことを端的に表した「覚えるのに一分、極めるのに一生 (A minute to learn, a lifetime to master)」という言葉がキャッチフレーズとなっている[7][8]

ゲーム名である「オセロ」は、用具のデザイン等をも含めた商品パッケージの名前でもある。このパッケージは、製薬会社社員でボードゲーム研究家の長谷川五郎によって1970年頃に東京都で開発され、1973年ツクダオリジナル(現・メガハウス)から発売されたものである。ゲームの基本ルール自体は、それ以前に考案されたものと同様であり、オセロの原型は、ジョン・モレット (John Mollett) とルイス・ウォーターマン (Lewis Waterman) が19世紀イギリスで考案したリバーシというゲーム、あるいは1945年に幼少期の長谷川本人が水戸市で考案した挟み碁というゲームのどちらかとされる。リバーシと挟み碁のうち、どちらが直接的なオセロの祖であるのかについては、長谷川自身の発言が一定しないため、不明である。

用具と名称の由来編集

オセロは、相手の石を自分の石で挟めばそれも自分の石になるという点に最大の特徴がある。そこで、自分の石にする動作を素早く行うため、表裏を黒と白に塗り分けた平たい石を使用し、相手の色の石を裏返して自分の色にすることでこれを表現する。盤面は、8×8の正方形のマス目が描かれた緑色のものを用いる(なお、「グランドオセロ」や「エイトスターズオセロ」などと呼ばれる8×8以外の特殊な盤面を用いるものもある)。

「オセロ」という名称は、イギリスの劇作家・シェイクスピア戯曲オセロ』に由来する。これは、緑の平原が広がるイギリスを舞台にして、黒人の将軍・オセロと白人の妻・デズデモーナを中心に敵味方がめまぐるしく寝返るという戯曲のストーリーに、緑の盤面上で黒白の石が裏返って形勢が変わっていくゲーム性をなぞらえたものである[9][7]

普及度編集

日本におけるオセロの競技人口は、 長谷川によると2001年頃の時点で約6000万人である[10]。 長谷川は、日本国内の競技人口は、将棋が約1500万人、囲碁が約1000万人、チェスが約500万人であり、オセロはこれらを上回っていると主張している[10]。なお、公益財団法人日本生産性本部余暇創研が発行している『レジャー白書2018』によれば、日本国内の競技人口は、トランプ・オセロ・カルタ・花札などが約2370万人、将棋が約700万人、囲碁が約190万人、チェスが調査対象外となっている[11]。世界各国で数々の大会が開催され、マインドスポーツの一つとしても知られている。

元ツクダオリジナルでオセロの商品化を担当した和久井威は、オセロがロングセラーとなった要因に対象年齢が幅広いことを挙げている[12][13]。実際に、小学校の教室、老人ホームデイサービスセンターなどにもオセロ盤が設置されていることがあり、休み時間の子供たちや高齢者もゲームを楽しんでいる[14]。なお、2019年3月現在、長寿世界一の人物である日本の田中カ子(116歳)がオセロを毎日プレイしていると話しており、最高齢競技者である[15]

このほか、オセロと同様のゲーム(ただし石のサイズ等はオセロの公式規定とやや異なることもある)は、リバーシや白黒ゲームなどの名前で安価なポータブルゲームとしてコンビニエンスストアなど小規模な店舗でも販売され、インターネット上でのオンライン対戦を含むコンピュータゲームとしてもリリースされている。Microsoft Windows1.02.0、2.1、3.0MeXPの各バージョンには、リバーシという名称でオセロが標準搭載された。

遊び方編集

基本ルール編集

オセロの基本ルールは以下の通りである。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図1(黒番)

事前に各プレイヤーがそれぞれ黒番と白番のどちらを担当するかを決めておく(後述)。

初期配置として、図1のように盤面中央の4マスに黒石と白石を2つずつ置く。右上と左下が黒石、左上と右下が白石になるように互い違いに配置する。

初期配置を終えたらゲームを開始する。黒番、白番の順で交互に盤面の空いているマスに自分の色の石を打っていく。この際、今打った石と他の自分の色の石とで縦・横・斜めのいずれかの方向で挟んだ相手の色の石は、裏返して自分の色に変える

例えば、図1の局面で、黒番がf5(符号は図の盤面外に記載している列と行。f5はf列5行目のこと)に打ったとする。すると、今打った黒石とd5の黒石によってe5の白石を横に挟んでいるので、これを裏返して黒石に変える(図2)。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図2(白番)

同じように、図2から白番がf6に打てば、e5の黒石を斜めに挟んでいるので、これを裏返して再び白石に変える(図3)。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図3(黒番)

このように、相手の石を挟みながら交互に石を打ち合っていく。

複数の石を一度に挟むことも可能である。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4O g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5O g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図4(黒番)

例えば、図4の局面で黒番がg5に打つと、f5とe5の白石を横に挟み、f4の白石を斜めに挟んでいるので、これら3つの石をすべて黒石に変える(図5)。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4X g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5X h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図5(白番)

なお、挟んだ石はすべて自分の色に変えなければならない。

石を打つときは、必ず相手の色の石を1つ以上挟むように打たなければならない。例えば、図5で仮に白番がe2に打ったとしても黒石を1つも挟めないから、白番がe2に打つことはできない。

挟めるマスが1つもない場合はパスとなり、相手の手番となる。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4X d4X e4X f4 g4 h4O 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5O h5O 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6X g6 h6O 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7X g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
図6(黒番→白番)

例えば、図6の局面で、黒番は白石を挟む方法がないので、パスとなり、白番がまた石を打つことができる。

パスの回数に制限はないが、挟めるマスがあるのにパスをすることは認められない。なお、両対局者の手元にある石は共有物であるため、相手のパスによって自分が連続して着手し、その結果手元の石が足りなくなった場合は、相手の手元の石を使ってもよい。

すべてのマスが石で埋まるか、あるいは両者ともに挟めるマスがなくなったときは、ゲーム終了(終局)となる。

a b c d e f g h
1 a1O b1O c1O d1O e1O f1O g1O h1O 1
2 a2O b2X c2X d2O e2O f2X g2O h2X 2
3 a3O b3X c3X d3X e3X f3O g3X h3X 3
4 a4O b4X c4O d4X e4X f4X g4X h4X 4
5 a5O b5X c5O d5O e5X f5X g5X h5X 5
6 a6O b6X c6O d6O e6O f6X g6X h6X 6
7 a7O b7O c7O d7O e7O f7O g7X h7X 7
8 a8O b8X c8X d8X e8X f8X g8X h8X 8
a b c d e f g h
図7(終局)

例えば、図7では、すべてのマスが石で埋まっているため、終局である。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3X d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4X f4X g4X h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5X h5X 5
6 a6 b6 c6 d6 e6X f6 g6X h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7X g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8O f8 g8X h8 8
a b c d e f g h
図8(終局)

図8では、まだ空きマスがあるが、黒番も白番も相手の色の石を挟む方法がないから、終局である。

終局時点で黒石・白石の数を数え、多いほうが勝ちとなる。同数の場合は、通常の対局では引き分け、引き分けでは不都合のある対局(勝ち上がり式トーナメント等)では黒番・白番の決定時に「終局時に石の数が同数だった場合に勝者となる権利」(後述)を得ていた側の勝ちとなる。

成績は、石数もしくは石差で記録される。例えば、図7ならば34対30(4石差)で黒番の勝ちである。空きマスがある場合には、その数が勝者の石数に加算される[16]。例えば、図8ならば63対1(62石差)で黒番の勝ちである。

黒番・白番の決定編集

オセロは黒と白の石を用いるが、プレイヤーの手番は、黒を担当するプレイヤーが先手、白を担当するプレイヤーが後手というように色と合わせて定められている。手番を含めた両プレイヤーの地位をそれぞれ黒番・白番と呼ぶ。

黒番・白番は、ゲーム開始前に何らかの方法で決定する必要がある。一般的にはじゃんけんなどの簡易な方法で決められることもあるが、大会などで使われる公式ルールでは「伏せ石」と呼ばれる囲碁ニギリに近い方法が採用されている。伏せ石のやり方は、引き分けありの対局と引き分けなしの対局でそれぞれ異なっており、以下のように決まっている。

  1. まず、上位者が石一つを手で隠して盤上に置く。
  2. 次に下位者が引き分けの有無によって以下の方式で宣言を行う。
    • 引き分けありの場合は、下位者は「上」もしくは「下」と宣言する。
    • 引き分けなしの場合は、下位者は「黒」もしくは「白」と宣言する。
  3. 下位者の宣言が終わったら上位者は石を隠していた手をどけて石を開示する。
  4. 石の上面が黒白どちらであるかを確認し、引き分けの有無に応じて以下の通り黒番・白番を決定する。
    • 引き分けありの場合は、開示された石の上面・下面の色のうち、下位者は宣言した側の色を担当する。すなわち、下位者が「上」と宣言したときは開示された石の上面の色、「下」と宣言したときは開示された石の下面の色を下位者が担当する。
    • 引き分けなしの場合は、一方のプレイヤーには「黒番・白番を選ぶ権利」、他方のプレイヤーには「終局時に石の数が同数だった場合に勝者となる権利」が与えられる。下位者が宣言した色と開示された石の上面の色とを照らし合わせ、的中している場合は下位者、的中していない場合は上位者が、どちらの権利が欲しいかを選択する。最後に黒番・白番を選ぶ権利を得た側のプレイヤーが黒番と白番のどちらにするかを選ぶ。

ハンデキャップ編集

実力差がある場合にはハンデキャップ(ハンデ)をつけて対局することもできる。ハンデキャップ戦では、実力差に応じて次のように盤面の隅に黒石を置いた状態からゲームを開始する。

a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
1子局(白番)
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8X 8
a b c d e f g h
2子局(白番)
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1X 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8X 8
a b c d e f g h
3子局(白番)
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1X 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8X b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8X 8
a b c d e f g h
4子局(白番)

ハンデキャップ戦の場合は、下手が黒番、上手が白番を持つが、通常の対局とは異なり、白番(上手)の先手で対局を開始する。

歴史編集

オセロの起源編集

現在普及しているオセロのパッケージは、日本オセロ連盟元会長の長谷川五郎ツクダオリジナルに持ち込んで1973年に発売されたものである。長谷川がオセロを開発するに至った経緯については本人の説明が二転三転しており、定かではない。特に、オセロのルーツについては、

  • ジョン・モレットとルイス・ウォーターマンが19世紀イギリスで考案したリバーシというゲームがオセロの原型であり、長谷川がリバーシの基本ルールを維持しつつ名称・用具・環境などを整備してパッケージとして確立したものがオセロである。
  • 1945年に中学生時代の長谷川本人がリバーシとは独立に茨城県水戸市で考案した挟み碁というゲームがオセロの原型である(結果的にオセロとリバーシは似通ったゲームとなっているが両者は無関係)。

という2つの説がある。長谷川は、オセロのパッケージが発売された当初は前者の説明をしていたが[17]2000年頃からは後者の説明をするようになっている[18]。また、日本オセロ連盟の公式見解も同様であり、当初は前者の立場であったが、長谷川からの指摘を受けて後者の立場に改めている[19]

リバーシについては後述するとして、ここではひとまず挟み碁を起源とする説に依拠した歴史を紹介する。

挟み碁編集

囲碁の盤と駒

近年の長谷川の主張によれば、オセロのルーツは、第二次世界大戦が終わって間もない1945年の夏に水戸市で長谷川が考案した簡易囲碁ゲーム「挟み碁」である[20][7]

長谷川によれば、当時の長谷川は相手の石を囲んだら取れるという囲碁のルールがよく分からなかったため、相手の石を挟んだら取れるという簡易ルールで遊んでいた。その後、石を取るのではなく、相手の石を挟んだら自分の石と置き換えるというルールに改良し、現在のオセロに近いものとなった。さらに、自分の石と置き換える作業を簡単にするため、碁石ではなく表裏を黒白に塗り分けた紙の石を裏返すというアイデアに至った。

挟み碁には挟んだら裏返すという基本原理以外に定まったルールはなかった。盤面は長谷川が自作した8×8、8×9、9×10、八角形など多様な形状のものを使用し、「複数の石を挟んだときも裏返せる石は1個のみ」あるいは「裏返したくない石は裏返さなくていい」など、そのときどきで様々なルールを採用してプレイしていた[21]

長谷川は、中学・高校・大学にわたって、このゲームを級友と楽しんでいたが、大学卒業によってその機会がなくなり、挟み碁は一旦姿を消すことになった。

これが2000年頃から長谷川が主張するようになったオセロの起源である(ただし、1990年代以前の文献では長谷川は挟み碁について触れていない)。また、水戸市はこれに基づいて「オセロ発祥の地」を自称し、オセロにまつわる様々なイベントを開催している。

オセロの成立編集

牛乳瓶の紙蓋

1964年当時、東京都製薬会社の営業担当として仕事をしていた長谷川は、同僚の女子社員たちから何かゲームを教えて欲しいと頼まれた[22]。長谷川は囲碁将棋ともに五段の腕前を誇り、最初はこれらのゲームを教えたが、難しすぎるとのことで上手く行かず、そんな折に少年時代に考案した挟み碁のことを思い出した。そこで、自宅で妻と家庭の牛乳瓶の紙蓋[23]を集めて石を自作し、女子社員たちにルールを教えたところ、彼女らが昼休みにこのゲームを楽しむようになった。

さらに、営業先の病院でもこのゲームを紹介したところ、入院中の患者の時間潰しやリハビリテーションに使えるとのことで好評を博した。長谷川が担当していたある病院の医局長からは「このゲームは社会復帰を目指す患者のリハビリに適し華がある」と太鼓判を押されたという[24][7][25]

手応えを覚えた長谷川は、仲間たちとともに実験・研究を繰り返し、このゲームをさらに改良することにした。当初は自作の8×9の盤を使っていたが、1970年10月にメルク西ドイツの製薬会社)からチェスセットが日本の薬品関係者に贈られると、長谷川はこの8×8のチェス盤を採用して、チェス盤に合った牛乳瓶の紙蓋を使用するようになった。さらに、当初は間接挟みでも石を返すという現在よりもやや複雑なルールを採用していたが、直接挟みのみに限定した簡明なルールに変更した[26]。これにより、1970年頃、東京で現在のオセロと同様のゲームが完成した

完成したゲームには、当初黒と白の石をパンダに見立てて「ランラン・カンカン」という名前(上野動物園で人気となっていたバンダのカンカンとランランに由来)も検討されていたが[9]、長谷川の父親で旧制水戸高等学校(水高)の英国文学教授であった長谷川四郎の発案で「オセロ」に変更された。これは、長谷川四郎の専門分野である英国文学の代表作・シェイクスピア戯曲オセロ』に由来したものである。

商品化とオセロブーム編集

1972年10月[27]、長谷川が玩具メーカーのツクダオリジナルにオセロを持ち込んだところ、これが認められ、商品化が決まった[28][13]

商品化に先立ち、1973年1月には日本オセロ連盟が設立され、同年4月7日には第1回全日本オセロ選手権大会が開催された[7]

同年4月25日[29]4月29日とする資料もある[30])、「オフィシャルオセロ」が発売された。商品企画部門の責任者だった和久井威によると、当時玩具に対してキャラクター以外のロイヤリティーを払うという意識が業界にはほとんどなく、オセロにもパテントは付いていなかったが、ツクダオリジナルのオーナーは「おもちゃはアイデアだから」と支払を認めたという[13]。玩具業界には子供向けのボードゲームは4人以上で遊べるべきという意識があったため、2人用ゲームであるオセロは大人をターゲットとして、パッケージ表面にはタバコライターを写したデザインが採用された[28]。価格は2200円に設定された[13][31]

初期ロットは在庫を残さないよう3000個で、経費の都合でテレビ宣伝も打たなかったものの、百貨店の店頭などで実演販売をすると着実に売れていった[13][31]。これに自信を得た和久井がその年の年末商戦に向けてテレビCMドンキーカルテットのジャイアント吉田を起用)を製作したところ、オンエア後の10月からの3か月間で38万個、翌1974年に120万個以上[32]1975年に280万個が売れる大ヒット商品となった[13][31][33]。『日経流通新聞』(現『日経MJ』)のヒット商品番付では、1973年、1974年と2年連続で「大関」に選出された[31]

1977年アメリカ合衆国でも発売され、その年のうちに100万個が売れたという[31]。この年から、世界オセロ選手権大会も始まった。

2002年、ツクダオリジナルはバンダイの子会社となり、2003年3月には和久井が経営するワクイコーポレーションと経営統合してパルボックスとなった。さらに2005年には、パルボックスはバンダイの子会社メガハウスに統合され、2019年現在はメガハウスがオセロを販売している。なお、アメリカ合衆国ではゲイブリルが最初の販売元だったが[31]、その後数社の変遷を経て、2007年時点ではマテルが欧米での販売権を所有している[31]

和久井によると、2007年時点でもオセロは年間40~50万個は売れ続けているという[13]

関連ゲーム編集

リバーシ(源平碁)編集

オセロとよく似たゲームにリバーシReversiレヴァルシー源平碁)がある。オセロとリバーシのルールはほぼ共通であるが、時期によって細部に違いがある。

オセロとリバーシの違い
ゲーム名 最初期の文献(出典) 開発年・開発地・開発者 ルール等
石の色 盤面の形状 初期配置 複数石挟み 着手不能時 着手回数制限
アネクゼイション 不明 1870年
ロンドン
ジョン・モレット
不明 十字形 不明 不明 不明 不明
リバーシ(19世紀) Reversi and Go Bang
(1890年)[1]
1880年頃
ロンドン
ルイス・ウォーターマン
黒白 8×8の正方形 オリジナル 全部裏返す パス 32回
リバーシ(20世紀) 世界遊戯法大全
(1907年)[34]
1900年頃
ロンドン
不明
黒白
黒赤
紅白
8×8の正方形 クロス
パラレル
全部裏返す パス 無制限
挟み碁 オセロ百人物語
(2005年)[21]
1945年
水戸
長谷川五郎
黒白 不定[35] 不明 不定[36] 不明 不明
オセロ オセロの打ち方
(1974年)[17]
1970年頃
東京
長谷川五郎
黒白 8×8の正方形 クロス 全部裏返す パス 無制限

なお、ボードゲーム研究家のE. O. ハルビンは、Fan Mian(もしくはFan Mien)という中国のゲームをリバーシの原型として紹介しているが[37]、これに対して変則チェスの考案者であるリスボン大学教授のジョアン・ペドロ・ネトは、Fan Mianは噂にすぎず一切の証拠がないとしており、詳細は不明である[38]

19世紀のリバーシ編集

リバーシは、1870年にイギリスのジョン・モレット (John Mollett) が考案したアネクゼイションというボードゲームを改良して、1880年頃に同じくイギリスのルイス・ウォーターマン (Lewis Waterman) が開発した[39][40]。アネクゼイションとリバーシは、盤面の形などが異なる。なお、モレットとウォーターマンとの間で権利関係の争いがあり、訴訟となったが、アネクゼイションとリバーシは細部に違いがあるものの「挟んだら裏返す」というゲームの本質部分において同一であることが認定され、モレットとウォーターマンはともにリバーシという商標を使用できることになった。

リバーシは、1886年ロンドンのサタデー・レビュー紙に掲載され、世に知られることになった[41]。ウォーターマンは、1888年にリバーシを商品化し、ジャック・アンド・サン(現・ジャック・オブ・ロンドン)から発売した[1]

商品化から2年後の1890年にウォーターマンが承認したリバーシの解説書によると、当時のリバーシと現在のオセロとのルール上の違いは、以下の2点のみである[1]

初期配置オリジナル・ルール 
初期のリバーシでは、盤面に石を置かずにゲームを開始していた。初手から4手目まで交互に中央4マスのうち好きな位置に石を打ち込むことで、初期配置を決めた(なお、初期配置を決めるための4手は相手の石を挟まなくて良かった)。
32手制限ルール 
初期のリバーシでは、両対局者はそれぞれ最大32回しか石を打つことができなかった。つまり、ゲーム開始時に各々の手元に32個の石が配布され、相手のパスによって自分が連続して着手した結果手元の32個の石を使い果たしてしまった場合は、それ以降すべてパスになった。

なお、「リバーシは盤面の形が自由であった」「リバーシはパスができなかった」などとされることがある[42]が誤りである。実際には、1890年刊行の解説書において、「盤面は8×8の正方形[43]」「打てる箇所がない場合はパス」という現在のオセロと同一のルールが定められている[1]。また、同書によると、当時のリバーシの石の色は黒と白 (black and white) であり、これもオセロと同様である。

20世紀のリバーシ編集

リバーシは、早くから日本にも輸入された[44][45]。幼少期の明仁親王(のちの天皇・上皇)も父の昭和天皇とリバーシで遊んでいた[46]

リバーシが考案されてから日本に伝来するまでの間に、ルールの変遷があった。まず、32手制限ルールは、すぐに廃止された[47]。また、初期配置に関しては、簡便のために最初から中央4マスに石を置いてからゲームを開始するのが主流となった[47]。この結果、日本にリバーシが伝わった時点では、現在のオセロとのルール上の違いはほぼなくなっており[47]1907年に編纂された『世界遊戯法大全』では現在のオセロと完全に同一のルールが定められている[34]

もっとも、初期配置に関しては、以下の3つのルールがローカルルールとして併存しており、どのルールを採用するかは競技団体・競技者や開発メーカーによって違いがあった[48][49](なお、『世界遊戯法大全』のようにクロス・ルールを採用した場合にはオセロと完全に同一のルールとなる)。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4 e4 f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5 e5 f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
オリジナル(黒番)
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
クロス(黒番)
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4O f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
パラレル(黒番)

石の色については、既述の通り当初は黒白であったが[1][50]、その後は黒赤が主流となり、日本では源平になぞらえて紅白の石を使うこともあった。

オセロとリバーシの関係性編集

オセロのルールは、クロス・ルールを採用したリバーシと同様である。そのため、オセロは先行するリバーシに基づいて開発されたのか、それとも別々に考案されたものが偶然似ただけなのかという点がしばしば議論される。この点については、オセロ開発者の長谷川五郎の説明が一貫しないため、真相は不明である。

1973年にツクダオリジナルからオセロを発売した当初、長谷川はリバーシがオセロの原型であると認めたうえで、名称・用具・環境などを整備したものがオセロであるとしていた。長谷川は、ゲームの面白さは、ルールが3分の1、名称・用具・環境などの要素が3分の2を占めることを指摘し、後者が不十分であったリバーシは子供の玩具以外の何物でもなかったが、オセロはすべてを整備して大人でも遊べるゲームとして完成させたものであるとアピールしていた[51]

それに対し、2000年頃からは、長谷川はリバーシに触れることなく、1945年に水戸で碁石を使って自身が考案した挟み碁がオセロの原型であると主張するようになっている[52]。長谷川が設立した日本オセロ連盟も同様であり、連盟のHP委員であったはせらによると、連盟のウェブサイトには当初「オセロの起源はリバーシ」と明記されていたが、HP委員長からの指示により、会長の長谷川が書いた「戦後、水戸、碁石」という新しい文章に差し替えたという[53]。長谷川はそれまで著書の中で挟み碁について言及していなかったため、はせらは、この文章を読んで驚いたと述べている[54]

このような経緯に基づき、オセロは長谷川とツクダオリジナルによるリバーシの盗作であると批判する専門家も一部に存在する。例えば、パズル・ゲーム研究者の田中潤司は、リバーシは大正時代から日本でも源平碁として親しまれており、玩具メーカーであるツクダオリジナルがこれを知らなかったわけがないから、悪意を持って名前を変えて発売したのではないかと指摘している[55]。また、ボードゲーム研究者の草場純は、オセロとリバーシの違いは初期配置のみであるとしたうえで、長谷川が初期配置を互い違いに限定したのはリバーシの改悪であると厳しく批判している[56][57]

もっとも、事実関係は不明であるうえ、万が一盗作であったとしても、長谷川がオセロを発売した時点ですでにリバーシの開発者はこの世におらず、特に権利関係が問題視されることはない。また、発売当初に長谷川が主張していた通り、現在のオセロの興隆は、ゲーム性のみならず名称・用具・環境を伴った長谷川の構築したブランド力によるものであり、先行するリバーシを上回る世界的認知度を得ている。以上の理由から、オセロの原型をリバーシとする場合であっても、長谷川を中興の祖として位置付け、その功績を高く評価するのが一般的である[58]

オセロの別名としてのリバーシ編集

現在では、もともとのリバーシはオセロと比べて競技人口が著しく減っており、代わってオセロの別名としてリバーシという言葉が使われることが増えている。これは、オセロの商標権との抵触を避けるためである[59]

1973年のオセロ発売当初、「オセロ」という商品名は商標として、黒白の石や緑の盤面などのデザインは意匠として、ともに登録されて権利保護の対象となっていた。ゆえに、当時はツクダオリジナル以外の他社は、オセロの名称はもちろん、黒白の石や緑の盤を用いるデザインも無断で使用することができなかった。その後、意匠権は保護期間の20年が満了し、他社でもオセロと同様のデザインのゲームを販売することが可能となったものの、商標権は2019年現在も保護が続いている。そこで、他社が販売する場合には、オセロとデザイン上の違いがない場合でも「リバーシ」という名称を使うのが一般的となっている(他に「白黒ゲーム」などとする場合もある)。

1999年には、日本最大手のオセロ情報サイトを運営していた元タイトルホルダーのオセロ選手に対し、商標権侵害であるとしてツクダオリジナルが内容証明郵便を送り付けたことがきっかけとなって、日本で商標権のないリバーシに着目する動きが広まり、元タイトルホルダー4名を含む多数の高段者たちが集まって日本リバーシ協会を設立した[60][61]。日本オセロ連盟の一部幹部からは、リバーシはオセロと敵対するゲームであるとして日本リバーシ協会を排斥する主張がなされたとされる[62]

ニップ編集

ニップの盤面

リバーシのほかに、オセロに先行する類似ゲームとしては、ニップと呼ばれるものもある[63]

オセロと異なるニップの特徴は盤面の形である。現在知られているニップは、円形の盤面を用いる。一方、黒井千次は、自身が幼少期に遊んでいたニップの盤面は四角形から四隅が欠けたものであったとしている[64]

ニップがどのような経緯で生まれたものか詳細は明らかになっていないが、1933年に松本彌助名義で実用新案登録がなされている[65]

オセロ公式バリエーション編集

世界選手権に合わせて設置された巨大オセロ

メガハウス(旧・ツクダオリジナル)によるオセロ盤の公式バリエーションは、これまでに様々なものが発売されてきた。代表的なものは以下の通りである。

ミニオセロ 
盤面を8×8から6×6に縮小したもの。
グランドオセロ 
盤面を8×8から10×10に拡大したもの(終売)。
エイトスターズオセロ 
旧称「88オセロ(エイティエイトオセロ)」。グランドオセロから盤面の四隅を切り落として8つの隅を持つ八角形状にしたもの(終売)。
みんなでオセロ 
四人対戦を可能にしたもの。

このほか、通常の8×8オセロについても、以下のようにプレイヤーの便宜を図るために様々な工夫を凝らした製品が順次追加されている。

発売時期 製品名 特徴
1973年〜 オフィシャルオセロ オセロ公式大会使用盤。
1975年頃〜 マグネットオセロ 石がマグネット式で石ずれ防止になり、かつ盤が折り畳み可能。
1970年代後半〜 ベストオセロ、ナイスオセロ 盤に石ケースを内蔵。2000年代にもマイナーチェンジあり。
1980年代前半〜 ビクトリーオセロ マス目に立体ガイド付きで石がずれない入門用。
2000年代前半〜 大回転オセロ 盤に回転式の石を固定。発売当初は「オセロ極(きわめ)」と呼ばれていた。

また、視覚障害者向けに触って石を識別できたり、の障害などで石をつまめない人が盤と一体化した石を回したりして楽しめるタイプ(上表の「大回転オセロ」もこれに該当する)も開発・発売されている[66]

オセロ用具を用いた派生ゲーム編集

現在はコンピュータゲームスマートフォンゲームが全盛の中、アナログゲームの売上は減少しており、オセロもその例外ではない。アナログのボードゲーム販売強化手法の一つとして、オセロと他の家庭用ボードゲームを一緒にして販売されるケースも多い。この場合、オセロ石を活用して様々なバリエーションの派生ゲームが追加されるケースもある。例として、オセロの石を使って、マス目の少ない囲碁おはじき積木崩し、トランプのチップ等で遊ぶケースがある。もっとも、日本オセロ連盟が公式にルールを定めているものではない。

大会編集

各地で数多くのオセロ大会が開催されている。

オセロ大会の様子

主要なオセロ大会としては、以下のものが挙げられる[67]

  • 世界大会
  • 日本大会
    • 全日本オセロ選手権(1973年 - )
    • オセロ名人戦(1980年 - )
    • オセロ王座戦(2006年 - )

世界オセロ選手権編集

a b c d e f g h
1 a1O b1O c1O d1O e1O f1O g1O h1O 1
2 a2O b2X c2X d2O e2O f2X g2O h2X 2
3 a3O b3X c3X d3X e3X f3O g3X h3X 3
4 a4O b4X c4O d4X e4X f4X g4X h4X 4
5 a5O b5X c5O d5O e5X f5X g5X h5X 5
6 a6O b6X c6O d6O e6O f6X g6X h6X 6
7 a7O b7O c7O d7O e7O f7O g7X h7X 7
8 a8O b8X c8X d8X e8X f8X g8X h8X 8
a b c d e f g h
第1回世界オセロ選手権大会決勝 井上博 vs. トーマス・ヘイバーグ(終局)

世界オセロ選手権 (World Othello Championship) はアメリカ合衆国でオセロが発売された1977年に始まった。当初は世界チャンピオンを決める無差別部門だけだったが、1987年からは団体部門、2005年からは女子部門、2016年からはユース部門が新設された(女子やユースが無差別部門に出場することも可能)。

第1回大会は日本の東京で開催された。また、10回、20回、30回、40回の記念大会はいずれも日本で開催されている。記念大会は、第20回大会までは長谷川五郎1970年頃に現在のオセロのパッケージを開発した東京で開催されていたが、既述の通り2000年頃から長谷川が「オセロの発祥は1945年茨城県水戸市で自身が考案した挟み碁である」と主張するようになったことを受け、三十(みと)の語呂合わせとなる2006年の第30回大会を機に、それ以降は水戸で開催されている[68]。なお、水戸市はこれ以降「オセロ発祥の地」を名乗っている。また、2019年の第43回大会は、当初香港で開催予定だったが、逃亡犯条例改正案をめぐる混乱を受け、急遽東京で開催された[69]

開催年 開催地 無差別部門優勝者 女子部門優勝者 ユース部門優勝者 団体部門優勝国
01回 1977年 日本の旗 東京 日本の旗 井上博 (未実施) (未実施) (未実施)
02回 1978年 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク 日本の旗 丸岡秀範 (未実施) (未実施) (未実施)
03回 1979年 イタリアの旗 ローマ 日本の旗 井上博 (未実施) (未実施) (未実施)
04回 1980年 イギリスの旗 ロンドン アメリカ合衆国の旗 ジョナサン・サーフ (未実施) (未実施) (未実施)
05回 1981年 ベルギーの旗 ブリュッセル 日本の旗 丸岡秀範 (未実施) (未実施) (未実施)
06回 1982年 スウェーデンの旗 ストックホルム 日本の旗 谷田邦彦 (未実施) (未実施) (未実施)
07回 1983年 フランスの旗 パリ 日本の旗 石井健一 (未実施) (未実施) (未実施)
08回 1984年 オーストラリアの旗 メルボルン フランスの旗 ポール・ラル (未実施) (未実施) (未実施)
09回 1985年 ギリシャの旗 アテネ 日本の旗 瀧澤雅樹 (未実施) (未実施) (未実施)
第10回 1986年 日本の旗 東京 日本の旗 為則英司 (未実施) (未実施) (未実施)
第11回 1987年 イタリアの旗 ミラノ 日本の旗 石井健一 (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第12回 1988年 フランスの旗 パリ 日本の旗 為則英司 (未実施) (未実施) イギリスの旗 イギリス
第13回 1989年 ポーランドの旗 ワルシャワ 日本の旗 為則英司 (未実施) (未実施) イギリスの旗 イギリス
第14回 1990年 スウェーデンの旗 ストックホルム 日本の旗 為則英司 (未実施) (未実施) フランスの旗 フランス
第15回 1991年 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク 日本の旗 金田繁 (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第16回 1992年 スペインの旗 バルセロナ フランスの旗 マーク・タステ (未実施) (未実施) イギリスの旗 イギリス
第17回 1993年 イギリスの旗 ロンドン アメリカ合衆国の旗 デビッド・シェイマン (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第18回 1994年 フランスの旗 パリ 日本の旗 瀧澤雅樹 (未実施) (未実施) フランスの旗 フランス
第19回 1995年 オーストラリアの旗 メルボルン 日本の旗 為則英司 (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第20回 1996年 日本の旗 東京 日本の旗 村上健 (未実施) (未実施) イギリスの旗 イギリス
第21回 1997年 ギリシャの旗 アテネ 日本の旗 末國誠 (未実施) (未実施) イギリスの旗 イギリス
第22回 1998年 スペインの旗 バルセロナ 日本の旗 村上健 (未実施) (未実施) フランスの旗 フランス
第23回 1999年 イタリアの旗 ミラノ オランダの旗 デビッド・シェイマン (未実施) (未実施) 日本の旗 日本
第24回 2000年 デンマークの旗 コペンハーゲン 日本の旗 村上健 (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第25回 2001年 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク アメリカ合衆国の旗 ブライアン・ローズ (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第26回 2002年 オランダの旗 アムステルダム オランダの旗 デビッド・シェイマン (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第27回 2003年 スウェーデンの旗 ストックホルム アメリカ合衆国の旗 ベン・シーリー (未実施) (未実施) 日本の旗 日本
第28回 2004年 イギリスの旗 ロンドン アメリカ合衆国の旗 ベン・シーリー (未実施) (未実施) アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第29回 2005年 アイスランドの旗 レイキャヴィーク 日本の旗 為則英司 日本の旗 星央子 (未実施) 日本の旗 日本
第30回 2006年 日本の旗 水戸 日本の旗 為則英司 日本の旗 辻淑美 (未実施) 日本の旗 日本
第31回 2007年 ギリシャの旗 アテネ 日本の旗 冨永健太 日本の旗 龍見有希子 (未実施) 日本の旗 日本
第32回 2008年 ノルウェーの旗 オスロ イタリアの旗 ミケーレ・ボラッシ ドイツの旗 リーヤー・イェー (未実施) 日本の旗 日本
第33回 2009年 ベルギーの旗 ヘント 日本の旗 高梨悠介 日本の旗 浦島芽衣 (未実施) 日本の旗 日本
第34回 2010年 イタリアの旗 ローマ 日本の旗 高梨悠介 オランダの旗 ジスカ・ヘルメス (未実施) 日本の旗 日本
第35回 2011年 アメリカ合衆国の旗 ニューアーク 日本の旗 信川紘輝 アメリカ合衆国の旗 チエン・ツァイ (未実施) 日本の旗 日本
第36回 2012年 オランダの旗 レーワルデン 日本の旗 高梨悠介 スウェーデンの旗 ベロニカ・ステンバーグ (未実施) 日本の旗 日本
第37回 2013年 スウェーデンの旗 ストックホルム 日本の旗 岡本一樹 フィンランドの旗 ケイティ・ウー (未実施) 日本の旗 日本
第38回 2014年 タイ王国の旗 バンコク 日本の旗 末國誠 オーストラリアの旗 ジョアンナ・ウィリアム (未実施) 日本の旗 日本
第39回 2015年 イギリスの旗 ケンブリッジ 日本の旗 高梨悠介 アメリカ合衆国の旗 ヨーコ・サノ (未実施) 日本の旗 日本
第40回 2016年 日本の旗 水戸 タイ王国の旗 ピヤナット・アンチュリー 中華人民共和国の旗 チェン・トン 日本の旗 和田真幹 日本の旗 日本
第41回 2017年 ベルギーの旗 ヘント 日本の旗 高梨悠介 日本の旗 菅原美紗 日本の旗 髙橋晃大 日本の旗 日本
第42回 2018年 チェコの旗 プラハ 日本の旗 福地啓介 日本の旗 菅原美紗 日本の旗 福地啓介 日本の旗 日本
第43回 2019年 日本の旗 東京 日本の旗 髙橋晃大 オーストラリアの旗 ジョアンナ・ウィリアム 日本の旗 髙橋晃大 日本の旗 日本

2019年時点の優勝回数最多記録は、以下の通りである。

  • 個人優勝記録
    • 無差別部門:為則英司(日本) 7回
    • 女子部門:菅原美紗(日本)、ジョアンナ・ウィリアム(オーストラリア) 2回
    • ユース部門:髙橋晃大(日本) 2回
  • 国別優勝記録
    • 無差別部門:日本 32回
    • 女子部門:日本 6回
    • ユース部門:日本 4回
    • 団体部門:日本 17回

戦術編集

オセロには様々な戦術が知られている。これらの戦術のほとんどは、オセロのパッケージを開発した長谷川五郎によって整備された[10]。ここでは、標準的な戦術書でよく解説される概念を説明することで、オセロ戦術の全体像を概観する。

定石編集

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
定石(黒番)

図は、序盤の3手目の局面である。ルール上、ここで黒番にはc4、d3、e6、f7の4つの選択肢がある。しかしながら、c4、d3、f7の進行は白番が正しく対応すればいずれも黒番必敗となることが判明しているため、初心者を除けば黒番は必ずe6と打つ[70]

このように、不利にならない手は限られているから、双方がある程度の実力を有していれば序盤の進行はいくつかの決まったパターンに収束しやすい。そういったパターン化された進行を「定石」という。上級者同士の対局では、基本的な定石を双方が覚えたうえで、どの定石を選択するか、どこで定石から変化するかなど細かい駆け引きを行う[70]

定石には、盤上の石の形を動物などに見立ててそれぞれ名前が与えられている[71]。兎定石、虎定石、牛定石、鼠定石は四大定石と呼ばれている[70]

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4O f4O g4 h4 4
5 a5 b5 c5X d5X e5O f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6O e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
兎定石(黒番)
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3X d3O e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4X d4X e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5O e5X f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6O e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
虎定石(黒番)
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5X d5X e5X f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6O e6O f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
牛定石(黒番)
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3X e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4X f4O g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5O g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
鼠定石(黒番)

一石返しと中割り編集

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3X d3X e3X f3X g3 h3 3
4 a4 b4 c4X d4O e4X f4X g4 h4 4
5 a5 b5 c5X d5X e5X f5X g5X h5 5
6 a6 b6 c6X d6X e6X f6O g6X h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7X f7X g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
失敗例(黒番)

図の局面は一見すると黒石がとても多く、初心者には黒番がリードしているように見えるかもしれない。しかし、黒番はここでg7以外に打てる箇所がない。そこで仕方なく黒番がg7に打つと白番がh8の隅を取れる状態になるから、黒番は圧倒的不利となる。

このように、オセロでは序盤・中盤の局面で石が多いからといって必ずしも有利というわけではない。多くの場合はその逆であり、石が多すぎる側は不利となる[70]。オセロは相手の石を挟まなければ着手できないため、相手の石が少なかったり、相手の石が自分の石で囲まれていたりすると、着手可能な箇所が少なくなり、本来打ちたくない箇所に打つしかなくなってしまうのである。逆に言えば、序盤・中盤では、石を取りすぎず、自分の石が相手の石に囲まれた状態を目指すのが基本となる。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3X e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4X f4O g4 h4 4
5 a5 b5 c5X d5O e5O f5O g5 h5 5
6 a6 b6 c6O d6O e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
一石返し・中割(黒番)

例えば、図は兎定石の9手目の局面であるが、ここで黒番の定石手はe6である。この手は、e5の白石1つだけを挟む手であるから自分の石を増やしすぎることはない。また、e5はすでに周囲を他の石で囲まれているから、自分の石を相手の石の中に潜り込ませることができる。したがって、理想的な好手である。

好手の類型として「一石返し」と「中割り」が有名である[70]。一石返しは、相手の石を1つだけ挟むように打つことである。中割りは、周囲をほぼ他の石に囲まれている相手の石だけを挟むように打つことである。一石返しは自分の石を必要以上に増やさない手であり、中割りは自分の石を相手の石で囲ませる手であるため、これらを意識することで好手を発見しやすくなる[70]。図でのe6という手は、一石返しでなおかつ中割りである。

隅とその周辺編集

a b c d e f g h
1 a1 b1X c1X d1X e1 f1 g1 h1 1
2 a2X b2X c2X d2X e2X f2 g2 h2 2
3 a3X b3X c3X d3X e3X f3X g3 h3 3
4 a4X b4X c4X d4X e4X f4X g4X h4 4
5 a5 b5X c5X d5X e5X f5X g5X h5O 5
6 a6 b6 c6X d6X e6X f6X g6O h6O 6
7 a7 b7 c7 d7X e7X f7O g7O h7O 7
8 a8 b8 c8 d8 e8O f8O g8O h8O 8
a b c d e f g h
確定石(白番)

図の局面で、黒石はどれも終局までに白石に挟まれてしまう可能性があるが、10個の白石はもはや黒石で挟むことができない。したがって、これらの白石は終局まで白石であることが確定している。

このような、挟まれることがないから終局まで色が変わらないと確定した石のことを「確定石」という。確定石を増やしていくことは、勝利に直結するので重要である[70]

オセロで勝つために大切な要素の一つとして「」がある。オセロ盤のうち四隅のマス(a1、a8、h1、h8)については、挟むことができないから、隅に石を置けば必ず確定石となる。また、図のように隅から隣接するマスに同じ色の石が置かれている場合には、それらも確定石となることがある。したがって、隅を狙うのはオセロの基本となる[70]

a b c d e f g h
1 a1 b1X c1 d1 e1 f1 g1X h1 1
2 a2X b2O c2 d2 e2 f2 g2O h2X 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4 e4 f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5 e5 f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7X b7O c7 d7 e7 f7 g7O h7X 7
8 a8 b8X c8 d8 e8 f8 g8X h8 8
a b c d e f g h
C・X

隅と関連して重要な概念として、CとXがある。図で黒石を置いたマス(隅と縦横に隣接するマス)がC、白石を置いたマス(隅と斜めに隣接するマス)がXである。

当然のことながら、CやXに自分が石を打たなければ、相手に隅を取られることはない。したがって、初心者の間は、CやXを極力避け、相手がCやXに打ってきたら隅を取りに行くという戦術がよく使われる。しかし、初心者を脱すると、あえてXに打って相手に隅を取らせたうえで自分はCを取り、Cを基点に隣接する大量のマスを自分のものにするといった勝負手も必要となってくる。いずれにしても、隅、C、Xに関する攻防は初心者から上級者まで注目されるポイントである[70]

手止まりと偶数理論編集

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1X d1 e1 f1X g1X h1X 1
2 a2X b2 c2X d2X e2X f2O g2O h2O 2
3 a3O b3O c3O d3O e3O f3O g3O h3O 3
4 a4O b4O c4X d4O e4O f4X g4X h4O 4
5 a5O b5O c5O d5X e5O f5X g5X h5O 5
6 a6O b6O c6X d6O e6X f6X g6X h6O 6
7 a7O b7 c7O d7O e7O f7X g7O h7O 7
8 a8X b8X c8X d8X e8X f8X g8X h8O 8
a b c d e f g h
手止まり(黒番)

図のような局面を考える。ここで黒番が左下のb7に打ち込むと、c7、d7、e7の3つの石を黒石にすることができる。そして、b7の周辺にはもう空きマスがないから、これらの石が再び白番に返される心配はなく、良い手であると考えられる。

このように、隣接する空きマスが他にないマスに打ち込むことを「手止まり」と言い、終盤戦では手止まりを打つのが一つの目標となる[70]

終盤戦において重要となるのは、まずは先を読み切って地道に石を数えることである。しかし、石を数えることのほかに、互いに隣接する空きマスの数に着目することである程度類型的に好手を見つけることができる[70]。手止まりを打つこともその一つである。

a b c d e f g h
1 a1 b1 c1X d1 e1 f1X g1X h1X 1
2 a2X b2 c2X d2X e2X f2O g2O h2O 2
3 a3O b3O c3O d3O e3O f3O g3O h3O 3
4 a4O b4O c4X d4O e4O f4X g4X h4O 4
5 a5O b5O c5O d5X e5O f5X g5X h5O 5
6 a6O b6O c6X d6O e6X f6X g6X h6O 6
7 a7O b7X c7X d7X e7X f7X g7O h7O 7
8 a8X b8X c8X d8X e8X f8X g8X h8O 8