オーダー: order)とは物理学工学などでしばしば用いられる語で、桁数(10のべき乗、10や100あるいは0.1や0.001など)の違いによって、数量の大まかな違いを表現する用語である。英語の en:order of magnitude[1]に由来する。「スケール」ということもある。

物理学や工学系の現場では、最初から細かな計算を行うよりもまず、およそどの程度の大きさなのかを予測したり議論することがしばしばあり、その際に使われる。オーダーを推定することをオーダーエスティメーション(order estimation)という[2]フェルミ推定はこの一つである[3]

  • 「10のオーダーである」→「2桁(10~99)の数字で表される程度の数である」という意味。
  • 「10の6乗のオーダーである」→「百万~千万程度の数である」という意味[4]
  • 「10のマイナス9乗オーダーの精度がある」→「測定値の精度が十億分の一~百億分の一程度である」という意味。
    この場合は、単に「10のマイナス9乗の精度がある」と言うことが多い。
  • 「オーダーが合っている」→「議論している数値の桁数が、別途に測定・予測・議論された数値の桁数と同じである(ズレが10倍未満)」という意味[5]
  • 「オーダーが違う」→ 「桁が違う[6]」の意。
  • 「1mmオーダーである」(又は「ミリメートルオーダーである」)→「数mm(1~9mm)単位で表される程度の大きさである」という意味[7]
  • AB のオーダーが等しい。例: 近似#記号

出典

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  1. ^ a class in a system of classification determined by size, usu. by powers of 10. The Concise Oxford Dictionary, Eighth edition, p.835, 1990, Oxford University Press, ISBN 019 861 2001
  2. ^ オーダーエスティメーション goo辞書
  3. ^ フェルミ問題を解く 伊庭斉志)、東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻電子情報システム学講座
  4. ^ 石川英明「応用数理と計算科学における理論と応用の融合に向けての提言 (応用数理と計算科学における理論と応用の融合)」『数理解析研究所講究録』第2005巻、京都大学数理解析研究所、2016年11月、1-13頁、CRID 1050001335857631744hdl:2433/231507ISSN 1880-2818。「7.2.、p.9、量子力学の概要、(冒頭)「量子力学は粒子が粒子性と波動性の両方を持つ現象を扱う力学である。波長と系のサイズが同程度である場合に波動性が顕著に表れる。典型的なサイズは 10-11 から 10-8 m のオーダーである。」」 
  5. ^ 渡會兼也「光速測定の歴史と天文学の果たした役割」『高等教育研究』第60巻、金沢大学附属高等学校高等教育研究会、2008年11月、43-48頁、CRID 1050282810971937792hdl:2297/17066ISSN 0287-5233。「p.42、「この値は、当時の地球-太陽間の距離や時間の測定に誤差があったにも関わらず、オーダーが合っているのは驚異的である。」」 
  6. ^ 位が違う。格段の差がある。日本国語大辞典、第7巻(くれ - こきん)、p.195、1976年4月15日発行、第1版第2刷、小学館
  7. ^ 天文学の新たな目イマージョン・グレーティング—分光器の小型化が実現する「第2の地球」探し— 池田優二、光を分ける仕組み――分光器、「回折格子は基板上に平行な溝がミクロンオーダーで周期的に刻まれている光学素子です。」、京都産業大学、サイエンス&テクノロジー、VOL.11(2010年5月25日発行)

関連項目

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外部リンク

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