オーバー・ザ・トップ
『オーバー・ザ・トップ』(Over the Top)は、1987年に公開されたシルヴェスター・スタローン主演のアメリカ合衆国の映画。
オーバー・ザ・トップ | |
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Over the Top | |
監督 | メナハム・ゴーラン |
脚本 | シルヴェスター・スタローン スターリング・シリファント |
製作 | メナハム・ゴーラン ヨーラム・グローバス |
製作総指揮 | ジェームズ・D・ブルベイカー |
出演者 | シルヴェスター・スタローン デビッド・メンデンホール ロバート・ロッジア スーザン・ブレイクリー |
音楽 | ジョルジオ・モロダー |
撮影 | ニック・マクリーン |
編集 | ジェームズ・R・サイモンズ ドン・ジマーマン |
製作会社 | キャノン・フィルムズ |
配給 | ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 94分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
興行収入 | $16,057,580[1] ![]() ![]() |
配給収入 | 12億4100万円[2] ![]() |
目次
ストーリー編集
ニューヨーク、陸軍幼年学校の卒業式。寮生活を終えた少年たちが家族と再会し、学校中が笑顔に溢れているなか、卒業生のマイケル・カトラーは、病床の母クリスティーナを見舞うべく、ひとり家路を急いでいた。そんなマイケルの前に、彼の父親を名乗るリンカーン・ホークが現れる。10年前にある事情で家を出たホークだったが、病床の妻からの要請を受けてマイケルを迎えに来たのだという。ホークの身元は確かだという校長の言もあり、マイケルはホークと共に母の病院へ向かうことになるが、10年間も音信不通だった父をすぐには受け入れられない。「あんたなんか嫌いだ!」と思わず声を荒らげるマイケルだが、ホークはこう答えるのだった。「嫌いか。そこからスタートしよう」
ホークの駆る大型トラックに乗り、ニューヨークからカリフォルニア州まで、父子の二人旅が始まった。上流階級育ちのマイケルにとって、トラッカーの生活は珍しいものばかり。肉中心の大雑把な食生活。ホテルも使わず車内に寝泊まり。とりわけ驚いたのは、ドライブインで開催されるアームレスリングの賭け試合だった。力自慢の男たちが腕一本でぶつかり合う姿は、まるで野生の獣のよう。ホークもまた、アームレスリングの強豪選手であった。荒々しい世界に馴染めないマイケルは電話でクリスティーナに助けを求めるが、最愛の母から「その旅で得るものが必ずあるから」と諭されれば断りきれず、旅を続けるしかなかった。
コロラド州で立ち寄ったドライブインで、ホークは大柄な少年を呼び止めマイケルに引き合わせると、強引にアームレスリングの試合をセッティングしてしまう。いきなりの展開に困惑するマイケルに、ホークが語りかける。「もう自分の力で勝負することを覚えてもいい歳だ。自信を持て。きっと勝てる!万が一負けても、堂々と闘った結果なら恥じゃない」ホークの励ましと指導を受けて試合に臨んだマイケルは、苦戦の末に初勝利を手にする。思わずこぼれる笑顔。全力で闘い抜いた爽快感の中で、マイケルは自分とホークに同じ血が流れていることを実感し始めていた。
3日間の旅を終え、トラックは病院に到着するが、そこで二人を待っていたのは、クリスティーナの急死という残酷な事実だった。母の死に打ちのめされたマイケルは、開きかけていた心を閉ざし、祖父ジェイソン・カトラーの屋敷に閉じこもってしまう。息子を追ってホークはカトラー邸を訪ねるが、ジェイソンからは「負け犬」「ろくでなし」などの罵詈雑言が返ってくるばかりで取りつく島もない。10年前にホークが家を出たのも、ジェイソンとの不和が原因だったのだ。業を煮やしたホークはトラックでカトラー邸の門を突き破る暴挙を行い、とうとう警察に捕まってしまうのだった。
留置場のホークの前に、カトラーの弁護士が現れ取引を持ちかける。「マイケルの親権を手放して州を去るならば、告訴も賠償請求も取り下げる」と。法廷で争えるほどの財力も無く、ホークは従うしかなかった。カリフォルニアを出たホークはラスベガスへ直行。かねてから出場を考えていた世界アームレスリング選手権大会にエントリーする。いまやマイケルのために出来るのは、ただ全力で闘う姿を見せることだけ。愛車を売り払って資金を作り、背水の陣で試合に臨んだホークは、次々に強豪を打ち倒してゆく。決勝戦で待ち受けるのは、5年間無敗の最強王者ブルー・ハーリー。息子への愛だけを胸に、ホークは人生最大の大勝負に挑む。
登場人物編集
- リンカーン・ホーク
- 10年前にある事情で家を出た。
- マイケル・カトラー
- ジェイソン・カトラー
- クリスティーナ・カトラー
- マイケルの母。病気を患っており、中盤で亡くなる。
- ブル・ハーリー
キャスト編集
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |||
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フジテレビ版 | TBS版 | テレビ朝日版 | 機内上映版 | ||
リンカーン・ホーク | シルヴェスター・スタローン | 玄田哲章 | 羽佐間道夫 | 安原義人 | 山寺宏一 |
マイケル・カトラー | デヴィッド・メンデンホール | 神藤一弘 | 井上大輔 | 藪下博文 | |
ジェイソン・カトラー | ロバート・ロッジア | 鈴木瑞穂 | 小林勝彦 | 坂口芳貞 | |
クリスティーナ・カトラー | スーザン・ブレイクリー | 榊原良子 | 土井美加 | 高島雅羅 | |
ブル・ハーリー | リック・ザムウォルト | 坂口芳貞 | 郷里大輔 | 麦人 |
HDニューマスター版DVDにはTBS版の吹き替えが収録され、HDニューマスター版BDにはTBS版も含めフジテレビ版も収録された。 テレビ朝日版も収録予定だったが、諸事情により見送られた。
サウンドトラック編集
サウンドトラック盤は日本では日本ではオリコン洋楽アルバムチャートで1987年3月9日付から5週連続1位を獲得した[3]。
- 『オーバー・ザ・トップ』:サミー・ヘイガー with エディ・ヴァン・ヘイレン
- 『イン・ディス・カントリー』:ロビン・ザンダー
- 『テイク・イット・ハイアー』:ラリー・グリーン
- 『オール・アイ・ニード・イズ・ユー』:ビッグ・トラブル
- 『バッド・ナイト』:フランク・スタローン
- 『心の夜明け』:ケニー・ロギンス
- 『ジプシー・ソウル』:エイジア
トリビア編集
- サウンドトラックに収録されている、『イン・ディス・カントリー』は、1991年、1992年にフジテレビで放送されたF1グランプリのエンディング曲として採用された。
- 出演者には後にプロレスラーとなるスコット・ノートンや、元プロレスラー(後にカムバック)のテリー・ファンクもおり、日本のアームレスリング第一人者の南波勝夫もいる。
- この映画でスタローンとの腕相撲を演じた男性のその後についての話が『ステロイド合衆国』 (Bigger, Stronger, Faster*) という2008年のドキュメンタリーに出てくる。その取材によると、彼は50歳を過ぎてもいまだに身体を鍛え続けており、定職も持たず、家も持たず、自動車に寝泊りしつつ、たまにジムでボディビルの指導をして収入を得るも、その全てがステロイド剤の購入代金に消えてゆく、という生活を送っているという。
参考文献編集
- ^ “Over the Top”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年5月23日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)460頁
- ^ オリコンのデータ協力による “全曲、80年代の週間オリコンチャートNo.1” の洋楽コンピが登場!、ソニーミュージック、2017年8月8日。