オーレイテュイア
オーレイテュイア(古希: Ὠρείθυια, Ōrithyia)は、ギリシア神話の女性である。長母音を省略してオレイテュイアとも表記される。アテーナイの王エレクテウスとその妻プラークシテアーの娘で、ケクロプス、パンドーロス、メーティオーン、プロクリス、クレウーサ、クトニアーと兄妹[1]。
北風の神ボレアースが彼女に恋をし、力ずくでさらい、二人の間に娘クレオパトラーとキオネー[2][3]、息子カライスとゼーテースが生まれた[2][3][4][5]。
神話編集
オウィディウスは『変身物語』の中で、オーレイテュイアへの北風の神ボレアースの恋を先代のアテーナイ王パンディーオーンと結びつけて語っている。それによると、トラーキア王テーレウスはパンディーオーンの娘プロクネーと結婚したが、さらに彼女の姉妹ピロメーラーをトラーキアに連れ去り、関係を結んだのちに真実を話すことができないように彼女の舌を切り落した。しかしプロクネーは夫のピロメーラーに対する仕打ちを知り、息子イテュスを殺して復讐した。このような出来事があったために、トラーキアとの関係が悪化し、同地に縁のあるボレアースは敬遠されていた。やがてボレアースは何度求婚しても甲斐がないことを悟ると、強引にオレイテュイアを攫い、空を飛んでトラーキアに連れ去った[6]。
系図編集
ギャラリー編集
ジョヴァンニ・フランチェスコ・ロマネッリ『オレイテュイアを誘拐するボレアス』17世紀 ガラリア・スパダ所蔵
セバスティアーノ・コンカ『オレイテュイアを誘拐するボレアス』18世紀 ルーヴル美術館所蔵
フランチェスコ・ソリメーナ『オレイテュイアの誘拐』1730年頃 ウォルターズ美術館所蔵
フランソワ・ブーシェ『オレイテュイアを誘拐するボレアス』1769年 キンベル美術館所蔵
ジョゼフ=フェルディナン・ランクルノン『オレイテュイアの誘拐』1822年 ジロデ美術館
チャールズ・ウィリアム・ミッチェル『オレイテュイアとともに飛翔するボレアス』1893年
イーヴリン・ド・モーガン『ボレアスとオレイテュイア』1896年 ド・モーガン・センター