カイザーナックル』(KAISER KNUCKLE)は、1994年タイトーから発表されたアーケード用対戦型格闘ゲーム

カイザーナックル
KAISER NUCKLE
ジャンル 対戦格闘
対応機種 アーケード
開発元 タイトー
発売元 タイトー
デザイナー 溝辺久美
神村武
プログラマー アオキヒロシ
宇佐美公介
土屋久美
中村辰男
大山功
音楽 渡部恭久
美術 坂本勇二
神村武
人数 1 - 2人
メディア タイトー・F3システム
発売日 1994年
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特徴的な要素 編集

5種類の通常技の属性
弱中強のパンチ・キックで攻撃する。また、弱+中を同時に押す事で超攻撃、中+強を同時に押すことで激攻撃を出すことができる。
クラッシュゲージ
ダメージを受けるとクラッシュゲージが増え、これが満タンになると次に当てた必殺技の威力が上昇し、背景にも変化が発生する(最終奥義も同様)。出した必殺技がガードされた場合はゲージを消費しない。また、ゲージはラウンド間でも持ち越される。
最終奥義
いわゆる超必殺技。体力ゲージが少なくなって点滅したときに使用可能。
診断結果
敵キャラクターにKOで決着をつけた際、倒されたキャラクターは医師による診断がされ、スコアボーナスで同時にその結果が表示される。スロット形式のランダムに見えるが実は傾向があり、強・超・激の通常技や必殺技ばかり当てて倒してしまった場合、悲惨な診断結果が出やすくなる。なお、時間切れでの決着またはCPU戦でプレイヤー側が倒された際は発生しない。

登場人物 編集

プレイヤーキャラクター 編集

和也(かずや)[Kazuya]
- 矢尾一樹
大学生にして、主人公。元々女の子にモテたいがために空手を始めたが、空手の腕はメキメキ上達してもモテないのは相変わらずであった。優勝して女の子にモテるために格闘大会に出場。
梨花(リーファ)[Lihua]
声 - 島津冴子
居合術の道場の娘。行方不明になった親を捜し、すっかり寂れてしまった道場を再建するために格闘大会に出場。
バーツ[Barts]
声 - 置鮎龍太郎
暴走族のリーダー。自分の運転ミスで事故を起こしてしまい、昏睡状態になった恋人「セーラ」を救うのにかかる、多額の手術費用を手に入れるために格闘大会に出場。
武龍(ウーロン)[Wulong]
ある組織の暗殺家。幼い頃に組織に拾われ、何の疑問も持たずに暗殺家業を続けていたが、他人の子供が無邪気に遊ぶ風景を見て暗殺から手を引くことを決意。組織から離れるための条件として提示された、1000万ドルを手に入れるために格闘大会に出場。
ライザ[Liza]
声 - 久川綾
南米に住む少女。リオのカーニバルのコンテストに一年かけて自分でじっくり準備した衣装を身に着けて挑んだが、予選落ちする。なんとしてもリオの女王になりたい彼女は、カーニバル用の新しい衣装を買うために格闘大会に出場。
ボギー[Boggy]
ダンサー。バイトで得た収入を毎月すべてダンスレッスンにつぎ込むも、時折行われるオーディションでは未だに端役にすら選ばれなかった。ダンスの才は誰もが認めていたが、バックボーンがないことや人種差別が彼を阻む壁になっていた。優勝し、名誉を手に入れるために格闘大会に出場。
月光(げっこう)[Gekkou]
声 - 石川英郎
スタントマン。実は「武幻流忍者」の末裔。普段は仲間たち(同じ武幻流忍者の末裔たち)と共に、映画村でアルバイトをしている。仲間たちは「本物の忍者の末裔である我らが、なぜこんなことを」とグチるが、月光は「修行のついでに飯も食える」と楽観的であった。月光の師匠が大会の破格の賞金に目がくらみ、「見事優勝賞金を持ってくれば、免許皆伝を授ける!」と問題発言。純粋に師匠を尊敬している月光は、免許皆伝を授けてもらうために格闘大会に出場。
J・マッコイ[J-McCoy]
声 - 田中一成
ボクサー。「費用を全額負担するなら、ヘビー級チャンプとの試合を組んでやる」とジム会長に言われ、その費用を捻出するために格闘大会に出場。ボクサー(キックボクサーではない)だがキックも使う。
マルコ[Marco]
声 - 音羽一郎
人造人間。見た目によらず優しい心を持つ。博士に人間にしてもらうために格闘大会に出場。彼のエンディングでは、ジェネラルの意外な面を見ることができる。

ボスキャラクター 編集

ゴンザレス[Gonzales]
声 - 江川央生
ロシア出身のサンボ使い。1人目の中ボス。元々はオリンピック代表候補であったが、故郷で内戦が勃発。オリンピックへの参加機会を奪われ、婚約者である「ターニャ」も巻き込まれ消息を絶ってしまった。その婚約者を探すため大会に参加。必殺技の投げ間合いが驚異的に広く、さらに前回り受身による攻撃兼回避技も持つ。
アステカ[Azteca]
中南米系の翡翠の仮面を付けた原住民。一説によれば、「パレンケの仮面」をつけたことにより、自らの記憶と引き換えに不老不死になったらしい。記憶に関する手がかりを得るため大会に参加。2人目の中ボス。ジャンプスピード・必殺技のスピードが異常に早く、見てから対応するのは困難な攻撃速度を持つ。アステカにKOで決着をつけると仮面が外れる演出がある。
アステカ戦終了までで条件が満たされていなかった場合、椅子に座ったジェネラルに説教され、各キャラクターのエンディングも流れずにそのままゲームオーバーとなってしまう。
ジェネラル[General]
ノーコンティニュー、かつCPUに取られたラウンド数が5ラウンド以下の時のみ現れる、最終ボスの軍人。「イーブルアイズジェネラル(Evil Eye’s General = 邪眼の将軍)」の異名を持ち、怖そうな外見とは裏腹に、性格は紳士的である。どのような状況下でも午後のティータイムを欠かさず取る癖がある。CPU戦の中でも特に難易度が高い。

本作の非常に高い難易度 編集

CPU戦の難易度は全般に渡って高く[1]、特に最後の敵のジェネラルはキャラクター自体の能力の高さに加え、他キャラクターと比較して極めて高性能な技をCPUが凶悪なアルゴリズムで連発してくるため、『ゲーメスト』にさえ「気合でなんとか…」「今後の格闘ゲームにこんなラスボスが出ませんように」と書かれたほどの凄まじい強さを誇る[2]

断仇牙(だんくうが) 編集

本作の調整版として当初は『カイザーナックルEX』という、CPU戦の難易度を落とした以外はほぼ変化なしのバージョンを出す予定であったが、ロケテストであまりに不評だったために却下され、そこから改修を行った『断仇牙』(和也の断空牙とは字が違う)を発表しなおした。ゴンザレスとアステカが使用可能キャラクターになり、新技の追加、超攻撃・激攻撃の廃止(一部通常技はレバー入れ技という形で残っている)、CPU戦の難易度低下(プレイヤーの動きに超反応で対処することがはるかに少なくなり、ジェネラルの出現条件は廃止されている)、攻撃力の全体的な低下、練習モードを含めたゲーム開始時のモードセレクト(「ノーマル」は各キャラのエンディングまで、「プロ」はそれに加えスタッフロールがクリア後に流れる)、「ジャンプ攻撃を当てた際にその動作をジャンプでキャンセルできる」という新しいシステムなど、様々な変更点がなされている。

稀にバグが起こりゲームが止まってしまうことはあるものの(CPUのアステカ戦で勝つと低確率だがフリーズしてしまうことがある)、ほぼ完成に近いところまで作られてタイトー直営店でロケテストも行われていたが同社の諸事情により発売はされなかったため、文字通り「幻」と言える格闘ゲームであった。作られた基板は数は少ないながらも現存しており、ロムの吸い出しもされている。

これとは別に『カイザーナックル2』としての続編も企画されていたが、アーケードゲーム制作に使用する基板が3D基板へ移行するに伴って企画は打ち切られた。この経緯を経て、新たに企画されたのが『サイキックフォース』であるという。

移植 編集

本作は家庭用には長らく移植されていなかったが、2022年3月2日タイトーから発売された『イーグレットツー ミニ』へ収録された[3]。また続編である『断仇牙』も収録[4]された。

スタッフ 編集

  • プランナー:TAKESHI KOBORI(神村武)、三上裕美、坂本勇二、アオキヒロシ
  • メイン・キャラクター・デザイナー:坂本勇二、TAKESHI KOBORI(神村武)
  • キャラクター・デザイナー:新里裕人、磯部孝幸、三上裕美、田中伸、岩田篤、杉谷伸二郎、新井伸一、河上聖治、藤田允、沼田和博、河本憲孝、阿部幸雄、平松信宏、加藤秀幸、鯨井洋代、西岡圭介、山下智久、後田達也、谷川剛、西田博
  • アシスタント:PEACOCK、VAP、プロダクション・アイジー
  • メイン・プログラマー:アオキヒロシ
  • プログラマー:宇佐見公介、土屋久美、中村辰男、大山功
  • 作曲:渡部恭久 (ZUNTATA)
  • サウンド・エフェクト・デザイナー:石川勝久 (ZUNTATA)
  • レコーディング・エンジニア:中西宗博 (ZUNTATA)
  • システム・エンジニア:金岡勝美、HIRONOBU SUZUKI
  • デザイナー:溝辺久美、TAKESHI KOBORI(神村武)
  • メカニック・デザイナー:KOICHI OTSU

関連作品 編集

脚注 編集

外部リンク 編集