カイノキ(楷樹、楷の木、学名: Pistacia chinensis)は、ウルシ科カイノキ属落葉高木。同じウルシ科のピスタチオとは同で近縁。別名カイジュランシンボク[1](爛心木)[2]、トネリバハゼノキ[1]ナンバンハゼ(南蛮櫨)、クシノキ(孔子の木)、オウレンボク[1]、トネリコバハゼ[1]中国名は、黃連木(別名:楷木)[1]

カイノキ(ランシンボク)
紅葉したカイノキ
紅葉したカイノキ
(2007年11月18日、岡山県備前市 閑谷学校
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類II Eurosids II
: ムクロジ目 Sapindales
: ウルシ科 Anacardiaceae
: カイノキ属 Pistacia
: カイノキ P. chinensis
学名
Pistacia chinensis Bunge (1833)[1]
英名
Chinese pistache

カイノキは、直角に枝分かれすることや小葉がきれいに揃っていることから、楷書にちなんで名付けられたとされる。別名のクシノキは、山東省曲阜にある孔子の墓所「孔林」に弟子の子貢が植えたこの木が代々植え継がれていることに由来する。また、各地の孔子廟にも植えられている。このように孔子と縁が深いことから、学問の聖木とされる。

また、科挙進士に合格したものに楷のを送ったことから、その合格祈願木とされていた[3]

形態・生態 編集

落葉広葉樹高木[4]雌雄異株で、樹高は20 - 30メートル (m) 、幹の直径は1 mほどになる。

互生し、偶数羽状複葉だが[4]奇数の葉が混じることがある[要出典]小葉は5 - 9対で、倒卵披針形で、濃い緑色をしている。には美しく紅葉し、透き通るような赤色から橙色、しばしば黄色が入りグラデーションになる[4]

円錐花序で、4 - 5月に葉に先立って花を咲かせる。雄花は淡黄色、雌花紅色を呈する。

秋には5 - 6ミリメートル (mm) の赤い球形の果実状につける。果実は熟すると紫色になる。

分布 編集

中国原産[4]東アジアの温暖な地域に自生する。日本には、1915年に孔林で採られた種子が伝えられ、東京都目黒区の林業試験場(現在の林試の森公園)に植えられた。

人間との関わり 編集

には大きな木陰を提供し、秋には美しく紅葉することから、街路樹公園庭園などに植えられる。俗に「学問の木」とされ、稀に学校に植えられたり、盆栽にされる[4]

若葉には特異な芳香があり、の代用にされるほか、野菜としても食用にされる。

材質は堅く、心材は鮮黄色で木目が美しい。優良な家具材であり、船材、碁盤などに用いられる。

種子の42.26%が油からなっており(仁部分の油含有率は56.5%)で、燃料やバイオディーゼル燃料に使用するため栽培されている[5]

カイノキ属 編集

カイノキ属(カイノキぞく、学名: Pistacia)は、ウルシ科の一つ。ランシンボク属ともいう。

脚注 編集

参考文献 編集

  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日、43頁。ISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 茂木透写真『樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、293頁。ISBN 4-635-07004-2 

関連項目 編集

外部リンク 編集