ハイラム・カイル・デイビーズHiram Kyle Davies1983年9月9日 - )は、アメリカ合衆国ジョージア州ディカーブ郡ディケーター出身の元プロ野球選手投手)。

カイル・デイビーズ
Kyle Davies
ニューヨーク・ヤンキース時代
(2015年3月6日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ジョージア州ディカーブ郡ディケーター
生年月日 (1983-09-09) 1983年9月9日(40歳)
身長
体重
6' 1" =約185.4 cm
210 lb =約95.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2001年 MLBドラフト4巡目(全体135位)
初出場 MLB / 2005年5月21日
NPB / 2016年3月31日
最終出場 MLB / 2015年4月12日
NPB / 2016年9月16日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りまで 編集

ストックブリッジ(ジョージア州)英語版ストックブリッジ高校英語版に在学していた。メジャーリーガーの輩出でも有名なジョージア工科大学を始めとする大学群からも高い評価を受けていた。

ブレーブス時代 編集

 
アトランタ・ブレーブス時代
(2007年5月6日)

2001年MLBドラフト4巡目でアトランタ・ブレーブスから指名された、プロ入り。

A+級ローム・ブレーブス英語版の創設期に所属しており、2003年サウス・アトランティックリーグの優勝も経験している。2003年のシーズンでは148奪三振を記録し、チームトップだった[1]

2005年MLBへ初めて昇格し公式戦で7勝を記録すると、先発ローテーションに定着した。このときマイナーリーグから招集された「ベイビー・ブレーブス」の一員でもある(招集された他の選手にはブライアン・マッキャンジェフ・フランコーアがいる。5月21日の雨の降る夜の中でボストンにあるフェンウェイ・パークでメジャーデビューを果たし、ボストン・レッドソックス相手に5回を無失点に抑えた。招集された背景には、ブレーブスの投手陣のジョン・トムソン英語版マイク・ハンプトンが相次いで故障者リストに入ったためである。その後の2試合の登板試合も無失点で抑えたため、衝撃を与えた。その後トムソンとハンプトンが復帰したため、マイナーリーグに戻った。

2006年はAAA級の先発候補としてスプリングトレーニングを迎えたが、その後メジャーの先発要員として開幕を迎えた。5月15日のフロリダ・マーリンズ戦の登板時に右足の鼠径部を痛めた。その後鼠径部の筋肉の断裂と診断され、数日後手術を受けた。この怪我の影響で故障者リストに登録され、10週間ものシーズンを欠場することとなった。結局シーズンでは14先発にとどまり、防御率8.38と前年より大きく成績を落とした。

2007年のスプリングトレーニング当初は、AAA級インターナショナルリーグリッチモンド・ブレーブスに所属していた。しかし、スプリングトレーニング終了後ランス・コーミア英語版が負傷したため、その穴を埋める形でメジャー昇格した。コーミアはリハビリからの復帰も6月までずれ込み、ハンプトンも手術を要したため、先発の一角で起用されることになった。しかし、17先発で4勝8敗防御率5.76と安定感を欠き、信頼感も勝ち取ることはできなかった。7月16日のシンシナティ・レッズ戦ではわずか22球での降板、アウトは一つも取れなかった。結局、7月19日にオプションでAAA級リッチモンドに降格し、新人のジョジョ・レイエスが先発ローテーションを担うことになった。

ロイヤルズ時代 編集

 
カンザスシティ・ロイヤルズ時代
(2009年6月13日)

2007年7月31日にオクタビオ・ドーテルとのトレードでカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍した。8月4日にロイヤルズの選手として初先発したが3回で5自責点だった。初回にはアレックス・ロドリゲスに通算500本塁打となる本塁打を打たれた。しかし、8月9日のミネソタ・ツインズ戦では6回と2/3を無失点に抑え、わずか3安打を許し4奪三振の好成績で立ち直った。試合にも2-0でロイヤルズが勝利した。

2008年には、自己最高の9勝7敗、防御率4.06を記録した。

2011年8月1日に右肩のインピンジメントで15日間の故障者リストに入った。10日に放出され[2]、12日にはウェイバー公示が発表された[3]

ブルージェイズ傘下時代 編集

2011年8月20日にトロント・ブルージェイズとマイナー契約を結んだ[4]

ツインズ傘下時代 編集

2013年2月20日にミネソタ・ツインズとマイナー契約を結んだ[5]。肩の故障により4月と5月の半分を欠場したため、A+級フォートマイヤーズ・ミラクルに配属され5月15日に始めて先発した。さらに1試合に登板後、怪我のため1ヶ月欠場した。フォートマイヤーズに戻る前にGCLツインズ英語版でリハビリを行い、その後フォートマイヤーズで3登板を記録した。7月23日にAA級ニューブリテン・ロックキャッツに昇格し、7先発を記録しシーズンを終えた。2013年は12先発で、4勝3敗防御率3.41でQS4回、58回で47奪三振を記録した。

インディアンス傘下時代 編集

2014年2月12日にクリーブランド・インディアンスとマイナー契約を結んだ[6]

ヤンキース時代 編集

2015年2月10日にニューヨーク・ヤンキースとマイナー契約を結んだ[7]。4月12日に救援投手として昇格[8]。その夜に公式戦1試合に登板した[9]。翌日DFAとなった[10]。ヤンキース傘下の3Aでは、11勝を挙げた。

ヤクルト時代 編集

2015年12月25日に、NPB東京ヤクルトスワローズと契約した[11]。MLB公式戦で通算43勝を挙げた実績を背景に、先発投手としての起用を想定した[12]契約で、背番号はロイヤルズ時代にも一時着用していた34。来日に際しては、この年まで6年間阪神タイガースに在籍していた同郷のマット・マートンから、日本野球への適応に関するアドバイスを受けたという[13]

2016年には、3月31日の対阪神戦(神宮球場)に、先発投手として来日初登板。1回表に新人の1番打者・髙山俊へ初球を投じたところ、プロ初本塁打(初回先頭打者本塁打)を喫した[14]。2回目の先発登板に向けた調整中に背中の張りを訴えたため、4月5日に出場選手登録を抹消された[15]が、5月30日には対北海道日本ハムファイターズ戦(札幌ドーム)で来日初勝利を挙げている。12月2日、自由契約公示された[16]

独立リーグ時代 編集

2017年は所属球団なく、2018年5月7日に独立リーグ・アトランティックリーグサマセット・ペイトリオッツと契約。シーズン後、FAとなった。

2019年3月15日にアトランティックリーグのランカスター・バーンストーマーズと契約。オフにFAとなった。

選手としての特徴 編集

メジャーマイナーでは主にスターターとして起用され、145km/h前後のフォーシーム、140km/h前後のカッター、132km/h前後のチェンジアップ、124km/h前後のナックルカーブを持ち球とする。MLBにおけるフォーシームの最高球速は2007年に97.7mph(約157km/h)を記録しているが、2015年では91.1mph(約147km/h)に留まっている。[17]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2005 ATL 21 14 0 0 0 7 6 0 2 .538 403 87.2 98 8 49 5 1 62 4 0 51 48 4.93 1.68
2006 14 14 1 0 0 3 7 0 0 .300 312 63.1 90 14 33 0 3 51 3 0 60 59 8.38 1.94
2007 17 17 0 0 0 4 8 0 0 .333 389 86.0 92 12 44 3 2 59 1 1 61 55 5.76 1.58
KC 11 11 0 0 0 3 7 0 0 .300 239 50.0 63 10 26 1 3 40 7 0 41 37 6.66 1.78
'07計 28 28 0 0 0 7 15 0 0 .318 628 136.0 155 22 70 4 5 99 8 1 102 92 6.09 1.65
2008 21 21 0 0 0 9 7 0 0 .563 487 113.0 121 10 43 0 2 71 8 1 57 51 4.06 1.45
2009 22 22 1 0 0 8 9 0 0 .471 538 123.0 122 18 66 1 4 86 10 0 76 72 5.27 1.53
2010 32 32 1 0 0 8 12 0 0 .400 817 183.2 206 20 80 1 2 126 5 1 114 109 5.34 1.56
2011 13 13 0 0 0 1 9 0 0 .100 293 61.1 84 7 26 2 5 50 4 0 52 46 6.75 1.79
2015 NYY 1 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 10 2.1 3 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0.00 1.29
2016 ヤクルト 15 15 0 0 0 4 5 0 0 .444 361 82.0 84 14 31 1 4 64 4 0 44 40 4.39 1.39
MLB:8年 152 144 3 0 0 43 65 0 2 .398 3488 770.1 879 99 367 13 22 547 42 3 512 477 5.57 1.62
NPB:1年 15 15 0 0 0 4 5 0 0 .444 361 82.0 84 14 31 1 4 64 4 0 44 40 4.39 1.39
  • 2020年度シーズン終了時

年度別守備成績 編集



投手(P)












2005 ATL 21 7 9 1 2 .941
2006 14 3 5 0 0 1.000
2007 17 7 14 2 1 .913
KC 11 1 2 0 0 1.000
'07計 28 8 16 2 1 .923
2008 21 4 10 1 0 .933
2009 22 10 10 2 1 .909
2010 32 13 23 2 2 .947
2011 13 1 9 1 0 .909
2015 NYY 1 0 1 0 0 1.000
2016 ヤクルト 15 1 6 1 1 .875
MLB 152 46 83 9 6 .935
NPB 15 1 6 1 1 .875
  • 2020年度シーズン終了時

記録 編集

NPB

背番号 編集

  • 26 (2005年 - 2007年)
  • 28 (2007年 - 2009年)
  • 34 (2010年 - 2011年、2016年)
  • 40 (2015年)

脚注 編集

  1. ^ http://www.thebaseballcube.com/statistics/2003/10684.shtml
  2. ^ Kaegal, Dick (2011年8月10日). “Royals cut ties with starter Davies”. MLB.com. http://m.royals.mlb.com/news/article/23020324/ 2015年4月12日閲覧。 
  3. ^ Weber, Matt (2011年8月12日). “Davies arrested for disorderly intoxication”. MLB.com. http://m.royals.mlb.com/news/article/23106308/ 2015年4月12日閲覧。 
  4. ^ “Blue Jays sign righty Davies, release Miller”. MLB.com. (2011年8月20日). http://m.bluejays.mlb.com/news/article/23546720/ 2015年4月12日閲覧。 
  5. ^ Jerry Crasnick on Twitter”. Twitter. 2015年4月13日閲覧。
  6. ^ Davies agrees to minor league deal with Indians”. ESPN.com (2014年2月12日). 2014年2月15日閲覧。
  7. ^ Hoch, Bryan (2015年2月10日). “Yankees sign righty Davies to Minor League deal”. MLB.com. http://m.yankees.mlb.com/news/article/108852452/yankees-sign-right-hander-kyle-davies-to-minor-league-deal 2015年4月12日閲覧。 
  8. ^ Hoch, Bryan (2015年4月12日). “Davies returns to Majors to bolster Yankees 'pen”. MLB.com. http://m.yankees.mlb.com/news/article/117873804/new-york-yankees-sign-veteran-pitcher-kyle-davies-to-major-league-contract 2015年4月12日閲覧。 
  9. ^ Davies' return to Majors more than three years in making”. New York Yankees. 2015年4月13日閲覧。
  10. ^ Yankees summon RHP De La Cruz; designate reliever Davies”. FOX Sports (2015年4月13日). 2015年4月13日閲覧。
  11. ^ “新外国人選手獲得のお知らせ”. 東京ヤクルトスワローズ. (2015年12月25日). https://www.yakult-swallows.co.jp/news/detail/19035 2016年2月17日閲覧。 
  12. ^ “ヤクルト、前ヤ軍・デイビーズら新助っ投3人と契約”. サンケイスポーツ. (2015年12月24日). https://www.sanspo.com/article/20151224-77ZL54FNMFOC7APVPOHJWHYDGU/ 2016年3月31日閲覧。 
  13. ^ “同郷マートンから助言…ヤクルト新外国人デイビーズ、日本適応に自信”. スポーツニッポン. (2016年1月28日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/01/28/kiji/K20160128011938200.html 2016年3月31日閲覧。 
  14. ^ “阪神高山「これはいったかな」プロ1号が先頭打者弾”. 日刊スポーツ. (2016年3月31日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/1624713.html 2016年3月31日閲覧。 
  15. ^ “ヤクルト 4月6日先発予定デイビーズ、背中張りで抹消 今浪は発熱”. スポーツニッポン. (2016年4月5日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/04/05/kiji/K20160405012347500.html 2016年4月7日閲覧。 
  16. ^ 自由契約選手|2016年度公示”. NPB.jp 日本野球機構 (2016年12月2日). 2016年12月3日閲覧。
  17. ^ FanGraphs Pitch Type
  18. ^ 2016年には、デイビーズに続いて、マイク・ブロードウェイ横浜DeNAベイスターズ)が8月17日の対ヤクルト戦(神宮)で記録している(『日刊スポーツ2016年8月18日付記事「DeNAブロードウェイ5失点 来日初球に被弾」を参照)

関連項目 編集

外部リンク 編集