カシオペヤ座ガンマ星

カシオペヤ座γ星(カシオペヤざガンマせい)は、カシオペヤ座恒星で2等星。カシオペヤ座の「W」の中心の星である。

カシオペヤ座γ星[1]
Gamma Cassiopeiae
仮符号・別名 Navi、Tsih、Cih
星座 カシオペヤ座
視等級 (V) 2.39[1]
1.6 - 3.0(変光)[2]
変光星型 カシオペヤ座γ型変光星(GCAS)[2]
分類 Be星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  00h 56m 42.5317s[1]
赤緯 (Dec, δ) +60° 43′ 00.265″[1]
赤方偏移 -0.000023[1]
視線速度 (Rv) -6.8km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 25.65 ミリ秒/年[1]
赤緯: -3.82 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 5.94 ± 0.12ミリ秒[3]
(誤差2%)
距離 550 ± 10 光年[注 1]
(168 ± 3 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -3.7[注 2]
Cassiopeia constellation map.png
Cercle rouge 100%.svg
カシオペヤ座γ星の位置
物理的性質
半径 10 R[4]
質量 15 M[4]
自転速度 >300km/s
スペクトル分類 B0.5IVpe [1]
光度 34000 L[4]
表面温度 25,000 K
色指数 (B-V) -0.15[5]
色指数 (U-B) -1.08[5]
色指数 (R-I) -0.08[5]
別名称
別名称
カシオペヤ座27番星[1]
BD +59 144[1]
FK5 32[1], HD 5394[1]
HIP 4427[1], HR 264[1]
SAO 11482[1]
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カシオペヤ座γ星B
Gamma Cassiopeiae B
視等級 (V) 10.9[6]
分類 おそらく白色矮星[4]
軌道要素と性質
離心率 (e) < 0.08[4]
公転周期 (P) 203.5 日[4]
軌道傾斜角 (i) 45°[4]
物理的性質
質量 ∼0.8-1 M[4]
スペクトル分類 F6V[6]
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特徴編集

連星系編集

カシオペヤ座γ星は連星で、おそらく白色矮星中性子星説もあった)の伴星Bを持つ[4]。主星はおよそ2等星の変光星、伴星は10.9等星である[6]。伴星は約2秒離れ[6]、ほぼ円軌道を203.5日周期で公転している[4]

他に、約50秒離れた12.9等星のC、21分離れた5.6等星のD (HD 5408) がある[6]。Cは連星系に属しているか不明だが、Dは固有運動の一致などから物理的に結びついていることが示されている[6]

主星はディスクに囲まれている。ディスクのFWHM半径は 1.5−7.25 R*(単位は恒星の半径)である[4]

変光星編集

カシオペヤ座γ星Aは、カシオペヤ座γ型変光星の代表星で、1937年に1.6等まで増光した(これはカシオペヤ座で最も明るい)。暗い時は3.0等まで減光する[7][8]。1866年にヴァチカン天文台のアンジェロ・セッキによってスペクトル中に輝線が発見され、これは恒星として史上初めてであった[9]

X線天体編集

名称編集

γ Cassiopeiae、略称γ Cas。明るい星であるが、アラビア語ラテン語に由来する名の知られた名称はない。

アメリカでは、宇宙飛行士ガス・グリソムのミドルネーム (Ivan) の綴りを逆さにしたNaviという名称で知られている。航法に使われる36の恒星のうち、カシオペヤ座γ星、おおぐま座ι星ほ座γ星には欧米でよく知られた名称がなかった。そこで、1967年春にアポロ1号の予備飛行士であった3名とグリフィス天文台台長のクラレンス・クレミンショウによって、その年の1月の事故で亡くなったガス・グリソムに因んだ名前が名付けられた[10][注 3]

中国語で『』を意味する語([cè])からツィー (Tsih、Cih) と呼ばれることがある[11]

脚注編集

注釈編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ おおぐま座ι星にはエドワード・ホワイト2世Second を逆さにした Dnoces、ほ座γ星にはロジャー・チャフィーRoger を逆さにした Regor と名付けている

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Results for * gam Cas”. SIMBAD Astronomical Database. 2018年2月7日閲覧。
  2. ^ a b GCVS”. Results for gam Cas. 2015年10月12日閲覧。
  3. ^ van Leeuwen, F. (2007). “Validation of the new Hipparcos reduction”. Astronomy & Astrophysics 474 (2): 653-664. arXiv:0708.1752. Bibcode2007A&A...474..653V. doi:10.1051/0004-6361:20078357. ISSN 0004-6361. http://vizier.u-strasbg.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5e45626e4d00&-out.add=.&-source=I/311/hip2&recno=4417. 
  4. ^ a b c d e f g h i j k Hamaguchi, K. et al. (2016). “Discovery of Rapidly Moving Partial X-ray Absorbers within Gamma Cassiopeiae”. The Astrophysical Journal 832 (2): 140. arXiv:1608.01374. Bibcode2016ApJ...832..140H. doi:10.3847/0004-637X/832/2/140. ISSN 1538-4357. 
  5. ^ a b c Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11). “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”. VizieR On-line Data Catalog: V/50. Bibcode1995yCat.5050....0H. http://vizier.u-strasbg.fr/viz-bin/VizieR-5?-ref=VIZ5a76628e9487&-out.add=.&-source=V/50/catalog&recno=264. 
  6. ^ a b c d e f The Washington Double Star Catalog”. 00567+6043. United States Naval Observatory. 2020年2月13日閲覧。
  7. ^ エーリッヒ・カルコシュカ英語版村山定男, 白尾元理訳 『フィールド版 スカイアトラス』 丸善、1991年8月30日、28頁。ISBN 4-621-03625-4 
  8. ^ 天文観測年表編集委員会 編 『2008年 天文観測年表』(初版) 地人書館、2007年11月20日、175頁。ISBN 978-4-8052-0789-5 
  9. ^ Secchi, A. (1867). “Schreiben des Herrn Prof.Secchi, Dir. der Sternwarte des Collegio Romano, an den Herausgeber”. Astronomische Nachrichten 68 (4): 63-64. Bibcode1866AN.....68...63S. doi:10.1002/asna.18670680405. ISSN 00046337. 
  10. ^ “Post-landing Activities”, Apollo 15 Lunar Surface Journal (NASA), http://history.nasa.gov/alsj/a15/a15.postland.html  105:11:33のコメント参照
  11. ^ 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』恒星社厚生閣、2007年2月28日、新装改訂版第4刷、204頁。ISBN 978-4-7699-0825-8

関連項目編集

外部リンク編集

なお日本変光星研究会の星図およびアメリカ変光星観測者協会の眼視観測用星図は本来カシオペヤ座ρ星用のものだが、カシオペヤ座γ星およびカシオペヤ座γ星用の比較星も載っているので、カシオペヤ座γ星の観測に使うことができる。